【目指せ】Stellarisで生き抜くスレ【大日本宇宙帝国】 作:ヒャル
「……では、本日の会合を始めます」
タクシカ共同国。
銀河系の左下で確実に力を蓄えつつある星間帝国で最も権力を持つ人々が密かな会合を開いていた。
「情報省より報告致します。タラッシ恒星連合国内での世論工作は引き続き順調です。政府の火消しにも関わらず、愚かなタラッシ人共は機械知性やゲシュタルト意識であることを理由にサイドランジャンクションを化け物と見なし、排撃すべしという声を盛り上げております」
「サイドランジャンクション側もそれに応じての軍備拡張を続けているのだな?」
「はい。ゲシュタルト意識故に世論工作は困難ですが、タラッシを煽ることで間接的に誘導することには成功しております」
「宜しい。このまま両国間の対立を煽れ。そして、最高のタイミングで我らがタラッシの背中にナイフを突き立てるのだ」
最も上座に座る人物がニヤリと笑う。
「しかし、タラッシ恒星連合国はどうやらサイドランジャンクションの盟主国であるリラロビウス共和国に接近を試みているようでして…」
「ふむ、リラロビウスと誼を通じることで、『サイドランジャンクションは異物だが友人に飼いならされている』という形で世論の火を弱めようというのか?悪あがきをする」
「外交ルートでタラッシの言葉に耳を貸さぬようリラロビウスに働きかけるとしましょう。我らとリラロビウスは共に受容主義と精神主義を奉ずる者同士、属国と揉める余所者より我らの言葉に耳を傾けることでしょう」
「良かろう。その方向で進めるように。さて……」
上座に座る凄艶なる美女、導師トロリックスはその視線を鋭くさせる。
「本題に入るとしよう。大日本帝国連邦の国家元首より通信の申し込みがなされている。これにどのように対処する?」
タラッシの醜態を嘲笑していた出席者たちがその顔を苦々し気に歪める。
「日本との国境、及び日本のコントロール下に戻ったサースウィア盟約…大サースウィア機関との国境に日本の艦隊が確認されております。わかりやすい砲艦外交ですな」
「日本がワームホール航行を実用化したことで隣国となったとはいえ、我々との間に直接的な外交問題はありません…まず間違いなく、サースウィア政変への介入について問いただしてくるものかと」
外交官ではなく、帝国大元帥自ら出てくるような案件などそれ以外に考えられなかった。
「とはいえ、我々が直接的に干渉したわけではないのだろう?」
「ええ、アールヴの残党を使いましたし、そちらにも正体は明かしていませんのでそうそう尻尾を掴まれることはないはずですが…」
「とはいえ、日本はかなり好戦的な傾向が強い。『疑わしきは罰せよ』とばかりに証拠が不十分でも殴りかかってくる可能性はあるぞ」
外務省担当者の言葉に、出席者は顔を顰める。
「謀略によってサースウィアをこちら側に引き寄せ、挟撃を防ぐ為にタラッシの阿呆が日本を嘲っている情報を日本に流して関係を割き事前に連携を潰したまでは良かったのだがな…」
「これは情報省の不手際ではないか?サースウィアで政変を起こすことこそ成功したが、その後安定させられずに我らと本格的に手を組むフェーズにまで進めることができなかった。混乱したままで組んでもこちらに被害が来るからな」
「そもそもサースウィアで政変を起こさせるという情報省の策がなければ、日本との関係がここまで悪化することはなかったはずだろう!」
「…責任追及は後にしろ。今は、日本の圧力を如何に躱すかが重要だ」
トロリックスに睨まれ、外交官たちは情報省の担当者を睨みつけつつも口を閉じる。
「タラッシは現状では身動きが取れまい。故に日本の相手に集中できる状態ではあるが…それでもな」
「かの国は面倒な相手ですからな。専制国家なら専制国家らしく下民を搾取する専制体制を敷けばいいものを、奴隷に甘い為につけ入る隙を探しにくい」
「明確に弾圧されているのは平等主義者のアールヴ人だが、鉱山か収容所に纏められて接触を困難にされている…」
「…タカンジャー領に小数のアールヴ人が難民として流入しているらしいが、その連中は使えんか?」
「調べたところいずれも物質主義者の集団だ。火種には使えまい」
力には知で対抗するのがタクシカの伝統。しかし、あの軍事強国には搦め手がなかなかに使い辛い。
「領内に宇宙進出間近の前FTL文明がいれば突いて火種にするのだがな…連中は宇宙に進出しそうな文明を片端から潰している」
「けしかけたトレント勇者団が何もせずに矛を収めたのも残念でしたな」
「なんでも食料を貢がれて出兵を取りやめたとか。苦労して交渉にこぎつけた担当者が激怒していましたよ」
「所詮は獣だ。腹が膨れれば昼寝を始める程度の知性しかないのだろう」
嘲るように、見下すように皮肉げな笑みを浮かべつつ、机上から大日本帝国連邦の背後を脅かせる位置にあった駒の一つを取り除く。
「とはいえ、使える駒はまだある。猛る巨獣に正々堂々など愚か者のすることよ」
トロリックスは、自国と反対側にある2つの駒を指先で撫でた。
「…あくまでサースウィアの革命勢力への支援を認めないと?」
「やってもいないことを認める阿呆はおるまい。貴国のような専制国家はやってもいないことを認めさせるのが当然なのかもしれんがな」
スクリーン越しに、帝国大元帥と導師トロリックスという二国の指導者が鋭い視線をぶつけ合わせる。
「デルファイアンズ・エディーで捕縛された旧アールヴの工作員が、タクシカから物資と資金の援助を受けていたと証言しているのだがね」
「ほう、我らより貴国を罵っていた亡国の残党を信用すると?」
「証拠ならある。工作員が切り捨てられた場合に備え、“スポンサー”の正体について探っていたのだ」
帝国大元帥が複数の証拠をスクリーンに展開する。
「流通させられていた武器はDAAR社の製品だが、少なくとも確実にタクシカ側から流入している。であるのにわざわざタクシカ製の武器を使わずにDAAR社製の武器を使うのはコストに合わん。隠蔽工作としか思えんな」
トロリックスの表情が苦々し気に歪む。
「…我が国の不心得者が余計な事をした可能性は認めよう。だがその捜査は我が国が行うものだ。貴国が口を出すことではない」
「そんな逃げが通用すると思っているのかね?」
「そういう貴国こそ、武力で脅せば何事も解決すると思っているのか?軽率な武力行使は、貴国の首を絞めることに繋がるぞ?」
「…何が言いたい」
「【統一文化惑星】…タカンジャー政治機構とヌーリアン星系帝国は我らと極めて親密な関係にある。貴国の拡張路線に脅威を抱いている彼らは、我らが侵されようとすれば黙って見ていることはない。貴様らの艦隊が国境を侵した瞬間、両国は貴国に宣戦布告し三国は団結して戦うことだろう!」
トロリックスは勝ちを確信した勝者の笑みを浮かべる。
「…そうか。それほどまでに親密ならば、私からのメッセージを是非とも伝えてくれたまえ」
対する帝国大元帥は、哀れな虫けらを見つめるような視線を向け言い放った。
「かかってこい!相手になってやる!」