【目指せ】Stellarisで生き抜くスレ【大日本宇宙帝国】   作:ヒャル

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新たな戦士たち

「はぁ~~~、また戦争に出なきゃならんのか……」

 

 バイハム星系基地の高級士官用の個室で溜息をつく、少将の階級章をつけた軍服の男。

 

 彼は以前サースウィア解放戦争に参加し、そして司令部が吹き飛んだ第十艦隊の指揮を代行した戦隊司令…コテハン名【第四航空戦隊司令】である。

 まあ、このコテハン名は現状に則さなくなったので変わることになるだろうが。

 

「地球に呼び戻されて、本国勤務に戻れると思ったのになぁ」

 

 スレでも晒しているように彼は怠け者で、仕事が嫌いなニート希望の男である。

 スレ民、転生者として強制的に軍に放り込まれたのは仕方ないとして、娯楽の少ない前線勤務だけは絶対に嫌だと考えていた。

 しかし無慈悲にもソル星系で第十艦隊が編制されるとその配属とされてしまい、前線送りとなった。

 

 そして第十艦隊司令のベトレン提督が逸って司令部ごと戦死し、指揮権を委譲されて第十艦隊の指揮を代行するという大仕事をこなす羽目になる。そして新たに派遣されてきた新司令部に指揮権を返上し、同時に地球への帰還命令を受けて大喜びでソル星系へと戻った。

 しかし地球で与えられた辞令は本国勤務ではなく、別方面の最前線である第十三艦隊への派遣だった。

 

「あの石頭どもめ…」

 

 元々第十三艦隊司令官はとある華族系の将校が務めていたのだが、彼の兄が急死したことで急遽家督を継ぐ準備をしなくてはならなくなり退役せざるを得なくなってしまう。

 そして、その後任はベトレン提督に続いて大日本帝国連邦宇宙軍第二号となる女性提督だった。

 

 ここで問題となったのが先達であるベトレン提督のやらかしである。

 

『感情的になりやすい女性に艦隊司令職は不適当ではないか?』

 

 スレ民が軍内部における女性蔑視の傾向を浄化しようと試みているとはいえ、古くからの価値観を維持している高官はまだまだ残っている。

 そして、第十三艦隊側からも『コルベット26隻に巡洋艦10隻を加えるというのなら数が多くなりすぎるのでコルベット戦隊を統括する将校が欲しい』という要望があり、彼は表向きコルベット戦隊たちの統括者として…そして裏向きとしては提督のお目付け役として、第十三艦隊副司令官に任命されたのだった。

 

「……そろそろ会議の時間か」

 

 副司令官は三国との開戦を告げるニュースを流しているテレビを切ると、気怠そうにベッドから立ち上がった。

 

 

「相変わらずスーザリアン独裁国に動きはないのですね?」

 

「はい。スーザリアンの主力艦隊の現在位置は不明ですが…少なくともヌーリアン国境付近にはスーザリアン艦隊の姿はありませんので、すぐにスーザリアン艦隊が介入してくる可能性はないはずです」

 

「艦隊の方はいつでも出撃できる準備が整っていますが、地上軍も問題ありませんね?」

 

「はっ。地球人類による地上軍5個、奴隷軍団18個、いずれも出撃準備は整えてあります」

 

 バイハム星系基地では、出航前の最後の会議が開かれていた。

 しかし、戦争計画については既に議論され尽くしている。ほとんどが現状報告と最終確認の場となっていた。

 

『…しかしまぁ、司令官が当たりなだけマシか……』

 

 第十三艦隊司令はフランス系のレティシア・アードン提督。

 頑固なところや軍人らしい思い切りの良さなどはあるが、基本的には真面目で常識的な人物である。少なくとも、前の上司よりは余程付き合いやすい性格だ。

 

『あと眼福だし』

 

 メスゴリラ族だったベトレン提督と違って、アールヴ美人にも負けない金髪碧眼の清楚系美女…

 カウホルスほどではないがおっぱいがデカいのも副司令官的には高ポイントである。

 

「…では会議は以上としましょう。……副司令官、またサースウィア解放戦争の折のお話を伺えますか?」

 

 そして、実戦経験者である副司令官の話をよく聞こうとしてくれる。

 浮ついた話になるわけではないが、美女と二人になれるのは副司令官的には大歓迎だ。

 

「…では、一緒にランチへ行きましょうか」

 

 唯一の問題は、栄養がすべて胸に行く体質の彼女と何度も食事を共にしていては、太るのではないかと心配になる事だが…

 

 

 

 

 

「いよいよ始まるか」

 

「ええ、タクシカ・タカンジャー・ヌーリアンとの大戦争です。これまでのチマチマした宇宙戦争とは別次元の規模の戦争となるでしょう」

 

「そして、そのような戦争だからこそ活躍の機会がある…」

 

「我々単独では戦力不足だが、他の艦隊との共同なら艦隊戦の機会はある。相手はヌーリアンの艦隊か、あるいは宇宙アメーバになるかはわからないがいずれにせよ戦果は挙げてみせよう」

 

 ヌーリアンとの第二国境となるエスカント星系。

 この地に駐留する第十二艦隊の司令部、及び指揮下の第五駆逐戦隊司令がスクリーン越しに話し合っていた。

 

「本国の連中は俺たちを愚連隊扱いしているが…なら愚連隊らしく大暴れさせてもらおうじゃないか」

 

 第十二艦隊司令、スロヴァキア系のエサド・ゴダール提督は悪童のような笑みを浮かべ、周囲の男たちも同じように笑う。

 彼らに共通しているのは『弱小種族の出で、政治的後ろ盾が皆無』ということだ。

 

 

 スロヴァキア首都ブラディスラヴァの二重帝国時代の呼び名である「プレスブルグ」を冠する巡洋艦があることからわかるように、欧州のスロヴァキアはハンガリー領となっている。

 スロヴァキアはドイツの支援を受けて独立し、枢軸国の忠実な加盟国として存在していたが、ゲルマニア動乱によってドイツの覇権が崩壊しその庇護を失うと上部ハンガリーとして旧王国領の奪還を目指すハンガリーに呑み込まれることとなった。

 

 第一次世界大戦以来の屈辱と報復に燃えるマジャール人たちによってジェノサイドが起きかけたが、そこに割って入ったのが大日本帝国だった。

 北米の円滑な統治の為、旧アメリカ人たちの反発を弱める『白人の代官』を求める日本はハンガリーがかつての版図を領有することを認める対価の一つとして親ハンガリー的ではないスロヴァキア人の引き取りを要求し、多くのスロヴァキア人が北米へと渡った。

 

 マジャール人の同化圧力もあり現在、モザイク化した北米大陸に存在する『新スロヴァキア自治国』こそがスロヴァキア人の本流と言えるような状態と化してしまっている。

 

「あの連中からすれば我々は野良犬、雑種犬でしょうが…だからどうしたというもの。ナイフとフォークの使い方がお上品で戦争に勝てるとでも?」

 

 参謀長の出身民族であるカシューブ人も似たような身の上。

 

 第二次世界大戦で東欧をドイツが征すると、従来の体制下で抑圧されていた諸民族が裏返るように親独的傾向を見せ、恨み骨髄であるポーランド人やロシア人に対する弾圧に参加した。

 元々がプロイセン国民であり、ドイツ第二帝国を経て第一次世界大戦後に勝手にポーランド国民にされた少数民族カシューブ人もこの例に漏れず、義勇SSに参加してポーランド人の暴動を蹴散らし、忠誠の対価として名誉ゲルマン人の地位を与えられ西プロイセンにはカシューベンラント大管区が設置されたのだ。

 

 しかし、こちらにもドイツ崩壊の余波が押し寄せる。

 ドイツの崩壊によりポーランドが復活することになると、裏切り者として恨まれるカシューブ人は族滅の危機に陥り…やはり日本によって助けが入り北米へと逃れることになった。

 

 駆逐戦隊司令のユダヤ人もそうだ。

 ナチスの統治下においてユダヤ人は奴隷のように扱われ、そしてホロコーストもが始まりそうになったが『ユダヤ人でも見た目が白人なだけイエローモンキーよりマシだろうし、殺すくらいならウチにくれ』と日本が申し込んだことで東南アジアの資源と引き換えに【輸出】され北米西海岸に放り込まれた。

 

「一生日陰者扱いも覚悟していたが、この大舞台の参加券というチャンスが舞い込んだんだ。明日の出港には寝坊するんじゃねぇぞ、野郎ども!」

 

「おう!」

 

「承知!」

 

 ゲラゲラと笑いながら、ゴダールは通信を切る。

 

「…司令。意気軒昂なことは結構ですが、くれぐれも過剰な戦意で勇み足をなさらぬように。第十艦隊の悲劇をこの第十二艦隊で繰り返すわけにはいきません」

 

 そこへ、静かに隣に控えていた怜悧な美女…ゴダールの副官が諫言する。

 

「わかっているさ。あんな失敗をするのは阿呆のマジャール人だけで十分だ」

 

 スロヴァキア系として、自分の祖先を故郷から追い出したマジャール人の出世頭が間抜けな最期を遂げたのはざまぁみろとしか言いようがないが…それはそれとして、その失敗をきちんと分析し糧にする冷静さはきちんと身に付けている。

 

「それに…血統が人のすべてじゃないと証明してやるってのがお前との約束だからな。その為に戦果は必要だが、達成前に死んだら元も子もない」

 

 副官は純日本人…大和民族だが、彼女も“ワケアリ”だ。

 良家の生まれだが親に命じられるままに結婚し家に尽くすだけという人生に反発し、実家の圧力が通じない巨大組織である連邦軍に身を投じたという経歴を持ち、ゴダールと出会い…紆余曲折の末にその副官となった女である。

 

 彼女はゴダールたちとは別の意味で『生まれで人生が決まる』ということを否定したいという想いを持ち…その為に、今ここにいる。

 

「…ええ、約束はきちんと果たしてもらいますからね。エサド」

 

 副官は、その無表情を僅かに崩した。

 

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