名探偵プリキュア! The End of Truth 作:シロX
暖かい春の季節。風に吹かれて桜の華が舞い散り、いつもと変わり映えのない日常がそこにはあった。
お散歩日和の今日。のどかに歩道を歩くは1人の少年。彼の名前は金田一まこと。ごくごく平凡な男子中学生。
「みくるの奴、張り切って1人でキュアット探偵事務所に行ったけど大丈夫なのか?」
「みくる」という子の心配をするまこと。そんな彼の行き先は先程独り呟いていた「キュアット探偵事務所」と呼ばれている建物。
「取り敢えず、変な事件に巻き込まれないよう側にいないとな」
以前からみくるという子がやらかしているような言い草。周囲の迷惑やその子自身の為にもと、まことの歩く速度は徐々に上がっていく。
すると、目の前に2人の女の子と空を飛んでいるぬいぐるみの光景が目に写った。
「あっ、みくる!」
「まこと! 何で此処に居るの?」
噂をすればなんとやら。心配をしていた少女、小林みくるの方から現れた。彼女もまた、まことが目の前に現れた事に驚きを隠せずにいる。
「みくるを心配してここまで来たんだ。ひっどいなー全く!」
「し、心配って何ですか?」
「危なっかしいって事だよ。名探偵目指すって言って、結構振り回されてるからな」
小林みくるは一言で言い表すなら名探偵を志す少女。服装も、漫画やアニメとかでよくみる探偵の姿と同じ見た目をしている。まことは、そんな彼女とお友達という関係性だ。故に、共に行動する事が多く振り回されている。
「それは、ごめんなさい」
「別に謝らせる為に言ったんじゃなくて……って、そう言えばそっちは誰? あんまり見掛けない子だけど?」
ここでようやく、みくると同い年くらいの少女の存在に話し掛けた。
少女は慌てた様子で自己紹介をする。
「あっ、わたし明智あんな!」
「
「"一応"?」
妙な言い草にあんなは疑問に持ち、その首を傾げていた。言った本人であるまことも「やっぱりおかしいよね」の表情をして軽く補足する。
「俺、これでも記憶喪失みたいなんだよ。自分ではあまり自覚無いけど」
「そうなの⁉︎ それって大丈夫?」
「大丈夫大丈夫」
「そんな訳ないじゃないですか! わたしが、まことの記憶の復活となる鍵を日々探し回ってるんです!」
大丈夫というまこと。しかし、そんな呑気な言葉に聞き捨てならずにみくるが大いにツッコんだ。そして、彼の記憶復活の手助けをしていると言う。
「名探偵なら、まことの悩みなんて華麗に解決してます! ですので、わたしが華麗に解決してみせます!」
「とまあ、こんな風に毎日振り回されてるんだよね。あんなちゃんもみくるには気を付けてね」
「それどういう事ですか⁉︎」
「一度この話は置いといて。2人はどうして此処に? あまり今の俺達には縁の無い所だけど」
まことは、隣にある大きな建物に視線を移した。そこは結婚式場。中学生のみくるには、此処はまだ早い場所。2人揃ってこの場に居るのは中々に珍しい事なのだ。
「実はこの子が」
あんなはそう言いながら、まことの目の前に動物のぬいぐるみを見せてくれた。
「ポチ!」
「喋ってる⁉︎」
ぬいぐるみかと思われたが、よく見ると生き物だった。ただ、何の生き物かまでは判別出来ない。
「この子は何?」
「それはね──」
「キュアット探偵事務所の妖精ですよ! そしてこの人がそこの名探偵なんです!」
あんなが説明しようとしたところに、みくるが遮って代わりに全部喋ってくれた。かなり食い気味に言っているみたいだが、それは事実なのかとあんなの様子を伺う。
「だからわたしは名探偵じゃなくて」
「否定してるぞ?」
「という演技なんですよ。これもテストです!」
みくるは自身満々に言っているが、当の本人は全力で否定している様子。恐らく、興奮しているせいで感情が先走っているのだろうと推測する。
「あーでね、この子が此処まで連れて来たの」
忘れていないアピールで、あんなは話のレールを戻した。どうやら、この妖精とやらに結婚式場まで連れて来られたらしい。
「ポチ、ポチ!」
「中に入ってみましょう!」
みくるは、2人の腕を掴んで結婚式場の敷地内に踏み込んで行った。
◯
興味本位で式場内に入って早々に、3人はとある光景を目にした。それは、大人の女性が必死になって探し物をしている姿だった。
そして近くには、真っ白なウエディングドレスを着た花嫁らしき人も居た。どうやら、その探し物が未だ見つからなく困っている様子みたいだ。
「帰るか」
流石に、取り込み中の所を子供が邪魔する訳にもいかないと思っていた矢先だった。あんなは1人でその輪の中に飛び込んで行った。
「あの、困っている事があればお手伝いします!」
「えっ⁉︎」
堂々たる姿と台詞にみくるは思わず声を漏らしてしまう。本来なら、その台詞を言うのは自分なのに。
「先越されちゃったね」
「わ、分かってますから皆まで言わないで!」
こうして3人は、大人が困っている時間に頭を突っ込むのだった。
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