普通科ですが   作:リクルート7

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第二話です
一話に引き続いて読んでもらえると嬉しいです


第二話

引寄の知らないところでヒーローとヴィランによる抗争が行われていたらしい。ヴィラン連合が異能軍を取り込み異能解放戦線として立ちはだかった。

 

周到な準備によりヒーロー側に軍配が上がると思われたが、ヴィランのボスである死柄木によってその戦況はひっくり返され、その被害は甚大だった。

 

多く構成員達は一斉検挙されるものの蛇腔市の崩壊、NO.1ヒーローエンデヴァーの過去をヴィラン荼毘による暴露、またその関係性について。

さらに多く市民の被害などの影響によりヒーロー達の信用は地へと落ちてしまった。

 

♢♢♢♢

 

慌ただしくなっているのは雄英高校も同様だった。

戦いの傷を癒す者や救助に赴き教職員の数が少ない中で根津校長はもう一人の教員と共に今後の対応に尽力していた。

 

教員「校長!蛇腔市の被害は甚大です、さらにダツゴク達のによる今後の影響、ヒーロー達の次々の引退表明、どうにか出来る問題ではありません」

 

根津「わかっているさ、それでも動くことを止める訳にはいかないよ、僕らが諦めたらそれこそ日本がヴィランの手に落ちる」

 

教員「…それにミッドナイトも」

 

根津「…ああ僕だって悔しさと悲しみで胸がいっぱいさ、でもいつまでも俯いてはいられないよ」

 

根津(政府やOB、海外への応援の要請、国民達の安全の確保、士傑高校との連携、雄英バリア…やることは山積みだ)

 

根津は資料を手にハイスペックをフルに発揮する、すると一つの写真に目が止まる。

 

根津「…この写真は?」

 

教員「ん…ああ蛇腔市の上空からの写真ですね、死柄木の崩壊の被害の記録です」

 

根津はこの写真に違和感を感じていた。

 

根津「死柄木の崩壊の影響は蛇腔市全体に広がっている、効果範囲も進行に多少の差はあれどほぼ一定に被害が及んでいる」

 

教員「はいそうですね、ヒーローが駆けつけなければもっと出ていたでしょうね …それが何か?」

 

根津は写真の一点を指差す。

 

根津「だけどここの範囲一帯の先だけ被害が出ていないよね?」

 

教員「…本当ですね、ここだけ守られた様な跡がヒーロー達のお陰でしょうか?」

 

根津「いやヒーロー達が密集していた中心部ですら進行を完璧に防ぎきれていない それに死柄木の崩壊をここまで止めきれる個性は僕の中では記憶にない」

 

教員「…ではなぜ?」

 

根津「……」

根津は思考をめぐらせていた。

 

♢♢♢♢

 

蛇腔市避難所

 

死柄木の崩壊によって住居を破壊され、路頭に迷っている人たちが多くここでの生活を余儀なくされていた。

 

その中は不安や怒り、悲しみに暮れるものが多く、まさに地獄と化していた。

その避難所の中には引寄蓄真の姿もあった。

 

祖母の死を目の当たりにし、絶望で動けないところを彼が助けた女性の通報によって駆けつけたヒーローによって保護された。

 

実家は破壊され、交通機関のマヒにより雄英高校にも帰れずにいた。

しかし、もし交通機関が動いていたとしても今の彼には動く気力もなかった。

 

引寄「………」

 

避難所のラジオでは世間の近況が流れていた。

 

引寄(エンデヴァー?ヒーロー敗北?…どうでもいいや)

 

今の彼には流れてくる情報も途切れ途切れで何も頭に入っていなかった。

 

引寄(…俺が見舞いなんて行かなかったら、俺が一時帰宅を了承しなかったら、俺の買い物にばあちゃんも連れて行っていたら)

 

避難所の隅で座り込み、頭を抱えながら絶望に打ちひしがれていた。

 

そこに一人の男が引寄に近づいてきた。

 

???「引寄、蓄真君だね」

 

引寄は自分の名前を呼ばれ、顔を上げると自分を保護したヒーローがいた。

 

引寄「…何ですか?事情聴取なら他を当たってください」

 

ヒーロー「いや、話を聞きたい訳じゃないよ、ただ君を連れてきてほしいと頼まれたんでね」

 

引寄「…はぁ、もう好きにしてください」

 

ヒーロー「…じゃあ行こうか」

 

♢♢♢♢

 

ヒーローの車に乗ること数時間、特に会話もなく目的地に到着した。

 

引寄「…ここは?雄英じゃないですか」

 

ヒーロー「そうだよ、君雄英生だろ、校長先生がお呼びだったんだよ」

 

まぁ考えてみればそうか自分に用事があるところなんて他に思いつかない、精々無断で外出したことのお咎めというところだろう、停学か又は除籍処分だろう。

校長直々に宣告されれば諦めもつく。

 

結局ヒーローどころか厄介者として俺は排除される

もういっそのこと人生辞めてみようかな。

 

送ってくれたヒーローと別れ、引寄は校長室へと足を運んだ。

 

引寄「失礼します」

 

引寄は扉をノックして校長室に入った

 

根津「やぁ引寄君!直接お話をするのは初めてだね とりあえずここに座ってね」

 

引寄「…ども」

 

全校集会の時ぐらいにしか会わないがこの人が校長をしているのに驚かされる。

 

根津「普通科から一人いなくなったって聞いたから驚いたよ、無事で何よりだったね怪我は大丈夫かい?」

 

淡々と質問投げかけられ、少し唖然とする。

 

引寄「…無断外出の件はすいませんでした先生達が忙しそうにしていたので、怪我は手に傷が残りましたが今は大して痛くはありません」

 

崩壊を吸収した際に手から血が流れたが大した傷ではなかったため治癒も早く傷跡だけで済んだ。

 

根津「それは良かった、あっ今お茶を淹れるよ」

 

引寄「…あっあの要らないので本題に入ってもらえますか?俺を呼んだわけを」

 

俺は強い口調で話を妨げた。

校長室に長居する気は無いし、さっさと処分なら言い渡して欲しい。

 

根津「…そうだね、じゃあ単刀直入に言うよ、我々ヒーロー達に手を貸してもらいたんだ」

 

引寄「………はぁ?」

 

想像だにしなかった内容に呆気を取られる。

 

根津「遠くないうちに大勢のヴィランとの大きな戦いが待ち受けてる、そこで君には我々と共に参加を…」

 

引寄「ちょ、ちょっと待ってください ヴィランと戦う?いや無理ですよ、俺ヒーローどころかヒーロー科ですらないんですよ?」

 

根津「そうだね、普通ならお願いしない、でも状況が状況だ、とりあえず話だけでも聞いて欲しいんだ」

 

すると根津校長はファイルから写真を取り出した

 

根津「これを見て欲しい、この間起きた戦いの後の蛇腔市を上空から撮ったものだよ」

 

蛇腔市…今はあんまりあの惨劇を見たくないが、意を決して見てみる

 

根津「この崩壊はヴィラン達のリーダーの個性によるものだよ」

 

引寄(やっぱり個性か…これほどの規模、どんな威力だよ)

 

根津「相澤君が途中で個性を消してくれたから被害もある程度は抑えることができた…それでも多くの人が犠牲になってしまった」

 

その言葉に引寄は手に力が入る。

 

引寄(もし、もう少し早く先生が個性を消していれば…)

 

言いたいことは山ほどあるが、今は話を聞くことにする。

 

根津「でもねここ一帯の部分を見て欲しいんだ、崩壊の範囲が途中で止められているんだ」

 

確かに道路が抉られておらず、綺麗に残っている

そしてこれには引寄自身も心当たりがあった

 

根津「これを食い止めたのは君だよね?」

 

引寄「……」

 

根津「確か君の個性は『吸収』だったよね、詳細までは分からないけどおそらく13号先生に似た個性だと思ってる、でも彼女は崩壊などの衝撃波を吸い込むことはできない、君のとは似て非になる個性だね」

 

嘘をついてもしょうがないので正直に話す。

 

引寄「…確かにそれを止めたのは俺です、あの時は必死だったし、俺自身も危なかったので出来ましたけど、でも正直その大役に俺が務まるとは思いません」

 

根津「どうしてそう思うのかな?」

 

引寄「俺の個性には上限があります、あの時だって本来は吸収しきれる限度を越していました、なんか手が熱くなって後ろに吹っ飛ばされていつの間にか収まっていましたけど」

 

根津「ふむ…なるほど」

 

根津は少し考え込んで答えを出した。

 

根津「もしかして君の個性はただの吸収では無いのかもしれないよ」

 

引寄「?どういうことですか?俺は個性が発現した時も医者からは吸収だって」

 

根津「うん、大元は吸収だと思う、でも君の個性はその吸収したものを放出することが出来るんだと思う、だから死柄木の崩壊も吸収しきれずとも崩壊を放出して相殺したのだと思う」

 

引寄(…そんなこと考えたこともなかった、今まで個性を使うことなんてほとんどなかったから気づきもしなかった)

 

根津「個性も身体能力の一つだからね、体の成長と君の人を守りたいという思いが放出の個性を発現させたんだね」

 

根津「言うのが遅れたね、君の行動と覚悟が女性をいや多くの人を救ったんだ」

 

引寄「……」

 

いや違う

 

根津「ヒーローを代表としてお礼を言わせてね、ありが…」

 

引寄「ふざけんな!!」

 

根津「?!」

 

引寄は相手が校長ということを忘れて声を荒げた。

 

引寄「何が大勢を救っただ!俺は1番助けたかった人を救えなかったんだ!俺が間違った選択をしたから、俺がもっとしっかりしていたら、ばあちゃんはばあちゃんは…」

 

彼の目から涙が溢れていた。

 

根津「引寄君…君、おばあさんを」

 

根津もその内容に言葉がすぐには出て来なかった。

 

引寄「…そもそもヒーロー達がもっとちゃんとしていればこんなことにはならなかったんだ!何がヒーローだ!!昔俺の両親も戦いに巻きこまれて、今回はばあちゃんまで見殺しにしたんだ!」

 

こんなことを言っても何も帰ってこないとわかっているのに

 

引寄「誰も救えないヒーローなんか…ヒーローなんか」

 

その時突然、校長室の扉が開いた。

 

???「すまない引寄少年!」

 

そこに現れたのはかつてNo1ヒーローと呼ばれた男

 

根津「オールマイト!何で君がここに?緑谷君は目覚めたのかい?」

 

オール「すみません校長盗み聞きするような真似をして。緑谷少年はまだ…私も少し私用でここに」

 

根津「そうかい」

 

オール「それより引寄少年!」

 

引寄「…は、はい」

 

あまりに衝撃の展開についていけない

すると、

 

オール「本当に申し訳なかった」

 

そういうとオールマイトは俺の目の前で土下座をした

あの平和の象徴が一生徒の前で土下座をしたのだ。

 

引寄「ちょっ、ちょっと待ってくださいらやめてください、俺何かのために土下座なんて」

 

オール「いや、君のヒーローに対する怒りはもっともだ、元平和の象徴として情けない、私もヒーローとして共に戦えていれば被害はもっと少なく済んだかもしれない」

 

引寄「…」

 

オール「君の両親と祖母を救えなかったのはひとえにヒーローの力不足だ」

 

根津「僕の方もごめんなさい、君に大変失礼なことを言ってしまった、本来はヒーロー志望じゃない君に頼むことじゃなかったね」

 

元No1ヒーローと最高峰の高校のトップに頭を下げられた。

 

引寄「僕の方も失礼なことを言ってすいませんでした、…本当は分かっているです、ヒーロー達は何も悪くないと、ヒーロー達だって全力で戦ったってことは」

 

ヒーロー達を間近で見てきたからこそそれは嘘ではないことも分かっている、でも…

 

引寄「でも、自分が不甲斐なくて悔しくて悔しくて…」

 

また涙が溢れてきた。

 

オール「私も同じ気持ちだよ、もう同じことは繰り返さない」

 

オールマイトは引寄を抱き止め、慰める

 

オール「次は必ず勝ってみせる、ヒーロー達はまだ諦めていないよ、そのための準備が必要だ」

 

引寄「でもやっぱり俺みたいなヒーローの資質がない奴には…」

 

根津「それは違うよ」

 

引寄が否定する前に根津が遮る

 

根津「引寄君は十分にヒーローとしての資質はあるよ」

 

引寄「えっ?」

 

根津「確かに君の個性は死柄木の崩壊に太刀打ちできる個性だよ、でもねそれだけではヒーローと共に戦ってくれってお願いはしない、それ以上に君にヒーローとしての勇姿を聞いたからなんだ」

 

引寄「そんな、俺にどこにそんなものが」

 

根津「君は崩壊から多くの人を救ったんだ、あの場面逃げ出してもおかしくないのに、君は女性を助けたんだ、自分より人の命を優先したんだ」

 

引寄「いや、あの時は無我夢中というか、いつ間にか飛び出していたというか」

 

オール「それだけで十分過ぎるほどヒーローとしての行いをしたんだよ」

 

引寄「オールマイト」

 

オール「とある生徒にも言ったんだけどね、多くのトップヒーロー達はねこう答えたんだよ、『考えるより先に体が動いていた』と」

 

引寄「…俺は内申点が欲しいが為に雄英というブランドを利用して」

 

根津「どんな思いがあったとしても君は人を救ったんだ」

 

根、オ「「君はヒーローになれる!!」」

 

引寄「!!!」

 

言葉が出なかった、すごいことを言われたはずなのに自分自身とうの昔に諦めていた、現実を見るようになっていた。

祖母に背中を押されても考えが変わらなかったのに、

今この二人に背中を押されて頭が真っ白になった。

 

根津「…っと言っても無理強いは良くなかったね、君には引き受ける義務なんて何一つ無いんだから、この話はなかったことに…」

 

引寄「ひ、一晩…考えさせてください」

 

やっと声が出てようやく絞り出した回答だった。

 

根津「…分かった、君も色々あって今日は疲れただろう、E組のみんなも担任の先生も心配してたよ、顔だけ見せてあげてゆっくり休むといいさ」

 

校長に言われ、俺はこれ以上何も言わずに校長室から出た。

 

♢♢♢♢

 

オール「また生徒に悲しい思いをさせてしまいましたね」

 

根津「ああ、僕も死柄木をどうにかしなきゃという思いばかりが先行してしまったよ…反省だね」

 

オール「彼がどんな答えを出すにしろ、改めて帯を締め直さなければ、明日の朝にはエンデヴァーの記者会見が行われる、おそらく国民からの非難は避けられないでしょう」

 

根津「だろうね、だからと言って諦めるわけにはいかない、まずは国民達の安全と安心だら生徒達の家族の雄英への避難は順調に進んでいる、あとは国民達がどこまで付いてきてくれるかだね」

 

オール「必ずヒーロー達の思いは届いてくれます、私はそう信じています」

 

根津「そうだね」

 

オール「私はこれで失礼します、また緑谷少年の様子を診てきます」

 

根津「そうか、頼んだよ」

 

オール「それにもう一つ、新たにやれる事もできたので」

 

根津「?」

 

オールマイトは校長室から退出しようとする。

 

オール「校長、必ず勝ちましょう!みんなで」

 

根津「ああ、さらに向こうへ Plus Ultraさ!」

 

♢♢♢♢

 

校長室を出たオールマイトはとある人物に電話をかけていた。

オール「私だ、ああ久しぶりだね、実はまた君にお願いがあるんだ…分かってる無理なのは承知だ、でも君にしかできないんだ」

 

オールマイトは自分の戦地へと赴く

 

♢♢♢♢

 

引寄は重い足取りでE組へ行くとクラスメイトが一気に駆け寄ってきた

 

「おい引寄大丈夫だったか?急にいなくなるから心配したぞ!」

 

「現場に居たんだって?怪我して無いか?」

 

「なんか今外はえらい事になってるぞ」

 

色々と質問攻めに会い、その後担任からもこってり絞られ、夜になりようやく床に着くことができた。

 

引寄(なんか色々あって疲れたはずなのに眠くないな)

 

オールマイトと校長に言われたことを思い出していた

 

『『君はヒーローになれる』』

 

引寄(ばあちゃん、俺どうすればいいんだろう、俺なんかがヒーローになれるのかな)

 

祖母『蓄ちゃんも目指していいのよ』

 

引寄(…俺が人を救った、俺の個性が役に立てる時が来た、後は俺がどうしたいか何だよな)

 

あれこれ考えているうちに眠気が襲ってきてそのまま眠ってしまった。

 




ここから主人公目線で独自解釈が増えていきます
次回もよろしくお願いします
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