◆1「ウォッチポイント」
ようやっと情勢が落ち着いてきた。
汚染市街を巡回していたヘリの撃墜、「壁」を筆頭とした解放戦線の攻略。
まぁなかなか激動だったぜ。
それなりに稼げた。
ひとまずはどの陣営も落ち着いているようだが……他方で、そろそろまた何かが動きだしそうな気配もする。
俺の読みじゃ、次に何か起きるとしたら「ウォッチポイント・デルタ」だ。
このウォッチポイントと呼ばれる施設は、コーラルの地中支脈を監視する場所だ。
かつてはその流量制御も行っていたそうだ。
今この施設は惑星封鎖機構のSGが警備に当たっている。
特徴的なのは、施設各所に設置されている「レーザー砲台」だ。
下手に施設周辺を徘徊してると、このレーザーに焼かれてしまうだろうな。
万一近づく必要がある時は、できるだけACの機動力を活かして回避するか、いっそ砲台を破壊して安全を確保した方がいいかもしれん。
まぁそういう事情で企業や解放戦線は手出ししないわけなんだが……これからもそうであるとは限らない。
既に何者かが動き出しているようだ。
例えば、例の第二工廠でも確認されたステルス機体が、この施設にも潜んでいる……といった噂がある。
所詮は噂だが、火のない所に煙は立たぬともいう。
"何か"は起きているようだ。
◆2「独立傭兵スッラ」
先のステルス機の噂と関係あるかはわからないが、この辺りで「独立傭兵スッラ」が潜伏しているという情報を掴んだ。
スッラは、アイビスの火以前からルビコン周辺星系で活動していた傭兵だそうだ。
つまり老境の生き残りだ。
かなりできる独立傭兵ってわけだな。
第一世代の強化人間と知られるスッラは、「狩り」を請け負うと評判だ。
おそらくは封鎖機構の何かを狩るつもりか、あるいはウォッチポイントに眠る何かが目的なのだろう。
ちなみに、スッラのAC「エンタングル」はアーキバス製のパーツをよく使う傾向にある。
中立と思わしきオールマインド製パーツの併用も印象深いが、アーキバスによる差し金で「狩り」を行うという構図のようにも思える。
少なくともアーキバスからの依頼を全て蹴っている……なんてことはない筈だ。
この辺りに、何か真実が眠っているかもな。
一方で。
最近の動きを探る限り、スッラは"ウォッチポイントをウォッチ"しているようにも見える。
言葉にすると実に間抜けな響きだが、まるで何かを待ち伏せしているようにも思える動きだ。
惑星封鎖機構やウォッチポイント以外にも、何か「狩り」の対象がいるのかもな。
※追記
スッラのAC「エンタングル」について補足がある。
今回確認されたエンタングルの武装だが、パルスガンがある。
こいつはEN属性の兵装で、とりわけパルスアーマーの類に対する特攻が特徴だ。
後述する兵器の存在を思うと、やはり先の俺の見立ては間違いではないとは思うが……。
一方で、他にもオールマインド製の兵装も確認されている。
個人的に興味深いのは「44-141 JVLN ALPHA」……特殊バズーカだ。
他の爆発武器と比べて直撃補正に優れるという代物で、ログハントの報酬として入手できるものだな。
不思議なことに、このバズーカの先端に銃剣のようなものが"着剣"されている。
このパーツに、何か大きなタクティカル・アドバンテージはないように思えるが……これを開発したオールマインドの趣味なのだろうか?
俺にはただ無意味に重量を増すだけの飾りにしか見えないが……。
◆3「バルテウス」
ウォッチポイントに何かあった場合、惑星封鎖機構は増援をよこすだろう。
先の独立傭兵なんかは何かが起きても増援を断つような対策を用意していると思われるが、それでも現場の勢力は気が抜けないことだろう。
仮に何も起きないと想定していたとしても、万全を期するため補給も密に行っているだろうな。
それだけのものが、奴ら封鎖機構にはある。
AAP07 BALTEUS。
無人機体「バルテウス」。
こいつは惑星封鎖機構の兵器だ。
優れた機動力を有しており、何かあった時に現れる増援兵器として目される。
武装として印象深いのは、まずミサイルだな。
ミサイルに特化したACよりも濃いミサイル弾幕を、この機体は展開してくる。
ミサイルを回避する挙動は可能な限り勉強しておいた方がいい。
他にもグレネードやマシンガン、ショットガンなんかの装備も備えているとのことだ。
さらには火炎放射も装備していることで、ミサイルを嫌って肉薄してくる敵機を焼き尽くす用意があるというわけだ。
これらの兵装も厄介だが、それ以上にパルスアーマーを常時展開しているのも忘れてはいけない。
ただでさえ高い耐久性能を、こいつで底上げしているんだ。
万一ウォッチポイント周辺をうろつく際は、スッラを真似てパルスガンを持ち込んだ方がいいだろう。
パルスガンならパルスアーマーを比較的容易に打ち破ることができる筈だ。
パルスアーマーを剥がせば、しばらくの間バルテウスは隙を晒す。
その隙を突いて撃破を狙うにしろ、その時間を使って逃げるにしろ、パルスアーマーを剥がす手段は用意しておくに越したことはない。
これは同時に先述した兵装群を、一瞬とはいえ、無力化することにも繋がる。
"神の世界への引導"を渡されたくなければ、パルスアーマーへの対策は必須だぜ。
◆4「幻聴」
これは余談のようなものだが、コーラルには幻聴を齎す作用があることが前々から指摘されている。
例えばコーラルを用いる旧世代の強化人間は、コーラル管理デバイスを脳内に埋め込むといった措置を受けている。
それ以外だと、コーラルを向精神薬として用いる「ドーザー」なんかも日常的にコーラルを取り込んでいるという。
こういった手合いはコーラルを体内に取り込むことになるわけだが、コーラルは人体に対して悪影響を齎す物質だ。
脳内コーラルが焼き付いて、記憶障害や感情への悪影響が齎されるというわけだな。
そうしたコーラルによる悪影響の中には"幻聴"も存在するとされる。
旧世代型強化人間ではよくある症状のようで、こういった症状が出る場合は"調整"することも検討するべきだろうな。
例えば……文字通り脳深部デバイスを調整したり、普通にスケジュールを調整して休みを捻出したり、な。
一方で、コーラルとは情報導体としての側面を有する、
だからコーラルによって齎される幻聴とは、有益な情報を入手するチャンスと言い換えることができるかもしれない。
コーラルを通じて、未知の新情報を得られるかもしれない。
それが俺達人間にとっては、幻聴と言う形で現れるだけ……という仮説だな。
まぁこの仮説を検証するには、何かとリスクがでかすぎるな。
ただの耳鳴りでしかない場合もあるし、通信手段の一種として真に受けるには色々と障害も多い代物だ。
だからといって、ただの幻聴と済まして油断することは避けた方がいいかもしれない。
考えすぎかもしれないが、戦場で何が起きるかわかったもんじゃないからな。
観測データ:独立傭兵ルカについて2
所属不明機から抜き取った観測データ。
高度に暗号化され、何者かによって解除された形跡がある。
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例の探り屋ですが、これ以上の文書データの有益性は認められません。
この辺りで消えてもらうのが得策でしょう。
計画の第3条件を取り込んだ後、あの老兵に依頼を。