――チュンチュン。
窓の外から聞こえる小鳥のさえずりで目が覚めた。
暖炉の熱が頬をじんわりと温め、薪の爆ぜる微かな音が耳に届く。
毛布の外に出した指先だけが、まだ冬の名残を感じさせる冷たさを帯びていた。
いつもと変わらない朝の空気。
しかし昨日から一つだけ変化が起きている。
ベッドに横になったまま部屋の隅へ視線を向ければ、新しくハンモックが掛けられ、大きな革袋がいくつも置かれていた。
フルーフさん――私が心の中で勝手にアインのお母さんと呼んでいる人は、昨日突然此処に訪れたかと思うと、そのまま住み着いてしまった。
元々フルーフさんの家だから変な話でもないのだろうけど、場合によっては数年ここで暮らすらしい。
嫌そうに首を傾げるアインとは対照的に、私は特に反対しなかった。
人によって口調も態度もまるで別人のように変わる狂人ぶりには慣れないものの、それ以外は親切で頼れる人だ。
私の醜い容姿にも特に気にした様子を見せず自然に接してくれるし、約束もきちんと守ってくれている。
少し変な所を見なければ、普通にいい人だと思う。
帝国軍の紋章や王国軍、聖都の紋章が入った魔道具や食料袋をいくつも持っている所に不穏さを感じてしまうものの、私から聞かなければ何も問題はない。
部屋を見渡すと、アインは台所で朝食の準備をしていた。
エプロンを纏った灰色の巨躯が、慣れた手つきでパンを捏ねている。
フルーフさんはというと、暖炉の前で毛布に全身を包み、だらしなく寝転がっていた。
毛布の隙間から覗く白い髪が床に散らばり、傍には空になったティーカップと……三本の酒瓶が転がっている。
昨日の時点でなかなかのお酒好きだとは思ったけれど、朝も夜も関係なく飲み続ける人のようだ。
ふと、視線がぶつかった。
毛布に包まったままの彼女と目が合うと、フルーフさんは勢いよく毛布をハンモックに投げ捨て、私の方へと近づいてきた。
寝起きとは思えない身のこなしだった。
「やぁお嬢さん。お目覚めかな……お手を拝借しても?」
「お、おはようございます、フルーフさん。はい、勿論です」
彼女は口の端を緩め、綺麗な手を差し出してくる。
こうして改めて見ると、凄く美人な人だ。
雪のように白い長髪、目の下に刻まれた深い隈、血色の薄い唇。
どこか退廃的な美しさがある。
アイン程じゃないけれど……格好いい。
きっとこういうお姫様扱いが好きな女の子は沢山いるんだろうな、と思う。
私は素直に彼女の手を取り、身体を起こそうとした。
目を細めた彼女の顔を見ながら、立ち上がろうと脚に力を込める。
確かに立ち上がろうとした。なのに――。
「………あ、あれ……す、すみません、すこし、待って、くだ……」
右脚に力を込めた。
何も起きない。
もう一度。
筋肉が命令を拒否しているかのように、膝から下が他人の身体になっていた。
左脚は動く。
動くのに、その事実がかえって恐ろしかった。
昨日まで当たり前だったものが、一晩で奪われていた。
腕で身体を支えれば立てるはずだ。
わかっている。
わかっているのに、頭の中が真っ白になって、私はただ動かない脚をジタバタと振り回すことしかできなかった。
「おや? まだ眠たいの……か……」
フルーフさんの声が途切れた。
彼女の差し出された手が、微かに強張るのが見えた。
私の脚の動きを見て、目を見開く。
それから眉を痛ましげに歪め、ゆっくりと目を瞑った。
『……どうした? 何かあったのか』
私のもがく物音に反応して、アインが近づいてくる足音が聞こえた。
心臓が跳ね上がる。まずい。
このままでは、全てがバレてしまう。
それだけは嫌だった。
たとえこれが単なる先延ばしでしかないと知っていても、知られたくなかった。
残された時間は少なくても、最期の瞬間まで何時もと変わらない平穏な時間を過ごしていたい。
憐れまれながら、ただ命が終わるのを実感しながら過ごす日々なんて――絶対に嫌だ。
私は咄嗟に布団を引き寄せ、その中に潜り込んだ。
見られたくない、知られたくない。
ただそれだけが思考を支配し、幼稚な行動に出てしまった。
布団の中で膝を抱え、息を殺す。
心臓の音がうるさくて、自分の呼吸すら制御できなかった。
「ふむ……少し失礼するよ、お嬢さん」
布団越しに、フルーフさんの小さな声が耳元で聞こえた。
囁くような、けれど有無を言わせない響き。
次の瞬間、身体が浮き上がった。
布団が捲られ、冬の冷気が肌に触れる。
『……何をやっているんだ? お前は……』
「なにって? お姫様だっこだが?」
フルーフさんが芝居がかった仕草で肩を竦め、私に向かってウインクを飛ばしてきた。
彼女の言った通り、私はいつの間にかフルーフさんの腕の中に抱き上げられていた。
アインの呆れた声が遠くから聞こえると同時に、顔が熱くなるのを感じる。
いくら同性でも、これは結構恥ずかしい。
『マキナは自分で歩ける。いらん世話だ』
「はぁ~? 知るかボケ。この中で一番医療知識と実績があるのはこの私だぞ。この娘は病人だからなぁ……。身体への負担は可能な限り避けないといけない。私は何か間違ったことは言ってるか……? 異論がないなら覗き魔は黙ってな」
『道理は通っている……いいだろう、従ってやる……この年増のバイセクシャルBBAが』
「ははッ。舐めた口利いてないでさっさと朝食でも用意してろロリコン野郎が」
アインとフルーフさんがにこやかな声音で、意味のわからない言葉を投げ合っている。
どちらも喧嘩腰なのに、そこに険悪さはない。むしろ楽しそうにすら見えた。
凄く酷い悪口を言い合っているんだろうけど……二人にとってはこの程度、軽口にも入らないのかもしれない。
フルーフさんの言い分に納得したのか、アインは私を気にすることなく食事の準備に戻っていった。
彼女は私を抱えたまま、鼻で深い溜息を吐きながらアインの背中を据わった目で見つめている。
「フルーフさん、ありがとうございました。おかげで……アインにバレずに済みました」
声を潜めて礼を言うと、彼女は肩を竦めた。
「約束したしね。あそこで何もしないのはアイツに君の秘密をバラすようなものだ……まぁ、私としては何かしら感づいて欲しかった所だけどね」
やれやれと首を振りながら、彼女は私を椅子にそっと座らせた。
それから自分も隣の椅子を引いて腰を下ろす。
別にあそこでバレても彼女が約束を破ったとは思わない。
なのに彼女にとっては同じことなのだろう。
やっぱりアインと同じように、どこかズレている。
きっと本質は凄く生真面目な人なんだと思う。
「おぉ~い! お酒ぇ!」
『朝から煩い奴だ……少しは静かにしろ。ほら……受け取れ』
フルーフさんは座って数分も経たない内に、アインに向かってブンブンと手を振りお酒の催促を始めた。
アインは料理の準備をしながら、調理台の上に載っていた酒瓶を手に取ると、フルーフさんに向かって放り投げた。
「センキュー」
お酒を受け取った彼女は、中身を確かめることもせず一気に喉を鳴らしながら飲み干していく。
凄い……朝から一気飲みだ。
「お酒ってそんなに美味しいんですか?」
「うん? あぁ……どっちかって言うと不味いかな」
そんな言葉に続けて、『この酒は特に不味い、だけど度数が高くて安いから年中飲み続けている』と彼女は言う。
意外だった。
てっきりいくら飲んでも飽きないくらい美味しいから飲んでいると思っていたのに。
「え、不味いのにどうしてそんなに飲むのですか? 飲まない方が良いのではないですか?」
「あはは……仰る通り過ぎて何も言い返せないなお嬢さん……。ただ、うぅ~ん……現実を忘れたくてね、色々誤魔化すために飲まずにはいられないだけさ」
彼女は言葉を選びながら、些細な疑問へと答えてくれる。
けれどお酒で酔う感覚もわからない私では、フルーフさんの言っている意味がいまいち理解できなかった。
「……すみません。私にはまだよくわかりません」
「いやいや……年齢に関係なく、こんな悩みは理解しないほうが正解さ。そういうことを聞くってことは……お酒に興味があるのかな?」
「え、えぇ、と……少し」
「いいね。なら君が大人になったらお姉さんがとびきり高いお酒をご馳走してあげる。あ、アイツに内緒で頼むよ……見ての通り小言が煩いからさ」
「え、ですが――」
当たり前のように未来の話をする彼女に、私は呆然としてしまう。
私の死が目前に迫っていることを、彼女も理解しているはずだ。
なのに私が死ぬなんて微塵も思わせないくらい明るい笑顔で、彼女はそんな約束をした。
思わず言葉が口から出そうになる。
そんなの無理だ、と。私はもう――。
けれどいつかのアインがしたように、人差し指で唇を塞がれてしまった。
薄い指先が、顔布越しに私の口元に触れる。
「ふふ、そうだな~……三十歳は遅すぎるし。君が二十五歳になった日に御祝として一緒に飲もうか。だから頑張ってもっと生きないとね……お嬢さん」
「……」
これが彼女なりの励ましなのだと理解した。
正直、何を好き勝手言ってるんだ……と、怒りにも似た感情が無いわけではない。
それでもこんなにまで親身になって励ましてくれる誰かの存在を身近に感じて、私の胸の内はポカポカと温かくなっていった。
コト……という音と共に、焼けたパンの香ばしい匂いが漂ってきた。
いつものように朝食の準備を整えたアインが、お皿を並べ始める。
野菜、お肉、果物、パン。
カラフルな食事が食卓を彩っていく。
「ホォ~……私だけの時とは大違いだ。野菜を水につけただけのスープと乾燥したパンを出してきた奴の料理とは思えん出来だ」
『毎回なんでもいいしか言わん奴に文句を言う権利は無い』
「うぅ~ん、これは……ふふ。なんてこった、言い返せない」
彼女は血色の薄い唇で弧を描き、面白がるように頬杖を突きながら私とアインを交互に見た。
眠たげに大きな欠伸をしながら、朝食を食べた後の予定を聞いてくる。
「いつもなら……この後お風呂に入って、アインに礼儀作法を教えて、後は女神様の聖典を読んだりなどをしています」
『己は炊事家事洗濯と食料確保だ』
「……へぇ~、色々やってんだね。お前が礼儀作法とかって色々ツッコみたい気持ちがあるんだけど、やめとくわ」
フルーフさんはアインが私から礼儀や作法を習っていることを聞くと、軽く鼻で笑った。
それから私の頭に手を置き、『賢い』や『頭の良い娘』と言いながら撫で回してくる。
「あ、あわわ~~……」
『力加減を考えろこの粗暴者が』
撫で回す力が予想外に強く、首に力を入れていなかった私の頭は彼女の掌の中でグルグルと転がされる。
視界がぐわんぐわんと揺れる最中、アインがフルーフさんの手を引き剥がして注意していた。
「おっとごめんよお嬢さん。ちょっ~と力が強かったか」
『この酔っ払いが、何が少しだ……マキナの頭が取れる所だったぞ』
「あ……いえ、お気になさらず。私はなんともないので」
アインはフルーフさんの頭を軽く小突いた。
彼女は両手を合わせてぺこぺこと平謝りしてくる。
別に何かあったわけでもないし、気にする必要も無いのに……彼女は私と同じ目線にしゃがみ込んで、真剣に謝ってくれた。
アインは彼女にもっと謝れなんて言うけれど、フルーフさんはそんなアインに対して拳を握りしめ、お腹を殴りつけた。
アインは呻くように身体を折り曲げて蹲り、動かなくなってしまう。
彼女はそれを尻目に、また私に対して謝ってきた。
朝からとても騒がしい。
一人増えただけなのに、会話が一切途切れず、煩いくらいに人の言葉が聞こえてくる。
最近はアインとこんな風に話していなかったことを思い出した。
どこか重苦しく、私もアインも遠慮がちな話しか出来ていなかった。
なのにフルーフさんのお陰で、そんな重苦しさは吹き飛んでしまった。
酒乱で常に酩酊が入った彼女だけれど、その愉快な様子は周りの空気まで明るくしてくれる。
蹲るアインにぺこぺこ頭を下げるフルーフさん。
なんだか可笑しくて、顔布の下で笑みが溢れてしまう。
「ふふ……大丈夫ですから、フルーフさん。もう本当になんともありません」
「そうかい、すまないね。この恩は何かで必ず返そう。あぁ、そうだ!……今日から移動する時は私が君を運んであげよう。今日から私はお嬢さんの脚となろう!」
『ぐ……断ってやれ、マキナ。こいつは何を考えてるかわかったものではないぞ』
「おっと手が滑った」
ヨロヨロと立ち上がったアインのお腹に、再びフルーフさんの拳が叩き込まれる。
アインはまた何も言えずに蹲ってしまった。
彼には悪いけれど、フルーフさんの提案は私を想ってくれてのことだ。
さっきはなんとかなったものの、この先のことを考えると必ずバレてしまう。
彼女の提案を受け入れれば、多少不自然でもバレる可能性は低くなる。
それにフルーフさんがどれだけ奇行に走っても、アインはフルーフさんだからで済ませそうな気がした。
私に向かってウインクを飛ばしてくる彼女に、私は小さく頷き返した。
「……よろしくお願いします」
「ハハハッ~!! アインザームぅ、聞いたか? 私は正式にお嬢さんの脚として任命されてしまった。お前は炊事洗濯でもして、チマチマ山菜取りにでも精を出すんだな」
『……言わせただけだろうが』
酒瓶を片手にアインの肩に腕を絡めた彼女は、高笑いをしながら歯を見せて笑う。
余程うっとうしいのか、アインは私が見たことの無い様子で首を傾げ、フルーフさんから距離を取ろうとしていた。
こういうの……なんて言うんだっけ。
家族団欒?
違うか。でも、近いかもしれない。
理由も特に無く……なんとなくそう思ってしまう。
死ぬのなら、こんな愉快な雰囲気に包まれて死にたい。
何事もない楽しい日常の延長……。
自分が死ぬなんて忘れてしまう喧騒の中で最期を迎えられたのなら、この恐怖心も少しは和らぐかもしれない。
朝食を終えた私は、濡れたタオルで手を拭いた。
片手が使えなくなってから、ナイフとフォークはもう使っていない。
『マキナ……少しいいか?』
「う、うん、どうしたの、アイン」
アインから話しかけてくるのは、随分と久しぶりな気がした。
私は少し緊張し、声が上擦ってしまう。
『この後の授業……十日程休ませて貰ってもいいか? 少しやらなければならないことが出来た』
「あ、うん。勿論いいよ……アイン」
突然のことだったけれど、私は何事も無い風を装って了承した。
アインにだって個人の都合がある。
それは仕方ないことだ。
本当は……嫌だった。
本音を言えば、残された時間を少しでもアインと一緒に過ごしたい。
たった十日。
されど十日。
私にとっては、永遠に等しい長さかもしれないのに。
このままこの話は終わる。
そう思った瞬間――隣のフルーフさんの気配が変わった。
酒瓶を持つ手が、ゆっくりと机の上に降りてくる。
――ゴンッ!
陶器が割れるかと思うほどの音だった。
「――は?
……おいおいアインザーム……。お前、それは今やらないといけないことなのか? 折角貴重な時間を使ってまでお嬢さんが授業してくれようってのに……ほっぽりだしてまですることだと? なぁ……それは本当に今必要なことか? どうなんだよ、おい?」
『……』
さっきまで陽気だったフルーフさんの目から、一切の温度が消えていた。
喉の奥が詰まって、息を吸い込むことすらできない。
椅子の背もたれを握る指先が、自分のものではないように冷たかった。
感じたことの無い、息の詰まるような圧迫感が全身に張り付いて、冷や汗が背中を伝っていく。
フルーフさんの変貌に対して、アインも負けじと眉間を寄せて彼女を睨みつけていた。
『……大事なことだ。己に出来ることを考えた結果だ』
「…………チッ」
舌打ちの音が、やけに大きく聞こえた。
フルーフさんはしばらくアインを睨みつけたまま動かなかった。
それから深い溜息を吐き、眉間を指で揉み解す。
同時に、辺りに満ちていた張り詰めた空気が少しずつ緩んでいくのを感じた。
「……はぁ~……そういうこと。で……? 何か手伝えることはあるか?」
『……いや、一人で大丈夫だ』
「……あ、そう。なら仕方ないか。考えた末の決断なら私には何も言えないね」
フルーフさんは何かを考えるように目を伏せ、それから小さく首を振った。
その仕草に、私には計り知れない何かの判断が込められているように見えた。
『……騒がしくてすまないな、マキナ』
「重ね重ね悪いねお嬢さん……別に喧嘩じゃないよ。まぁ、親子のスキンシップってやつかな?」
『誰が親子だ……』
そう言うと二人はさっきまでと同じ調子に戻り、軽口を言い合い始めた。
私は二人が喧嘩せずに済んでホッと胸を撫で下ろした。
「さぁ~お嬢さん。食事も済んだことだしお風呂に行こうか?」
「え……あ、はい」
さっきと同じ浮遊感を感じた。
一瞬気を抜いた隙に、フルーフさんは私を椅子から抱き上げて歩き出していた。
『おい、待て。お前も入るつもりか?』
「そうだけど、何か問題でもあるのか? あぁ……お前も入りたいの? ダメダメお前雄じゃん……あぁ実は雌だったとか?」
背後からアインの制止する声が聞こえてくる。
けれどフルーフさんはそんな声にケラケラ笑いながら適当な返事を返していた。
それ、実はちょっと気になっていた……アインって声は渋い男性の声だけれど、実際の性別はどっちなんだろう?
魔物だし性別なんて無さそうだけれど、アイン自身はどう思っているのか、凄く気になる。
『己の性自認は男だ……』
あ、そうなんだ……よかった。
薄々わかってはいたけれど、アインの口からはっきり男性だと聞くのは初めてだから、なんだか安心してしまう。
「ブフッ!……せ、性自認とか懐かしい言葉だな……。何? LGBT? 次はポリコレとか言っちゃう? 多様性とか包括性とか? ふふ……あぁ、残念だアインザーム。ここにはお前が求める男女混浴の多様性なんてないぞ」
『誰がそんなものを求めていると言った!?……あぁ……お前と話していると疲れる。さっさと行け、マキナに手は出すなよ』
「いや、そういうことかよ……キモい想像すんな! 私は恋する一途な乙女だぞ糞野郎! 自称純潔のフルーフと名高い私がそんなことするか……この童●!!」
『はぁ~~……もういいから……行け』
私を抱えたまま意味の理解出来ない言葉で言い合う二人。
先にアインが根負けしたのか、疲れたように天を仰いでいた。
フルーフさんに対して厄介者でも追い払うみたいに、掌でシッシッと払いのけた。