~Side 逢川めぐみ~
「うちはサイキッカーや...あいつはロッカーで、和泉はハッカー。ほんでうちはサイキッカーなんや...救世主なんや...」
適正試験は明後日。
そこで合格すれば、キャンサーとの実戦に出る許可がおりる。
救世主逢川めぐみとして、足は引っ張ってられへん。
むしろ、あのロッカー引きずり降ろして、部隊長の座かっさらうくらいせな。
「特訓やな...おっ」
アリーナに向かう途中、橋に突っ立って海見てるのが見えた。
「おいタマぁ~」
「は、はい!」
國見タマ。
ちっこいからか、なんや気にしてるうちに、自然と組みやすくなった。
「今、暇か? アリーナ行って追加訓練しようかな思とるんやけど、一緒にどや?」
「いいんですか!? 暇です。やることなくって、ただぼーっとしてました!」
「よーし、ほな行こか!」
「はい! 不肖國見タマ、参ります!」
サイキックは昨日の瞑想で十分。
後はセラフとやらを扱いこなせるようにならんと。
妙に手には馴染むけど、サイキックとの親和はイメージすらできてへん。ムズい。
何とかせな、逢川めぐみ。
「ぜぇ...はぁ...くそ、イメージが...」
「へぇ~...! へぇ~...! めぐみさん、まだやるんですか...?」
まだや...まだサイキックとセラフが全然合わせられへん...!
うちが救世主としてやってくには、サイキックがどうしても必要やろがい...!
「まだや、タマ...まだまだなんや...!」
目を瞑り、意識を集中...あかん、全然わからん...
それでも、やるしか...!
「おつかれー⭐️夜遅くまでやってるなんて、凄いね!」
くっはぁ!?
最高に気の抜けた声が聞こえたせいで、集中が途切れた...! 暴走したサイキックが手に走って...! 痺れる...イテテ...!
「あ、
「イェーイ!キラちゃんだよ!
國見ちゃんもお疲れ様~。大変だね~」
振り返れば、頭にデッカイ星の飾りがついたちっさい奴。
「...31Kのか。訓練中や。邪魔せんと帰ってくれるか?」
「私が通しました。日景さんも訓練がしたいとのことなので」
...七瀬士官の許可やったか...
「小時間待っていてもらいましたが、長くなるならと、戦闘してないタイミングでのお声がけを許可しました」
「そういうこと。他の人への配慮もしてよね~?」
時計を見た。
いつもは風呂入ってるくらいの時間をとうに過ぎてる。
「...マジか。すまん。気にしてなかった」
...しゃーない。終わりにするか。
くそっ、今日も掴めんかったか...
「そうそう。ちゃんと気にしなきゃダメだよ?
自分のことだけじゃなく、周りのことも―――そこの國見さんのことも、ね?」
「へ?」
「うん?」
ちっさい星の奴が、責めるような目線で見上げて来ていた。
「ダメだよ。自分のことでいっぱいになってちゃ。
二人でやってるんだから、それを生かさなきゃ。あんたは一人で戦ってるんじゃないでしょ?」
「...あ...」
横を見たら、疲れはてたタマが、不安そうな目でうちを見ていた。
...やってもうたな、うち。
「...すまん、タマ。
うち、自分のことばかりで、タマのこと、まるで気を遣ってあげてられんかった。悪い」
「い、いえいえ! 謝らないでください! 私もまだまだですし、なので、お誘いいただけて嬉しかったので! 謝られると、その...」
...気づけないわけや。イメージできないわけや。
そばにいてくれる奴のことも気にかけれん奴が、救世主になんかなれるわけない。
「すまん、日景、七瀬。
あと数回だけ、くれんか?
タマと、連携を試してみたい。
タマ、やりたいことないか?」
「あ、えっと、でしたら、えーっと...」
「...そういうことや。どや」
日景と七瀬を見やる。
「ん~、しょ~がないなあ⭐️まだ待っててあげるよ!」
「私は、日景さんがよろしければ」
「決まりや。よし、付き合ってくれ、タマ」
「は、はいぃ!!」
うっし!
うち一人で戦う練習は終わりや。
連携か...サイキック以上に難題やけど、頑張らな!
「めぐみさん! まずはめぐみさんに先に叩いてもらって、次に私が...!」
「了解や! 行くでタマぁ!」
「はい!」
おもろなってきた!
やったろやないか!!
「予定時間20分オーバー。やりすぎです」
「えろぅすんまへん...」
「不肖國見タマ、不覚です...」
「アハハハハ⭐️面白ーい! アハハハハ⭐️」
結局、熱くなってやりすぎてもうた...
すまん、日景、七瀬。
「...一緒に風呂入ろうな、タマ...」
「は、はいぃ...」
この後、茅森よりも先に寝てもうたし、朝も茅森より起きるの遅くなってもうた。
逢川めぐみ、一生もんの不覚や...!