物間「ぐあぁぁー!!」
物間は右目を抑え、その場で蹲ってしまった。
相澤「物間ぁーー!!」
死柄木「ちっ、本当は脳天狙ってやりたかったけど建物の傾きで少し狙いが逸れたか…」
相澤「物間大丈夫か、しっかりしろ!」
相澤とそばにいたマニュアルが物間の右目を抑え、止血を試みる。
相澤(マズイ、抹消の発動条件は)
死柄木「両目が揃ってないと発動しないんだよなイレイザー」
死柄木は両目を指差し、不気味に笑う。
ジーニスト「このままでは抹消が解除され、最凶ヴィランが野に放たれる」
ミルコ「だったらアタシが死柄木本体を狙う!!」
ミルコは浮いている足場を伝いながら死柄木に近づく
ジーニスト「よせ!ミルコ!!」
死柄木「もうお前らに勝ち目は無い、なぁ兎山ルミ」
死柄木は手を前に差し出し、衝撃波を放つ。
その衝撃波はミルコの横を掠め、復活した電磁バリアに直撃した。
死柄木「個性も元に戻ってる、抹消は完全に死んだみたいだな」
ジーニスト(崩壊が発動されれば、この施設も意味がなくなる!少しでも死柄木の気を我々に移して1秒でも時間を稼ぐしか…)
死柄木「結局お前らの策なんて簡単に瓦解する、安心しろジーニスト、お前らを殺した後恐怖によって平和な世の中にしてやるよ」
死柄木は膨れ上がった両手を振り上げ地面に向かって振り下ろそうとする
ジーニスト「死柄木を止めろぉーー!!!」
爆豪「ま、間に合わなねぇ」
皆が自分の命を賭して死柄木に向かうがそれより早く両手は地面に着きそうになっていた。
死柄木「終わりだ!ヒーロー!」
誰もがこれから起こりうる未来に絶望していたその時だった。
引寄「イミットォ!!」
掛け声と共に死柄木の背後から蒼い炎が襲いかかった
死柄木(ぐぅっ!これは蒼炎?)
死柄木が振り返ると見たことない男の手から炎が放たれていた。
死柄木は虫を払うかのように腕を振り男に触れ、崩壊を発動しようとする。
だが、彼の体は赤い紐のようなものに引っ張られ遠ざかっていく。
ブラド「バカやろー!!無茶すんな、お前までやられたらそれこそ終わりなんだぞ!」
引寄「溜まった炎、放出しないとダメですし、それに婆ちゃんと物間の分のお返しだ!」
死柄木(…新たな増援か?一人は雄英の教師のヒーローのようだが、もう一人は初めてみる顔だ、手のひらから炎を出していたが荼毘と似たような個性持ちか?)
爆豪「引寄!!何出てきてんだぁ!?てめーの個性じゃもう…」
引寄「そんなこと言ってる場合じゃねーだろ、抹消が使えないなら俺がやるしかねーだろ」
死柄木「今更一人二人増えたところで何も変わらない!触れりゃ終わりだ!!」
死柄木は両手を地面に触れ、ついに崩壊が発動した
肥大した両腕から広範囲に崩壊が広がっていく…ハズだったが死柄木の予想を超えた現象が発生した。
死柄木(どうなってる?!崩壊が広がっていかない?ずっと崩壊が止まってるみたいだ!!個性は発動している、抹消じゃない)
崩壊の衝撃波がまるで壁に阻まれてその場で止まっているようだった。
死柄木が辺りを見渡すと一人の少年が原因であることがわかった
その少年の両手に崩壊が引寄せられていくようだった
死柄木(なんだあいつ、荼毘のような炎の個性じゃないのか?)
死柄木はさらに両手を肥大化させ、崩壊の効果範囲を広げようとするが、その崩壊でさえ広がらずにいた
死柄木(ここまで範囲を伸ばしても全部吸収されてるだと?…ふざけるな!)
死柄木「ふざけるなぁー!!僕が全て壊すんだよぉ!!」
爆豪「本体がガラ空きだ!バァーカ!!」
爆豪が死柄木の背後から高火力の爆破を喰らわせた
爆豪「ハッハー引寄!!てめー想像以上じゃねーか!」
爆豪が嬉しそうに引寄に賞賛を送る
引寄「そりゃどうも!」
引寄(この約一ヶ月、この個性を伸ばし続けてきたんだ!放出のコントロールだけじゃない、吸収速度の向上、吸収範囲の拡大、吸収容量の増加、吸収対象自由選択ずっとこの時のために死柄木、お前からみんなを守るために)
引寄「俺はヒーローを守るヒーロー!セイバーだ!!」
死柄木は死んだような目で引寄を見ていた、崩壊を止め引寄に狙いを定める
死柄木「……どいつもこいつも僕の邪魔ばかりする……じゃあお前から先に殺してやるよ!!安心しろお前の個性、僕がもっと上手く使ってやるよ!」
死柄木は脚部に力を込め、引寄に向かって跳躍してきた
ブラド「
死柄木が引寄に向かうより前にブラドキングが自らの血で壁を作る
ブラド「ウチの可愛い生徒をこれ以上やらせんよ」
死柄木「ああぁ?こんなもん一瞬で…ガァっ!」
ミルコ「踵半月輪〈ルナアーク〉!!」
血の壁を破壊しようする死柄木にミルコが一撃を喰らわせる
ミルコ「やるじゃねーか新米!」
引寄は死柄木が怯み崩壊が止んだ瞬間を見逃さなかった
引寄「先生!俺を死柄木の近くまで!」
ブラドは透かさず引寄を血のロープで縛り、死柄木の腕まで移動させる
引寄「コラプスイミット!!」
引寄の両手から放たれた衝撃は肥大し続けた両手を破壊し始めた。
死柄木「……っ!!コイツ吸収したものを放てるのか?!」
死柄木自ら崩壊の餌食となり、伝播する崩壊はどんどん体の中心へと昇っていく
死柄木「……だが」
死柄木は肩から下を自ら切断し、伝播する崩壊を止めたのだった。
そして切断された側から新たに腕が生えてきた。
ジーニスト「やはり超再生も持っていたか…が」
ブラド「引寄の力は通用している」
引寄「先生たち!このままいきます」
引寄(俺の力が通用している、みんなの役に立てるんだ、ブラド先生との連携もやれる!)
♢♢♢♢
最終決戦の決行する準備期間のこと、ブラドキングは根津校長にあっていた。
ブラド『校長、俺を天空の棺に配属してくれませんか?』
根津『君は市民の避難誘導の指揮や防衛を任せたかったんだけど理由を聞いてもいいかな?』
ブラド『今回の作戦、物間の抹消をメインとした戦略なのは聞いています、引寄はもしもの為の最終策なんでよね?』
校長『ああ、やはり抹消の個性の方が吸収よりもより確実だからね、それに引寄君はまだ経験が浅い』
ブラド『はい俺もその作戦で納得しています、ですがもし引寄の出番が必要となった時の引寄の護衛を俺に任せてくれませんか?』
校長『君がかい?』
ブラド『はい、あいつはこの1ヶ月間本当に良く頑張ってくれました、対峙する相手があの死柄木と知りながら自ら戦うことを決断してくれました、前線で俺の生徒が巨悪と戦おうとしているんです、教師としてあいつを支えてやりたんです』
校長『…分かった、それじゃあ引寄君のことは任せたよ』
ブラド『任せてくだい!!』
そして、最終決戦が当日になり、作戦が始まる瞬間を今か今かと待っていた。
だが引寄は緊張や不安、そして崩壊に対しての恐怖よって一人うつむいていた。
引寄(…大丈夫だ、俺はこの日のためにずっと頑張ってきたんだ、普通科のみんなにも頑張れって言われたんだ、この戦いなんとしても終わらせるんだ)
引寄はなんとか自分を鼓舞し士気を高めようとしていた
引寄(…あれ?なんでこんなにも動機が止まらないんだ?そもそも俺の出番があるのかもわからないのに、でももし出番がやってきて本当に俺の個性が通用するのか?…失敗したら多くのヒーローが俺のせいで…いやだめだそんなこと考えたら!自分で戦うって決めたんだろ、今更取り乱しても…)
引寄は蛇腔市でのことを思い出した、地面をえぐりながら迫りくる崩壊、必死だったとはいえあの恐怖が蘇る。
時間が経つに連れ動悸がどんどん早くなっていくのを感じる。
だが、それを断ち切るかのように不意に後ろから肩を叩かれる、振り変えるとそこにはブラドキングが立っていた。
ブラド『引寄、不安か?』
引寄『ブラド先生、だ、大丈夫です!お、俺も一応作戦の要ですからね、みんなの期待に応えて見せます』
引寄はなんとか笑顔を作り、強がって見せた。
ブラド『…無理しなくていい、この戦いは今までにないくらい大きな戦いになるだろう、そして相手はあの死柄木だ、不安になるなという方が無理だろう』
引寄『……』
ブラド『でも一人で背負い込むな!お前の周りには頼れるヒーロー達がいる、この戦いはみんなで勝つんだ、頼りないかもしれんが俺もいる、お前に降りかかる火の粉は俺が振り払ってやる』
引寄『…はい』
ブラド(やはり簡単には不安は取れないか、無理もない、まだヒーローとして日が浅すぎる)
ブラド『…ならばこの戦い、引寄!お前に与える転入試験にする』
引寄『…転入…試験ですか?』
ブラド『そうだ、お前と同じ普通科の心操はA組、B組の合同演習の際に転入試験として参加したんだ』
引寄『はい、そういえば心操も言ってました』
ブラド『ならば話が早い、もし引寄がヒーロー科の転入を希望するならお前にも受けてもらう必要がある、だから今から引寄蓄真、これよりヒーロー科編入試験を始める』
引寄『…え?』
ブラド『試験内容は簡単だ、引寄の出番が来た時に俺と共に入場し、プロヒーロー達に自分の個性を披露することだ!その場にいるヒーローに認めさせることが出来れば晴れてヒーロー科編入を認めることにする』
引寄『いや、そんな適当な感じで』
ブラド『適当なんかじゃないぞ、お前と共に登場するヒーロー達はトップヒーローばかりだ、彼らに認められればそれは充分な試験になる』
引寄『…はは、これから命を賭けた戦いだってのにそれを試験扱いするなんてブラキン先生もそういうこと言うんすね』
引寄はいつの間にか笑みが溢れていた
ブラド『ハッハッハー!うちのB組連中は面白い生徒ばかりだからな俺も巻き込まれるんだよ』
引寄『確かに!』
ブラド『お前の席はしっかりと作っておく、だから安心して試験を受けてこい』
引寄『はい!!』
引寄(俺が緊張してるからほぐしてくれたんですよね、ブラド先生ありがとうございます)
引寄は落ち着いた様子で出番を待つことができたのだった。
♢♢♢♢
引寄「これは俺の編入試験だぁー!」
引寄は死柄木に向かって叫ぶ
ジーニスト(崩壊を放出しても死柄木には流石に防がれるか…超再生がある以上決定打にはならないがそれだけでも死柄木に意識させられる)
ジーニスト「よし!これなら我々にもまだ勝機はある、これから作戦を伝える」
ジーニスト「ミルコ!ルミリオン!エッジショットは死柄木を牽制しつつ引寄をブラドキングと共に守れ!」
ミルコ「おい!なんで私が護衛役なんだよ!」
ジーニスト「引寄の個性は直接からは吸収出来ない、死柄木の手に直接触れられれば吸収の対象外だ!近接主体のお前では崩壊の餌食になるぞ」
ミルコ「…ちっ、あーたよ」
ルミリオン「サーイエッサー」
エッジ「了解した!」
ジーニストの判断は間違いではなかった、今の引寄は死柄木の崩壊に対して特攻と言えるだろう。
だが、それはあくまで個性のみの話である。
引寄はこの1ヶ月間個性の訓練はしてきたのだが、身体機能は一切と言っていいほど鍛えたわけではない。
個性訓練に伴い、反応速度は多少上がったが、もし死柄木相手に近接戦闘に持ち込まれたらなす術なく瞬殺されるだろう。
ジーニスト「サンイーター!ねじれ!ダイナマイトは私と共に距離を取りつつ遠距離で死柄木を狙う!だが決して死柄木には触れられるな!!」
ジーニスト(引寄の個性で死柄木も崩壊の放出を警戒している、奴も気軽に使えなくなる筈だ…だが)
死柄木「……たとえ崩壊が封じられようとも個性が使えないわけじゃない、結局お前達の死が少し先延ばしになっただけだ、こんなヒーローにもなってない雑魚を引っ張り出してまた使い古すつもりか?プロヒーロー」
死柄木は再び腕をどんどんと肥大化させていく
死柄木「お前も哀れだな!大人の都合に振り回されて、わざわざ殺される為に己の復讐心を利用させられてるとも知らずにさぁ!」
引寄「!違う…俺は」
死柄木「違わないさ、これから先もこれの繰り返しだ、お前は敷かれたレールの上を無様に走りながら僕に奪われるがいい!!!」
再び引寄の心が揺らぎそうになる。
だが死柄木の顔に巨大爆破が襲いかかる
爆豪「っせーんだよ!!てめーが今死柄木かAFOか知んねーけどよぉ…聞くに耐えねーんだよ神野の時から一言一句!!こいつはぁもう過去を精算して前に進もうとしてんだよ!傷も過去も全部飲み込んで多く連中と一緒に進もうとしてんだよ!」
引寄「…爆豪」
爆豪(動き回って充分溜まった!!サポート科が作ってくれたこいつで)
『面制圧重装機動ストレイフパンツァー』
爆豪の肩から幾つもの銃口が次々と現れた。
爆豪「俺が風穴ァブチ空ける!!本体潰すぞ!!全員で!!」
爆豪は新たな装備を携えて戦場へと降り立つ。
第十一話でした
次回もよろしくお願いします