物語も随分と進んできました。
死柄木の攻撃から命からがら逃れた爆豪だが、その目の前には腹部から血が流れている恩人の姿だった。
爆豪「引寄…嘘だろ、なんでお前…俺を庇って…」
ブラド「おい!目を覚ませ引寄!!」
物間「おいウソだろ…ダメでしょそれはぁ…それはダメだろぉおお!!!」
慌てて駆け寄るブラドと物間だが、引寄に返事はない。
死柄木「あーあ、腕が壊されてなきゃ身体ごと真っ二つにできたのになぁ」
死柄木の崩壊した腕もすでに元通りになっていた。
死柄木「身の程を知らない餓鬼が思い上がるからこんな状況になる、そりゃ死ぬさ一人や二人、どんなに用意周到に仕掛けを用意しても足りなかっただけさ、人も…備えも…」
爆豪「しが…らきぃ!!」
死柄木「無理するなよ死にぞこない、お前も指一本たりとも動かせないだろ」
爆豪(心臓が体中が痛てぇ…クソッ!!止まってんじゃねぇ!ここで動かねぇで何のために引寄が庇ってくれたんだよ!!)
爆豪は重症の体を起こそうとするが、かすかに呼吸するのがやっとだった。
ブラド「引寄!俺より先に死ぬことは許さんぞォ!!」
ブラドキングの声掛けにもむなしく応答はない。
ブラド「俺が…守ると約束したのに…」
返事のない引寄を前に絶望するブラドキング。
ドクン
ブラド「……何っ?」
ドクン
ブラドキングは自分の耳を疑った、どこからか心臓の鼓動の音が聞こえる。
この音は決して自分の音ではない。
ブラド「…物間聞こえたか?」
物間「…えっ?」
ブラドキングはすぐさま引寄の心臓に耳を当てる、すると微かだが心臓の鼓動が聞こえたのだ。
ブラド「引寄はまだ生きている!!」
物間「!!」
ブラド「まだだ、俺はまだ諦めんぞ!」
ブラドキングは身につけていたポーチから血液パックを取り出し自身の籠手から血を操って、引寄に傷に流し込ませる。
ブラド(引寄の血液型は確か俺と同じB型、俺の血液を混ぜた血で補う、あと必要なのは…)
ブラド「物間!ジーニストの個性をコピーしてこい!お前も手伝え」
物間「手伝うって言ったって僕にジーニストほどの個性を操る技術は持ってないですよ」
ブラド「いや、お前は糸を大まかに動かしてくれればそれでいい、あとは俺が個性で直接血液とともに動かす」
物間「…わかりました!」
物間は近くで気絶していたジーニストに触れ、個性をコピーする。
物間(…すいませんジーニスト、個性お借りします、あなたたちヒーローが紡いできた思いは決して無駄にはしません)
物間はすぐさま引寄の場所へともどる
ブラド「よし!俺のポーチに縫合糸が入っているそれを引寄の傷の中に伸ばし続けてくれ」
物間「はい!」
ブラドと物間は引寄の治療に取り掛かるが、死柄木はそんな行為を見逃してくれるはずもなかった。
死柄木「無駄なことを…」
物間「クソッ死柄木、誰か動けるヒーローは…」
物間はあたりを見渡すがその期待に応えられるヒーローは誰一人いなかった。
だかそんな中、マンダレイのテレパスが頭の中に響いた。
マンダ『電磁バリアを一時解除する、もう少し耐えて!!』
物間(解除ってことは…でも死柄木は今にも…)
死柄木「それは僕が、俺がもう!壊したんだよ!!」
死柄木が物間たちの方へと猛進してきた。
物間(ブラド先生は動けない、ここは僕が身代わりになってでも…)
物間は両手を広げて、二人を庇おうとするが、
一瞬、死柄木のそばで何かが光ったように見えたと思ったら、突如死柄木は顔のそばで爆破した。
死柄木「ガバぁ!!何が起こった?!爆発?!あの餓鬼はもう」
死柄木は爆豪のほうへ顔を向けるが、倒れたままだったが顔だけはこちらを睨んでいた。
死柄木「…なにをした?」
爆豪「土壇場で…コツをつかみかけ…たぜ」
死柄木「この餓鬼がぁぁ!!」
「SMASSH!!!」
叫ぶ死柄木に渾身の一撃が決まった、ついに緑谷が天空の棺へと現着したのだった。
物間「緑谷!!」
死柄木「緑谷…出久!!!」
死柄木(前より強くなっている…?!)
緑谷の一撃は死柄木の手で覆われた防御をあっさりと破ったのだった。
マンダ『っし!緑谷格納完了!』
再び天空の棺には電磁バリアが張られたのだった。
緑谷「遅れてすみません!皆無事…」
緑谷が振り返るとそこには惨状が広がっていた。
ミルコやエッジショット、ベストジーニスト、雄英BIG3、引寄そして爆豪が傷だらけで倒れている姿だった。
緑谷「先輩たち…引寄君…かっ…ちゃん……」
死柄木「遅刻の…言い訳はいいのか?」
緑谷「!!!」
死柄木「トガあたりのしわざだろ?緑谷出久、言ったらどうだ…?『仕方なかったんだ』『僕も予想外だったんだ』って」
死柄木「そうやって『奴ら』と同じように責任から逃れたらどうだ!?」
死柄木「ほら見ろよ『ヒーローを守る』とか宣っていたヒーローごっこの末路を」
緑谷「……」
遅かった。
その事実だけが、胸の奥で何度も何度も反響する。
誰も動かない、誰も立ち上がらない。
引寄の横腹がえぐられているのがここからでもよく見えてしまった。
言葉は出なかった、代わりに感情だけが溢れていた。
黒く、熱く、逃げ場のない殺意に似た怒りの感情が。
次の瞬間、緑谷の体から溢れんばかりの怒りのこもった感情が、エネルギーが飛び出していた。
死柄木(いいぞ、怒れば彼は極めて短絡的な動きになる)
死柄木「そいつのおかげでお前にプレゼントを残せたのが唯一の活躍だった」
死柄木(カウンターで脊椎を壊す!さぁ来い!)
物間「緑谷ぁぁ!!!」
一人の男が叫んだ。
物間「君は僕に引き続いて死柄木の挑発にも乗るつもりかぁあ!?」
死柄木(あいつ…)
物間「いくら最強になってもメンタルまで変わらないのは笑っちゃうね」
物間は緑谷に言葉を投げかけ続ける。
物間「君の心配しているみんなは無事だ!!引寄は心臓の鼓動はしっかりあった、僕とブラキン先生で治す、爆豪もさっきまで元気いっぱいだったさ!!」
死柄木「ヒーローは嘘までつくのか?」
物間「嘘のような綺麗事を現実にするのが僕らヒーローだろ!」
物間「引寄達ヒーローのこれまでの頑張りを無駄にするのはこの僕が許さないぞ!!」
ブラド「物間…」
緑谷「……」
爆豪「デク!!!!!!」
緑谷「!!!!」
物間「爆豪!?」
そこには倒れていたはず爆豪が顔を起こしていた。
緑谷「……かっちゃん?」
爆豪「お前は今までオールマイトの何を見てやがったんだ!」
オール『きれいごと!?上等さ!!ヒーローとは命を賭してきれい事実践するお仕事だ!!』
爆豪「お前は何を託されたんだ!?」
『妹がおまえらに賭けたからだ』
緑谷はここに来るまでに手助けしてもらったアメリカ軍のパイロットチームの顔を思い出す。
爆豪「勝つぞ!!全員で!!」
爆豪の渾身の想いを緑谷に投げかける。
万縄『怒るのはいい、肝心なのは心を制することさ』
5代目継承者の言葉を思い出す。
緑谷は自身の胸を叩いて心を落ち着かせ、体から出ていたエネルギーが静まっていった。
死柄木「……」
緑谷「ごめん…物間君…かっちゃん、そしてありがとう引寄君…」
爆豪「世話かけてんじゃ…ねーぞ…デク…」
爆轟は再び意識を失った。
緑谷「AFO…まだそこに死柄木はいるのか?」
緑谷と死柄木の戦いが幕を開けたのだった。
十五話でした
ついに緑谷登場です。