日本で一番、月に近い場所   作:五宝合体竹取ロボ

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卒業舞台挨拶の質問返しを警戒してたので遅くなりました。
怒涛の設定開示が来るかと思ってたので逆に肩透かし感……。

いや、そうでもないか、雷ファンネルとか……。


【蛇足】指切りげんまん

☽000☾

 

 

 「うわ、読みにくいな……、えーっと?」

 

 仕事帰りのスーパーの店内で、端に寄ってからかぐやに持たされた買い物リストを開くと、ミミズがのたくったとまでは言わないけど、癖のある丸文字に平仮名オンリーの箇条書きが並ぶ。

 

 10年前ならまだしも、いまだに字が汚いのはどういうことなのだろう。

 8000年を考えればほとんど文字なんかなかっただろし、その後、文字が出来ても1000年以上は筆と硯で行書で書いてたのを見ていた訳だから、長く生きてるからって字が上手くなるわけでもないのは理解しているが、今風の文字は逆に経験が邪魔して書きにくいとかそういう感じなのだろうか。

 

 そんなとりとめもないことを考えながら、かぐやのご注文の品を次々とカゴに放り込みつつ店内を歩いていると、ふと雑誌立ての前で立ち止まる。

 目につくのは漫画や週刊誌にキャンプやらの趣味の本に紛れた、子供向けドリルたち。

 

 「書き取りドリルでも買ってやるか……?」

 

 買う人がいるから売ってるんだとは思うが、食料品の買い出しでついでにドリル買おうなんて思う人間が存在するのか?

 ま、どうでもいいか。その奇特な人の一人が私な訳だし。

 

 一応、ひっくりかえして裏表紙の値段を確認すると大した額でもなかったから、そのままカゴに入れる。

 

 「あとは、卵と牛乳と海苔……10円ガムにチョコ餅、ってこの後ほとんど駄菓子じゃないの」

 

 夕飯の材料が並んでたはずなのに、突然、紙面の半分を埋める駄菓子の列。

 別に買ったっていいけど、なんか最近のかぐやは常になんかしら食べてるような気がするから、……どうなんだろう。

 当人は太らない体質とは言い張ってるけど限りはあるだろうし、仮に太らなくてもお菓子の食べ過ぎは体に良くない……と思うし。

 正直、あんまりバクバク食べて欲しくはなかったり。

 

 うーん、なにか口寂しいのだろうか。タバコなんかに手を出されるぐらいなら、駄菓子を買ったほうがマシではあるけど……。

 

 「そういえば、おしゃぶりがあったな……」

 

 思い返せば一度使ったっきりで捨てずに取ってあるやつがある。

 文句言われたらそれで黙らせるとしよう。

 

 とはいえ何も無しはかわいそうだしな。

 他に歯ごたえがあるもの……、スルメは臭いし却下……、何か別の……、あっ、無塩ナッツでも買うか。

 

 「よし、じゃあここからここまで飛ばして残りは……、桜でんぶ?」

 

 弁当ぐらいしか使わないものが出てきた。

 何に使うのかと首を捻るが、答えは意外にも棚の林を抜けてすぐに見つけた。

 

 鮮魚コーナーの壁にはデカデカと恵方巻の予約のポスター。

 そう、明後日は節分だ。

 

 「あっ、そういうことか」

 

 改めて手元のメモを見返すと、煎り豆こそないが、海苔に卵に桜でんぶにetc……、組み合わせで浮かぶのは恵方巻とついでに何かしらのオードブルか。

 そうなると、大量の駄菓子は豆代わりに撒くつもりだったのだろう。

 確かに8000個も塩ぐらいしか味のない大豆なんか食べてたら途中で飽きちゃうしお菓子のほうがマシか。

 

 とはいえ、かぐやの健康を考えるとお菓子を買うのは控えたい。

 

 「なんかないかな……、お、そうだ」

 

 そう言いながらカゴの中のピーナッツを取り出す。

 かぐやの間食にと入れたものだったが、これを殻付きにすればちょうどいい。

 

 前にTVでやっていたが、北の方では煎り豆の代わりに殻付きの落花生を使うらしい。

 あまり馴染みのない文化だけど、ま、少なくとも素の煎り豆よりはピーナッツのほうがおいしい。

 干してるだけだから、余っても使い道はあるしね、戻してカレーにしたりとか。……いや、前にかぐやが作ったバターチキンカレーのはピーナッツじゃなくてカシューナッツだったか?

 いやまあ、我が家のシェフに任せればどうとでもしてくれるだろう。

 

 「落花生はっと……、あったあった、で、後は何買おうかな……、あーこれかぁ」

 

 そう言いながら目当ての物に手を伸ばして―――。

 

 

☽001☾

 

 

 「恵方巻?」

 「そー、干瓢は煮しめたし、冷蔵庫の熟成マグロは柵取りしたし、あとは酢飯だけ! ちょっと待っててね」

 

 そう言って久々に取り出した寿司桶を扇ぐかぐやをカウンターに座り眺める。

 

 恵方巻って元は遊郭の遊びなんだっけ? なんかそんなネガキャン見た気がする。

 

 そういえば、FUSHIに見せてもらったかぐやの歴史に遊郭と綺麗に着飾った女の人が居たな。

 うーん……、せっかくだし聞いてみるか?

 

 「恵方巻って最近の話だって聞くけど、実際どうだったの?」

 「ん? あー確かに? 遊郭の遊びだってどっかで聞いたかも?」

 

 私が聞いた話と似たようなことを言いながら手を止めて、しばし考えたかぐやが記憶を探るようにぼんやりと宙を見る。

 

 「うーん……、でも、かーちゃんのとこいた時は無かったかも」

 「かーちゃんって、あの綺麗な遊女さん?」

 「あれ? ……あー、FUSHIから見たのか、そーそー、吉原の大花魁、篝火ったァ、あたしのことよなんて見得を切ったりして、面白い人だったんだー」

 

 へー、あれ吉原だったんだ。というか花魁かよ、どうりで豪華な格好だったわけだ。

 

 「あっ、そうだ、恵方巻は無いにしても、何か面白いものあったの?」

 

 どこか遠くを懐かしむかぐやの顔に、ついつい深く聞いてしまう。

 

 「面白いもの? お菓子とか?」

 「そう」

 「豆菓子は普通だし……、うーん……」

 

 腕を組んで記憶を探るように悩みだすかぐや。

 軽い気持ちだったし、そんな悩むぐらいなら別に……。

 

 「あっ! ちょっと待ってて! ちょうどいいもの最近買ったんだー♪」

 

 そう言って、小鍋を取り出したかと思えばグラニュー糖をどさりと入れて火にかけながら、パントリーの奥に消える。

 開け放たれた戸からは何やらテープの剥がれる音や段ボールが割ける音が聞こえてきて、なんとも騒がしい。

 

 「ちょっと、鍋は!」

 「見てて!」

 「たくもー」

 

 時間がかかりそうな物音に心配になって声をかけると、火の番に任命されてしまった。

 椅子から腰を上げてコンロの前に立てば、小鍋では粉の山が徐々に透き通った水へと変わるところだった。

 

 腰に手を置きふつふつと沸騰し始める鍋を見ていると、何やら白い板を重そうに両手で抱えたかぐやがよたよたとキッチンに戻って来た。

 

 「うお、重っ、よいしょ! はい、じゃーん!」

 「なにそれ大理石?」

 「そー、大理石プレート! 買っちゃった!」

 「なんに使うのよそれ……」

 「ふっふっふー、この後のお楽しみー、あっ、その鍋、黄色み出てくるまで混ぜなくていいからね」

 「はいはい」

 「どこ置こっかな……、キッチンはいろいろあるし……、食卓でいっか、よいしょっと」

 

 そんな姿を見ていると、かぐやの予言どおり黄色みが出てきた小鍋を勢い良くかき混ぜる。

 なんだっけこれ、べっこう飴だっけ? 自分で作るの何気に初めてかも。

 

 「かぐやー、黄色くなったけど火止めていい?」

 「いいよー、どれどれ、お! いいねー、ちゃんと炊けてる、ちょっと貸して」

 「はいどうぞ」

 「んで、これをどーん!」

 

 そう言って大理石の上に被せたシルパットの上に鍋の中身を垂らす。

 

 「あとは、これを……、あっ、やば、ねえ彩葉、軍手有ったっけ?」

 「軍手? 確か私の部屋に……」

 「ちょっと借りるね! クローゼット?」

 「上の方」

 「りょーかい!」

 

 そう言って急ぐように階段を駆け上る背中を眺める。

 にしても飴と軍手ってなんのかかわりが……?

 

 

☽002☾

 

 

 それからは軍手にゴム手と二重に手袋を付けたかぐやが、魔法のようにでろりとしていた飴をまとめてから、捻り伸ばしてまた練ってと、見事な手つきで金色の飴の塊を作り上げた。

 いつもながら、動画で作り方を見て覚えたのだろうが、それをきちんと覚えて実行する手つきによどみはなく、何でも小器用にこなすのは素直にすごいと思う。

 

 ところで、飴細工の飴が白っぽいのって練ってそうなるんだ、初めて知った。

 白クマの毛が実は透明みたいな感じで空気が混ざることで白くなるのだろうか。

 

 「確かこうやって……丸めて爪つけて……ちょんと……できた!」

 「なにそれ……、指?」

 「おっ、正解! 小指だよー、あっまだ熱いからここ置くね」

 

 そう言ってシルパットの上にちょこんと置かれたのは、金色に輝く指。

 スプーンの柄とかを器用に使って爪や皺などを再現していて、色を別にすれば指からそのまま切り出したかのようだ。

 

 「それでこれって?」

 「指切げんまんってあるじゃん?」

 「うん、……あー、その語源?」

 「そーそー、心中(しんちゅう)立てって言って、ホントに指切って見受けしてねってやる人もいたみたいだけど、かーちゃんはこうやってお菓子で見立てて渡してたんだよねー、ま、ほとんど飴じゃなくて新粉細工だったけど、砂糖は高いしー、飴と粒銀だったら飴のほうが高かったし?」

 

 お墓から切って売ってるような激ヤバな人も居たみたいだけど、怪しい人は番頭がみんな追い返してたしねー、などと言いながら、次から次へと指を量産していくかぐや。

 

 一つ一つは綺麗だけど、こうもいっぱいあると気持ちが悪いな……。

 

 「よしできた! んー……、むふふー」

 「なんだよ、不気味な……」

 

 飴の塊をすべて指に変えたかぐやが突然、冷めた指をつまみながら、何やら怪しげな目でこちらを見つつ含み笑いをしてくる。

 

 「はい、彩葉」

 「ん? ありがと」

 

 不審なかぐやの態度は置いておいて、手に持った指を手渡して来たのでありがたく頂戴する。

 口に放り込むと、かろりと歯に当たって音を立てた指は、べっこう飴の香ばしさとなんだか不思議な軽さを感じて滋味深かった。

 

 すると、ニヤニヤ笑っていたかぐやが、急に眼をまんまるにしてこちらを指さして叫ぶ。

 

 「あー! 食べた!」

 「えっ、ダメだった?」

 

 なんかまずいことした?

 

 「えへへ~、ま、いいけどね~~、あっ、じゃあこの指、かぐやに渡して?」

 「ん? 何の意味が? 自分で勝手に食べればいいじゃん」

 「いいから! はい!」

 

 そう言って押し付けるように指を渡してくるかぐやに抵抗できず、つい受け取ってしまう。

 かぐやに渡されたものをかぐやに渡す。なんだこれ、何の意味が……?

 

 「うーん? はい」

 「よっしゃ! かぐやも食べちゃお!」

 「????」

 

 私から貰った指を宝物のように受け取ったかぐやは、小さくガッツポーズをしながら大口を開けてパクリと指を食べた。

 

 さっきから、一体、何の儀式に巻き込まれてるんだ私は。

 

 「えへへ~、かぐやもうお嫁に行けないから彩葉に貰ってもらわなきゃ~~」

 「は? え?」

 

 くねくねとしながら破顔するかぐやは相変わらず不審で意図が読めない。

 なにか致命的なことをしたような気がして背筋に汗が伝い、必死に脳みそを回す。

 

 お嫁に行けない? どういうこと? 文脈からさっきまでの話と繋がってるはず……、遊郭、身請け、心中立て、指切りげんまん……。

 

 あっ!

 

 「さっきの指切りの話か!」

 「ほうー」

 

 ぐごもった声で返事をしつつ、おかわりの指をつまみながら台所に戻るかぐやを目で追う。

 さっきの話は私をからかっていたのか、それとも本気か……。

 ま、どっちでもいいか。

 

 「んぐ、んで、心中立てってさー、そのまんま無理心中のことなんだよねー、年季も明けず、身請けの金も無いけれど、あなたのためなら私死んでもいいわ……なんちゃって」

 「夏目漱石かよ……」*1

 「あれ? そだっけ?」

 

 キョトンとした顔で見返してくるかぐやに、ちょっと不安になる。

 明治の文豪は意外と横のつながりがあったはず、サナトリウムで会った彼のツテでかぐやがご本人と会っている可能性も否定できない。

 一応、後で調べとこう……。

 

 「でさー、かーちゃんったらひどくてさー、コレ渡しとけば本気にしてもっと入れ込んで尻の毛まで毟れる! なんて言うもんだから、店のみんな真似しちゃって」

 「へー、たくましい人だったんだね」

 「ま、そうなんだけど、んでね? かーちゃんはうまい事やってたんだけど、下の子はあんまり要領よくなくて、指渡したお客どうしがばったり!」

 「うわー……」

 

 それはなかなかに想像したくない展開だ。

 

 「女の嘘を飲むのも男の度量でありんす、なんてかーちゃんが納めたけど、あれはほっといたら刀出てたね、刀」

 「あれ? ありんす?」

 「ん? あー、そりゃ、お客さんの前だとちゃんと廓言葉使うって、いくらかーちゃんでも」

  

 記憶の中のイメージと違う口調に思わず疑問が口をついたが、かぐやにばっさり否定される。

 

 まあ、そりゃそうか。私も家と職場じゃ多少変わるし。

 

 「んー……、よし! 酢飯も冷めたし、巻くか! 彩葉手伝って!」

 「はいはい、何したらいい?」

 「えっとねー、じゃあまずは―――」 

 

 

☽003☾

 

 

 「鬼はー外」

 「ふくはーうち!」

 

 掛け声とともに手から離れていく落花生はフローリングに当たってカラカラと軽快な音を立てる。

 かぐやのことだから全力投球するかと正直ちょっと身構えていたけど、意外にもおとなしく私に倣ってか手加減してあたりに投げている。

 

 「んー、鬼は外って、なんかかわいそうじゃない?」

 「そう?」

 

 指で落花生をつまみながら、ぼんやりとつぶやくかぐや。

 うーん、定型文だし、気にしたことも無かったな。

 

 「だってさ、帝たち入れなくなっちゃう」

 「あー、まあいいでしょ」

 「えー?」

 

 むしろ、せいせいする。

 年明けに大暴れしたの忘れてないんだからな……!

 しばらく出禁だ、出禁。一発芸つまんなかったし。許せん。

 結局、笑ってたの雷だけだったし。

 

 なんだか、思い出したら余計に腹が立ってきた。

 いままで控えめに構えてた拳を、背筋を感じながら後ろに引き伸ばして勢いをつける。

 

 「黒鬼は外ー!」

 「わ、全力だ! じゃあかぐやも! 福はうちー!」

 

 手に持つ升の中身をすべて投げるが如き全力投球は、辛うじて働いた理性により床へ照準を変え、着弾と同時にぱちぱちと小気味よく鳴った。

 

 心地よい肩の疲労とともに、満足げに鼻から息を吐く。

 あと片付けは脇に置いとくとして、いい気分転換にはなった。

 

 「ふー……、さて、片付けますか、かぐや、チリトリ取って」

 「いつも使ってる奴?」

 「いや、そっちの百均で買ってきたプラの方」

 「うーん……、これか!」

 

 さすがにこの後食べるっていうんだから掃除用を使うのも忍びなかったし、かといって一個一個手で拾う気にもならなかったので、折衷案で新品を買ってきておいたのだ。

 

 「じゃ、私片付けてくるからちょっと待ってて」

 「そしたら、かぐや準備してるね」

 「準備?」

 「軽く洗っちゃって、ついでにローストしてみよ!」

 「うーん? ま、いいか、任せた」

 「任された!」

 

 そう言って楽し気に何やら戸棚の奥の方を弄り始めた気配のするかぐやに、念のために一言加えようと口を開く。

 

 「あっ、トリフ塩はもういいから」

 「えー!」

 

 やっぱりか。 

 

 

☽004☾

 

 

 「ん~、うま~~、あっ、彩葉って渋皮剥く派? かぐやはねー、剥かない派!」

 「そこ派閥あるんだ……、うーん、強いて言うなら剥く派?」 

 

 どっちでも大して味変わらんだろうに、などと思いながら落花生をツマミに手に持つ紙パックから液体を吸い上げる。

 んー、思ったよりはイケるな。常飲したいとは思わないけど。

 

 「あれ? 彩葉何飲んでんの?」

 「ん? これ? ゲン担ぎ。かぐやも飲んでみる?」

 「おー、どれどれ……辛!」

 「あっはっは」

 「水~~」

 「ふふっ、はい、コーラ」

 

 机に置いてたペットボトルを渡すと、慌てた様子で喉を鳴らすかぐやに、納まりかけていた笑いが噴き出してくる。

 

 「けほ、彩葉、それ何?」

 

 気管に入ったのか涙目でせき込みながら震える指で私の手元の紙パックを指さす。

 

 「鬼殺しー」

 

 そう言いながら軽く振ってやると水音を立てた。

 スーパーで思い付きで買った品だ。瓶もあったけど、初めてだしお試しで小さい紙パック。

 

 「あー、みたことあるかも、そんな味なんだ、良く飲めるね?」

 

 怪訝そうな顔をしながらずいぶんな物言いをするかぐやに思わずにやけてしまう。

 カクテルを好む当たりなんだかんだ甘党らしいかぐやは、蒸留酒の類は一切手を付けないのですっかり私専用になっている。

 手の中のこいつも辛めの日本酒なので好みに合わなかったらしい。

 

 「そんなに悪くないよ?」

 「えー? 前に北海道で飲んだ地酒のほうがおいしかったけどなー……」

 「温泉で飲んだ奴?」

 「そー!」

 

 思い起こすは半年ぐらい前の潮騒の聞こえる露天風呂での月見酒。

 そういえばあの頃辺りからかぐやが酌をするようになったのか。

 

 「また行こうよ! 彩葉!」

 「ま、そのうちね」

 「やった!」

 

 そう言って小さくガッツポーズをしながら楽しそうにピーナッツを頬張るかぐやは、私の言葉にひかかったのか少し遅れて首を傾げた。

 

 「あれ? そういえば、ゲン担ぎって?」

 「ん? あー、お兄ちゃんに誘われて今度SETSUNA(タイマン)で3本勝負やるって企画をヤチヨに乗せられてOKしちゃって……」

 「へー! いつ? 見なきゃ!」

 「んー、ナイショー」

 「えー!」

 

 ごまかす私に不満げなかぐやがスマホと取り出して、なにやら黒鬼の配信予定を探すのを、酔っ払いの振りをして背後から抱き着きながら妨害しつつ夜は更けていく。

 

 あっそうそう、結局、兄相手には初戦はもぎ取れたけど、そのまま2タテされて無様に負けてしまった。

 落花生じゃなくて、ちゃんと煎り豆撒いておくべきだったか……?

 

 

*1
「私死んでもいいわ」は二葉亭四迷、なお月が綺麗も含めてどちらも俗説




 篝火花魁の時期は、元ネタじゃね? って言われてる『おいらん若君 徳川竜之進』に倣って、大体天明を想定。
 最初、篝火大夫って書いてて、アレいつから吉原で太夫って消えたっけ? なって調べてました。

 いいですよね遊女の指切りの話。
 初めて知ったのは妖奇士だった気がします。
 本来は箱に詰めて大事にするらしいんですけど、彩葉とかぐやはそのままパクリ。
 相手の体の一部を食べるってなんかえっちですよね。

 遅くなったのはすみません。
 別の作品上げ終って、よし、じゃあ、やるかあ!って時に公式から質問公募とか出て、やば!ってなってちょっと様子見てました。

 いつかは上手く使いたいですよね、雷のファンネル。

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