文書データ:ルカの傭兵活動ログ   作:上代わちき

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ログ12「封鎖機構介入後の情勢」

 

 

 

◆1「企業の方針」

 

 俺の悪い予感は的中してしまった。

 惑星封鎖機構が、本格的に戦場へ介入してきた。

 

 奴らはルビコン全域に制圧艦隊を展開し、各地へ執行部隊を派遣している。

 おかげでベイラムもアーキバスも調査拠点をいくつか失っているようだ。

 

 

 

 今まで企業は惑星封鎖機構との戦闘を避けてきたわけだが、ここからはその方針を変えていくようだ。

 

 

 例えば、中央氷原の「ヨルゲン燃料基地」辺りでまた動きがありそうだな。

 この燃料基地は現在封鎖機構の補給拠点なのだが、アーキバスはここに手を付けるようだ。

 

 この情報が正しければ、企業は本格的に封鎖機構と戦う姿勢を示すこととなる。

 となれば、俺達独立傭兵にとっても大きな事件となるだろうな。

 

 

 

 封鎖機構を叩けば金になる。

 腕に自信があるなら、またとないチャンスだ。

 

 

 

 一方で、封鎖機構もこの動きを想定している節がある。

 

 

 最近になって「特務機体」なる存在の情報が出回るようになった。

 とりわけ「エクドロモイ」という、特定目標の排除を任務とする高機動機が動いているようだ。

 

 二機で組む連携が特徴で、高機動型ゆえに簡単に逃がしてはくれない。

 もし応戦する羽目になったら、片方を迅速に排除するべきだろう。

 

 

 

 俺の読みが外れなければ、今後は封鎖機構を叩く仕事が増えるだろう。

 なら、こういった手合いへの備えは用意しておくに限る。

 

 高火力を発揮できるよう調整した近接武器や、もしくはガトリングやグレネードといった兵装がおすすめだ。

 

 

 

◆2「V.Ⅶスウィンバーン」

 

 現在の「壁」は、アーキバスの占領下にある。

 ここで、少々動きが見られた。

 

 同施設は現在「V.Ⅶスウィンバーン」が指揮している。

 ヴェスパー部隊の第七隊長……アーキバスの、まぁ大物の一員だ。

 

 

 ここ最近そのスウィンバーンが、前線に出て夜警を繰り返しているようだ。

 先の惑星封鎖機構の一件で、情勢が混沌としているのが背景にあるのだろう。

 

 これは他勢力にとっては、それなりのチャンスかもしれないな。

 スウィンバーンは会計責任者であるらしいから、そこをつつけばヴェスパーにそれなりの打撃を与えることができるかもしれん。

 

 

 スウィンバーンのAC「ガイダンス」は、ハンドミサイルとグレネードを特徴とする四脚型だ。

 パルスシールドやパルスアーマーで防御を固める、典型的な空中要塞型だ。

 下手に二脚型やMT部隊と連携されると、相応の強さを発揮してくる。

 そのまま連携に気を取られていると、スタンバトンで機体を鹵獲されてしまうかもな。

 

 だからこそ単独での夜警時を襲えば、その利点を無視して排除できるかもしれないな。

 実際に奴を撃破する仕事を見つけた時は、ステルスを意識して奇襲を仕掛けてみるのも手だろう。

 

 

 

 奴の部下は、拠点侵入者および依頼者を特定するための監査部隊だそうだからな。

 本命を討つ前に見つかったら、面倒なことになるぜ。

 

 

 

◆3「六文銭」

 

 先の「壁」の動きを受けてか、解放戦線もきなくさい動きを見せている。

 ACを一機、「壁」の近くに潜伏させているようだ。

 

 独立傭兵「六文銭」。

 そのAC「シノビ」だ。

 

 

 もともと解放戦線は、「壁」を保有していた時期以前から色々な独立傭兵に粉をかけていた。

 そうして自勢力に取り込んだ傭兵の一人のようだな。

 

 奴は今や解放戦線に洗脳されているとみるべきだ。

 六文銭の動きとはそれ即ち解放戦線の動きと見ていい。

 

 

 だから……そうだな。

 例えばベイラムの依頼で、アーキバスの「壁」を落とそうものなら、六文銭による横やりが入るかもしれない。

 

 

 

 六文銭のAC「シノビ」は、軽量二脚型だ。

 エルカノ製ACをベースにしつつ、ベイラム製パーツや、意外なことにオールマインド製パーツを用いて改造しているようだ。

 

 ベイラム製ショットガンと、オールマインド製プラズマ機雷投射器を組み合わせた近接戦闘能力は馬鹿にできないものがある。

 よほど近接戦に特化したアセンをしていない限り、六文銭相手の近接戦は避けた方がよさそうだ。

 

 

 

 単独での戦闘能力は、他の同ランクランカーと比べても高水準にある兵だ。

 現在の「壁」方面で仕事をするときは、こいつの存在を警戒するべきだろう。

 

 

 

 ……それにしても、なんでこれほどの傭兵が解放戦線に篭絡されたんだ?

 それだけ解放戦線からの待遇が魅力的だったのだろうか?

 

 

 

◆4「エンゲブレト坑道」

 

 アーキバスも解放戦線も動きを見せている一方で、ベイラムも相応の動きがある。

 エンゲブレト坑道の近傍で、何か作戦を展開するようだ。

 

 もしかしたら、その坑道や近傍拠点で何か仕事があるかもな。

 

 

 

 問題の「エンゲブレト坑道」は、中央氷原にある施設だ。

 何でも、ウォッチポイントのひとつでもあるらしいな。

 

 老朽化して久しいようだが、それでもこの施設の意義は小さいものではないようだ。

 その証左に、同施設は封鎖機構の部隊が配備されている。

 近く、修繕も行うそうだ。

 

 

 

 だから、そうだな……修繕対象となる最奥の機械を壊せば、封鎖機構に対するちょっとした打撃にはなるかもしれないな。

 これを為すのが俺にしろ他の独立傭兵であるにしろ、まぁそれなりの動きとなる筈だ。

 いい金稼ぎになるだろうよ。

 

 

 

 ただし、ウォッチポイントということはここもコーラルの地中支脈に近い筈だ。

 戦闘のはずみで、いつかみたいにコーラルが噴き出すかもしれない。

 

 実際のエンゲブレト坑道付近での戦闘では、地形にも注意した方がいいだろうな。

 

 

 

◆5「惑星封鎖機構の機体」

 

 惑星封鎖機構の特徴として、企業よりも優れた水準の技術を用いることだ。

 要するに、今ルビコン内で運用されているLC機体は、ACやMTよりも戦術上の価値が大きい代物だってことだ。

 

 だから企業は、惑星封鎖機構の機体を鹵獲したいようだ。

 封鎖機構による実力行使は、現場単位では大きな混乱を巻き起こした一方で、かえって企業に火を点けた側面もあるのさ。

 

 

 もし封鎖機構機体の鹵獲が成った場合、実際に鹵獲できた勢力は大きな影響力を有するようになる。

 コーラル争奪戦においても、大きな分岐点となるだろう。

 

 

 

 勿論、企業と敵対する解放戦線にとっては面白くない展開だろう。

 だから、解放戦線による妨害も考えられるな。

 

 もしかしたら解放戦線が直接封鎖機構の機体を破壊して、鹵獲を防ごうとするかもな。

 もとより解放戦線と惑星封鎖機構も互いに敵対していたが、昨今の情勢でこの辺も浮き彫りになっているようだ。

 

 

 

 「壁」やジャガーノートを失った今の解放戦線に、今更封鎖機構を攻撃する余裕があるとは思えない。

 だから実際に動くとしたら、独立傭兵だろう。

 

 

 

 まさしく書き入れ時だ。

 受ける仕事を間違えるとあっさり死ぬが、クレバーに立ち回れば大金を稼ぐチャンスとなる。

 

 さて、どう稼いだものか。

 

 

 

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