まず最初に、この俺「ルカ」はオールマインドに命を狙われていたという経緯を持つことを断っておく。
既に何回かオールマインドからの刺客を差し向けられ、そして何度も返り討ちにしてきたわけだ。
そして先日、奴は切り札というべき兵器を繰り出してきて、ルビコン脱出を目指す俺への障害として立ちふさがってきた。
その戦闘の詳細は割愛するが、まぁ何とか勝つことができた。
今まで可能な限り実力を隠してきたこともあって、最後まで向こうの油断を突くことができたのさ。
このログを記すことができているのは、そのためだ。
こいつは今までとは異なるセキュリティを用いているため、今までのログとは異なり流出することはないだろう。
故に、前回とは異なりただの個人的な備忘録として記す。
まずは戦闘終了後の経緯だ。
オールマインドの兵器を撃破した後、突然「V.Ⅲオキーフ」から通信が入ってきた。
どうやらうまいこと地下から生還していたそうだが、さらに驚くべきことにオキーフはオールマインドと敵対している立場だったそうだ。
何でももともとはオールマインド側のエージェントだったそうだが、奴の野望に失望してアーキバスへ寝返り、オールマインドの野望を破ることを選択したらしい。
それ以上のことは、教えてもらえなかった。
オキーフは俺に対して共闘を提案してきた。
オールマインドの「本体」を無力化するために、協力してほしいとな。
俺としてもオールマインドから身を護りたいわけだから、すぐ提案を飲んだ。
後は、とんとん拍子だった。
その時点で入手していたデータを提供し、オキーフによるオールマインドへのハッキングもサポートして、そうしてようやく状況が終わった。
以降のオールマインドは、"正常"な傭兵支援システムとして振舞うだろう。
以後、オールマインドの野望とやらが実現することはない。
協力の見返りとして、オキーフは俺のデータをアーキバスから削除してくれるそうだ。
今まで散々アーキバスへちょっかいをかけた形になっていたから、有り難い限りだったよ。
それから解放戦線やエルカノの方にもツテがあるそうで、こちらからの恨みを買うこともなくなった。
表向き「独立傭兵ルカは、所属不明機体と相打ちして死亡」という形になっているからな。
後は、オキーフと別れておしまいだな。
オキーフは今まで通りV.Ⅲとして、コーラル争奪戦の行方を見届けるそうだ。
もしかしたらまだ一波乱あるようだが、最悪でも第二のアイビスの火が起こる"程度"の想定だから御の字だろうと、安堵していたよ。
俺としてはそんな災害に巻き込まれたくないから、今度こそルビコンから脱出させてもらった。
オキーフの助言通り、星系の外へな。
こうして、俺のルビコンにおける傭兵活動は終わりとなった。
総評として、退屈しない傭兵活動だった。
ここまで楽しい戦場は他にはなかなかない。
色々手痛いしっぺ返しも食らったが、結果としては傭兵としても稼げたし真実の探求者としても大きな収穫を得られた。
勿論すべての情報を持ち帰れたわけではないが、悪くない結果といえるだろう。
ルビコンのこれからについてだが、正直どうなるかはわからないな。
オキーフの見立てでは「壁越えの傭兵」がどう動くか次第らしい。
地下探査の途中でスネイルに騙されて捕えられ、今も再教育センターで眠り続けている同人物を巡って色々動きがあるそうだが……流石にそこを確かめる気にはなれないな。
まぁ一介の独立傭兵としてかかわれるのは、どうあがいてもここまでだからな。
ひとまずはそれで満足だ。
俺のこれからについてだが、当面は「ルカ」として独立傭兵を続けるつもりだ。
表向き死亡した以上、まだこの名義には使い道がある。
万一の過去の怨恨が絡んでも、たまたま同じ名義の別人だと言い張れる用意があるってわけさ。
ルビコンの一件で、俺自身"火が点いた"。
当面は、今まで通り戦い続けるさ。
改めて、ルビコンでの記録は以上だ。
上述通りしばらくは傭兵として戦って、気が向いたらまた新しい真実を探しに行こうか。
『真実の探求者』ルカ