一条煌めく希望の星   作:木工用

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Day5 艦長と星の子

 

 

 

 

 

 

 ~Side 國見 タマ~

 

 

 

 

「今日も、アリーナで訓練...! キャンサーと戦わされる日々...! 辛い...! 毎日が辛い!

 そんな日々の、唯一の癒し...それこそが自販機! ディスイズ自販機!」

 

 お茶にお水!

 ジュースにコーラ!

 アイスだってございます!

 それが、なんとGPさえ入れれば、タダで! すぐに出てくる!

 それこそが自販機!

 基地に舞い降りた天使、自販機!!

 

「本日は何にしましょうかねぇ~。昨日は懐事情から惜しくもお水のみとさせていただきました。

 しかし昨日はそう、めぐみさんと訓練を頑張り、GPには少しだけ潤いがあります。やはり本日は奮発してスポーツドリンクを...! いやいや、まだ前線に出ていない訓練生の身でそれは贅沢でしょうか...!?」

 

 うぐぐ...決められない...!

 こうしている間にも刻一刻と訓練の時間は迫っている...! 自販機は24時間いつでも待ってくれているというのに...! やはり私の味方は自販機しか...!

 

 

「...あっぶ...!?...あー...今日はいつもよりダメだったな...

「ん?...あの頭のお星さまは...?」

 

 

 ふと、後ろに声が。

 振り向くと、頭に特徴的なお星さまを乗せた子が、宿舎のほうに歩いていく後ろお姿が。

 昨日、訓練を待っててくれた...お名前が確か、綺羅(きら)さんでしたっけ。

 ...何だか、ふらふらしていて、危なっかしいです...

 

 

 

「...どうしよう...何かしたほうが良かったでしょうか...」

 

 無意識に、自販機に寄りかかります。

 そこには、やはり色とりどりのものが、24時間私を待ってくれています。

 私の、皆の味方、自販機。

 

 

 

「...よぉし!」

 

 

 

 

 ピッ!

 ガコンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、すみませんっ!」

「わっ...!? あぁ、國見ちゃん、だったっけ?」

 

 走って追いかけて、何とか追い付きました。

 日景ちゃんは途中のベンチに座っていました。つい声が大きくなって驚かせてしまいましたけど、見つけられて良かったぁ~!

 

「ご、ごめんなさい!

 あの、綺羅(きら)さん、よろしければ、これ!」

 

 手にしてたスポーツドリンクを差し出す。

 自販機で買ってきた。適度に冷たくて、糖分塩分も適量。流石は自販機!

 

「...ありがとね、でも大丈夫。

 あなた、國見ちゃん、だよね? 31Aの新人さんの。

 それ、高かったでしょ? これから訓練だよね?

 國見ちゃんが飲んでよ。あたしは大丈夫だから、アハハ...」

 

 そう言って立ち上がって、またふらふらと歩きだそうとしますが、

 

「あっ...!?」

 

 つまづいて...!?

 

「危ないッ」

 

 

 

 ギュッ

 

 

 

「あッ...!? ひぃ...!?」

 

 セーフ!

 間一髪セーフ!

 タマ選手、すんでのところで転ぶ綺羅(きら)さんを抑えることができました!

 って、そんな場合じゃないです!

 

「大丈夫じゃないじゃないですか!? こんなに震えて! 熱中症の症状です! ほら、これ飲んでください!」

「やぁ...はなしてぇ...!」

「わかりました! でも座って! しっかり飲んでください!」

 

 座らせて、多少強引ですが、スポーツドリンクの蓋を開けて中身をねじ込みました。えいっ。

 

「うっ...!? ゴクッ...ゴクッ...ぱはっ!? ゴホッ ゴホッ...!」

「飲みましたね!? 後は落ち着いて、大丈夫、大丈夫ですから...!」

 

 むせたのさせてしまったので、背中をさすって。

 また立ち上がろうとしたので、また抑えつけて。背中をさすって。

 何だか抱き締めるみたいな格好になってしまいましたが、誰も見てないし、セーフ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ...! ハァ...!...ハァ...」

「...落ち着きましたか?

 よーし、よしよし~」

 

 結局、スポーツドリンクを飲みきるまでは、一緒にいました。

 

「...うん、もう大丈夫。

 ごめんね、コレ、貰っちゃって。いくらした?」

「いいですいいです! 同じ第31期ですから!

 昨日もアリーナの訓練終わるまで待ってくれましたし、困ったときはお互い様ということで!」

「...優しいね、國見ちゃんは」

 

 綺羅(きら)さんはもう落ち着いたようで、空のペットボトルを手に申し訳なさそうにしています。

 

「あ、あの! 一つ聞きたくて!

 綺羅(きら)さんは、31Kとして、お一人で頑張られているんですよね!

 理由があるらしいですけど、こういうときに頼れる人が、あまりいないんじゃないでしょうか...?」

 

 いつもは元気そうですが、今日の綺羅さんは、やはりどこか辛そうです...当然です、ひとなら誰しも、疲れてるときがありますから...

 

「そうだね...何人かはいるんだけど、あいにくと別任務だったり、声かけづらかったり...アハハ、難しいね...」

「でしたら!」

 

 立ち上がり、手を差し出しました。

 

「困ったことがあったら、私に! 言ってください!

 不肖國見タマ。今はまだ31Aとして訓練生の身ですから、暇です! いつでも行けます!

 だから、その...大丈夫です! 私を! 頼ってください!」

 

 昨日、めぐみさんにこうして手を差し出されて、誘ってくれて、とても嬉しかった。

 戦闘に自信がない私。

 不安になって、海を見つめていて、そんなときにめぐみさんが引っ張っていってくれて、心が救われました。

 

 だから、今度は私が!

 

 

 

「―――ありがとう、タマちゃん」

 

 

 

 手を、握ってくれました。

 気づけば、綺羅(きら)さんの震えは無くなっていました。

 

「ねぇ、後からでゴメンだけど、()()()()()って呼んでいい?」

「勿論です! 私は、引き続き綺羅(きら)さんと呼ばせていただきます!」

「うん...アハハ⭐️ありがと、タマちゃん!

 これからは、よろしくねー⭐️」

 

 手を握る力が強くなりました。仲良しです!

 ...あれれー? ちょっと強すぎやしませんかねー?

 

「お近づきの印に、それっ⭐️」

 

 うおっと!

 引っ張られた!

 ベンチに着地!

 

 

 

「はい! チーズ⭐️」

「ええ!? は、はいぃ!」

 

 

 

パシャッ!

 

 

 

 ギュゥっと抱きついてきた綺羅(きら)さんと、ベンチで並んでのツーショット。

 現像が終わったら貰えるみたいです! 早く欲しいなぁ~! 待ち時間がわくわくタイムです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、國見。今何時だ?」

「え、ええっとぉ...そのぉ...」

「明日は適正検査当日なのよ。なのに今日の訓練に遅刻だなんて...

 くるくるぱーかあああああ!!!

「ヒイィィィィ!? すみませんすみません!」

「まあまあ許してやってくれ。メガネ拭きを忘れちまったみたいなんだ」

「なんや和泉。たるんどるな」

「だから! 何であたしが庇われてるみたいになるんだよおおおお!!」

 

 そして訓練には遅刻しました...

 でも悔いはないっ!

 

 

 

 

 

 

 あ、結局飲み物を買い忘れました。

 喉が...喉が...! 死ぬ...! 助けて、マイエンジェル自販機...!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ×   ×   ×   ×

 

 

 

 

 

 

 ~Side ??~

 

 

 

 

「...今日も話しかけられなかった。

 それどころか、あの子が困っていたのに、私は一体...」

 

 今日も、無理でした。

 忘れられているかもと思うと、不安で。

 こんな私だから、ダメなのでしょうか。

 

「...もう、止めにしよう」

 

 今日無理なら、多分無理。

 行けない感覚を、覚えてしまったから。

 私は、私のことに集中しないと。

 

 

 

「そうですよね、キラちゃん...」

 

 

 

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