文書データ:ルカの傭兵活動ログ   作:上代わちき

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ログ23「RaDとアーキバスの機体情報」

 

 

 

◆1「チャティ・スティック」

 

 このところ、RaDがきなくさい動きを繰り返している。

 うまいこと企業の目を誤魔化しているようだが、俺の目は誤魔化せない。

 あれは何とかアーキバスに一泡吹かせるための工作だ。

 

 そこで、万一に備えてRaDのAC乗りと機体の情報をまとめておくことにした。

 まずはシステム担当の「チャティ・スティック」について記す。

 

 

 

 チャティは、RaDの頭目カーラを補佐する提案型AIだ。

 どうやらカーラ自慢の"息子"のようだな。

 

 他方で、その能力は本物だ。

 システム担当の名の通り、機械の管理やハッキングといった業務と得意とするようだ。

 RaDが単なるドーザーや武器商人に留まらない、"本物"というべき何かを秘めているのは彼の能力あってのことかもしれないな。

 

 

 

 一方で、わかりやすい暴力についても一定の能力を有している。

 

 

 チャティが操るAC「サーカス」は、エルカノ製タンクを採用した高機動型だ。

 フィールドを走り回るチャティを捉えるのは困難を極めるだろう。

 

 その高機動の中から放たれるグレネードやミサイルは、当然高火力だ。

 敵対時の対処法としては、とにかく動き回ってグレネードやミサイルから逃げまくることだな。

 

 

 

 逆に言えば、アセンと動きを間違えなければ回避は意外と容易だ。

 チャティの真骨頂はやはり高機動型タンクを用いるが故の、地上での生存能力だ。

 

 このACが表舞台に出てくるとすれば、僚機の存在を前提としている筈だ。

 支援に徹している時のこいつはかなりしぶといだろうから、まずはチャティの僚機を落として状況を変えるところから攻略をはじめるべきだろう。

 

 

 

◆2「シンダー・カーラ」

 

 現在RaDに残っている有力な機体といえば、やはり以前のログにも記したスマートクリーナーの存在だな。

 あの時記した時に確認された機体は、ベイラムの作戦によって喪失したと聞いているが、それとは別に用意があるようだ。

 もしかすれば、こいつも表舞台に出張ってくるかもな。

 

 だがそれよりも記すべきは、カーラとそのACについてだろう。

 このログでは、そちらについて記そう。

 

 

 

 シンダー・カーラ。

 RaDの頭目にして、全製品の基礎設計を行う技師だ。

 

 RaDの開発するACフレームや改造MTについては、彼女自身が設計しているか、もしくは何らかの形で彼女が設計に携わっているという。

 「殺しの道具だからこそ、ひとつ笑える必要がある」と常々嘯いているらしく、故に彼女の製品は奇抜な性能を誇る。

 だからこそ、実に"笑える"パーツが多いのだろうな。

 

 

 

 だが一方で、彼女はAC乗りとしても一定の技量を有する。

 

 

 AC「フルコース」は、驚くべきことに専用のフレームで統一されたワンオフ機だ。

 注文があればフレームを再生産して傭兵に売る用意はあるのだろうか、それはよほど実績と信頼のある顧客のみに限られるだろうな。

 

 装備する兵装も特徴的だ。

 全てRaD内で開発したミサイルで統一されている。

 いずれもファーロン製と比べると、いずれも相手の死角を突くことを想定しているようだ。

 

 つまり彼女のAC自身が突撃することで気を引き、相手が混乱したところを予め発射しておいたミサイルで仕留める……といった戦法が予想できる。

 知らなければ厄介だろう。

 

 

 

 他方で、まともなアセンブリを施したACがあれば、敵対時の対処は容易だろう。

 所詮はミサイルだから、回避に専念すればいずれは隙を見出せる筈だ。

 

 単体としては、意外と強くはない。

 気を付けるべきは、ACのステータスとは異なる部分にある。

 

 

 組織の頭目故に僚機をあっさり用意する能力や、あるいは戦闘とは異なる部分こそが、彼女の真骨頂だろう。

 

 

 

◆3「V.Ⅱスネイル」

 

 水面下で様々な勢力が動きを見せつつある戦況だが、それでもアーキバス優勢の現状は変わらない。

 ヴェスパーの損耗は激しく、封鎖機構機体への更新もよく散見されるが、この辺りでアーキバスの既存兵器についても一度再確認しておこう。

 

 アーキバスと言えば、やはりACだな。

 そして、ACの最高性能機といえばスネイル"閣下"のAC「オープンフェイス」だろう。

 

 

 

 V.Ⅱスネイルは、アーキバスグループ強化人間部隊ヴェスパーの次席隊長。

 ルビコンにおける実質的な司令官なのだが、番号の上では二番となっている。

 これは純粋な実力ではV.Ⅰフロイトがずば抜けているが故の措置だろうか?

 

 ともあれ、スネイル自身は第八世代手術を受けて強化人間になった後、新しい術式が開発されるたびに再手術を繰り返している。

 故にその身体性能は、まさしく最高峰といっていいだろう。

 

 

 

 そんなスネイルが操る「オープンフェイス」は、アーキバス製の重量二脚ACだ。

 

 

 特徴的なのは「アーキバス先進開発局」が開発した最新型装備をフルに装備している点だな。

 フレームは既存のアーキバス製品では見られなかった重量型を採用しており、かなりの装甲性能を誇る。

 

 その分機動力には難があるようだが、そこは左手に装備しているレーザーランスの爆発的な推力で補っている。

 鈍重な機体だと油断していたら、恐ろしい速度で肉薄されて貫かれるだろう。

 

 

 他方で、より特徴的なのはアイスワーム殺しにも使われていた「スタンニードルランチャー」を装備している点だな。

 この兵装はかなり高火力で、しかもスタンガンと共に使用することを想定しているから"強制放電"による追加ダメージが想定される。

 

 現在スネイルは再教育センターの長官も兼任しているようで、それを受けて敵機の鹵獲にも使えるスタン兵装へ最近換装したようだ。

 本来は通常のレーザー兵装を想定した構成故一部最適化が追いついていないようだが、それでも純粋な兵器としても攻撃力が高いから、万一の敵対時は要注意だな。

 

 

 

 総合して、並のACでは比較にならない装甲と火力を両立する巨人だ。

 欠点となる機動力も一定の対策が施されているのは上述通りだから、下手なパイロットを乗せたLC機やHC機よりも優れた性能を誇るだろう。

 

 

 

 パイロットであるスネイルは、再教育センターやファクトリーを運用して、多くの死体を積み重ねている。

 それ自体はとても残酷なことだが、だからといってそれらの犠牲を無為にするほど無能とは思えない。

 

 スネイルとそのACは、そういった"研鑽"の果てに至った技術の結晶といえるだろう。

 

 

 

◆4「アーキバスバルテウス」

 

 既存のACも驚異的なアーキバスだが、一方で封鎖機構の機体を用いた戦力更新も怠っていない。

 

 今回掴んだ情報曰く、封鎖機構のバルテウスを改修した兵器の存在が確認できたという。

 さしずめ「アーキバスバルテウス」と呼称すべきか。

 

 

 

 アーキバスバルテウスは、文字通り封鎖機構の無人兵器「バルテウス」を、アーキバスが改修した兵器だ。

 

 

 基本はバルテウス同様、ACとは比較にならない機動力と装甲性能を誇る。

 だがアーキバスらしく、今回の機体はEN兵装を重視した強化が施されているようだ。

 

 確認できた兵装は、プラズマライフル・パルスキャノン辺りだな。

 他にも超高出力のレーザー兵装も隠し持っていることがわかっている。

 

 

 

 例の驚異的なミサイル兵装はオミットしたか、あるいは数を減らしてしまっているようだ。

 が、その分を前述したEN兵装の数々で補っている。

 純粋な火力なら、こっちの方が上かもしれないな。

 

 

 

 面白いことに、もともとバルテウスに装備されていたパルスアーマーを、アーキバスは強化できているようだ。

 眉唾な話なのだが、時間経過による自己修復機能を備えているのだとか。

 この情報が真実だとすれば、この機体の耐久性能はベース機を凌駕しているといっても過言ではない。

 

 素のEN防御性能も高いから、パルスアーマー特攻のパルスガンも総合的に有効とは限らないだろう。

 BAWSのバーストライフルのような純粋に火力が高い実弾兵装の存在が、この機体を攻略するヒントになるかもしれないな。

 

 

 

◆5「謎の有人型C兵器」

 

 技研のC兵器といえば、基本は無人型だ。

 だが、何事にも例外というものは存在する。

 

 アーキバスは、そんな代物をも鹵獲したようだ。

 有人型C兵器だ。

 

 

 

 

 その有人型C兵器は、ACであるらしい。

 故にパーツの一つ一つは、既存のACへと組み込むことができるようだ。

 入手できれば、の話だがな。

 

 基本的なスペックは、中量二脚もしくは重量二脚機に相当する。

 タンクよりは高い機動力を誇る一方で、耐久性能は並のACと同等程度。

 そこを、専用のシールドで補う構成のようだ。

 

 

 

 使用兵装は、コーラルライフルとコーラルブレード。

 そしてコーラルミサイルだ。

 

 いずれも高い攻撃力を誇る兵装のようだから、この機体と敵対する際はより回避を重視しなければならない。

 コーラルによる攻撃は、他属性攻撃と違い装甲で対策することができないからな。

 

 

 

 またそれぞれの兵装には"チャージ"の概念があるが、これが通常の兵装とは大きく具合が異なる。

 よほどのデカブツ相手や対多数を想定しているのか、超高火力かつ範囲が広い。

 その分負荷も大きいようだが、専用のコーラルジェネレータを用いることでアセンブリとして成立させているようだ。

 

 

 

 とにもかくにもACとしては派手な印象を持つが、その分大振りな性能に終始している。

 ACとしては小回りが利かなさそうだから、そこが弱点となるだろう。

 それでも基準となる火力が高いから、脅威には違いないがな。

 

 

 

 

 

 このAC兵器についての、これ以上の詳細は不明だ。

 だからアーキバスとしても解析にリソースを回したい筈だろう。

 故によほどの緊急事態でもない限り、これを繰り出すことはないと思われる。

 

 だが、戦場に絶対はないからな。

 その"よほどの緊急事態"が起きた時は、ともすれば既存のアーキバス戦力を大きく超える脅威となるかもしれない。

 

 

 

 コーラルというものは、それほどまでに恐ろしい代物だからな。

 すべての決着がつくその時まで、油断は大敵だ。

 

 

 

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