~Side 國見 タマ~
「今日も、アリーナで訓練...! キャンサーと戦わされる日々...! 辛い...! 毎日が辛い!
そんな日々の、唯一の癒し...それこそが自販機! ディスイズ自販機!」
お茶にお水!
ジュースにコーラ!
アイスだってございます!
それが、なんとGPさえ入れれば、タダで! すぐに出てくる!
それこそが自販機!
基地に舞い降りた天使、自販機!!
「本日は何にしましょうかねぇ~。昨日は懐事情から惜しくもお水のみとさせていただきました。
しかし昨日はそう、めぐみさんと訓練を頑張り、GPには少しだけ潤いがあります。やはり本日は奮発してスポーツドリンクを...! いやいや、まだ前線に出ていない訓練生の身でそれは贅沢でしょうか...!?」
うぐぐ...決められない...!
こうしている間にも刻一刻と訓練の時間は迫っている...! 自販機は24時間いつでも待ってくれているというのに...! やはり私の味方は自販機しか...!
「...あっぶ...!?...あー...今日はいつもよりダメだったな...」
「ん?...あの頭のお星さまは...?」
ふと、後ろに声が。
振り向くと、頭に特徴的なお星さまを乗せた子が、宿舎のほうに歩いていく後ろお姿が。
昨日、訓練を待っててくれた...お名前が確か、
...何だか、ふらふらしていて、危なっかしいです...
「...どうしよう...何かしたほうが良かったでしょうか...」
無意識に、自販機に寄りかかります。
そこには、やはり色とりどりのものが、24時間私を待ってくれています。
私の、皆の味方、自販機。
「...よぉし!」
ピッ!
ガコンッ!
「す、すみませんっ!」
「わっ...!? あぁ、國見ちゃん、だったっけ?」
走って追いかけて、何とか追い付きました。
日景ちゃんは途中のベンチに座っていました。つい声が大きくなって驚かせてしまいましたけど、見つけられて良かったぁ~!
「ご、ごめんなさい!
あの、
手にしてたスポーツドリンクを差し出す。
自販機で買ってきた。適度に冷たくて、糖分塩分も適量。流石は自販機!
「...ありがとね、でも大丈夫。
あなた、國見ちゃん、だよね? 31Aの新人さんの。
それ、高かったでしょ? これから訓練だよね?
國見ちゃんが飲んでよ。あたしは大丈夫だから、アハハ...」
そう言って立ち上がって、またふらふらと歩きだそうとしますが、
「あっ...!?」
つまづいて...!?
「危ないッ」
ギュッ
「あッ...!? ひぃ...!?」
セーフ!
間一髪セーフ!
タマ選手、すんでのところで転ぶ
って、そんな場合じゃないです!
「大丈夫じゃないじゃないですか!? こんなに震えて! 熱中症の症状です! ほら、これ飲んでください!」
「やぁ...はなしてぇ...!」
「わかりました! でも座って! しっかり飲んでください!」
座らせて、多少強引ですが、スポーツドリンクの蓋を開けて中身をねじ込みました。えいっ。
「うっ...!? ゴクッ...ゴクッ...ぱはっ!? ゴホッ ゴホッ...!」
「飲みましたね!? 後は落ち着いて、大丈夫、大丈夫ですから...!」
むせたのさせてしまったので、背中をさすって。
また立ち上がろうとしたので、また抑えつけて。背中をさすって。
何だか抱き締めるみたいな格好になってしまいましたが、誰も見てないし、セーフ!
「ハァ...! ハァ...!...ハァ...」
「...落ち着きましたか?
よーし、よしよし~」
結局、スポーツドリンクを飲みきるまでは、一緒にいました。
「...うん、もう大丈夫。
ごめんね、コレ、貰っちゃって。いくらした?」
「いいですいいです! 同じ第31期ですから!
昨日もアリーナの訓練終わるまで待ってくれましたし、困ったときはお互い様ということで!」
「...優しいね、國見ちゃんは」
「あ、あの! 一つ聞きたくて!
理由があるらしいですけど、こういうときに頼れる人が、あまりいないんじゃないでしょうか...?」
いつもは元気そうですが、今日の綺羅さんは、やはりどこか辛そうです...当然です、ひとなら誰しも、疲れてるときがありますから...
「そうだね...何人かはいるんだけど、あいにくと別任務だったり、声かけづらかったり...アハハ、難しいね...」
「でしたら!」
立ち上がり、手を差し出しました。
「困ったことがあったら、私に! 言ってください!
不肖國見タマ。今はまだ31Aとして訓練生の身ですから、暇です! いつでも行けます!
だから、その...大丈夫です! 私を! 頼ってください!」
昨日、めぐみさんにこうして手を差し出されて、誘ってくれて、とても嬉しかった。
戦闘に自信がない私。
不安になって、海を見つめていて、そんなときにめぐみさんが引っ張っていってくれて、心が救われました。
だから、今度は私が!
「―――ありがとう、タマちゃん」
手を、握ってくれました。
気づけば、
「ねぇ、後からでゴメンだけど、
「勿論です! 私は、引き続き
「うん...アハハ⭐️ありがと、タマちゃん!
これからは、よろしくねー⭐️」
手を握る力が強くなりました。仲良しです!
...あれれー? ちょっと強すぎやしませんかねー?
「お近づきの印に、それっ⭐️」
うおっと!
引っ張られた!
ベンチに着地!
「はい! チーズ⭐️」
「ええ!? は、はいぃ!」
ギュゥっと抱きついてきた
現像が終わったら貰えるみたいです! 早く欲しいなぁ~! 待ち時間がわくわくタイムです!
「おい、國見。今何時だ?」
「え、ええっとぉ...そのぉ...」
「明日は適正検査当日なのよ。なのに今日の訓練に遅刻だなんて...
くるくるぱーかあああああ!!!」
「ヒイィィィィ!? すみませんすみません!」
「まあまあ許してやってくれ。メガネ拭きを忘れちまったみたいなんだ」
「なんや和泉。たるんどるな」
「だから! 何であたしが庇われてるみたいになるんだよおおおお!!」
そして訓練には遅刻しました...
でも悔いはないっ!
あ、結局飲み物を買い忘れました。
喉が...喉が...! 死ぬ...! 助けて、マイエンジェル自販機...!
× × × ×
~Side ??~
「...今日も話しかけられなかった。
それどころか、あの子が困っていたのに、私は一体...」
今日も、無理でした。
忘れられているかもと思うと、不安で。
こんな私だから、ダメなのでしょうか。
「...もう、止めにしよう」
今日無理なら、多分無理。
行けない感覚を、覚えてしまったから。
私は、私のことに集中しないと。
「そうですよね、キラちゃん...」