というわけで、番外編配信前に筆者過去作の「一般ルビコニアンデス傭兵の話」「砂漠のアウトサイダー」の情報を軽くおさらいしよう~の番外編です。
◆1「ソリアーノ」
俺がルビコン3を訪れる前は、惑星「ソリアーノ」で稼いでいた。
当時のソリアーノでは、三つのコーラルプラントを巡ってベイラムとアーキバスが争っていたよ。
ルビコンと同様、独立傭兵にとっての稼ぎ場さ。
ソリアーノでの戦争は、いわばルビコン3におけるコーラル争奪戦の前哨戦といっていい代物だった。
本格的に情勢が動き出した当時、ベイラムはプラントを一つ、アーキバスが残り二つのプラントを保有している状況だった。
だがアーキバス側のプラントは、ベイラムに奪取された。
一時はベイラムの勝利が確実視されたよ。
だがアーキバスは独立傭兵を用いた報復をはじめ、結果としてソリアーノは事実上焦土化した。
当然プラントも無事に済むこともなく、どちらも目的を果たすことはなかった。
コーラルを巡る戦いの決着はルビコン3へ持ち越された、といってもいいな。
そんな戦場であったため、名だたるAC乗りがこぞって参加していたことでも有名だ。
とりわけ「ヨーダン」「ダリ」「ワンダラーのマイナー」「ガリラヤ」辺りは見逃せない。
当然他にも多くのAC乗りがいたが、今回はその四名について記す。
◆2「ヨーダン」
独立傭兵ヨーダン。
もともとはベイラム専属AC部隊「レッドガン」に所属していたAC乗りだ。
レッドガン所属当時は「ヘルモン」と呼ばれる女性AC乗りとコンビを組んで、大暴れしていたそうだな。
故に「ヘルモンの猟犬」と呼ばれるに至る。
だがヘルモンはある作戦にて戦死したようで、それを機にヨーダンは自身とヘルモンのACを持ち出して脱走したという。
それだけ彼女の死が堪えたということだろうが、まぁレッドガンとしてはたまったもんじゃない。
結果としてヨーダンは追われる身となり、公的な場から名前を消される結末を辿ったようだ。
そうしてレッドガンとしてのヨーダンは死んだわけだが、彼自身はその後独立傭兵としてソリアーノで活動していたそうだ。
ソリアーノではベイラム寄りの傭兵として参戦し、多大な戦果を挙げてベイラムに利益を齎した。
一時ベイラムが全てのプラントを保有していた時期があったと前述したが、それはヨーダンの働きあってのことと言っていい。
それだけ、優れた傭兵だったわけさ。
しかし、英雄の凱旋は長く続かない。
詳細は不明だが、ヴェスパー部隊のダリとの激突を最後に表舞台から姿を消したようだ。
状況から察するにダリにやられてしまったか、生還はできてももう傭兵稼業を続けられない程度の傷を負ったか……まぁその辺りだろう。
かくして、一人の傭兵が戦場の闇に葬り去られた。
この業界じゃ、よくある話さ。
◆3「ヴェスパーのダリ」
個人としてのヨーダンは、おそらく悲劇的な末路を辿った。
が、当時のソリアーノ情勢はヨーダンを中心に渦巻いていたことは前述した通りだ。
ヨーダンの存在があってはじめて、ベイラムは快進撃を展開できた。
ベイラムの敵であるアーキバスにとっては面白くない状況だ。
そんなアーキバスが用意した秘策が「ダリ」だ。
ダリは、アーキバスグループ強化人間部隊「ヴェスパー」の番号付きだ。
当時における最強格のAC乗りであり、あのV.Ⅰフロイトに勝るとも劣らない兵であったという。
代表的な実績は彼自身の故郷でもあるコロニー「フィゲラス3」の殲滅任務。
ダリはその任務で、故郷すら焼く企業への忠誠心と処刑人としての能力を示した。
故にダリは「フィゲラスの処刑人」として恐れられる、アーキバスの懐刀であったのだ。
ダリがソリアーノ入りしたのは、ヨーダンが大暴れし始めた頃。
だから、当時の傭兵達は「ダリとヨーダン、どっちが勝つのだろうか?」という話題で持ち切りだったぜ。
事実、ダリとヨーダンの激突は現実になった。
ただし、その戦いの決着については情報が錯綜している。
ダリがヨーダンを斃したという説もあれば、逆にヨーダンが勝ったという情報もあるしな。
俺の意見としては「両者痛み分け」と考えるのが無難……ってところだ。
この戦いを機にダリもヨーダンもソリアーノの表舞台から退いたことを思えば、まぁあり得る話だろうと思う。
ともあれ、アーキバスは「ダリ」という切り札を用いてヨーダンを情勢から排除した。
これがソリアーノにおけるダリの動きだ。
ダリはその後ソリアーノから撤退してルビコン入りし、そこで暗殺される末路を辿ることになるのだが……まぁ、この辺りは割愛しようか。
◆4「ワンダラーのマイナー」
ヨーダンとダリが、ソリアーノの表舞台から消えた後。
さらに多くの独立傭兵がソリアーノへ参戦していった。
どいつもこいつもヨーダンやダリと同格の化け物ばかりだったから、余計に情勢は混沌と化した。
それ故にベイラム・アーキバスともに目的を果たせなかったのは、前述した通りだな。
みんながみんな特筆に値する者ばかりだが、今回は「ワンダラーのマイナー」について記す。
ワンダラーのマイナーは、かなり古い時期から活動している独立傭兵だ。
特徴として「ワンダラー」と呼ばれる傭兵同士の互助会に所属している点と、ワンダラーの内外問わず人脈が広い点が挙げられる。
俺もあの爺さんと協働で仕事をしたのも、もう何度になるものか。
そんでもって、その実力も本物だ。
当人は謙遜していたが、大真面目にあのV.Ⅰフロイトにも匹敵するイレギュラーと見做しても遜色ないだろうよ。
本気の爺さんとの敵対は、それ即ち死を意味する。
一方で、どうやらマイナーはあのルビコン3に縁深い疑いがある。
ルビコン解放戦線の優れたAC乗りは、古い伝統に則って五指にちなんだ異名を名乗っている。
サム・インデックス・ミドル・リング・リトル……といった具合だな。
その名のはじまりは、師父であるサム・ドルマヤンが流浪のドーザーだった時代にあると思わしい。
その当時に、解放戦線の若き戦士の姿はない。
だから先代というべき者達が、同じ称号を名乗っていたのだろう。
俺の調べでは、そのうちの一人がマイナーだ。
さしずめ「先代ミドル」というべき存在だったようだ。
これが真実なら、かなり古い時代からの生き残りということになる。
あんなに強いのも当然だろうよ。
ただし、これは個人のプライベートにかかわる部分だ。
ましてや見知った傭兵仲間が相手。
だから、当人からの裏付けはとれていない。
これからもする予定はないな。
……多分当人には見抜かれてしまっているが、詮索や口外なしで個人的なログに記す分には言外に許してくれたよ。
もともと俺の好奇心の強さを知っている人だったから、そこを汲んでくれた。
そういう事情で、この情報が本当かどうかは断定できない。
が、こういう「先代ミドル」のような存在は、この広い宇宙のどこかにいるのは事実のようだ。
サムやミドルを含めた、五人ともな。
◆5「ガリラヤ」
サム・ドルマヤンの、古い同志達。
その一人であるかもしれない存在は、マイナーの他にももう一人ソリアーノにいる。
ガリラヤ。
惑星ソリアーノの「ガレージ街」一角を仕切る老婆だ。
ガレージ街は、ベイラム寄りの場所だ。
だからなのか先述した独立傭兵ヨーダンとも縁があったようで、当時は彼のオペレーターとして活動していたらしい。
もしかしたら、ヨーダンがあそこまで戦果を挙げたのはこの婆さんの存在あってのことだったかもな。
ガリラヤ婆さんは、表向きベイラム筋の人間だ。
だが、その来歴は虫食いまみれとなっている。
これで裏を感じ取れないのはモグリだよ。
ではその「裏」とはなんだったのか。
それこそが、サム・ドルマヤンの古い同志であった……と俺は見ている。
先代リトル。
それが、ガリラヤ婆さんにかけられた疑いだ。
その裏付けになるかどうかは不明だが、彼女もまたサム・ドルマヤンやワンダラーのマイナーに匹敵する実力の持ち主だったらしい。
ぜひとも、一度くらいは胸を借りたかったよ。
勿論、実際の真実は不明だ。
実のところ俺も一時期ガリラヤ婆さんの世話になっていたから、あんまり詮索したくなかった。
だからマイナー同様、あくまで疑いだけだよ。
ただし。
これは誰にも見せない個人的なログであることを前提に記すが、多分二人共"アタリ"だ。
だから俺は、サムを除いた"四人の先代五指"全員と縁ができた計算になる。
まったくもって、人の縁とは不可思議なものだよ。
今回ソリアーノについての情報をまとめようと考えたのは、主にこれが理由だ。
今思い返せば、俺はかなり数奇な縁に恵まれていた。
それを再確認したかったのさ。
残る二人「先代インデックス」と「先代リング」については、別のログに記す。