名探偵プリキュア! The End of Truth   作:シロX

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たんプリ書きたくなったので始めました。取り敢えずプロローグから


プロローグ

 誰も知らない、何処か遠く、完全に外界と隔たれたようなそんな場所。周囲に人の気配は一切無く、灰色な世界。その中心で、一際光り輝く白い閃光が縦横無尽に動いていた。

 

「速いな」

 

 常識ではあり得ない動きをする1人の少年。彼はそう呟きながら、対峙する者に冷たい視線を向け続ける。

 地を蹴り、殺意とも言える容赦の無い右回し蹴りを繰り出して的確に急所を狙う。

 

 だが相手もそれを容易く腕で防御する。

 

「それに硬い。ちょっと面倒だけど──」

 

 防御された右足。軽くだが、再度蹴りを入れてその衝撃を利用し、少年は距離を置いた。

 

「ま、全然勝てる勝てる」

 

「ハハ、流石と言わざる得ないな。名探偵『キュアトゥルース』」

 

「怪盗に褒められるなんて、何かひにくー」

 

 少年、キュアトゥルースは唇を尖らせて不満気な表情をした。

 

「ま、どうでもいいけどね。『ニジー』だっけ? もう終わらせるし」

 

 トゥルースの瞳が輝く。青く、透き通ったその瞳は視界に入るあらゆる嘘を全て見抜き、真実を見通す。

 

「やれるもんならやってみな?」

 

 トゥルースは駆け出す。

 

 相手がどのような動きをするのか見逃さないよう、右に掛けている片眼鏡のレンズが光る。その際、被っている小さなシルクハットが揺れ動く。落とさないよう手を添え、インバネスコートを靡かせる。

 自分が探偵である事を主張するかの如くコートの下から覗かせる紳士服にも様々な装飾があしらわれている。

 

 何者にも染まらない全身純粋な白で覆われ、欺く嘘のシミすら寄せ付けない風貌。

 

 あまりの速さに白い閃光のように見えていたのは、その衣装故に。

 

「やってやるさ!」

 

 トゥルースは大きく跳躍し、落下+回転を加えた踵落としでニジーへと右脚を振り下ろす。

 

 トゥルースの尋常ではない速さに目が慣れてきているのか、ニジーも適応し、防御の姿勢で対応した。

 人間離れした力の力のぶつかり合いに、大気が揺れ、地面が割れ、互いの汗が弾ける。

 

「だったら」

 

 素早く脚を引っ込め、左回転で裏拳、そして回し蹴りにまで攻撃を繋げる。が、それも全て防がれる。

 

「もう終わらせるんじゃなかったっけ?」

 

「今からだよ!」

 

 両の拳を使って攻め立てる。何発かヒットしているものの、それら全て大したものではない。ニジーは、瞬時に急所を狙う拳だけを見極め、巧みに受け流し、それ以外のものはわざとその身で受けている。

 最低限の動きで、ダメージを最小限まで絞っている。

 

 実力では圧倒的に有利なトゥルースだが、経験か予測や物事の判断力はニジーの方が一枚上手。

 

(威勢よくあれこれ言ったけど、これは中々骨が折れる)

 

 じっくり、それでいて確実に勝つならばこのまま持久戦に持ち込んでも構わない。それだけの余力は十分にある。

 

 けれどトゥルースは警戒する。ニジーはどこか嘘をついている節がある。

 

「一体何狙ってんだよ?」

 

「狙う? 何の事かなー?」

 

 ニジーの右手が微かに動いた。何かされると思い、再度距離を置いた。

 

「おっしい。もうちょっとだったのに」

 

 何をしようとしていたのか今となっては分からないが、もしあの右手に捕まっていたらトゥルースにとって最悪な事態になりかねないと察していた。

 

「怪盗団ファントム。結構やるルル」

 

 トゥルースのお友達である妖精の「ルルタン」がトゥルースの肩に乗っかり、苦い表情をしていた。

 

「でもまあ、トゥルースには勝てないけどルル! トゥルース、やっちゃえやっちゃえルル!」

 

「はいはい。女の子がそんな怖い事言わないの」

 

 可愛い声とは裏腹に、拳をビシバシ突き出してはとても女の子が口に出していけない強気な発言の連呼。彼女の鼻先を指先で軽く撫でながら、昂っている感情を抑える。

 

「さて、どうしたもんか……ん?」

 

 何か隠している素振りがある以上、これ以上戦いを長引かせる訳にはいかない。どう仕留めようかと考えていた矢先、ニジーは悠然とした態度でこちらへ歩いて来た。

 

 トゥルースの力はそれなりに把握している。正面からやり合っても勝てない事はニジーも理解している筈。なのに自分から。それも堂々ときた。

 

 ──不気味だ。

 

 そんなネガティブな考えが頭の中でよぎった。

 

(ここまで、俺達に勘付かれないギリギリの範囲で力をセーブしてるように感じる。油断させる為だろう。じゃあそれは何の為に?)

 

 何処かに張り巡らしている伏線を探す。

 

(多分だけど、俺は見落としちゃいけない"何か"を見落としている)

 

「トゥルース、考えるのは後ルル! ボッコボッコにするルル!」

 

「あ、ああ」

 

 拭えないこのモヤモヤ感。あまりにも誘導されている気分だ。それでもニジー倒す為、左腰に装着しているピンク色の手帳を手に取る。

 

「一気に決めちゃえルル!」

 

 手帳を開けようとして指をなぞった時、ルルタンの言葉を聞いてその手を止めた。

 

「ねえルルタン、一つ訊いてもいい?」

 

「何ルル?」

 

「いやね、どうしてそんなに勝負を()()()()()()って?」

 

 パンッと音を立てながら手帳を閉じた。そして、下から舐め回すような目付きで相棒であり、お友達であるルルタンに問い掛けた。

 

「それは、トゥルースが早く終わらせるって言ったからルル」

 

「だとしても、だ。わざわざこんな近くまで来て言う事じゃじゃない。それも執拗に」

 

 ルルタンの瞳に僅かな濁りを見た。でもすぐにトゥルースは目を伏せる。

 

「変に敏感になってるね。疑ってごめんね」

 

「謝らなくていいルル。だって──本当に謝らないといけないのはルルタンの方ルル」

 

 トゥルースが何か勘付き、ルルタンから離れる。しかし、その先にはニジーが待ち構えていた。

 トゥルースを羽交締めで拘束して、ニジーの口角が上がる。まるで「待っていました」と言わんばかりに。

 

 そして、ルルタンはトゥルースが手に持っていた手帳を取り上げ、表紙にセットされていたアイテムを外される。

 すると、トゥルースは光に包まれて何処かの学校の制服になった。

 

「変身が解け……いや、それよりも!」

 

 突然のルルタンの裏切り。それにしか目が行かない。

 

「ルルタン、まさかとは思うけど怪盗団ファントムと繋がってたの?」

 

「そうルル。最初から、この勝負は仕組まれてたルル」

 

「ニジーの苦戦も、そしてこの局面すら全部手のひらの上だって言うのか⁉︎」

 

「ここまでぜーんぶ、ボクが考えてた通り動いてくれたねルルタン。キミもその内のひとりだよ、キュアトゥルース」

 

 最初から詰んでいた。最初の一手どころのレベルではない。この場に訪れた時点で、勝敗は決まっていた。その事にトゥルースは全く気付かなかった。

 

(悟られずここまでするなんて。なんて恐ろしく緻密にデザインされたゲーム運び)

 

「キミの敗因は、真実を知ろうと先を見据え過ぎた事だ。それ故、すぐ近くにある隠れた嘘に見抜けなかった」

 

「クッ……!」

 

「皮肉だね」

 

 ニジーはトゥルース、いや、彼は今力を持たないただの少年だ。少年の頭を掴み、何かしらの力を流し込んでいる。

 

「キミにはまだまだ利用価値がある。だから、ボク達の為に働いてもらうよ」

 

「な、何を──」

 

「ま、欲しいのはガワの方だけど」

 

 その瞬間、少年の頭の中にある記憶が全て弾けた。瞳の中にある光は徐々に失い、煌めきを失っていく。朦朧とする意識の中、少年が最後に見た光景。

 

 ルルタンとニジーが薄ら笑う表情だった。




ニジーの口調が怪し目であった。
次回からアニメ本編へレッツラゴー

ここまでの拝読ありがとうございました
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