【目指せ】Stellarisで生き抜くスレ【大日本宇宙帝国】   作:ヒャル

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掲示板形式に慣れると小説形式で書くの疲れる…
もう戦争シーンを小説形式で書くことはないでしょう。

どうせここの読者は掲示板形式で集まってきた人たちだろうし問題ないよね!(


アールヴ戦役 後編

「コルベット11隻、フリゲート1隻の撃沈を確認。大戦果です!」

 

 第六艦隊の参謀長が興奮気味に声を上げる。

 

 バイハム星系での戦いで、アールヴ艦隊の1/3を撃沈した。残りの艦艇も少なからず傷つき、その状態での緊急FTLで脱落する艦も出るだろうから、ヴァナヘイム・ガーディアンズの戦力は半分以下に落ちたとみて問題ないだろう。

 対するこちらの損失艦は突出し過ぎたフリゲートが1隻失われたのみ。大勝利と言っていい。

 

「ただちに追撃を!ここは積極的に打って出て戦果を拡大すべきです!」

 

「敵主力を撃破した今こそが好機であることは明白。全面攻勢に出ましょう!」

 

「ウルレイモン星系に進撃しアールヴ共同体に城下の盟を強いるべきです!手を緩めては後方で吉報を待つ臣民たちに顔向けができません!」

 

 快勝に好戦的気分を爆発させた参謀たちが次々に主張を行う。

 

「……静まれ」

 

 しかし、大きくは無くとも不思議と耳に届くバリトンの響きが、一時の熱狂を静まらせた。

 

「地上軍司令、植民惑星の制圧は無事に終わったのだな?」

 

「はっ。艦隊の再編中に地上軍は惑星へと地上降下、コロニー船改造シェルターを中心とする植民地行政府を制圧しております」

 

 地上軍の統括官が軽く頭を下げる。

 

「であれば、これ以上この星系に留まる意味はないということには同意する。だが、どう動く?敵艦隊は緊急FTLで離脱した以上、どこに逃げたかわからんのだぞ?」

 

 ジャリデン男爵の言葉に、参謀たちは顔を見合わせた。

 

「それは、政府が疎開したウルレイモン星系ではないでしょうか?艦隊を受け入れられる星系基地も、あそこにしか残っていないはずです」

 

「しかし、ウルレイモンに後退しても我々に順当にすり潰されるだけというのは連中も理解できないわけではないだろう。男爵閣下がどこに逃げたか分からぬとおっしゃるのも道理だ」

 

「だがどこへ逃げるというのだ?」

 

「コウルス星系というのはどうだ。タクーヴァン星系の艦艇は出払っている。一発逆転を掛けて逆侵攻に打って出るというのは」

 

「敵艦隊はボロボロだ。基地に戻って修理しなければ戦力値は1000もあれば良い方だろう。タクーヴァン星系基地の戦力値は約1600、飛び込んで来れば返り討ちだ」

 

「ふむ…であれば残るヴァポブ星系は?あそこはカッサビウス星系としか繋がっていない以上、占領地を広げようと思えば優先度が極めて低い。意表をついて潜伏するには適していると言えるかも…」

 

「潜伏したいならさせればいい。その間に我々はウルレイモンを落としてアールヴ政府を降伏させるのみ」

 

「それもそうか、最後の時を隠れて過ごした間抜けになるだけだ…」

 

「勝ち目がほぼないと分かっていても、いずれにせよ連中はウルレイモンに退くしかないのでは?」

 

 3つの選択肢が提示されつつも、会議は『やはりウルレイモンでは』と意見が収束していく。

 

「…第五艦隊司令。貴官はイプルガラ星系で敵の司令官と言葉を交わしたと聞いている。何か意見はないのか?」

 

 すると、ジャリデン男爵は発言していない俺に話題を振ってきた。

 

「…そうですな、私が思うに……」

 

 

 

 

「…参謀長、残った艦艇はいくらだ?」

 

「……コルベットが5隻、フリゲートが9隻です。残った艦も、少なからず損傷しています」

 

「そうか……栄光あるヴァナヘイム・ガーディアンズが、ここまで落ちぶれるとはな」

 

 思わずため息をつく。

 

 カッサビウス星系の戦いはアールヴ共同体の敗北に終わった。

 

 軍事拠点として整備された星系基地と連携し、敵を待ち受け、それでも尚与えられた損害はたったのフリゲート1隻。

 このままウルレイモンに退いて再度の戦いを挑んでも、戦力差が更に開いた以上はより無惨な結果になるに決まっている。

 

(決戦に敗れて議会は恐慌状態だ。あの連中は最早頼りにならん。…元々、当てにしていなかったが)

 

 軍事では勝てず、政治は機能停止。アールヴは政軍共に“詰んでいる。“

 

 アールヴ軍人として屈辱的極まりないことだが、もはやアールヴ単体で大日本帝国連邦に対処することは不可能なのだ。

 …であれば、何らかの華やかな戦果を挙げて『大日本帝国連邦弱し』という風潮を作り、他国の介入を招くしかない。

 

(それが、首都惑星アルヘイム奪還という奇手だ)

 

 カッサビウス星系での戦いを見るに、日本軍はほぼ全艦艇を侵攻に投入している。

 であれば、ユグド星系に残っているのは治安維持用の地上軍と、空から民衆を威圧する為のコルベットが1、2隻程度だろう。

 時間的に星系基地もほとんど修理されていないはず。であれば、今のヴァナヘイム・ガーディアンズでも十分撃破可能だ。

 

「連れてきたコロニー船に問題は発生していないだろうな?」

 

「あちらは戦闘に参加しておりませんので、我々軍事艦艇より元気なくらいです。心配無用かと」

 

「ならいい」

 

 アルヘイムを奪還されて怒り狂った日本艦隊が戻ってくる前に再び脱出する。その時、コロニー船を使って可能な限り民衆を避難させる。

 そして、宇宙でゲリラ戦に移行して状況が変化するのを待つのだ。

 

 ウルレイモンに逃げた政府と議会を見捨てることになるが…こちらには旗頭がある。

 

(スクルド様…こんなことになるのなら、無理にでも先に避難させておくのだった!)

 

 バイハム星系での迎撃が失敗し、ユグド星系での防衛戦の準備が間に合わない場合、政府はウルレイモン星系に疎開すると聞いていた。

 当然、スクルド様もウルレイモンに移られるものと思っていた。

 

 しかし、カッサビウス星系に撤退してきて聞かされたのは、議会と大臣たちだけが疎開してスクルド様は首都に残られたという報告。

 

(スクルド様……必ずや、貴女様を野蛮人共の手から救い出してみせます……!!)

 

 その想いが、胸に秘めた戦意を一層燃え上がらせる。

 

「ベイラ様、まもなくユグド星系へのジャンプが完了します!」

 

「ああ……兵士たちよ、戦いはこれからだ!勝ちに驕る野蛮人共の横面を張り倒し、我らと宇宙に散っていった者たちの無念を思い知らせるぞ!」

 

「「「おおッ!!!!」」」

 

 コルベット5隻、フリゲート艦9隻、コロニー船1隻がユグド星系に出現する。

 私たちの前にいるのはボロボロの星系基地と、緩み切った小数のコルベット――

 

「なん……だと……」

 

 ――ではなく、戦闘態勢を取った30隻近いフリゲートの群れだった。

 

 

 

 

「悪いな、軍人としての責務と私欲の両方を満たせる奇跡の一手のつもりだったんだろうが…ここがお前さんたちの終点だ」

 

 哀れみ混じりの笑みが浮かぶ。

 

 

 いずれ戦うことになるだろう女提督について、諜報畑のスレ民にも協力してもらって調べてきた。

 俺は知っていた。ベイラ・イェータが艦隊指揮能力に優れ、愛国心を強く持ち、何より国家元首への揺るぎない敬愛を抱いていること…悪く言えば自己陶酔的で、一方的な忠誠心を暴走させかねない人物であることを。

 

 幸いにして、傷ついたヴァナヘイム・ガーディアンズとウルレイモン星系基地が連携しても第六艦隊単独で勝利できるほどに戦力差は開いていた。

 故に、俺は奴が首都奪還と主君の救出という飛車角両取りを企む可能性を考えてユグド星系に後退してきたわけだが…読みが当たったわけだ。

 

「アールヴ軍はどうするでしょうか?華々しく散るか、降伏するか」

 

「ベイラ・イェータなら突撃してくるだろうな。だが、奇襲の高揚から絶望に叩き落とされた将兵たちはどうかな?」

 

 全艦艇に戦闘の準備をさせつつ、相手の動きを見る。

 

「……司令、敵艦隊より入電が」

 

「繋げ」

 

 スクリーンに現れるのは気の強そうな女提督…ではなく、落ち着いた雰囲気の壮年アールヴ男性。

 

「ふむ?ヴァナヘイム・ガーディアンズの指揮官は引き続きベイラ・イェータが務めていると聞いていたが、貴官は何者だろうか」

 

「提督は…“負傷”された。現在医務室におられるので、参謀長の私が指揮を代行している」

 

「そうか……では降伏の申し入れだろうか?であれば安心して欲しい、我々は諸君を捕虜として丁重に扱う用意がある」

 

「……申し訳ないが、我々はアールヴ共同体の軍人として最後まで祖国を守る義務がある。簡単に降伏はできない」

 

「では、なぜ通信を?」

 

「私は降伏できない。……しかし、残った艦から将兵を退艦させる時間は頂きたいのだ」

 

「…………」

 

 

 

 

 こうして第五艦隊とヴァナヘイム・ガーディアンズとの間で臨時の停戦が結ばれた。

 アールヴ艦隊から将兵たちが降り、第五艦隊に収容されていく。“まるで鎮静剤でも打ち込まれたかのように”眠る艦隊司令ベイラ・イェータもまた例外ではない。

 しかし、その中にヴァナヘイム・ガーディアンズ参謀長の姿はなかった。

 

「ベイラ様、今一度スクルド様にお会いし思いっきり叱られてこられるがよい。それが、私にできる最後の献身です」

 

 ヴァナヘイム・ガーディアンズ参謀長ヘルギ・クヴィースルは自沈する残存艦隊と運命を共にする。

 15隻の艦隊が沈む際に放った閃光が、後の歴史書に『アールヴ戦役』と記される戦いの最後の情景だった。

 




カッサビウス星系で敗走した敵艦隊がなんかコロニー船と一緒に占領下の首都星系にワープしてくるという謎の動きを見せたのでそれらしく解釈して物語にしました。
アールヴ戦役は前編中編後編ひとまとめに書いて分割して投稿したんですけど、どんどんベイラ提督が残念な人に…でもオタクくんはこういうの好きなんだよね?()
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