文書データ:ルカの傭兵活動ログ   作:上代わちき

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ログ11「中央氷原進出」

 

 

 

◆1「海越えした企業の動向」

 

 あの「壁越えの傭兵」が海越えを果たしたらしい。

 「壁」を落としたのはアーキバスだが、実際にその作戦を成功させたのはV.Ⅳラスティと、当時アーキバスに雇われていた傭兵「レイヴン」だそうだ。

 今回の「壁越えの傭兵」レイヴンはベイラムの依頼で海越えを果たしたらしく、それを受けてベイラムもまた中央氷原へと乗り込んだという。

 

 

 一方でアーキバスもまた、別ルートで現地入りしたという情報も入った。

 既に俺も中央氷原へと入らせてもらっている。

 他の傭兵達もだ。

 

 先んじて入っていった連中の"足跡"のおかげで、楽をさせてもらったわけだな。

 だからこそ一番乗りを果たした件の傭兵の凄さが際立つわけだが……。

 

 

 

 レイヴンの件はさておき、企業はもう既に中央氷原各地に調査拠点を設営しているようだ。

 

 まず真っ先に印象深いのが、アーキバスがキャンプを設営した「ヒアルマー採掘場」。

 連中はそこを拠点に、調査ドローンを飛ばして方々の観測を行っているらしい。

 

 

 だからなのか、近々ベイラムは独立傭兵を雇ってそこを強襲するようだ。

 ライバル企業へ出血を強いつつ、自分だけ漁夫の利を得るつもりってわけだな。

 

 まぁ企業ってのはそういうもんさ。

 だからこそ、まだまだ金を稼げそうだ。

 

 

 

◆2「ネスト」

 

 順調に実績を積み重ねていれば、アリーナが更新されている筈だ。

 実際にどうなっているかはそれぞれで違うんだろうが、優れた実績の持ち主なら、そろそろ中位ランカーとの仮想戦闘ができる頃合だろうか。

 アリーナでOSTチップを入手して、ACを強化するチャンスってわけだ。

 

 

 一方で、アリーナの中には用途不明のネットワークサービスがあるそうだ。

 

 そいつは「ネスト」とだけ記載されている。

 非公開かつ暗号化された、特殊な傭兵支援プログラム……って触れ込みだ。

 

 

 

 裏口を作って潜ってみると、方々の傭兵やAC乗りとの仮想戦闘がそこで行われていた。

 面々の特徴として、ルビコン3で活動している企業勢や名の売れた独立傭兵……とは異なる者達である点が印象深い。

 もしかしたら、ルビコン星系外の者達なのかもな。

 

 

 そこはシミュレータの世界だから、自身のACを落とされても命を落とすリスクはない。

 いくらでも戦闘を楽しめるってわけさ。

 

 だからなのか、ここの連中は下手をすればヴェスパー部隊の上位ナンバーよりも優れた操縦技能を有する。

 実際の戦闘で起こる衝撃や負荷などを無視しているわけだからこそ、連中はあそこまでの技量を育てているんだろうな。

 仮想故に、パーツの選定に制限がないのも大きいだろう。

 

 

 

 はっきりいって、ルビコンでの常識が一切通用しない魔境ってわけだ。

 その逆もしかり。

 

 実際に命を張り合うことになるルビコンの戦場とどっちがマシかは、俺にはわかりかねる。

 少なくとも、俺にネストの適性はなかったよ。

 

 

 

◆3「LC部隊」

 

 ここ最近惑星封鎖機構の動きがきなくさい。

 恐ろしいほどに沈黙していて、いっそ耳鳴りしてしまいそうだ。

 

 だからこそ、念のため奴らの情報を集めてまとめることにした。

 

 

 通常封鎖機構はSG部隊を用いているが、中には「執行部隊」と呼ばれる部隊がいる。

 本来封鎖圏内では運用されない戦力だが、例の"監査"の件もあるから例外がないとは言い切れないだろう。

 

 

 執行部隊は「LC機体」を用いるのが特徴だ。

 BAWSのMTなんかとは比べ物にならない、高性能機だ。

 

 特徴としては高い空中機動性だな。

 敵機からの攻撃に対する回避能力がずば抜けて高い。

 

 

 

 応戦するときは、ガトリングやマシンガンなんかで弾幕を張ることだな。

 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。

 

 もしくはグレネードやプラズマといった範囲攻撃も効果が期待できるかもな。

 案外近接攻撃で無理やり当てに行けば、それはそれで活路を見いだせたりするかもしれん。

 

 

 

 ……まぁ、実際に執行部隊と戦うことになったらの話だがな。

 まぁ備えておいて損はない程度の話題さね。

 

 

 

◆4「強襲艦」

 

 HEAVY WARSHIP。

 通称「強襲艦」。

 

 強襲艦は、惑星封鎖機構が運用する空中戦艦だ。

 LC部隊同様、本来は封鎖圏内で運用されるものではないが……まぁせっかく情報を集めたんだから、ここに記す。

 

 

 こいつはちょっと一味違うぜ。

 空中からレーザーを降り注いだり、ミサイルをぶっ放してきたりする。

 先述したLC部隊もこの強襲艦から投下されることもあるようだし、それとは別の子機も展開するようだ。

 

 

 基本的に上空から攻撃を仕掛けてくるから、実に厄介だ。

 普通ならACでどうにかなるような相手ではない。

 

 

 

 ただし。

 強襲艦は下からの攻撃には強い一方で、一度上を取られると酷く脆いという弱点を有するようだ。

 

 特に艦橋を攻撃されると、動力系統に誘爆するという致命的な欠点がアンダーグラウンドで指摘されている。

 空中から地上を殲滅する任務に特化しているからこそ、甲板に取りつかれることを想定していないのだろうな。

 それにしたって杜撰なようにも思えるが……それだけ封鎖機構を統べるシステムが四角四面なのかもな。

 

 

 だが、それが俺達にとっては希望の光かもしれん。

 

 

 もしAC単騎で応戦することになることを考えると、予め「上昇推力」を意識したアセンブリを施しておくべきだろう。

 それ以外だと……近くに「垂直カタパルト」があれば、そいつだけで甲板の高さにたどり着けるかもな。

 

 甲板にたどり着けば、先述通り艦橋を攻撃すべし。

 十分な打撃を与えれば、強襲艦は爆発する。

 

 

 

 もちろん艦橋を攻撃した後は、強襲艦から離れておきたいところだ。

 勝って兜の緒を締めよって奴だな。

 

 

 

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