リリカルなのはの世界に転生・・まぁ、なるようになるさ 作:白の牙
3人称 side
「医療班急いで担架を!」
一真がキリエを連れアースラに転移で戻って来ると、アースラのスタッフが通信で指示を飛ばし始めた
「ちょ、ほんと大丈夫!?」
キリエが顔が青ざめている一真に尋ねる
「ちょっと拙いな・・・キリエって言ったな。コートの右の内ポケットに小さな瓶がある。それ取ってくれないか」
「右の内ポケットね」
キリエは一真の頼みを聞き、コートから小さな瓶を取り一真に渡した
「サンクス」
瓶を受け取った一真は蓋を開け、中に入っている液体物を飲んだ。すると、血が止まり傷がみるみる癒えていった
「・・・嘘」
目の前でその光景を見ていたキリエはあり得ないと言った表情で一真の刺された個所を見る
「うしこれで傷は治ったっと・・・後は、失った血の補給だな」
傷が癒えたのを確認した一真は今度は左の内ポケットから、丸薬の入ったケースを取り出すと、血のように赤い丸薬を2個ほど取り出し、飲み込んだ
「しっかし、俺の多重障壁を紙のように破るなんてなぁ~~。こんな怪我を負ったのは年ぶりかね~~」
傷と無くなった血を補充した一真は体を伸ばしながら呟き、この場から居なくなろうとしたが
「君!もうすぐ担架が来るから安静にしてなさい!」
局員の一人がそんな一真に待ったをかけた
「もう治りましたんでお構いなく」
「嘘を吐くんじゃない!」
「いえ、嘘じゃありませんから、ほら」
一真は局員に刺された個所を見せる。血で服が汚れているが傷口はもう治っていた
「・・・・」
「行くぞキリエ」
「行くって、何処に?」
「ここの食堂だ。そこで教えて貰うぜお前が何故ヤミを狙うのか、そして何をしにこの時代に来たのかをな」
唖然としている局員を無視して、一真はアースラの食堂に向かって歩き出し、そんな一真をキリエは慌ててついて行った
3人称 side end
一真 side
「それではアミタ・フローリアン、キリエ・フローリアン、君達の正体と何をしにこの世界に来たのかを話して貰おう」
食堂に俺、なのは、フェイト、はやて、ヴォルケインリッターのメンバー、シュテルさらに通信越しでリンディさんも加わり二人から話を聞こうとしていた
「だがその前に一真、君はどうやってあの傷を治したんだ。モニター越しで見ていたがあれは間違いなく致命傷だった筈だ」
「あんまり言いたくないんだけど言わないと納得しない表情みたいだな」
俺はここに居る全員を見た後、ため息を吐いて内ポケットから液体の入った小さな瓶を取り出しテーブルに置く
「これは?」
「こいつは俺が調合した薬でね。飲めばたちまちどんな怪我をも瞬時に治す。RPGでよくあるエリクシルみたいなもんだ」
俺が説明するとクロノさんが瓶を取ろうとしたので素早く回収してポケットにしまった
「悪いけどデータを取って作ろうなんてことはさせませんよ」
「何故だ?これがあれば多くの人が救われのかも知れないんだぞ」
「確かにそうかもしれませんが、争いの火種になるかもしれないんでね。それと、この世界にいる俺を捜して作らせようとしても無駄ですからね、多分俺と同じようなことを言うと思いますから」
『自分の事は自分が一番理解している』と付け加え言うと
「一真さん」
はやてが俺に話しかけてきた
「ん?どうしたはやて?」
「そ、その、一瓶、一瓶だけでええですから私に譲ってもらえんでしょうか」
「その足を治すためにか?」
俺が尋ねると
「違いますリインフォースを元の、生み出されて頃の状態に戻すためです!お願いします!!」
はやてが頭を下げて俺の願いしてきた
「・・・・悪いが無理だ。この薬はあくまで外傷や内傷と言ったもの専用でな、プログラムを治すことは不可能なんだ」
「そ、そんな」
俺の返答を聞いたはやては項垂れてしまった
「(まぁ、アテナに頼めば元のプログラムを手に入れるのは簡単だけど・・・歴史が変わっちまうんだよな~~・・・・後でリインフォースが消滅した時、魂を回収するよう頼んでみるか)」
はやての姿を見て俺はそんなことを決めるとアミタとキリエの方を向く
「俺への質問は終わったことだし今度は二人の話を聞かせて貰おうか」
「解りました皆さんに全てをお話します。私とキリエは未来から来ました」
「未来ってことは俺と同じだな。でも、俺の時代でも時間移動何て大掛かりなもんは出来てないから、それよりさらに先の未来ってことか」
「そうなります。私達・・いえ、キリエがこの時代に来たのは私達の故郷を救うためなんです」
「故郷ですか?」
なのはがアミタに聞き返すと
「私達の故郷は・・・今、ゆっくり、死んで行ってるの」
「死んで行ってるって何でですか?」
はやてが尋ねるとキリエは自分たちの故郷のことについて語り始めた
「私達のいた星、エルトリア・・・エルトリアはもう何百年も前から、世界そのものがゆっくり死んで行ってるの。『死蝕』って呼ばれる、水と大地の腐敗・・・飛び石みたいに自然発生して、草木も動物も生きられない場所になっていく。人は皆、死蝕から逃げながら生きて・・・80年前からは、他の惑星への移住を始めてる」
「当然って言えば当然の行動だな」
「そうね・・・それは幸運。皆エルトリアを離れて行って・・・あと二世代以内には、エルトリアから人が一人も居なくなる試算になってる。今残ってるのは、エルトリアで生まれ、エルトリアの大地が本当に好きだった人達。私達のお父さん・・・フローリアン博士は、死蝕の対策をずっと続けてた。『この星の不調を直して、綺麗な世界に戻すんだ』って」
「いい人なんですね二人のお父さんは」
キリエの話を聞いてフェイトは微笑んで言う、その言葉に俺も同意だな
「私達はその実験過程で生まれた『死蝕地帯の復旧機材』―――自動作業機械『ギアーズ』」
「作業機械ってことはロボット・・・いや、アンドロイドてことか?」
俺の質問に二人は頷いて答えた。転移するときキリエの体を抱えたけど、俺達とほぼ変わらない体温だったぞ。すげぇ博士だなおい
「ただ、博士はよく失敗をする人で・・・普級型ギアーズの試作機として生み出した私とキリエは、人格形成システムを作り込みすぎてしまったそうで。機械として扱うべきではない、と判断されて・・・普通の人間と同じように、育てて貰ってました」
『素敵な博士なのね』
アミタの話をリンディさんと同じく通信で話を聞いていたマリーさんが言う
「はい、とっても。エルトリアでは今も、私達の後に博士が作った妹や弟達・・・私達みたいな心や体は持たないけど、任務の為に一生懸命働いてくれるギアーズ達が、死蝕を止める作業を続けてくれてます。私とキリエの計算によれば、あと数年で成果が出始めるんです。博士が人生を賭けた夢の成果が、私達の生まれた意味が・・・・実を結ぶかもしれないんです。・・・だけど博士は、それを見る事が出来ない、キリエはそれが辛くて、悲しかったんだと思います」
アミタの悲しい顔で俺は二人の父がもう長くは無いことを悟った
「時間遡航や異世界渡航のシステムは、博士が偶然みつけた『場違いな遺産』。博士が解析して、使えるようになる直前まではこぎつけた・・・・『こんなものは使ってはいけない』って、封印しちゃったけど」
「僕達で言う所のロストロギアか。乱用しないのは正解だな」
「でも・・・そのタイムマシンがあれば運命は変え放題じゃないんですか?」
「なのは、過去ってのは安易に変えちゃいけないもんなんだ。そうだろう?」
なのはの言い、キリエの方を向くと
「そう、過去に戻って運命を変えるのも、今を生きる事を放棄して未来に逃げるのも、人がするべきことではないって。それに、一度に移動できるのは一人か二人。体にもの凄い負担がかかるから、普通の人間じゃ時間移動そのものに耐えられない。人間の何十倍も頑丈な私達だって、機体に相当な負担がかかったわ・・・博士を移動させるのは、どっちにしても無理だった」
負担がかかると聞いて俺は、ある人物の事を思い出す
「(あのおっさんなら耐えきれそうだな気合で)」
「世界が死んでいくなんて大規模なことも、不治の病な博士の病気も、どうすれば防げるのか、治せるのかなんて解らなかったんです。私は博士の言いつけ通り、時間移動に頼らないで済む方法を捜しましたが・・・キリエは時間移動に賭けてました。『可能性はそれしかない筈』って、シュミレーションを繰り返して。ただ、鍵になるような過去・・例えば博士の病気のきっかけになりそうな出来事や、死蝕の大拡散とか、そう言ったものを変えようとすると、必ずシュミレーションエラーが出てしまうんです。『何が起こるか解らない』状態で、『取りあえず過去に戻って何かしてみる』と言うのはあまりにリスキーでした」
「リスクが大きすぎるから当たり前だな」
ハイリスク&リターンだからな、よっぽどの強運を持っていないと勝てやしねぇよ
「生まれ育った世界の未来と、世界で一番大切な人の夢と未来。そんあ不確定な天秤には載せられない。キリエは諦めかけていたんです・・・」
「そんな時見つけたの。たった一つの可能性を」
「その可能性がシステムU-D何だな?」
俺の言葉にキリエは頷く
「死蝕で死にゆく世界を救える方法。それが無限連環システムの核『エグザミア』。過去のどの時代でもなく、この時代でのみ、私が持ち帰れる可能性があるって。闇統べる王が完全な状態で稼働していて、なおかつ、砕け得ぬ闇をその制御下に置くタイミングが・・・それが、昨夜訪れるはずだった。だけど・・・」
「失敗しちまった」
俺の問いにキリエは首を横に振り
「まだ失敗じゃない・・・私達はまだ活動できる」
「私達はこの世界では活動制限があります。持てるだけのエネルギーは持ってきましたが、それにも限りがあります・・・こちらでの補給は難しいです」
「そうなんですかマリーさん?」
『分析すれば生成できるかもしれないけど、かなり時間が掛かるわ・・・急には無理よ』
なのはの問いにマリーさんは難しい顔で答えた
「それに、時間転移も、そう何度も出来ないんです。転移機がどれだけ保つかも解らない・・・すでに私とキリエが一度ずつ使ってますから、あと一回、使えるかどうか・・・」
「後は帰るだけってことなんですか?」
はやてが尋ねると
「そうなります」
アミタは静かに答えた
「僕からも聞いていいかい」
「はい」
「君達以外にも、一真のようなちょっと変わった魔導師達がいるんだ。一真は違うとして、この子達は君の仲間なのか?」
クロノさんが見知らぬ魔導師3人の写真を見せて聞いた
「いえ、見覚えは。少なくとも私は、この3人とは接触してません」
「そうか、なのは達の話を聞くによるとこの3人も一真と同じように未来の人間だとういう情報が入っている」
「私やキリエの時間移動の際、何かを巻き添えにしてしまった可能性はあります。そんな方がいらっしゃるのであれば、戻れるように努力します」
「そうしてくれるとありがたい。いつまでもこの時代にいるわけには行かないからな」
俺はほっとした表情で言う
「それじゃあ最後の質問だ。『砕け得ぬ闇』・・システムU-Dを手に入れてどうするつもりなんだ?」
「システムU-Dを・・・エクザミアを手に入れて帰ることが出来れば、きっとエルトリアを蘇らせる事が出来る。世界が戻るにはきっと何百年もかかる。博士の命には間に合わないだろうけど・・・ほんの小さな一歩でも、前に進んだ事を博士に見せてあげたい。博士のやってきた事は、無駄なんかじゃなかったって」
その話を聞き、少し泣きそうになったけど俺は我慢したが、近くではなのは、フェイト、はやての3人が感動して涙を流していた
「協力したのは山々だが、僕たちのすることは変わらない」
その後、クロノさんは自分達が出来る限りの協力をすることを約束した