◆1「グリッド086」
べリウス地方北西ベイエリア消失を伴う、コーラル局所爆発。
拡散されたコーラルは、アーレア海の超えた先の「中央氷原」に向かっている……そのような旨の情報が出回った。
コーラルには鳥や魚の群知能にも似た、集まろうとする特性がある。
この特性を組み合わせて考えれば、この情報筋は「中央氷原のどこかに大量のコーラルが眠っている」と訴えているわけだ。
この情報が出回ったことで、企業も動き出したようだ。
どうやら、ベイラムはこれを機にグリッド086の方を注視しているという。
同グリッドに、大陸間物資輸送に使えるカーゴランチャーがあるからだ。
こいつがあれば、無人機ぐらいなら先行調査要員として送り出せるかもな。
調査拠点構築用の物資も、向こうには要るだろう。
他方で、こういった場所は「ドーザー」の巣窟だ。
コーラルを向精神薬として用いる、ならず者集団だな。
とりわけ「RaD」と呼ばれる一派が、このグリッド086を支配しているようだな。
近く、ベイラムとRaDの戦闘が予想される。
もしかしたらグリッド086周辺での仕事に恵まれるかもしれん。
予め情報をまとめておくことにしよう。
◆2「RaD」
Reuse and Development。
通称「RaD」。
先述通り、ドーザーの一派だ。
グリッド086を縄張りとしており、その実MTやACパーツを卸している武器商人でもある。
主な商品は、やはりフレームだな。
大きく分けて探査用フレームと土建用フレームの二種類が流通している。
探査用フレームは比較的軽量で、シュナイダー製の軽量フレームにも似た機動力を特徴とする。
ただACを動かすだけなら軽快な動きができて扱いやすい一方、本来は戦闘を想定していないため装甲に難がある。
慣れていないうちはベイラム製などに換装した方が戦いやすいかもしれないな。
他方で土建用フレームは比較的重量があり、剛性に優れるものという評判だ。
純粋な装甲なら、他の戦闘用フレームにも匹敵する堅さを誇る。
その他腕部パーツは反動制御にも優れるそうだが、一方でいくつか戦闘に必要なステータスに欠落が見られるとのこと。
扱いには注意を要する、ピーキーな代物らしいな。
このピーキーさは他パーツにも見られ、超近距離なら火力を発揮するが、射程に致命的欠点がある特殊ショットガンなどが代表的だ。
解体作業用チェーンソーや火炎放射器を転用したパワフルな武器も、RaD製であることが有名だな。
いずれも火力に関しては企業製に劣らない逸品だ。
その他、ブースタも卸している。
他ステータスを犠牲にQBに超特化したモデルや、空中戦に特化したモデルなどが確認されている。
ご想像の通り、まぁACに採用する場合はコンセプトや戦術と相談すべき仕上がりだそうだ。
だが、扱いを間違えなければいずれも企業製に匹敵する高性能パーツだ。
この開発力が、他のドーザー勢力とは大きく異なる、RaDの独自的存在感を高めている。
一方で、先述した通りAC以外にも色々手を出しているようだ。
それらに関しては、別のログにでも記そう。
◆3「インビンシブル・ラミー」
RaDは優れた開発能力を持つが、よりその性格を強めるようになったのが三年前。
後の頭目となる「シンダー・カーラ」が技術者集団を引き連れて加わったのが、ちょうどその時だそうだ。
……もしかしたら、この連中がいるからこその評判なのかもな。
カーラはその半年後にはRaDの実権を奪い、現頭目に至っているのは有名な話だな。
急速に成長した組織は、いやに恨まれやすい。
だからなのか、グリッド086には"門番"がいる。
インビンシブル・ラミー。
通称、無敵のラミー様だ。
大豊製パーツとRaD製パーツを組み合わせたAC「マッドスタンプ」は、特殊ショットガンとチェーンソーを装備した高火力機だ。
その火力の高さ故に、ラミーは無敵の門番として侵入者を撃退してきた。
万が一ACを落とされても、当人はしぶとく生き延びる能力に長ける。
そしてまた新しいACに乗り込み、また侵入者を撃退するわけだ。
……データを確認する限り、実際の戦闘能力よりも脱出能力の高さに関する評判が多い。
これがこのAC乗りの本質を物語っているように思えるな。
アセンブリを見る限り、チェーンソーの火力を殺してしまう調整をしているのが目立つ。
おそらく知識がないのか、それしか体に合うパーツがない……といったところだろう。
だがまぁ曲がりなりにもランカーACだ。
MTやランク圏外の傭兵を撃退する程度の能力はあるとみるべきだろう。
出くわした時は、油断禁物だな。
◆4「ノーザーク」
問題の門番が無能なのか、それともコーラルに酔っている隙を突いたのか、はたまた賄賂の一つでも渡したのか。
例のグリッド086では、ある独立傭兵の姿が確認されている。
ノーザーク。
ランク圏内の独立傭兵だ。
機体「ビタープロミス」は、レーザーハンドガン・バーストライフル・拡散バズーカ・パルスシールドを搭載する射撃機だ。
いずれも純正品で、やろうと思えば十分成果をあげられる機体だな。
決定打に欠ける側面はあるが、曲がりなりにもランカーとしての腕で補ってくるだろう。
フレームも内装も、一応ちゃんとした企業製パーツを用いている。
機体そのものの質は、まぁランク圏外傭兵の機体とは大きく異なるな。
だがそれだけに、費用の捻出には苦労しているようだ。
そこを奴は借金で補っている。
あんまりなことに、借金を抱えては踏み倒すことを繰り返す借金王と化している。
時には殺し屋を差し向けられているようだが、まぁ傭兵としてのカンに優れているのは上述の通りだ。
奴が潜伏しているグリッド086は閉所が多い施設だ。
そんな場所で繰り出される拡散バズーカの範囲攻撃は、まぁそれなりの脅威だ。
……奴は話が通じないという噂だからな。
不意打ちされないよう、グリッド086周辺ではスキャンを欠かさないようにするべきだろう。
◆5「スマートクリーナー」
RaDのいるグリッド086最奥には、実に笑える兵器が眠っているという噂だ。
そいつはヤドカリのような姿をしており、両腕に巨大なチェーンソーを構えているという。
通称「スマートクリーナー」だ。
スマートクリーナーの特徴は、その装甲の堅さだ。
あの「壁」のジャガーノートにも匹敵する堅さ……といえば、その厄介さはわかりやすいだろう。
背面に回り込むだけでいいジャガーノートと異なり背面も装甲で固めているから、戦闘時の脅威性はこちらの方が上かもな。
ただし、正面と上部の二か所に弱点があるそうだ。
そこにグレネードでも叩き込んでやれば、あっという間に姿勢を崩せることだろう。
上部に弱点があることから、垂直ミサイルなんかも相性がよさそうだ。
が、閉所の多いグリッド086がこいつの"生息域"だからな……。
実際に垂直ミサイルを用いるのなら、なんとかうまいことフィールドの下見をしておいた方がいいな。
もし仮に天井が低いロケーションだったのなら、垂直ミサイルはまともに機能しない。
その時は採用を諦めるべきだろう。
だがそれ以上に、両腕のチェーンソーを避ける立ち回りの方が重要になるかもしれない。
下手に地上に留まり続けるよりも、空中機動を駆使して相手の動きを観察することを意識した方がいいだろうな。
グリッド086に赴く際は、常にこいつを警戒して念入りに補給を手配しておこう。