名探偵プリキュア! The End of Truth 作:シロX
今日もキュアット探偵事務所はのどかだ。それはとても良い事なのだが、いかんせん依頼人が全然来ないせいもあり退屈を強いられる名探偵達。
あんなとみくるはソファーで行儀悪く寝そべっては、天井のシミをひとつひとつ数えている。
いつも見ている風景から、ジェットはもう何も言わず書類整理をして2人に呆れ果てている。
「おい2人共、いつまでそんな事してるんだ。そんなみっともない姿を依頼人に見せられないから、もっとシャキッとしろ!」
「そうだぞみくる。そんなんじゃ、お昼のレストランに連れて行ってやんないぞー?」
「「「れ、レストラン⁉︎」」」
何気なく言い放ったまことの言葉にあんな、みくる、ジェットが過剰に反応した。その様な反応になるのも理由がある。
キュアット探偵事務所を改めて開業するにあたって、つい最近家具を買い足してその分お金が無くなっているのだ。
贅沢なんてしている余裕なんてない状況下で、レストランに行くって言われたら全員この様な始末になっても仕方のないこと。
「まさかまこと君、事務所のお金を……!」
「やめろ。変な誤解生んでいないか?」
「じゃあ、どっからそんな話が舞い込んで来たんだ?」
「落とし物を拾ってその主がオーナーだったから、お礼にって招待してくれたんだ。『お友達もどうですか?』てな訳で」
「「でかした!」」
欲望に忠実なみくるとジェットはガッツポーズを決め、そんな2人を前にあんなは苦笑いを浮かべていた。キュアット探偵事務所は今や現在、実質子供だけで生計をなりたてている。その生活費も、ジェットがなんとか捻出しているに過ぎない。
そんな時にまことの一言。ジェットからすれば、後光が差して見えるの出来事なのだ。
「今日のお昼、そのレストランに行くんだけど……どうだ?」
「「行きたい!」」
みくるとジェットは有無も言わさない程の挙手で賛同。
「あんなは?」
「わたしも良いの?」
「ああ。勿論、ポチタンも一緒に行こうな」
「ポチ!」
こうして、キュアット探偵事務所御一行はお腹を空かせてレストランに待ち焦がれるのだった。
◯
まこと達がやってきたのは「レストランフレグランス」。外装見ただけでも分かる。このレストランはそれなりにお高い場所。
こんな所に子供4人が入っても場違いになるのではと一同思い、その門を潜るのに躊躇する。
しかし、こちらは確かに招待されている身。固く身構えず、堂々と入ればいいのだ。生唾を飲み込み、4人は足を踏み入れた。
内装は一言で言えば「綺麗」のに尽きる。余計に場違い感が目立ち、あまりの世界観に右往左往する始末。周囲に気圧されていると、まことに話し掛ける人がいた。
「金田一まこと君だね」
「あ、はい。えっと、貴女は?」
「このレストランのマネージャーの久坂部真香。シェフから聞いてるよ。ささ、こっち」
案内を任されたのは、まさか接客を担当するホールではなくマネージャー。普通とは違ったおもてなしに困惑しながらも、案内された席へ着席する。
「あの、何でまたマネージャーが席まで案内を?」
「いやーね。君が拾ってくれた落とし物。あれ結構大事な物だったんだよ」
「まこと君、何拾ったの?」
「メモ帳」
「そう、メモ帳。でも、単なるメモ帳ではないんだ。うちのシェフ、メモ帳をレシピノートにしてて、それを常に持ち歩いてるんだ」
企業の秘密にしている物を拾った。確かに、それだけ聞けばわざわざこうして感謝されてもなんなら不思議でない。ただちょっと、優遇が少し凄いが。
「おっと、噂をすれば」
厨房から噂のシェフが顔を出した。そして、迷いなくまこと達が座る席へ歩いてきた。
「あっ、先日振りです。えっと……」
「シェフの楠美だ。改めて、先日はありがとうございました」
「いえいえこちらこそ。このような場の招待ありがとうございます!」
「「「ありがとうございます!」」」
お互いに頭を下げ、楠美は和かな笑顔まま話を続ける。
「このメモ帳を無くした時、どうなるかと思ったよ」
楠美は、話題に上がるメモ帳をポケットから取り出してどんなものかあんなやみくる達に見せてあげた。
「だからあれ程言ったんですよ。そんな大事な物を常に持ち歩くのは危ないって」
「これは俺の財産でもあるんだ。粗末な扱いは出来ないんだ」
どうやら、まこと達が思う以上にそのメモ帳は大事な物だったらしい。
楠美と真香は咳払いし、身内話はここで一度区切りを付ける。周りには他のお客が居る。この場で話す内容でもない。
「今回はゆっくりと楽しんでくれ」
「私もそろそろ自分の仕事に戻るわね。皆さん、有意義なお時間を」
仕事に戻る大人の2人を見て、改めてジェットは口を開いた。
「今日は素直に好意に甘えようぜ?」
「それもそうだな」
「ポチ!」
まことがポチタンの顎を優しく撫でる。その時、タイミング悪く尿意が差し掛かった。
「ちょっとお手洗い行ってくる」
一度席を離れるまこと。今日は皆すこぶる機嫌が良い。こういう日は、事件も何も無い。怪盗団ファントムの事を忘れて今を楽しむに限る。
◯
お礼というには、あまりにも豪華過ぎるコースを提供してくれた。二度と味わう事のない体験が目の前に広がっている。楠美のご厚意には本当に感謝しかない。その思いで料理を口の中に運び、味わって咀嚼する。
それからコースもいよいよい終わりに近付く。胃袋は大変満足して、後は最後のデザートを待つのみ。その際、料理の感想と改めて招待してくれた事への感謝の意を伝える為楠美を呼んでいる。
そして迎えるデザート。それぞれの席に置かれ、ホールスタッフとの入れ違いで楠美がやって来てくれた。
「楠美さん、どの料理も美味しかったですよ」
「見た事もない料理に!」
「初めて知った味!」
まこと、みくる、あんなの順番にその旨を直接伝えた。そんな3人の純粋な感想に、楠美は嬉しく微笑んだ。
「それは良かったです」
そこへ、真香さんも傍らまで歩いて来ていた。
「どうだった、ウチのレストランは?」
「「「「美味しいです!」」」」
まこと達4人は、文句無くそう答える。真香も、まるで自分の事のように嬉しさを表していた。
「最後まで召し上がってね!」
真香がそう最後に告げた瞬間、視界が暗転する。停電したのだ。
「な、何だ⁉︎」
ジェットの声がした。それが波紋を呼んで周囲の人達まで動揺が感染する。暗闇の中で、不安の声が度々耳に届く。
「暗闇は危ないだろうから、今は皆動かない方がいい」
「ジェット先輩明かりない?」
下手に動くと怪我をする恐れがある。その事を考慮してまことは注意喚起した。その後、みくるが明かり有無をジェットに尋ねた。発明家のジェットなら、何かしらのプリキットで明るく照らし出してくれるだろうと安易に考えた。
「待ってろ。どれだ? これでもないな」
視界がままならない状態で、ジェットは手探りで何かを探している。暗闇の中で、あんなは冷静にレストランの窓に視線を向けた。
「丁度雲が差し掛かったんだ。だからこんなにも中が暗くなったんだね」
「おっ、あったぞ!」
苦労の果てにジェットが明るくする物を見つけたのだが、そのタイミングでレストランの窓から陽射しご差し込んでホール内を明るく照らし出してくれた。
「ジェット先輩、見つけるの遅いです」
「仕方ないだろ! 暗かったんだから!」
みくるとジェットのやり取りにあんなは苦笑いする。そして、他の人が怪我が無いか優しく呼び掛けた。
「皆さん大丈夫ですか?」
「ああ、なんとか」
「びっくりしたわね。ブレーカーでも落ちたのかな?」
一安心、といった様子で腰に手を当てた楠美は違和感を感じて眉を顰める。
「まさか……」
違和感の正体はポケットから。何か嫌な予感を覚えながら、ポケットに手を入れて確かめると案の定それは当たっていた。
同時に、大人しくしていたポチタンにも反応があった。
「たちゅけて……」
「無い、無い! 俺のメモ帳が!」
「「ええ⁉︎」」
ポチタンがそう言う時に限って、怪盗団ファントムとの関わりが深くなってくる。
「まさか、今の暗闇に乗じて盗まれたとか?」
「落ちた可能性だってある。とにかく探すぞ」
ジェットが推察して、まことも他の原因も探るべく床に張る。驚いていたあんなとみくるも、一緒になって辺りを探る。
けれど、それらしいメモ帳の発見には至らなかった。
「こんなに探しても無いなんて」
まこと達4人は集まって話し合いを始める。そして、とある可能性について、みくる、まこと、ジェット、あんなの順で思い浮かべている可能性の筋合わせをする。
「ポチタンが反応したって事はメモ帳が消えた理由って」
「ああ、間違いなくマコトジュエルが絡んでるな」
「マコトジュエルが絡んでいるとなると」
「怪盗団ファントムが盗んだという可能性も!」
怪盗団ファントムが関わっているとなると、名探偵プリキュアの出番が必然となる。そうでなくとも、事件があればキュアット探偵事務所の人間として動く。
「「わたし達に任せて下さい!」」
あんなとみくるは大声で言う。そして、キュアット探偵事務所の名刺を差し出す。
「わたし達キュアット探偵事務所の名探偵がはなまる解決します!」
「ええ!」
こうして、何処かに行方をくらませたメモ帳を探す推理が始まる。
まだ全部書き切っていないのですが、峠は超えたので一応投稿しようかと思い切り出しました。あと3日程は連日で投稿出来るかと思います。あと、自分自身早くお出ししたかったというのも理由
ここまでの拝読ありがとうございました。