先生とアリウス4人が第二の人生を歩む話   作:緑抹茶

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6.「旧姓錠前サオリだ。これから家を探しに行く。」

 

サ「そういえば先生はさっき私たちを家族だと言っていたと思うが」

 

「うん」

 

サ「その、この前やったあの戸籍のやつと何か関係があるのか?」

 

ア「私もそれ気になるかも」

 

「あれ、サオリたちに言ってなかったっけ?」

 

サ「ああ、日本の国民?になったとは聞いたがそれ以外は聞いていない。」

 

「あっとそれはごめん。じゃあみんなにも言っておかないとね」

 

「サオリの予想通りあの時に俺達の関係は変わったんだ。」

 

ア「というと?」

 

「実はみんなはあの時にね、俺の養子に入ったんだ。」

 

ヒ「養子...ですか?」

 

「そう。養子っていうのはね、血がつながっていない人が親子になるってことなんだ。」

 

ミ「ってことは、私たちは先生の娘ってこと?」

 

「正解。俺達の間には血の繋がりは無いんだけど書類上...法律上かな、法律の上で俺達は親子関係になってる。」

 

「なんなら名字もね、秤とか戒野から俺の名字になってます、はい。」

 

ヒ「名字もですか!」

 

「みんなはまだ未成年だから親の戸籍に入っていないといけなくてね。こうするしかなかったんだ。」

 

確かにみんなに一言も言わずに進めたのはあまり良くなかったのかもしれない。

 

ミ「別にいいんじゃない。別に名字くらい変わったって気にしない。」

 

ア「だってミサキ、いっぱい甘えられるもんね~」

 

ミ「な、ち、違うから!そういう意図で言ったわけじゃ...ない。」

 

サ「でも確かに先生のことを頼りやすくなった。でもそれは本心だ、確かに名字とかが急に変わるのは驚きだが....まぁじきに慣れるさ。」

 

ヒ「これで遠慮せずに先生におねだりができます!!!」

 

「うん...うん?ヒヨリは更に強欲の化身になりそうな予感がするなぁ...」

 

なーんかこの前も似たようなこと言ってたような...

 

ア「でもね、うれしい。親子なら先生に好き好きって言っても問題ないし、なんなら一緒にお風呂入っても寝ても問題ないもんね」

 

「ん...?アツコ?」

 

だって親子なんだから健全だよ?とニヤニヤしながら言うアツコに対してこの子には苦労させられるなと思ってしまった。

 

サ「でも親子か...なんだか新鮮だ。つまりは旧姓錠前サオリ、だな。」

 

サオリ...君が言うとまるで結婚したみたいに聞こえるよ。変な誤解を生みそうだから外では絶対そんな事言わないでね。

 

ミ「確かに今までは先生として見ていたのに、今度は父親としてってなんか変...」

 

ヒ「じゃあ先生って呼ぶのはちょっと変ですよね...これからはなんて呼べばいいんでしょうか?」

 

「あーたしかに。まぁ何でもいいよ、呼びやすい呼び方で。」

 

言われてみればそうだ。今までは一応教師と教え子、だったが今は親子だ。そのまま先生呼びは変に聞こえる。

 

ヒ「じゃあお父さんですね!!一回呼んでみたかったんです!」

 

お父さん...か。呼ばれるこっちも少し変な感じがする。

 

サ「...父さん。これからもよろしく頼む。」

 

「ああ、もちろん。」

 

ア「これからも私たちのこと大切にしてね。大好きだよ、パーパ♡」

 

「!?」

 

アツコが言うとなんか変な風に想像してしまう。なんて卑しいんだ。

 

「ま、まぁこれからもよろしくね、みんな。」

 

ミ「うん...よろしくお父さん。」

 

「お父さん!?」

 

正直言ってミサキは父親呼びしてくれるとは思っていなかったので、正直びっくりした。

 

でも呼んでもらえるとなんだろう、うまく言葉にできないけどうれしい気持ちになる。

 

サ「ミサキ、お前...」

 

ヒ「だってミサキさんこの前お父さんに甘えたそうにしてましたもんね...」

 

ミ「ヒヨリ、うるさい!」

 

ア「ミサキも素直じゃないね。早く”こっち側”においでよ。」

 

ミ「もう姫まで!!!」

 

ピロン、と不意に俺のスマホの通知がなる。

 

「...おっと」

 

確認すると、それは今借りているアパートの大家からで、再来月にこの賃貸契約が満了するとのメールだった。

 

一応大家さんにもアツコたちのことはキヴォトスではなく、親戚の子どもを引き取ったということにして話はしてある。

 

それでも俺を住まわせてくれる優しい人ではあるが、期限が近いならその時に教えてくれよと内心思ったのは内緒だ。

 

契約満了、このメールが来ると契約を更新して引き続き借り続けるか、そのまま更新せずこの家を出ていくの二択に迫られる。

 

自分はてっきりもう数カ月先のことだと思っていたが、勘違いをしていたらしい。

 

「みんなごめん」

 

ア「どうしたのパパ?」

 

「アツコたちがこっちに来てずっとバタバタしてると思うんだけどね」

 

ア「うん」

 

「まだもうちょっと....何ならかなりバタバタするかもしれない。」

 

ア「と、いうと?」

 

「2ヶ月後にはこの家を出ないといけなくてね、新しい家を探さないといけないんだ。」

 

ヒ「えええ!!」

 

次に声を上げたのはヒヨリ。

 

ヒ「それはやっぱり私たちがいるからですか...?やっぱりお荷物になってしまってるんじゃ...」

 

「いやいやそれは違う。単にこの家の契約が終わるのが2ヶ月後なんだ。ここも5人じゃ狭いし、新しい家を探そうと思ってね。」

 

ミ「で、目星はついてるの?」

 

「....痛い所ついてくるね。正直ぜんっぜん見つかってない。」

 

ミ「今すぐにでも探し始めないとやばくない...?」

 

「それは重々承知しております....はい」

 

そんなことを言っていると更にスマホにメールが届いた音がする。

 

「いや、もしかしたらなんとかなるかもしれない。」

 

その差出人は先程の大家さん。

 

そして件名には「次の物件についてご相談」と。

 

 

ーーー

 

 

「いやあ、今日はわざわざ来てもらって悪いね。ささ、どうぞかけてもらって。」

 

「いえいえこちらこそありがとうございます。中々いい物件がなくて困っていまして。あ、お茶までどうも。」

 

次の日、俺はみんなを連れて大家さんの家へとお邪魔していた。

 

元々は誰か1人だけを連れて行こうと思ったが、向こう側の厚意によって4人とも連れてきている。

 

「お姉ちゃんおっぱいおっき!!ねぇねぇ触ってみてもいい!?」

 

ヒ「ふええええ~~~」

 

「こら!やめなさい!!うちの娘が申し訳ない...」

 

「ああいや、まぁ大丈夫です。うちの子も嫌だったら嫌って言いますので...」

 

大家さんと机を挟んで俺、サオリ、ミサキが座って話を聞いている。

 

アツコとヒヨリは大家さんの娘さんとキャッキャと遊んでいる。

 

「それで本題に入るんだが...」

 

ゴクリと自分の喉がなるのが分かった。

 

「もしよかったら、この物件なんてどうだろう?まぁまた俺が大家の物件なんだが...」

 

そう言って前に出された紙に目を通す。

 

「これは...」

 

向こう側提案されたのは、ここから少し離れた場所にあるとあるマンション。

 

築15年、6階建ての2階部屋の4LDK...

 

それに駅も近からず...でも遠からずと絶妙なところに立地している。

 

サ「かなり広そうなところだな、悪くない。」

 

ミ「いいんじゃないの。」

 

「結構いい物件じゃないっすか。いやでも結構家賃高いっすよね?」

 

載ってる写真を見ると、確かに少し古さはあるものの全然きれいなところだ。住めるのならばこんなところに住めればいいのだが、やはり家賃が足を引っ張ってしまう。

 

ましてやこんなところなら20万...いや30万で下るかどうか...

 

「...12万。」

 

「え?」

 

「管理費込みで12万だったらどうする?」

 

「いやいやいや。あくまでもIFの話ですよね?流石にこの条件で12万は安すぎません?」

 

サ「む、その12万というのは安いものなのか?」

 

「うん、メッチャクチャ安い。普通ならその2、3倍以上してもおかしくないと思う。」

 

おかしい。普通4LDKを10万ちょっとで住めるわけがない。

 

何かが無いとそんなので...

 

「いいや、本当の話だ。」

 

「でも、どうしてそんなに安く....」

 

「確かにそう怪しむのも分かる。実際ここもまぁ予想通りそこそこの家賃を取ってる。」

 

「実はな...この部屋、人が入ってもすぐに出ていってしまうんだよ。それも何組も」

 

「そしてかれこれ2、3年くらい人が入ってないな。ここの住人も特に変な人もいないはずなんだがね...」

 

他の部屋だったらこんなことないのになぜ..と嘆く姿を見るに何かがあるように見えた。

 

「もしかして...事故物件だったり?」

 

「いや、それは無い。ここどころか俺が大家の物件でそういうのは0だ。別に前に建っていた建物がやばいわけでもないのにな。でもここまで人が入らないとまあ、半分はそうとも言えるか.....」

 

「なるほど...」

 

「ま、他の理由は”税金”だな。」

 

「というと?」

 

「なんかな他のオーナーたちから聞いた話で、この市も賃貸の空室にバカ高い税金をかけようとしているらしい。まぁすぐにはそうなりはしないだろうが...」

 

「余計な税金がかかるかもしれないならば、とりあえず人に貸してしまえってことで?」

 

長い目で見たらってことか...

 

「まぁそうなるな。それにその部屋だけ変な噂が広まったのか全然人が入ってくれなくてね。」

 

結構大変な事情があったようだ。

 

「それに、アンタにはただの貸主と借主ってだけじゃなくて結構色々と世話になったり、助けてもらったところもある。まぁそれ含めての感謝ってことでその家賃だ。」

 

「...もしかして1ヶ月目はそれで、2ヶ月目からは一気に上がったりってことは...」

 

「そんな悪徳業者まがいのことはしないさ。契約が続く限りその値段だよ。」

 

「マジっすか...!?」

 

やはりいいことは回り回って自分のもとに返ってくる、それを一番実感した瞬間だった。

 

大学進学で今のところに引っ越してから大家さんと交流ができ、敷地の草むしりから娘さんの相手などなどいろんなことをしていて良かったと思った。

 

それに12万なら今の給料からでもいけないことはない。シャーレの貯金も考えれば生活はなんとかなる額であった。

 

「内見、いけます?」

 

「もちろん。そのために君たちを呼んだんだ。」

 

 

ア「おお、けっこう広いね」

 

「これは素晴らしいな」

 

ミ「...いいね」

 

ヒ「ええ!!こんなところに住んでいいんですか!?嬉しすぎますう!!!」

 

サ「一見なにも問題ないようだが、どうして人が入らないんだろうか...」

 

大家さんのミニバンに乗せられて約20分。今住んでいる家から数駅ほど都心から離れる形にはなるがここも住宅地の中に立地している。

 

一通り、部屋の中を見て回ったが特に問題はなさそうだった。

 

「俺的にはここで十分問題ないと思うんだけど、みんなはどう?」

 

サ「私はここで問題ない」

 

ア「私も」

 

ミ「みんなに従う。」

 

ヒ「ここにしましょうお父さん!!ここ逃すともうここより良いところは見つかりませんから!さあ!!」

 

「おっけ。じゃあここにしようか。...そういうわけでお願いします。」

 

「そう言ってくれて嬉しいよ。」

 

「どうする?入りたい日とかはあるかな?可能な限りそっちに合わせるけど」

 

「うーん、正直すぐ入りたい気持ちもありますが流石にすぐだとバタバタしてしまうので....今月末くらいならいけます?」

 

多分今月はそこまで仕事も忙しくないから休みも取れるはずだ。

 

「てことは大体3週間くらいか。了解、多分問題ない。確かに引越し業者もすぐ見つかるだろうね。契約関係についてはまた連絡するよ。」

 

ーー

 

ヒ「えへへ、お父さん。とりあえず次の住処が見つかってよかったですね!」

 

内見が終わった帰り道、ヒヨリが嬉しそうにそうつぶやく。

 

「うん。ヒヨリの一声のおかげで最後は決断できたよ。」

 

ヒ「えへ、えへへへへ......」

 

「ということでまぁ月末は忙しくなるよ!」

 

サ「ああ、力仕事は問題ない。バイトとかで慣れている。」

 

「いやあそれは頼もしいな!さてとこれで戸籍も大丈夫、家も決まった....となると次は」

 

ア「次は?」

 

「学校探し...だな。」

 

 

 

 

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