自分の作った生命体に命を狙われてるんだがw   作:あああ

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評価と感想があったので一旦続けます。ありがとうございます。


第4話

【悲報】昨日の練馬の異能バトル動画、マジだった件

 

1:名無しの暇人

これ見て。昨日の深夜2時頃、練馬区の住宅街。

[動画リンク:街灯の下で空間が歪み、中学生が発狂してブロック塀を粉砕している。そこに男が現れ衝撃波を防ぐ映像]

 

2:名無しの暇人

またこの加工動画か。最近のAI生成はレベル高いな。

 

3:名無しの暇人

いや、これマジっぽくない? 撮影者の震え方とか、音の響き方がリアルすぎる。

 

4:名無しの暇人

これ撮影したやつ、この直後に気絶したらしいぞ。 気づいたら道端に倒れてて、街は何事もなかったかのように綺麗だったとか

 

5:名無しの暇人

はいはい、作り話乙。あんなにボロボロになってて何事もなかったは無理があるだろw

 

6:名無しの暇人

でもさ、道路がきれいになってるのやばくない?昔からある傷とかないけど

 

7:名無しの暇人

これ、例の「招待状」の都市伝説と関係あるんじゃね?リンク踏んだら異世界に行けるってやつ。

 

8:名無しの暇人

あー、第一世界だっけ。意識だけ飛ばすフルダイブゲーみたいな都市伝説な。

 

9:名無しの暇人 動画の男

>>6

記憶違いだろ

 

10:名無しの暇人

何故か音声がないのが怪しい

 

11:名無しの暇人

中二病こじらせたガキと不審者の動画だろ。コンクリートが浮いてるのはCG。

 

12:名無しの暇人

>>11

今の技術で、深夜の暗い動画にあんな自然に反射光入れるの無理だよ。あと、男の周囲に飛んでる紫の蝶みたいなの何?

 

13:名無しの暇人

新種だろ(すっとぼけ)

 

14:名無しの暇人

男の顔誰か特定した? 19歳くらい、黒髪、普通の顔?どっかの大学にいてもおかしくない雰囲気だけど。

 

15:名無しの暇人

特定しようとした奴らが軒並みパソコンが壊れたって騒いでる。ネット上に上げると消されるパターンのやつか?

 

16:名無しの暇人

え、マジだ。さっきの動画リンク、もう404になってる。

 

17:名無しの暇人

保存しとけばよかった… これガチのやつじゃん。政府の隠蔽か?

 

18:名無しの暇人

ワイ、読唇術師。男は曰く、理解者はあの世界で見つけろって。現実に絶望したやつが集まる世界がマジで存在するってことか。

 

19:名無しの暇人

でも街が元通りになったってのが一番怖い。俺たちの記憶も上書きされてる可能性あるぞ。

 

20:名無しの暇人

都市伝説にしてもぶっ飛び過ぎて盛り上がれん

 

21:名無しの暇人

これすぎる。ロマンは感じる。

 

22:名無しの暇人

なんか早く逃げなきゃみたいな焦りを感じたな。誰かから逃げてるのか?

 

23:名無しの暇人

美幼女から逃げてるのかも

 

24:名無しの暇人

急にラノベ臭くなったなw少女じゃなくて、幼女な辺り癖を感じる

 

25:名無しの暇人

おいやめろ。……って、おい!俺のPCのカメラが勝手に起動したんだけど!?

 

26:名無しの暇人

釣り乙wwwって、俺のも…え?

 

27:名無しの暇人

[このレスは削除されました]

 

28:名無しの暇人

は?

 

29:名無しの暇人

見てますか?俺もその世界に連れて行ってください。現実、つまんねーよ。

 

30:■■■

 

予測通りの反応ですし、もういらねーなのです

 

 

 

 

 

「玲奈、聞いているのかしら?」

 

「すいません」

 

「謝ってほしいわけじゃないのよ。あなたの将来のために言っているの。今頑張れば、後の人生がどれほど楽になるか。お母さんはあなたに、私のような苦労をしてほしくないだけ」

 

母の言葉は、正論という名の真綿だ。首に巻き付くたびに、少しずつ呼吸が浅くなる。父は新聞から目を上げず、「玲奈ならできるさ。お前は俺たちの自慢の娘なんだから」と付け加えた。

 

その自慢という言葉が、玲奈の背中に見えない重りを積み上げる。期待に応えなければならない。失望させてはいけない。 彼らが望む娘を演じ続けることが、この家で彼女に許された唯一の生存戦略だった。

 

「部屋で勉強してきます」

 

逃げるように席を立ち、自室のドアを閉める。 静寂が訪れると同時に、玲奈はベッドに倒れ込んだ。天井を見上げても、そこには「将来」という名の不透明な壁があるだけだ。

 

官僚になりたいわけじゃない。医者になりたいわけでもない。何かしたいことがあるのかと聞かれても、喉の奥が引き攣ったように動かなくなる。幼い頃から、選択肢は常に提示されていた。彼女の仕事は、その中からなんとなく選ぶことだけ。それが悪いことだとは思わない。ただ、何というか。

 

「空っぽだな、私って」

 

胸のあたりにぽっかりと開いた穴を埋めるように、玲奈はスマートフォンの電源を入れた。数日前、深夜のテンションで開いてしまった不可解なメール。そこに記されたリンク。タップすると、意識が溶ける。

 

視界が歪み、平衡感覚が溶けていく。気づけば彼女は、またあの異世界の中に立っていた。

 

「…また、ここに来ちゃった」

 

冷たい夜風が頬を打つ感覚は、家の中の淀んだ空気よりもずっと生きている実感がした。

 

「やあ、今日は一段と憂鬱なのかな?」

 

しばらく散策をしていると不意に横から声をかけられ、玲奈は肩を跳ねさせた。

 

桜色の髪を夜風に遊ばせ、朱塗りの欄干に腰掛けたエイだった。どこか達観したような、それでいて悪戯っぽい瞳。

 

「エイ。よく会うね」

 

「まあね。運命的な感じ?」

 

エイは欄干から飛び降りると、軽やかな足取りで玲奈の隣に並んだ。

 

「で、今日は何を探しに来た? 刺激? 癒やし? それとも、現実逃避の続き?」

 

玲奈は黙り込んだ。何を求めているのか、自分でもわかっていない。 ただ、あの灰色の部屋にいたくなかっただけだ。

 

「私……わからないの。自分が何をしたいのか。何を見たいのかも」

 

「ふーん。空っぽってわけだ」

 

『今宵、夢の果てにて「真理の試練」を開催するのです!』

 

突如、声が街中に響き渡る。空を見上げれば、白い着物を翻した獣耳の管理者ネリンが不敵な笑みを浮かべて浮遊していた。彼女が指をパチンと鳴らすと、街の数ヵ所に光り輝く景品のリストが投影された。

 

優勝景品:八咫鏡。使用者の深層心理を可視化し、真の願望を投影する。70000ゴールド

準優勝:100000ゴールド

参加賞:10000ゴールド

 

玲奈の心臓が、早鐘を打った。自分でも制御できない、泥沼のように澱んだ本心。それを鏡という形で見ることができれば、この息苦しさから逃れるヒントが見つかるかもしれない。だが、そもそも玲奈はこの世界に慣れていない。勝ち抜ける気がしなかった。

 

「エイ!お願いがあるの」

 

玲奈の勢いが予想以上で、栄作は驚いたように目を丸くした。

 

「そんなに慌ててどうしたん」

 

「あのイベントに出たいの。景品の、鏡が欲しくて…でも、私一人じゃ無理だから。私とチームを組んでくれないかな」

 

玲奈の瞳は、これまでの彼女からは想像もできないほど必死でしおらしい姿だった。自分の作った世界に、これほどまでの熱量で何かを求めるユーザーが現れるのは、クリエイターとしての本能をくすぐられる。

 

参加条件はないが、チームを組めるのは3人までとなっている。一人で参加するよりはいいだろう。

 

ゴールドが手に入れば、情報屋からぼったくられても問題がない。それに…。

 

栄作は、目の前の少女を見据えた。彼女は、借りてきた猫のように大人しい。だが今は、期待と不安で頬を上気させ、潤んだ瞳でこちらを見つめている。

 

TSした栄作自身の姿もかなりの美少女だと自負しているが、玲奈の壊れそうな危うい美しさは、そそった。

 

なにより、一生懸命に自分の袖を掴むその仕草が純粋に――可愛かった。

 

「まあ、そこまで頼まれて断るほどやる気がないわけじゃない。異能がまだ使えない君じゃすぐ負けるだろうし」

 

「本当!?ありがとう、エイ!」

 

玲奈の顔に、今日初めての、そして現実世界では一度も見せたことのないような弾けるような笑みが浮かんだ。  その眩しさに、栄作はわずかに目を細める。

 

エイは玲奈の頭を軽くデコピンで弾いた。

 

「ただし、自分では無理って最初から決めるのはお勧めしない。ここでは特にね」

 

「頑張る…なるべく」

 

力強く頷く玲奈。その背後で、空を回遊するクジラが大きく鳴いた。

 

ルールが表示される。

 

脱出ゲーム、謎解き、宝探しの3ゲームの生き残りが優勝者となる。

ゲームは10日のスパンで行われる。つまり、一ヶ月で勝負がつくというわけだ。

イベントの参加資格はなし。

ゲームの内容は第一世界の各モニターで配信。

異能は解禁。痛覚無効はOFFなので、自己責任で参加。

 

ざっくりと要約したらこんな感じだった。

 

「痛覚無効って、私今のデコピン痛かったんだけど」

 

「基本はOFFだからね。街の外はわりとアクションゲームみたいなイベントがあるからONにする子がいるんだ。痛覚って言っても上限は強力な静電気レベルだけど」

 

少し不満げな少女をスルーしながら、改めてルールを確認する。

 

「脱出ゲーム、次の土曜日だけどやっぱり最低限異能は使えた方がいいかもね。無理なら、武器を買うかな」

 

「………脱出ゲームなんだよね。物騒じゃないよね?」

 

「いや、普通に襲ってくるよ。イベント中の怪我とかって終わればすぐに治るし、勝ち残りだからユーザー同士の戦いは前提だろうね」

 

青ざめる玲奈にケラケラと栄作は笑みを浮かべる。

 

「問題ないさ、僕がいる」

 

 

 

 

 

 





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