正しさとは何か。
悪とは何か。
己の中に善悪を分かつ認識と線引は存在している。
だが、わからない。
己の中にあるコレは、己の物差しである確証はない。
どちらかといえば他者の物差しを真似ただけのもの……だと思う。
頭では正しいことだ、正当性のあることだと理解している。
しかし果たして……。
他者の命を刈り取る免罪符として、相応しいものなのか。
伸ばした腕が止まる。
思い直し、再び手を伸ばし魔法を使う。
己の手の中で、二つの命が終わりを迎えた。
今、己の中には悪いことをしたという罪悪感がある。
だが、これは必要なこと。
正当性のある行為だという自負もある。
答えが見つからない鬱々とした気分の中。
己は奪った命を手で持ち……帰路へとつく。
帰り道、見覚えのある果実をいくつか摘み取り帰路を急ぐ。
もう昼だ。
そろそろマキナが目覚めてもおかしくはない。
◇◇◇
太陽が天高く登り、冬の温かい日差しが降り積もった雪を照らしている。
差し込む日差しに唸りながらも、少女はまだ起きてこない。
暖炉に乾いた薪を補充し、火かき棒で押し込み部屋の温度を保つ。
起こそうとは思わない。
子供の成長を助けるのは食事と睡眠。
少女……――マキナには、そのどちらも足りていない。
無論、無秩序な生活サイクルは歓迎すべきものではないが……。
これまでの分を補うためにも、多少長く眠らせてやるべきだろう。
顔布をズラし様子を伺うが、悪夢に囚われた様子は無い。
心地よさそうに寝息を立てている。
夢の中の様子も問題はない……。
少女が何故か、己と似たでかいぬいぐるみに抱きついているだけで、平和そのものだ。
寝ることにも体力が必要だと聞く。
昼まで眠れば、流石に起きてくるだろう。
己は少し遅い朝食の準備に取り掛かった。
まずは壺から水を汲み取り、魔法で濾過していく。
少女は病人だ。
身体に影響がないよう細心の注意を払う必要がある。
透き通っているとはいえ油断はできない。
念入りに、細菌や病原微生物を取り除いた純水を、飲み水として作り出す。
木箱から保存食のパンを取り出し、昨日と同じように焼いていく。
木を伐採し、くり抜いて作られた皿に焼き上がったパンを乗せる。
以前フルーフが甘いといっていた果実をすり鉢で砕き、ペースト状になるまで磨り潰す。
ジャム……というには粗が目立つ。
しかし、少しは風味が豊かになるだろう。
栄養バランスが大切だ。
タンパク質、脂質、糖分……体を作り上げるにはどれも欠かすことは出来ない。
病人であれば、なおのこと気にかけなければならん。
続いてビタミンもだ。
人間の体で生成できん栄養素である以上、食事で積極的に取らねばならん。
肌に重要なのはビタミンB群だったか?
いやビタミンAとE……?
水溶性と脂溶性のバランスが重要だったか……?
――フルーフめ……。知識の穴抜けが酷すぎる。もっとまともに学習しておけ。
だが、最低限の基礎知識があって助かった。
少なくとも肉ばかり、果物ばかり、といった偏った食生活に陥らずに済んだ。
コップに水を注ぎ、テーブルに焼きたてパンを乗せる。
ベリー系の果実を水で洗い、へたを取ってボールに盛っていく。
テーブルの上に出揃った朝食を見て……己はなんとか妥協する。
だが、やはり脂質とタンパク質が足りていない。
暫くは保存食の干し肉で賄えるが、肉類は量が少なくすぐに底をつくだろう。
一年は保つとしても、成長期の子供に十分な量を与え続けるには心許ない。
このままでは駄目だな。
気は進まんが……出来ることをしないのは己自身が許せん。
苦手などと良い大人が情けないが……努力するしかない。
◇◇◇
窓から差し込む光の角度が変わり、部屋の影が少しだけ伸びていた。
暖炉の薪が一本、燃え尽きて崩れる。
橙色の火の粉が舞い上がり、すぐに消えた。
「ぅ……ん……」
布団が大きく蠢いた。
「あ、れ……もう、朝……?」
掠れた声と共に、少女が身を起こす。
寝癖のついた象牙色の髪が、あちこちに跳ねていた。
顔布越しでも、寝ぼけているのがわかる。
目を擦り、辺りをぼんやりと見回している。
『朝ではなく昼だが、おはよう』
「おこしてよ……」
声はまだ掠れていて、どこか拗ねたような響きがあった。
布団を押しのけ、ゆっくりと足を床につける。
立ち上がる動作すら緩慢で、まだ完全には覚醒していないらしい。
暖炉の火を絶やさなかったおかげか、寒がる様子はない。
少女はトボトボと、覚束ない足取りでテーブルまで歩いてくる。
『起こす理由もなかったのでな。ほら、朝食を食べるんだ』
椅子を引いてやると、少女は素直に腰を下ろした。
そして――テーブルの上を見た瞬間、その目が大きく見開かれた。
焼きたてのパン。
果実のペースト。
色とりどりのベリー。
透き通った水の入ったコップ。
貧相な食事だと思っていた。
干し肉を薄く焼いたものも添えてはいるが、豪華とは程遠い。
だが少女の瞳は、まるで宝物でも見つけたかのように輝いていた。
顔布の下で、息を呑む気配がする。
「……至れり尽くせりだね」
声が震えていた。
喜びなのか、戸惑いなのか、あるいはその両方なのか。
「食べた分は、いっぱい仕事するから」
その言葉に、己は僅かに眉根を寄せた。
『マキナ、ではさっそく仕事だ。子供は食べて寝るのが本分……ゆっくり時間をかけて食べた後は、昼寝でもするといい』
「アイン……それはちょっと舐めすぎだよ。いくら大事にしてくれてるからって、食べて寝るだけの豚さんになるつもりはないから」
少女が頬を膨らませ、こちらを睨んでくる。
怒っている――というより、拗ねているに近い。
その仕草が、どこか幼くて。
年相応の子供らしくて。
少しだけ、安心した。
『ふむ、仕事か……』
とはいえ、気ままな山暮らしに大した仕事などない。
洗濯は己の方が手際が良い。
炊事は――駄目だ。
子供を火に近づけるのは危険すぎる。
薪割りは論外。
木の伐採など以ての外だ。
しかし、何もさせないというのも考えものだろう。
過剰な退屈は毒だ。
心身の健康に良くない。
ならば、危険の少ない、穏やかな作業を。
川辺で魚を釣ったり、家庭菜園で野菜を育てたり。
魔法で畑を耕すことは出来る。
種があれば、野菜や花を育てることも不可能ではない。
『わかった、考えておこう。だが今すぐ出来ることは何もないぞ。畑や魚釣りなども考えたが……。色々と事前準備をせんことには仕事も始められんしな』
「うん、自分の食い扶持は自分で手に入れないとね」
――子供らしくない。
立派な心掛けだとは思う。
だが、あまり言って欲しくはなかった。
『………』
「そんな顔しても駄目だからね、アイン。適度に身体を動かさないと、動けなくなっちゃうよ」
見透かされた。
目も口も鼻もないこの貌の、どこを読んで己の感情を察しているのか。
少女の観察眼は、時折恐ろしいほど鋭い。
やはり天才か。
そうだと思っていた。
今、確信した。
『はぁ……。あぁ、反対はしていない。だが言った通り、準備は己が行う。それまでは何もせず待っていてくれ。暇なら本があるし……どうしても仕事がしたいのなら、保存食の在庫管理でもするか?』
準備期間は一週間。
いや、半月ほどにしておこう。
その間に少女の体調を見極め、無理のない範囲で出来ることを探せばいい。
「うん!」
少女の声が弾んだ。
仕事を与えられたことが、そんなに嬉しいのだろうか。
「あ、そうだ……」
少女が何かを思いついたように、顔を上げた。
「アインに礼儀作法でも教えてあげようか?」
『礼儀なら己も弁えているぞ。……第一マキナ、お前にそんなものがわかるのか?』
「まぁ、最低限度の礼儀作法は身につけてるから、自信はあるよ」
そう言いながら、少女はナイフとフォークを手に取った。
物音一つ立てない。
カチャリという金属音すら聞こえない。
パンを均等に切り分け、一切れを口に運ぶ。
咀嚼する音も、嚥下する音も、何も聞こえてこない。
グラスを持ち上げ、水を飲む。
傾ける角度、唇への当て方、置くときの静けさ――全てが洗練されていた。
所作の一つ一つに無駄がない。
流れるように、優雅。
気品があるとは思っていた。
言葉遣いや振る舞いから、ある程度の教養は窺えていた。
だが、ここまでとは。
己には、真似できる気がしない。
『……そのようだな』
思わず、感嘆が漏れた。
少女は一度動きを止め、こちらを見上げる。
顔布の下で、得意げな笑みを浮かべているのがわかった。
『だが食事のマナー……か。己にそんなものは必要ない』
「そうかな?」
少女はフォークを置き、真っ直ぐにこちらを見つめてきた。
「礼儀作法は、なにもテーブルマナーだけじゃないよ」
その声には、先ほどまでの無邪気さとは違う響きがあった。
「……ねぇ、アインはさ」
少しの沈黙。
「この先ずっと、この森で暮らして死ぬつもりなの?」
思わぬ質問だった。
だが、それについては随分前から考えてきたことでもある。
己の中には、既に答えがあった。
『いや。いずれは出ていかねばならないと考えていた』
窓の外に目をやる。
雪に覆われた森が、白く静かに広がっている。
『ここは確かに喧騒もなく、心地良い。だが……何もかもが惰性でしかない。代わり映えのない生活から得られるものは、なにもない』
同じ景色。同じ日々。同じ静寂。
それが嫌だったわけではない。
だが、このまま朽ちていくことに――どこか抵抗を感じていた。
『フルーフとの相談になるが。お前が元気になったら……少し遠出をし、共に旅に出るのもいいな』
口にしてから、己は気づいた。
そうだ。少女が元気になれば、拠点を移すことも出来るのだ。
戦火が届かない辺境とはいえ、いつ火の粉がここを襲うとも限らない。
四十年後か、二十年後か……もっと早く。
少女と共に、安全な南側諸国へと移り住む。
それも一つの選択肢だ。
心の傷が癒え、病気が治れば、 人間社会にも馴染めるかもしれない。
少しずつ、普通の生活に戻してやれるかもしれない。
魔物である己としては、人目の多い場所に住むのは気が引ける。
だが保護者として、後々の未来のことも考えておかねばならない。
少女の幸福を思えば。
己の都合など、些細なことだ。
「…………そうなれれば、いいね」
少女の声は、どこか遠くを見るような響きがあった。
何を思っているのか、顔布の下の表情は読み取れない。
だが、その声音には。
微かな翳りがあった。
「うん――な、なら……なおのこと、礼儀作法は学んでおいた方がいいよ」
少女は気を取り直したように、声を明るくした。
「変装するとしても、所作っていうのはその人の人となりを表すからね。人は……内面がどうのなんて綺麗事を言うけど、そんなの建前」
両手をテーブルの上で組む。
その仕草すら、どこか上品だった。
「どんな人間だって、まずその人の容姿や動きを見るものだから」
『そういうものなのか? あまり実感出来んな……』
容姿など、己にとっては物差しにもならない。
少女の顔を見て醜いと思ったことはないし、フルーフの容姿がどうであれ、奴は奴でしかない。
見た目で相手を判断する――その感覚が、正直なところよくわからなかった。
「アインみたいな変人……? 変な魔物さんには、理解出来ない感覚だと思う」
変?己は変ではないが?
違うが?
「それじゃ……容姿や所作の及ぼす影響を、簡単に説明してあげる」
少女はテーブルに肘をつき、こちらをじっと見つめてきた。
その瞳には、教師のような真剣さがあった。
「考えてみて、アイン。お医者様が二人いたとします。二人とも、高名なお医者様として名の知れ渡った人物。……これが前提ね」
『例で示してくれるのはありがたい。理解した』
「一人目は――」
少女は人差し指を立てた。
「清潔感のある診療服を着て、首には聴診器。手元には検査のための小道具を持っています。白衣は糊がきいていて皺ひとつなく、靴も磨かれている。話し方は穏やかで、患者の目を見て丁寧に説明してくれます」
典型的な町医者か、貴族お抱えの医師といった印象だ。
信頼できそうな人物像が、頭の中に浮かぶ。
「二人目は――」
少女は二本目の指を立てた。
「無精髭に、乾いてカピカピのポマードで髪を固めた無愛想な人。目には深い隈、爪は伸びっぱなしで汚れている。道具は何も持っていなくて、布で包んだお薬を『これを飲め』とだけ渡してきます。説明は一切なし」
……それはもはや浮浪者だろう。
フルーフの奴のように、麻薬でも盛ろうとしているとしか思えん。
「さぁ、アイン……」
少女は身を乗り出し、挑むような目でこちらを見た。
「貴方なら、どちらのお医者様を信用して命を預けますか?」
『随分極端な例だな。……当然前者だろう』
答えは即座に出た。
考えるまでもない。
「でしょう?」
少女は満足げに頷いた。
「二人とも同じくらい高名で、同じくらい腕のいいお医者様だという前提なのに。アインは見た目だけで判断した」
――なるほど。
言いたいことが、感覚で理解出来た。
己も無意識のうちに、外見で相手を判断していたということか。
「では、商人の場合はどうかな?」
少女は話を続けた。
「一人目は――恰幅が良くふくよかな商人。上等な生地の服を着て、指には控えめだけど品のいい指輪をしている。話し方は自信に満ちていて、堂々とした語り口。売り込む商品自体は利益も少なく堅実なもの」
『ふむ』
「二人目は――ボロボロの服に、痩せ細った身体。話し方は情緒不安定で支離滅裂、目が泳いでいる。売り込む商品はローリスク・ハイリターン。『必ず儲かる』と何度も繰り返す」
少女は再び、こちらを真っ直ぐに見つめた。
「さぁ、アイン……どっちと取引する? 貴方の信用を得られたのは、どっちかな?」
『……前者だな』
これも即答だった。
前者は裕福で信頼できる商人。
後者は後先のない詐欺師。
実際に会ったわけでもないのに、頭の中で勝手にそういう人物像が浮かんでいた。
振る舞いや仕草、身なりを想像しただけで――無意識のうちに判断を下していた。
これは思考の問題ではない。
もっと深い、無意識の領域で起きていることだ。
――やはり、マキナとの会話は面白い。
己の知らなかった己を、少女は言葉で暴いていく。
それが不快ではなく、むしろ心地よかった。
「実際に会ったわけでもないのに、言い切ったね」
少女は小さく笑った。
「なんでそう言い切れたのかな? これで理解出来た?」
『降参だ……』
素直に認めるしかなかった。
『確かに見た目や所作は、想像よりも重要らしい。己もその影響を受けていた。清廉潔白な態度を取っていたことを、恥じるばかりだ』
「へへ、でしょ」
少女は得意げに胸を張った。
だがすぐに表情を引き締め、真面目な声で続けた。
「私は見た目で判断することがないよう、心がけてるんだけど……。やっぱり人間っていうのは、まずは上辺の先入観からその人を見定めるから」
その言葉には、実感がこもっていた。
「貴族でなくても、高価な服を身につけて傲慢に振る舞うだけで、向こうが勝手に高貴な者だと勘違いしてくれる。それだけで、色々と有利な立場に立てるんだよ」
『子供ながらに、色々と詳しいものだ……』
「私の家は成り上がりの事業家だからね。そういう知識の書かれた本は、山ほど読んだの――それで……アイン」
少女の声が、少しだけ揺れた。
「私が教えてあげられるのは、これくらいしかないんだけど……教えてほしい?」
不安に揺れている。
何かを恐れるように、こちらの反応を窺っている。
何故、こうまでして働こうとするのか。
何故、自分の価値を証明しようとするのか。
それは、なんとなく理解しているつもりだ。
少女は誰からも助けてもらえず、排斥され続けた人間。
本当の意味で甘えることを知らない。
己がいくら「ここにいてもいい」と言っても、じっとしてはいられないのだろう。
自分の居場所は、自分自身で勝ち取らなければならない。
そうでなければ、安心できないのだ。
だから、何かを返さなければならない。
対価を払わなければ、ここにいる資格がない。
少女は、そう思い込んでいる。
だが今、己は心から思う。
是非とも、礼儀作法を少女から学びたい、と。
今思えば、己の知っているマナーはフルーフのものだ。
あの女――いや、あの狂人から学んだ作法など、信用に値するかどうかも怪しい。
これは己にとっても悪い話ではないのだ。
『高貴なお嬢様に教育していただけるなど、魔物の身でありながら身に余る光栄。是非……お願いしよう』
わざと大仰に言ってみせた。
「ぷっふ……」
少女が吹き出した。
顔布の下で、笑いを堪えているのがわかる。
「よ、よろしい。では私のことは、マキナ先生と呼んでください……アイン君」
『あぁ……では、よろしく頼むとしよう』
少女の肩から、僅かに力が抜けたのがわかった。
『その……女性用の礼儀作法ではないよな?』
「ふふ、アインは女性だったの? 勿論、男性用を教えてあげる」
『そうか……なら、後日指導を頼むが構わんか?』
「うん。私も男性の礼儀作法は、色々と忘れてるところがあるかもしれないから、頭の中で整理しておくね」
少女は顎に手を当て、何かを思い出すように視線を上げた。
「あ、アインにとっては記憶を読んだ方が早いかな……?」
少し勘違いしているな。
確かに己は記憶と感情を読み取ることが出来る。
だが、その動きまでは真似出来ない。
フルーフから教わった魔法も、ある程度の訓練を経て身につけたものだ。
覗けば技術を即座に習得できる――というわけではない。
対象の成功体験をなぞり、最短最速で技術を習得する。
無駄を省いた習得までの道筋、心構え、コツなどを最初から理解した状態でのスタート。
そういった補助にはなるが、訓練そのものを省略できるわけではない。
そして、今回。
己は効率など気にしていなかった。
少女から教わることに、意味があるのだ。
『随分と無粋なことを言う。己はお前と関わることに楽しみを見出している……そう言っただろう』
少女の目が、僅かに見開かれた。
『効率など二の次でいい。お前は己に教えると言った。一度口に出した言葉の責任は取らねばならんぞ……。そうだろう、マキナ先生』
己は楽しみを求めている。
それを与えられるのは、お前だけだ。
これは――お前にしか出来ない仕事なのだ。
不安に揺れていた瞳は、もうなかった。
己のお巫山戯に可笑しそうに笑いながら、少女はニッと綺麗な笑みを浮かべた。
「――ふふ……変なの」
その声は、心底楽しそうだった。
「ですが、おっしゃる通りですね……アイン君」
そんな、冗談めいた言葉が嬉しかった。
顔布が揺れ、一瞬だけ瞳が顕になる。
自分に価値を見出せていなかった少女の瞳に――ようやく、少しだけ活力が宿った気がする。