B組との絡みも増えていきます
B組との訓練を終え、夜を迎えたが何故か引寄はB組の寮の前に立っていた。
引寄「いやほんとなんでだよ!」
ようやく接着剤と包囲から解放されたと思ったが、鉄哲の提案により夕食に呼ばれることになったのだ。
E組のクラスメイトにも強制的に参加を促された。
『お前せっかくお呼ばれされてるんだから言ってこいよ』
『後でどんな話したか教えてね』
あまり気乗りしないが寮のチャイムを鳴らす。
鉄哲「おおー来たかー!今ちょうどみんなでカレー作ってたところだー入れ入れ」
鉄哲に招き入れられ、引寄は寮内へと入っていく。
引寄「お、お邪魔します」
哲治「引寄が来たぞー!カレーだ、カレーを用意しろ!」
回原「お前も手伝えよ!」
宍田「引寄氏よくいらっしゃった!好きに座っていいですぞ」
引寄「う、うっす」
こうして楽しい楽しい?食事会が始まった。
泡瀬「引寄は趣味何?俺結構ゲームするんだよね」
角取「引寄サンはアニメは観ますか?今度Eグミのみなさんともイッショに観ましょう」
円場「ねぇねぇぶっちゃけ好きな人とかいるの?」
取陰「そういや引寄って普通科だよね?心操みたくヒーロー科編入とか狙ってる?」
鎌切「お前ほどの個性が鳴りを潜めていたとはな、俺の刃も吸収出来たりするのか?」
小大「ん」
引寄「あっいやちょっと」
一体どこからそんなに聞きたいことが出てくるんだろう?引寄はB組からの質問攻めに遭う…てか最後の『ん』って何?
拳藤「ストップストップ!そんなに問い詰めて引寄が困ってるだろ!ごめんねみんな君に興味深々なんだよね」
拳藤はウインクをして手を合わせる。
引寄(貴方は天使か?)
鉄哲「でもよー拳藤、お前もあの戦いを見ただろう?1人であの捌きよう、まさに漢だぜ!」
小森「便利な個性ノコね攻撃を無効に出来て、それを反射出来るなんてね」
柳「でも、ブラキン先生が吹出に不定形に限定してたよね」
これは流石に答えないとダメだろう。
引寄「あー俺の個性、物理的なものは対象外なんだよね、あくまで液体や気体みたいな物だけだから弱点多いんだよね」
骨抜「でもそれでも相手次第では完封出来るじゃん、俺からしたら十分強力だと思うよ」
引寄「あーそうなのかな?」
鉄哲「そうだぜ自信持てよ!ああー早く切島達A組にも紹介してやりたいぜ」
回原「っバカお前!」
鉄哲「あっヤベ!」
その鉄哲の一言で一気に空気が凍りついたのを感じた
さっきまでの和気藹々とした中から通夜のようになってしまった。
引寄「えっと何かあった?」
拳藤「あーあんまりこんな事教えるべきじゃないかもしれないけどA組今大変な事になってるんだよね」
引寄「大変な事?」
拳藤「…私たちこの間ヴィラン達と大きな戦いがあってね、その戦いに結果的に負けたんだ」
校長が言っていた解放軍とヴィラン連合との戦いだ
この戦いで俺のばあちゃんは…
今でもテレビではその事についてのニュースも放送されている。
拳藤「私たちも何人も怪我してやっと治ったんだけど…でもA組は特に被害が大きくて轟や爆豪、緑谷は特に大変みたいで」
雄英体育祭で特に活躍した3人だ
俺からみても特別ヒーローとしての格が違うように感じた。
引寄「あの3人が」
回原「…で、でもさ完全負けたわけじゃないんだし向こうだって痛手は負って…」
取陰「それでも負けた事には変わりないんだよ!私たちヒーローは市民を守れなかった、それだけで非難の声は大きいんだよ!」
回原「そんな事言ったって俺たちはどうすればよかったんだよ、ギガントマキアの被害だって」
骨抜「おいやめろ!引寄だっているんだぞ!今ここで過去の反省をしたってどうにもならないだろう」
鉄哲「そうだぜ!まだ戦おうとするヒーローがいるんだ、次は絶対俺たちが勝つ!A組だって大丈夫だ!みんな根性がある奴ばかりだ!緑谷のことだってあいつらがなんとかしてくれるぜ」
引寄(緑谷?)
緑谷に何かあったんだろうか?でも鉄哲がいい感じに締めてくれてそこに水を差すのは野暮なことだろう。
泡瀬「ごめんな引寄、せっかく飯食いに来てくれたのに雰囲気悪くしちゃって」
引寄「いや、みんな本当に大変だったみたいだし、戦ってくれた人に文句を言うなんて言えないよ」
物間「………」
結局場の空気はなんとか収まり、食事を終えたのだった。
引寄「じゃあ俺は帰るよ、今日はご馳走様でした」
物間「引寄君、もうちょっとだけいいかな?帰る前に僕の部屋に来て欲しいんだけど」
この食事中一言も話さなかった物間が話しかけてきた。
黒色「物間?引寄に何か用なのか?」
物間「個人的に話したいことがあってね、そんな大した話じゃないんだ…来てくれるかい?」
引寄「…わかった」
物間の雰囲気を察して引寄は物間の部屋へと向かう。
♢♢♢♢
物間「まぁゆっくりしてくれたまえ」
物間の部屋に警戒しながら入り、辺りをキョロキョロする。
物間「そんなに警戒しなくても何もないよ、僕はどうやら初対面の人にはどうも信用されていないみたいでね」
どうも物間は胡散臭さというか意地の悪さを感じるのだ。
物間「さっきの食事では申し訳なかったね、鉄哲は正直過ぎるところがあるから、考えなしに発言することが多くてね」
引寄「別に気にしてない、それより話は何?皆んなの前ではああ言ってけど大した話なんだろ?」
物間「…まぁ流石に察するよね、今日の個性訓練、間近でみさせてもらったよ、条件はあるけど中々いい個性じゃないか、戦闘の勘も悪くなかった正直君を侮っていたよ」
どこまでも上から目線の奴だ、まぁヒーローとしてこの一年戦ってきたのだから上からなのだろうが、どうも鼻につく。
物間「ブラキン先生も目を掛ける理由も少しわかってきたよ」
引寄「俺の感想を伝えにきたのか?」
物間「いーやそんなことじゃない、ここからが本題だ…君の個性まだ隠していることがあるだろ?」
引寄「!!」
物間「それもちょっとやそっとのことじゃない、ブラキン先生は君の個性の詳細を詳しくは話さなかったけど」
引寄「…何のことかわからないな、吸収それが俺の個性だ」
物間「まぁ素直に答えてはくれないよね、じゃあここからは僕の独り言だ、答えなくていい」
引寄「……」
物間は引寄への予想を話し始めた。
物間「おかしいと思ってたんだ、ブラキン先生が急に普通科の生徒を訓練に参加させたことが、ましてやこの時期に。たとえ君という逸材を新たに発掘したとしても今じゃないはず、ヒーローたちが暇を持て余していない中では普通科を気にかけている余裕はない、これから起こる大きな戦いが終わった後にやるべきだ」
引寄は物間の話を黙って聞く。
物間「そして僕は考えた、『今』じゃなきゃいけない理由があるからだ、これから起こる戦いに必要な人材としてね。そしてこの戦いには死柄木というラスボスがいる、あいつの対策は必須だからね」
物間「…話が長くなったけど結論を言おう。君の吸収の個性、死柄木の崩壊をも吸収できるんじゃないか?」
ここまでの展開で何となく言われることはわかった
この男は口は悪いが状況判断力は本物だ。
校長にはなるべく秘密にしておくように言われたがここまで言い当てられて、誤魔化すいい嘘が思いつかなかった。
引寄「……当たりだよ、俺の吸収は死柄木とやらの崩壊にも適応される、だから俺が抜擢されたんだ」
物間「あれ?答えてくれるんだ?てっきり誤魔化すかと思ったけど」
引寄「いい嘘が思いつかなかっただけだ…それで?それを聞いて物間はどうするつもりだ」
物間「別にどうもしないさ、あの死柄木に対抗出来ることはとても喜ばしいことだよ、君に話してなかったけど僕の個性はコピー、触れた相手の個性を五分間だけ使える」
引寄「コピー?それってまさか」
物間「そのまさかさ、おそらく君に触れれば僕は吸収が使える、だからブラキン先生は僕を君の間近で見せたんだ」
確かに1人より2人、物間が吸収が使えるようになればそれだけ安定感が増す。
物間「それでも正直君を最前線に立たせることはヒーロー側にとっても最終手段だろう、いくら崩壊に対して有用といっても君は戦闘経験のない普通科だ、荷が重すぎる」
確かにそうだ、今日の個性訓練でもB組相手で粘れることはできても最終的にやられてしまった。
本当に俺が役に立つのだろうか?
物間「でも勝ち筋を増やしておくことは悪いことじゃない、これから君の個性訓練に僕も参加する事になりそうだからよろしく頼むよ、それが言いたかっただけさ」
引寄「じゃあ俺からも質問いいかな?あの時は言い出しにくかったんだけど、A組の緑谷に何かあった?」
物間「…鉄哲のあのセリフか、君は結構聞き耳を立てているんだね」
引寄「あの状況なら流石に聞き漏らさないよ」
物間「…まぁ君にならならいいかな、だが他言無用で頼むよ」
引寄「分かった」
物間「緑谷出久はあの戦いの後、雄英を出て行ったよ」
引寄「?!緑谷が?何で?」
物間「僕らもA組から聞いた話なんだ、正直完全に飲み込めたわけじゃないけどね」
こうして物間は緑谷のことを話してくれた、彼は無個性だったこと、オールマイトから個性を受け継いだこと、その個性も特別なものであること、その個性をヴィランのボス死柄木とAFOに狙われていること、そして自ら餌となり死柄木とAFOを探していることを。
引寄「…緑谷、そんな凄い奴だったんだ」
雄英体育祭でみたあの超パワー、あれはオールマイトから受け継いだ力だったんだ。
物間「すごいよね彼、入学当初はナヨナヨしてて頼りない奴だったけどさ今じゃヒーロー側の最高戦力になっている、彼は今も1人で戦っているんだ」
引寄「…緑谷」
同い年なのに大きな戦いに身を投じざる負えないのは一体どんな気持ちなのだろう。
物間「でも僕は緑谷のことはA組達がなんとかしてくれると信じてるよ、彼と共に過ごしてきたA組なら…だから僕らは自分たちの出来ることをして戦いに備えるんだ」
引寄「……俺は自分ばかりが不幸だと思っていた」
物間「君も何かあった身なんだね」
俺は物間に自分の身の丈を話した、すでに両親がいないこと、前の戦いで唯一の肉親の祖母を亡くしたことをその際に崩壊の衝撃を吸収したことを。
別に不幸自慢をしたかったわけじゃない、それでも今の物間にどうしても聞いて欲しかった自分がいた。
物間「…君も辛い思いをしたんだね」
話しているうちに過去を思い出して少し泣きそうになる自分の肩に物間が手を置く。
引寄「でも俺は戦うよ、たとえ出番がないかもしれない、脇役かもしれないそれでも俺の力が必要なら」
物間「僕も1人ではヒーローにはなれない、脇役の個性だからね。だから君の力が必要だよ」
引寄「物間…」
物間「君たちもそう思うだろ?」
引寄「はい?」
すると部屋の扉が開いたそこには聞き耳を立てていたらしく、B組が勢揃いしていた。
引寄「うお!皆いたの?」
鉄哲「…うおー引寄!お前にそんなことがあったのかー!!」
鉄哲がこっち突撃していた、それに続くように他のメンバーも飛んできた。
拳藤「ごめんな気づいてあげられなくて」
宍田「うおー!引寄氏には我々がいますぞ!」
塩崎「引寄さんに神のご加護があらんことを」
鱗「アイヤー!俺たちと頑張ろうぜ」
小大「ん」
引寄「うげぇー…く、苦しい」
いやだから『ん』ってなんだよ
みんなに圧迫されて嬉しいような、苦しいような。
物間「…皆?盛り上がるのはいいけどここ僕の部屋なんだけど?」
物間の言葉は誰の耳にも聞こえていなかった。
♢♢♢♢
こうして俺はB組との個性訓練が始まった。
物間も交えて、吸収のさらなる強化、咄嗟の判断力、崩壊を想定しての吸収などやることは多い。
1週間、また1週間と時は徐々に過ぎて行った。
だがそんな中、雄英を揺るがす大きな事件が起こったのだった。
第五話でした
次回から原作の内容が入ってきますが、基本的に主人公の目線で物語が進みます
簡潔には説明するため、描写不足の面がこれから出てきます
申しわけないですがご了承ください