冰龍の魂を宿す者。異世界《ホロノア・ユクモ》の巨大ギルドの歌姫たちとの日常   作:レリ

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ホロリスになって一年が経ちました

皆さんこんにちは。レリです!
高評価してくださり、ありがとうございます!

お待たせしてしまい、すみません。戦闘描写が中々書けず、時間がかかってしまいました。それでも自信がないですけど……。話し方や雰囲気が違うと思う方がいるかもしれません。それでも楽しんでいただけたら幸いです。

冰龍の魂、始まります


第3話

―数日後―

 

世界の狭間に存在する聖域《刻の聖域(ときのせいいき)》。そこに三人の女性が水晶に映る二人の人物を観ていた。

 

「彼が君が気に入ってるっていう人?」

「そうよ。彼の数十年止まっていた時がようやく動きだしたの。それはフブキさんも同じだけど、動きだした二人のこれからの時間がどうなるのか、楽しみなの」

「私も気になる。彼という存在がこの世界の文明にどう関わるのか」

「……あとは、彼ならあの娘をどうにかしてくれないかって期待があるわね」

「あぁ、あの娘か。半龍半人―――龍人族とは違う、この世界の理から外れたあの娘を彼に任せるつもりなんだ?」

「彼は龍神そのものよ。あの娘―――ネフィリムは龍神の遺伝子があるって話だし」

「会わせたらあの娘の方から彼の事を親だと思って離れなくなったりして」

「あり得そうだなぁ。おもしろくなってきた」

「……彼を巻き込んでの混沌は許さないわよ?」

「ソンナコトカンガエテナイヨー」

「ダウト」

 

三人の女性はそんな話をしながら水晶を観つめていた。

 

同時刻―――同じく狭間に存在する《深淵の観測所》。そこに空中ビジョンで映し出されている二人の人物を観ている四人の女性がいた。

 

「イナ、もうちょっと寄れない?彼のオーラをもっと近くで見たい」

「バカ言わないで。これ以上近づいたら彼に気づかれる」

「すでに気づいてるよね?」

「えぇ。一瞬だけど目が合ったし」

「ところでカリ、彼がそうなの?カリですら美しくも畏れてしまう死を放つっていうのは」

「そうよ。彼が放つのはとても素敵。なのに畏れてしまう。それほどの絶対零度を放つのよ」

「ふぅん。彼が、ね」

「彼、氷の龍神―――イヴェルカーナ様の魂を宿してるんだもんね」

「なるほど。それなら畏れるわけね」

「この模擬戦で彼が放つ絶対零度、見れるかしら」

 

一人だけワクワクしていた。

 

 

▽▲▽

 

 

―――闘技場上空。そこに一人の女性が滞空していた。

 

「まさかお姉ちゃんが自分から戦いを申し込むなんてねぇ。もしお姉ちゃんが負けちゃったら今度は私が相手してもらおっと♪」

 

女性は綺麗な笑顔を浮かべながら呟くが、言ってる事はとんでもない事である。

 

模擬戦を行う彼、カナの実力を見ようとする者は、様々な場所で様々な思いをしながらその時を待ち続けるのだった。

 

 

▽▲▽

 

 

「…………7……いや、8か……」

「何が?」

「ん?いや、隠れて見てる奴らの人数を数えてた」

「さらりととんでもない事言ってない?隠れて見てる奴らって……」

「この内7つの気配は狭間から感じる。あと1つは闘技場、いや、その上空だな」

「狭間?狭間って確かあの人たちがいたような……うん、カナ君。狭間の気配は『ホロライブ』の人たちだから大丈夫だよ」

「もう1つは?」

「う~ん、白上はちょっとわからないかな」

 

闘技場に向かう二人。言うまでもなくカナとフブキの二人である。向かう途中、カナの超感知により自分たちを見ている存在の数を数えていた。

それよりも世界の狭間に存在する聖域にいる存在に気づくほどのカナの感知能力が凄まじいのである。凄まじいのだが……フブキにとっては―――

 

「(さすがカナ君だな~♪)」

 

こうとしか思わなかった。

 

「狭間にもメンバーがいるのか?」

「うん。彼女たちは結構特殊な人たちだからね」

「ふぅん」

「そんな事よりも模擬戦!模擬戦とはいえ、気をつけてね」

「おう。ちなみに闘技場にはアリーナと観客席の間に防壁とかあるのか?」

「あるよ。最高レベルの魔力障壁が展開されてるから観客に被害が及ぶ事はないよ」

「なら思う存分―――やめとこ」

「え、なんで?」

「闘技場ごと凍る」

「うん、カナ君は全力を出さないでね?」

「魔力障壁が凍るぐらいの力でやるから大丈夫」

「どこが大丈夫じゃい!!」

 

そんな他愛もない話をしながら二人はこの時を―――お互い数十年独りだった時間を埋めるように二人だけの時間を楽しく過ごしていた。

 

 

▽▲▽

 

 

闘技場のアリーナへと続く通路の前にある控え室のような場所。そこに受付を終えて案内されたカナとフブキがいた。

 

「観客も盛り上がってるな」

「まあ、突然の闘技場を使っての模擬戦だからね。相当凄い事になるって考えてる人がいるだろうから。あとはカナ君の事だと思うよ」

「例の噂か」

「うん。噂の存在が模擬戦するなんて聞いたら誰もが見たいってなるよ」

「だろうな。それじゃあ行ってくる」

「気をつけてね」

 

軽く話をした後、カナはアリーナへと続く通路の前に立つ。実況者から名前を言われるまでここで待機していてほしいと言われているからだ。

 

「カナ君!」

「ん?」

 

フブキに呼ばれ、カナが振り向くと、目の前にフブキの顔があった。同時に唇に感じる熱。それがなんなのか、理解する事ができないぐらい混乱するカナ。

 

「頑張ってね!白上、ちゃんと見てるから!///」

 

時間にして数秒。なのにカナはすごく長く感じた。離れたフブキは顔を真っ赤にしながら最後のエールを送り、早々に去っていった。

 

「…………やられた///」ボソッ

 

唇に残る感触に顔が熱くなっていくのがわかるカナ。まさかフブキがあんな積極的な行動をしてくるとは全く思っていなかったカナは一人静かに呟き、

 

「見せてやるよ。お前を―――フブキを守るために強くなった俺を」

 

感情が高ぶっているらしく、瞳が縦長のスリット状になり、冷気が身体中から溢れ出すカナ。そして、そのまま翼を大きく広げ、自分自身を包み込むようにした。

 

熱い顔を冷気で冷ますように。

 

 

▽▲▽

 

 

―――ドゴォォォォォォン!!!!

 

 

『待て待て待て!?戦闘開始の合図を出した瞬間だぞ!?ココさんいきなりすぎねぇか!?』

『ココさん、まさか合図と同時に剛速球かつ高火力の火球を放つとは……』

『相手は!?』

『……どうやら直撃はしてないようですね』

 

闘技場のアリーナ。模擬戦は既に始まっており、開始の合図と同時にココが剛速球の火球をカナに向かって放ったのだ。火球はカナに直撃したのか白い蒸気の煙が立ち込め、カナが見えなくなるが、煙が晴れると無傷のカナが立っているのを見た実況席に座るギルド『にじさんじ』に所属する社築と加賀美ハヤトは呟いた。

 

「(そりゃそうだ。カナの奴、アタシの火球を吐息一つで相殺しやがった)」

 

ココにはわかっていたようだ。

 

そう。カナは剛速球で迫る火球を目の前で極僅かな冷気のブレスで相殺したのだ。ココは冷気のブレスではなく、ただの吐息だと勘違いしているが。

 

「ご挨拶は終わりか?ココ」

「だったら?」

「ご挨拶無しのこっちの番ってだけ」

 

カナが呟いた瞬間、カナの全身が氷に覆われ始めた。氷の角などが形成され、両手にも氷の細身の剣が形成された。

 

「《氷鎧(ひょうろう)》。基本戦闘スタイルだ。本気で行くぞ」

「みたいだな。アタシの本能が危険だって囁いてる。だからアタシも本気で行く。《龍炎(りゅうえん)》!!」

 

ココが叫ぶと両手が炎に包まれ、その炎が巨大な爪の形になる。

 

「これが今のアタシが出せる全力、《炎爪(えんそう)》だ。行くぜ、カナ!!」

「来い」

 

氷と炎のぶつかり合い。状況だけ見れば炎を使うココに分配が上がる。そう観客たちは思った。だが、カナの氷は―――龍神、イヴェルカーナの氷はそんな事で砕けたり溶けたりなんかしない。

 

 

▽▲▽

 

 

そこからはもう圧巻だった。カナの氷とココの炎は互角、いやむしろカナの氷の方が上回っていた。さすがは龍神の氷と言うべきか。

 

最終的にココが炎のブレスを放つが、カナも応戦するように冷気のブレスを放ち、二つのブレスが直撃した瞬間、大爆発が起こる。

が―――カナはすぐにもう一発のブレスを放ち、二発目が来るとは思っていなかったココは爆煙の中から現れたブレスに驚きながらも両腕に炎を纏わせて防御体勢に入るが、カナのブレスがココを掠める形で通過した。掠めただけで纏った炎は消え、腕も少し凍りついたココは、カナの方に視線を向けると、見えてしまった。

 

 

―――カナの背後に立つ龍神、イヴェルカーナの姿を。

 

 

「……こんな腕じゃ、すぐにアタシが負けるな。アタシの負けだ」

 

ココ自らが負けを認めた。これに対し、観客たちは誰も声を出せなかった。ココの実力は知っていたが、それ以上の実力を持つカナに驚いているからだ。

 

 

その後、カナはココに回復魔法をかけて治癒し、ココはお礼を言いながらカナと固い握手をしてアリーナを去っていった。

 

そして、次にアリーナに現れたのは―――

 

「まさかココの炎に渡り合うどころか冷気で消すなんてね」

「驚いた?」

「もうめちゃくちゃ、ね」

 

ガントレットを装備したかなたである。

 

「どうする?休憩挟む?僕は待つよ?」

「いや、大丈夫。始めようか。かなた」

「そう?ならやろっか」

 

ココとの戦闘で消耗してると思ったかなたは休憩するか提案するが、カナはやんわりと断った。消耗していないようである。

 

「カナなら僕の種族はわかるでしょ?」

「天使族だろ?かなたは」

「正解。天使族の特徴は?」

「魔力が桁違いな事ぐらいしか知らないけど」

「それ知ってれば充分だよ。僕は他の天使族と違って魔力はあるんだけど、魔法を放つ事が苦手なんだ。変わりに魔力を拳に込めてパンチ力を上げたりできるんだ」

「へぇ。自己強化……いわばバフが得意なんだ?」

「そうだよ。だからこの武器なの」

「確かにガントレットならかなたのスタイルに合ってるな」

「でしょ?まあ、魔力を込めてなくても素の握力が50キロ越えてるんだけどね?」

「え」

「このガントレットも特注なんだ。『にじさんじ』の加賀美さんには感謝してるよ」

「加賀美……?」

「今実況してる人。『にじさんじ』に所属してるんだけど、武器とか防具を作って売る『加賀美重工』の社長でもあるんだよ。あとで行ってみたら?」

『案内は任せてください。お待ちしてますよ、カナさん』

「……ん。じゃああとで行くわ」

「うん。それじゃあ―――」

 

カナとの会話に花を咲かせ、カナが頷いた瞬間、かなたの瞳から『甘さ』が消えた。

 

 

ガシャンッ!!

 

 

かなたが自身のガントレット同士を打ち付け、ガントレットから青い炎を出現させた。

 

「―――話はおしまい。カナ、ううん、神様。僕の本気……受け取ってよね!」

 

そう言って、かなたは大きくさせた翼を羽ばたかせ、カナに突撃した。

 

 

ガキィィィィィンッ!!

 

 

突撃したかなたは拳を叩きつけたが、カナは《氷鎧》での氷の剣をクロス字にして受け止めた。

 

「(重い……)」

 

受け止めた事で感じたかなたの拳。それはとても重かった。カナは天使族の魔力とかなたのバフの力に驚いていた。ここまで強化できるのもそうそうないと思ったからである。

 

カナはクロス字で受け止めている氷の剣を一気に振り払い、かなたの拳を弾いた。弾かれた事でかなたは体勢を崩すが、カナはそれを見逃さずに氷の剣の高速の一閃を放つ。が、かなたは翼を羽ばたかせて上空に飛ぶ事で回避。

 

「神様なら飛ぶ事もできるでしょ?」

「なら、空中戦と行こうか」

 

かなたの挑発ともとれる言葉にカナも龍翼を羽ばたかせて飛び、かなたに向かって突撃する。かなたも負けじと突撃。

 

空中で剣とガントレットのぶつかり合いによる火花が散る。それも一度ではなく、空中を縦横無尽に飛びながら攻撃するカナとかなた。それのせいで空中では何度も火花が散り、金属音が鳴り響く。

 

その時―――

 

 

ガシッ!

 

 

「取った!」

 

かなたがカナの氷の剣を掴んだ。

 

「このまま握り潰す!」

 

掴んだ手に力を込めるかなた。だがカナは焦る事も逃げようともしなかった。

 

その事に疑問が浮かぶかなただが、気にせずに握り潰そうとした。だが―――

 

「っ!?硬すぎでしょ!?」

 

かなたの握力、しかも魔力で強化されたモノでもカナの氷の剣は握り潰せなかった。

 

「(だから逃げなかったのか!!)」

 

疑問だった事がわかり、かなたはもっと早く気づくべきだったと、考えればよかったと思った。

 

「いっ!?」

 

すると、カナの口から冷気が漏れたのが見えたかなたは咄嗟に剣を離して上体を後ろに反らした。直後、目の前を冷気のブレスが通過した。掠めただけでココの炎を消し、腕を少し凍らせたブレス。それが目の前を通過したとなれば―――

 

「やっぱ服凍った!!」

 

やはりと言うべきか。かなたの服が少し凍った。それはかなたもわかってたので急いでカナから距離を取ってガントレットから出ている青い炎を使って氷を振り払おうとするが、ココの炎でも溶けなかったカナの氷は振り払えなかった。

 

「やっぱ無理か!」

 

そう言うかなた。だがカナ以外の全員が思った。ほぼゼロ距離のブレスを避けた事の方が凄いよと。

 

「まさか握り潰せないとは思わなかったな」

「そう易々と壊せると思うなよ、かなた」

「壊すのは諦めるよ。だから僕がやる戦術はこれだけにするよ」

 

かなたはガントレットの機構を展開した。ガントレットの一部が展開され、中からジェット推進機構が現れた。

 

「ほう……?」

「言ったでしょ?特注だって。それがこの機構『魔導推進式機構』だよ。行くよ!神様!!」

 

ブースターが点火され、凄い速度で突撃するかなた。その速度は正に神速。その一撃は『神速の一撃』。

 

「(速いな……)」

 

意外な速さにカナは思うが、その一撃を翼を羽ばたかせて避ける。

 

「(やっぱり避ける!さすがの神様でもこの速さの一撃は避けざるを得ない!なら突っ込むだけ!!)」

 

避けられたが、かなたは身体を回転させてすぐにブースターを一度大きく噴射。急停止した後すぐにカナに向かって加速。

 

だがこの時、かなたの視界でカナの口角が僅かに上がったのが見えた。しかも、両手にあった氷の剣を自ら砕いて。

 

「(―――避ける気がない!?)」

 

回避運動をしないカナにかなたは驚いた。だが次の瞬間―――

 

「《冰気錬成―――氷翼のセラフィム》」

 

 

パキィィィィィン!!

 

 

激しい凍結音と共に、カナの両手に巨大な白銀の大剣が現れる。

直後、推進力を全開にしたかなたの拳が、その刀身に真っ向から激突した。

 

 

ドォォォォォォォォン!!!!

 

 

とてつもない衝撃波が起こるが、魔力障壁で観客たちに被害は及ばなかった。だが、アリーナは別である。空中での激突だというのに、衝撃波でアリーナの地面にヒビが入った。

 

「正面から受け止めるなんて……!!」

「いい一撃だ。だが言っただろう。易々と壊せると思うなよって」

「だからって正面から受け止める必要ある!?」

 

かなたがツッコミながら受け止められた攻撃は通らないので急いで後方に飛んで距離を取る。

 

「まあでも、この攻撃でも君には届かないんだね。なら―――」

 

 

ガチィン!

 

 

おもむろにかなたがガントレット同士を打ち付けた。その瞬間、ガントレットから出ていた青い炎が勢いを上げ、ガントレットだけでなく、かなた自身を包み込んだ。

 

「ほう……?」

 

二度目となるカナから出た感嘆の声。それは彼女にはまだ他にも攻撃する手段を持っているという事にだった。

 

「ねぇ、神様。ううん、カナ。火の龍神『ナナ・テスカトリ』様は知ってるでしょ?」

「ナナさんか……」

「『ナナ・テスカトリ』様が放つ大技《ヘルフレア》。わかるかな?」

「もちろん」

「それを僕なりにアレンジ、というか作ったのがこれ―――天音かなた流《ヘルフレア》だよ。これが僕の全力全開……全身全霊を込めた一撃」

「あの技を……。なるほど。ならば俺もそれに応えなくちゃな」

 

全身を青い炎に包まれているかなたに対し、カナも《氷翼のセラフィム》を構え、冰気を込める。周囲の空気が凍てつく程の冰気を。

 

「お互い全力全開……なら―――」

「この一撃に―――」

 

「「―――全てをかける!!」」

 

《氷翼のセラフィム》に冰気を限界まで込めたカナと《ヘルフレア》で全身を青い炎に包まれたかなたが同時に突撃。

 

そして激突―――

 

大剣とガントレットの激突により、今までよりも重い金属音が響き、鍔迫り合いになるが、その直後に今まで以上の大爆発―――いや、周囲を白に染める光が放たれた。続いて衝撃波。その衝撃波は魔力障壁を貫通して観客たちを襲う。そして爆発の光は魔力障壁によって天へと昇った。

 

衝撃波と光が止み、強烈な光により目を瞑っていた観客たちが目を開けると―――ヒビが入った魔力障壁と巨大なクレーターが出来ているアリーナ。

 

そして―――

 

―――クレーターの中心に大の字で寝転がっているかなたと《氷翼のセラフィム》を突きつけているカナの姿だった。

 

『おいおい……最高レベルの硬度を持つ魔力障壁にヒビが入ってるぞ……』

『それ程までの威力のぶつかり合いだったというわけですね。それに、決着もついたようです』

 

決着。この模擬戦の決着がついた。勝者はカナであり、伝説と言われている実力を持つ二人を圧倒する強さを見せた。

だからだろう。決着だというのに観客たちの声が一つも出なかった。ただ一人を除いて。

 

「カナ君……///」

 

ずっと言っていた、カナが自分を守るための力。その強さを見て、フブキは怪我をしていなさそうという安心と嬉しさが込み上げていた。

 

―――その直後

 

 

ドォォォォォォォォン!!!!

 

バシィィィィィィィン!!!!

 

 

『なっ!?』

『なんだ今の!?』

 

突如として、天から黒い雷が落ちた。その黒い雷はアリーナ―――いや、カナに向かって落ちた。それをカナは《氷翼のセラフィム》を振るう事によってかき消した。

 

「い、今の……まさか……」

「ごめんかなた」

「え、ちょっ!?」

 

黒い雷に何か心当たりがあるような言い方をしたかなた。だが、カナはそれ所ではないと判断。かなたに謝罪しながら有無を言わさずにお姫様抱っこをしてから翼を羽ばたかせた。

 

「カナ!かなた!」

「ココ!悪いがかなたを頼む!」

「ちょっ!?」

 

控え室に繋がる通路の所まで高速で飛び、そこにココがいたのでかなたをココに向かって投げた。

 

ココは驚きながらもかなたをキャッチし、それを見たカナはすぐに上空に向かって飛んだ。

 

「ま、待ってカナ!さっきのは―――!」

 

飛んで行く時にかなたが何か言っていたが、カナは気にせずに不意打ちをしてきた奴がいる所まで飛んだ。

 

そして、そこにいたのは―――

 

「君が……」

「そうですよ~。はじめまして、龍神様」

「(……似てる)」

 

少し黒みがかった羽を羽ばたかせた女性だった。その女性を見て、カナはかなたに似ていると思った。

 

「君は?」

「私はこなた。天音こなたです」

「天音……という事は……」

「ご想像の通り、天音かなたは私の双子の姉です」

「双子……なるほど。だからかなたに似ているわけか」

「そうですよ~。普通ならお姉ちゃんと私を間違える人が多いんですけど、貴方はすぐにわかるんですね」

「似ていても、かなたと君は別。間違えるのはわかるが、それは相手に失礼だと思ってる」

「優しいですね。それでは、お話はこれまでにして―――」

 

突然こなたが右手を突き出した。その瞬間、こなたの周囲に4つの魔方陣が現れ、そこから炎の槍が出現した。

 

「私と戦いましょう?《フレイムランス》」

 

炎の槍《フレイムランス》が放たれた。だが、カナはそれを《氷翼のセラフィム》を横に一閃してかき消した。

 

「それはあれか?次は君と模擬戦をすればいいって事か?」

「そうですよ」

「そうかわかった。なら―――」

 

瞬間、こなたの目の前からカナが消え、こなたは重い一撃を喰らった。

 

 

▽▲▽

 

 

――ズドォォォォォン!!!!

 

 

『今度はなんだ!?』

『ナニかが落ちてきたのでしょうか!?』

 

闘技場のアリーナに突如として轟音と土煙が起きた。その事で実況の二人は何が起きたのかわからず、焦っている。先ほどの黒い雷に続き、今度は轟音と土煙。焦るのは必然か。

 

「ケホッケホッ……。なんとか《フレイムブラスト》が間に合った」

 

土煙の中から咳き込みながらこなたが現れる。どうやら魔法で地面に叩きつけられる事はなかったようだ。

 

『ん?誰だ?』

『彼女は確かかなたさんの……』

「こなた!!なんであんたがいるのさ!!」

 

いきなりこなたが現れた事で社築は困惑、ハヤトは見覚えがあるのか、思考する。そこにかなたが通路からこなたに向かって叫ぶ。それをこなたは呑気に手を振るだけである。

 

「やっほ~、お姉ちゃん。なんでって、お姉ちゃんが自分から戦いを申し込んだ相手だよ?気にはなるよ。しかも龍神様なんて聞いたらさ。この模擬戦が終わったらお姉ちゃんだってあの人に言うつもりだったんじゃないの?」

「うぐ……確かに言うつもりだったけど……」

「だから私もあの人がどれほどの強さか知りたいんだ」

「僕の戦い見てたのならわかるでしょ!?」

「わかるよ。まだまだ奥の手があるって事が、ね」

「え、奥の手……?」

「うん。そうですよね?龍神様?」

 

かなたと話ながら、こなたは呟いた。

 

離れた位置にカナが翼を羽ばたかせながら降りてきて着地した。氷の鎧を纏っている翼を一度大きく開いてから翼を畳むカナ。

 

「そうだね。確かに君が言うとおり、奥の手はある」

「その奥の手、私に見せてくれませんか?」

「……」

「…………なら、出してもらうだけです」

 

こなたは黙りのカナに言ってから翼を開いて飛ぶ。そして右手を上げ、魔方陣を展開する。

 

「私の全力、広域殲滅魔法《黒雷》です。全力でいかせてもらいます!」

 

魔方陣から小さい黒い雷がバチバチと放電されている。広域殲滅魔法という事だからなのか、発動するのに時間がかかるようで、こなたはすぐに《黒雷》を放ってこない。

カナはそれを見上げながら―――

 

「かなた、ココ」

「ん?」

「カナ?」

 

通路から見ているかなたとココの名を呼んだ。

 

「彼女の言うとおり、俺には二つの奥の手がある。だけど、それを使わなかったから君たちとの模擬戦で本気を出していないなんて事はない。この二つは、禁じ手なんだ」

「禁じ手?」

「……威力が強すぎるからか?」

「ご名答。だけど、彼女は見たがっている。それに、彼女は全力で挑んでくる。君たちにしたように、相手が全力ならそれに応える。それが俺のやり方だと思ってる。だから……」

「皆まで言うな、カナ。アタシらはわかってる」

「うん。カナが優しいのはよく知ってる。それにカナも全力で相手をしてくれてたのもちゃんとわかってるから。だからこなたにも」

「全力でやってやれ。あいつが見たがってるお前の禁じ手の奥の手ってやつを」

「…………ありがとう」

 

 

ココとかなたの言葉に、カナは嬉しくなり、静かに感謝の言葉を伝えた。そして、カナは観客席に座っているフブキに視線を向けた。

フブキも気づいたのか、心配そうな顔をカナに向けている。

 

「…………」コクリ

「っ!」

 

僅かに口角を上げながらカナは頷いた。それを見たフブキは目を見開いて驚愕のような反応をするが、カナの思いを感じ取ったのか、先ほどの心配そうな顔から覚悟を決めたような顔になり、頷いた。

 

それを見届けたカナはこなたに視線を向けた。

 

「いいですか?龍神様」

「もちろん」

 

こなたの問に、カナは頷きながら《冰気錬成》で錬成した《氷翼のセラフィム》を解除して失くしてから、全身から冷気を放出させる。

 

「では、行きますよ」

「…………来い」

 

こなたの魔方陣が輝き出し、黒い雷の出る量が増した。

 

「……《黒雷》!!」

 

掲げていた右手を、カナに向かって振り下ろした。直後に魔方陣から巨大な黒い雷が放たれ、アリーナの地面に着弾と同時に地面を抉りながらカナに向かっていく。

 

それをカナは―――

 

「《アブソリュート・ゼロ》」

 

自身が持つ最大威力の技―――自らが禁じ手として使おうとしなかった技―――広域殲滅凍結奥義《アブソリュート・ゼロ》を放った。

 

膨大な冷気が一瞬で放たれ、膨大な量の冷気と巨大な黒い雷が激突。

 

そして―――閃光。

 

かなたの時と同じように全員が目を瞑り、光が収まると、ゆっくりと目を開けた。そこには……

 

 

―――最高レベルの硬度を持つ魔力障壁が凍てつき、アリーナには無数の氷柱、中心には天に向かっている巨大な氷柱があった。

 

「…………これが……貴方の……奥の手……なんですね……凄い……いりょ……く……」

 

身体のほぼ半分が凍らされたこなたが呟き、静かに意識を手放した。飛ぶ力が無くなったこなたは落下していき、地面に激突―――する直前にカナが高速でこなたを受け止め、着地。そしてすぐに回復魔法を使い、半分凍ったこなたの氷を無くし、完全回復させた。

 

「……やっぱり、力を抑えてもこの威力……本当に禁じ手だな」

 

そのカナの呟きと同時に、凍てついた魔力障壁が崩れたのは同時だった。

 

 

 




お読みいただき、ありがとうございました。

戦闘描写、めちゃくちゃかなたのシーンが多いというね。そしてこなたの乱入。どうでしたでしょうか?戦闘描写が苦手すぎて上手く書けてるかわかりませんが……。
そして序盤にあった次元の狭間に存在する二つの聖域、そこにいる人物がどんな人なのか、皆様ならすぐにわかったのではないでしょうか?カナの前に現れるのはいつになるか、お待ちください。

そしてホロライブとガンダムのコラボ!ガノタである私にとっては嬉しすぎるコラボなのです!公開されたガンプラも全部欲しいと思いました。ただ一つ、思ったのは―――『ガンプラいいじゃん!え?全部RG?ガンプラ初心者のホロリスがいるかもしれないのに正気か?』と。

いるかもしれないガンプラ初心者のホロリスさん、買わないなんて選択をしないでください。買って、苦戦しながらでも、楽しく組み上げて、そして綺麗に飾りましょう。ガノタである私は待っています。ガンプラの楽しさを知り、他のガンプラも作ってみたいと思ってくれるのを。

それでは今回はここまで!以上、レリでした!
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