【目指せ】Stellarisで生き抜くスレ【大日本宇宙帝国】   作:ヒャル

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高貴なエルフたちのお茶会

「きゃー!!」

 

「わたしも、わたしも!レオにい、わたしもだっこして!」

 

「こらこら、あんまりはしゃぐな。怪我するぞ」

 

 大日本帝国連邦、首都惑星地球。

 その中核である日本列島のとある屋敷で、子供たちの遊び声が木霊する。

 

「今日もレオくんは大人気ですね。連れてきてくれてありがとうございます、ベイラ」

 

「はっ。スクルド様の御子のお世話をさせていただき、あの子も光栄でしょう」

 

 それを見守るのは子供たちの母親。かつてのアールヴ共同体の国家元首スクルドと、艦隊司令官のベイラだ。

 

 

 ここはスレ民の一人、【若様】が所有する屋敷の一つ。

 アールヴ共同体が滅びてもなお主従として振舞い続けるベイラは、スクルドが住むここに度々ご機嫌伺いとして訪れていた。

 

「それならいいのですが…私の子たちはとてもあの子に懐いていますから…喜んできてくれているのなら、本当に嬉しいのですけれど」

 

 そう言って、思わず見とれるような微笑みを浮かべるスクルド。

 日本に移ってから何人もの子供を産んできたが、産後太りなどという言葉とは無縁で女神の如き美貌は健在である

 …元々カウホルス並みだったバストは更に豊満になっているが、それはマイナス要素ではないだろうし。

 

「……はっ!あの子もご機嫌伺いの日を楽しみにしておりますので!」

 

 思わず見とれそうになったベイラだったが、主の前で醜態は晒せないと慌てて正気に戻る。

 

「それよりも、本日伺った件ですが…」

 

「…前回と同じ。大日本帝国連邦に併合されてきた種族たちの旧王家への爵位授与…それに乗じて私も動くべきというお話ですか?」

 

「っ…その通りです!」

 

 スクルドの物憂げな表情に怯みかけたが、自分に喝を入れてベイラは強く頷く。

 

「我々アールヴにはFTLを開発し、自らの手で星間帝国を築き上げたという誇りがあります!だというのに、自力で宇宙に出ることもできなかった種族に負けたままというわけにはいきません!」

 

「…たしかにアールヴは星間帝国を築き上げました。しかしそれに驕り、己の思想こそ至高であるという傲慢さに取りつかれて国を滅ぼしたという愚かさも歴史に残してしまいました」

 

「そ、それに!アールヴ人は大日本帝国連邦において未だに三等臣民待遇です!スクルド様が特別な地位に立つということは、彼ら彼女らを更なる高みへ導くきっかけになるかもしれないのです!」

 

「…そもそもアールヴ人は、我々が救ってやらねばならないほど不幸なのですか?」

 

「えっ……」

 

 スクルドは、言葉を失ったベイラをじっと見つめる。

 

「アールヴ人の階級が低いのは事実です。しかし、大日本帝国連邦は下層民を足蹴りにし、使い潰すような邪悪な専制国家ではありません。平等主義こそ攻撃されていますが…平等主義を掲げねば死んでしまうわけでもなし。そもそも我々アールヴの民が行き過ぎた平等主義至上主義の果てに国を滅ぼしたのですから、危険視するなと言っても説得力がないでしょう」

 

「それは…」

 

「アールヴの民は国を失いましたが…この日本の地で新たな居場所を作りました。彼ら彼女らは各々が一生懸命に働き、この居場所を確たるものにしようとしています。だというのに、私が爵位を求めて政治活動を始めればアールヴに野心ありと見られて他のアールヴ人にも迷惑をかけることにもなりかねず…私は、それを望みません」

 

「そんな…私はただ、またスクルド様に公の場で輝いていただきたくて…」

 

「…例えアールヴの旧王家に爵位が与えられたとしても。私は他の者に譲るつもりですよ、ベイラ」

 

 スクルドの言葉に、ベイラは固まる。

 

「…貴女には話したことがありませんでしたね。日本の地に移るまで、私が独身を貫いていた理由を」

「私には姉がいましたが、功績を挙げることもなく早くに亡くなりました。その娘たちはまだ幼く…妹である私に家督が回ってきたのです。私の後には姪たちに家督を戻すのが道理…しかし、私が功績を挙げ続ければ私の子こそが後を継ぐべきだと皆が言うでしょう。それを防ぐ為には、国に奉仕せずに何の仕事もすることなく静かに生きるか、独身を貫いて子供を残さないか…私は、後者を選んだのです」

「…アールヴ共同体が滅んだことで、すべて無駄になりましたけれどね。しかし、もしビュフスレン家が脚光を浴びるように立場になるとしたら…私は姪たちか、その子供たちにその座を譲るつもりです」

 

 強い決意の籠った表情を見せつけられ、ベイラはがっくりと項垂れる。

 

「そんなことより、私は貴女の旦那様について興味があります。もうすぐ地球に帰って来られるのでしょう?」

 

「え、ええ……連続していた戦争が終わったので第五艦隊も本国に帰還、しばらく地球に滞在して乗組員に休養を取らせるということですが…」

 

「第五艦隊司令官を務めていらっしゃるのですよね。一度お茶会にお招きしたいものです」

 

「い、いけません!あんな野獣のような男にスクルド様がお会いするなど!」

 

「そう?旦那様から第五艦隊司令閣下の人柄については聞いているけど…結構良識的な方だとおっしゃっていましたよ?」

 

「それはきっと相手が侯爵閣下だからです!私に対してはとんでもなく悪辣で嗜虐的な男なのですから!」

 

「首輪じゃなくて結婚指輪を嵌めてくれたのに?」

 

 スクルドの言葉に、痛いところを突かれたようにベイラが無言になる。

 アールヴ共同体が滅亡し奴隷落ちしてすぐに第五艦隊司令の奴隷となり妾として扱われていたベイラだったが、第五艦隊がサースウィア国境に向かう途中に地球に立ち寄った頃には既に重婚を認める法案が可決されていた為、地球で結婚式を挙げ正式な側室となっていたのだ。

 

「間に生まれたレオくんを手塩にかけて育てていますし、妻として夫の留守を守り社交などもきっちりこなしているのでしょう?旦那様を愛しているのですね」

 

「そういうわけでは……私はただ、スクルド様のお傍にいる為には今の立場を守る必要があるだけで……お、おいラフール!戻ってきたならさっさとここに座れ!」

 

 助けを求めるようにあちこちに視線を泳がせていたベイラは、こちらへ歩いてくるスーツ姿のアールヴ女性を見つけて声を張り上げる。

 

「…どうしたというのです、ベイラ様」

 

 ラフールと呼ばれた美女は、困惑顔で空いている椅子に座った。

 

 ラフール元財務大臣。

 プロパガンダに予算を使いたがる議会をうまく宥めつつ、アールヴ共同体の国家規模に比して有力な艦隊を整備できる軍事予算を融通し、それでいて一般市民に重税を強いるという平等主義の理想に反する行いをしなかった辣腕の財政家。

 個人としても真面目で品のある美女で、泣き所と言えば夫に先立たれた後女手一つで育てた娘が厳格な教育に反発し、ギャルと化して口喧嘩が絶えない関係になってしまったことくらいだろうか。

 

 そんな彼女も平等主義者ではあったが、有能な美女を鉱山送りにするのは非効率ということで若様の手で“転向”させられ、現在は大元帥府社会秩序維持局国家戦略課課長として政策に対する提言などを行っている。

 

 元国家元首であったスクルドがアールヴ共同体滅亡後表舞台に出なくなったので、彼女こそが公的な立場という面では最も高位にいると言えるアールヴ人である。

 元々この3人でお茶会をしていたのだが、急な仕事の電話が入ったので少し席を外していたのだ。

 

「またスクルド様に爵位を得るよう進言して拒まれ、私にも口添えしろと言うのですか?」

 

「そ、そんなところだ!お前からも何か言ってくれ!」

 

「ですから、私が政治活動をするのはアールヴ人にとってマイナスになりかねないと…」

 

「…たしかにスクルド様が政治活動をされるというのは賛成いたしかねます。しかし、別の方向性でアールヴ人の地位を高め、ビュフスレン家に爵位をという形に持っていくことは良いことではないでしょうか」

 

 2人に挟まれたラフールは、どちらの意見も無碍にすることなく第三の道を示す。

 

「というと?」

 

「アールヴ人は三等臣民ですので、一般労働者以外の形で己が才能を示す機会に恵まれていません。しかし、私たちは大元帥府社会秩序維持局で三等臣民の域に収まらない仕事をさせていただき、その能力を示すことができていると自負しています」

「そのようにアールヴ人の力を示していけば、その献身に報いるべきという意見が日本の政界でも起こるでしょう。民族全てを二等臣民に格上げ、というのは難しいでしょうが…他の種族のように旧王家に爵位を、というのはあり得ない話ではないと思いますよ」

 

「なるほど…」

 

 そういうのもあるかと、ベイラは得心顔になる。

 

「できれば、ベイラ様にも協力していただけないでしょうか」

 

「私も?」

 

「軍司令官や幕僚として、というのは難しいでしょうが、大元帥府社会秩序維持局が後ろ盾になって民間組織…例えば船長を育てる養成機関などで教官を務めるというのも可能ではないでしょうか?長らく艦隊司令官を務めた貴女の見識は、教える側に立っても有用なはずです。レオ君もそろそろ手がかからなくなる年ごろでしょう?」

 

「なるほど、私の見識を活かすか…」

 

 これまで子育てに専念してきたが、そういう仕事を始めるのも悪くないかと思い始めるベイラ。

 

「ラフールまでベイラの味方をして……何故アールヴの民に爵位をと望むのです?高望みは、私の望むところではないのですが」

 

「そ、それは……」

 

 スクルドに理由を問われ、ラフールが顔を赤らめる。

 

「アールヴ人の地位が上がれば、帝国政府はよりアールヴ人に気を遣わねばならなくなるでしょう?ということは、アールヴ人の中でも重鎮であるスクルド様や私が、ご主人様のお情けをいただける機会も増えるのではないかと……」

 

「はぁ!?」

 

「まぁ……」

 

 あんまりな理由にベイラは絶句し、スクルドは頬を染める。

 

 …そもそも大元帥府社会秩序維持局はアベンジャーズ()の為の部署であったのだが、その一員である若様が有能な女性を大量に手駒にしていくので、彼女たちが国の下で働く場を作る為に拡張されてきたという一般臣民たちが知らない歴史がある。

 なので社会秩序維持局にはアベンジャーズ()以外には若様のお手が付いた美女美少女しかいないし、そのモチベーションは国に貢献することで若様のポイントを稼いで抱いてもらおうという性欲に起因するものだったりするのだが…大日本帝国連邦の真の中枢たるスレ民たちも性欲で動いているところがあるので何ら問題はないだろう()

 

「…たしかに、旦那様に可愛がっていただく機会が増えるのなら……私も表立ってにならない範囲で何かしてみてもいいかもしれませんね。そして……」

 

 物思いに耽り始めるスクルド。

 

(ラフールはともかく、あの清らかだったスクルド様がこのような色ボケに染められてしまうなんて……!私が地位を得た暁には、少しでもスクルド様をこの屋敷から引き離すようにしなければ……!!)

 

 熱に蕩けた顔をするスクルドを前にして、ベイラは歯噛みする。

 …その後、久方ぶりに帰宅した第五艦隊司令の夜伽の相手を三日三晩ぶっ通しでさせられた結果、彼女はまた孕んでしまい働きに出られなくなるのはそう遠くない未来――

 




ベイラ提督はアールヴ共同体滅亡(2228年)からサースウィア解放戦争開始(2233年)までの5年間、ルファーリ戦争の期間を除いてずっと司令ニキの傍に置かれ可愛がられていました。妊婦を連れ回すわけにはいかないのできっちり避妊はしていましたが。
流石に戦場に連れていくわけにはいかないとサースウィア国境に着いた後地球に送られたのですが、その頃にもう妊娠を気にする必要はないなと避妊を止めた結果できたのがレオ君(日本名:玲央)です。
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