名探偵プリキュア! The End of Truth   作:シロX

30 / 30
第29話 プリキットアンサーレンズ

 トゥルースの右目にある3つに連なるレンズは、大中小とハートの形、羽の装飾、円形といったそれぞれが異なる形をしている。

 

「あれ、何?」

 

「トゥルース?」

 

 鎖を振り解いた様に驚いていたのは怪盗団ファントムでもハンニンダーでもない。味方であるアンサーとミスティックの2人だった。

 

「アンサーレンズに映り込んだものは、そのレンズにあらゆるものを視覚情報としてレンズが可視化させてくれている。恐らく鎖を防いだのも、このプリキットアイテムのお陰だろうな」

 

 丁寧に補足説明をするジェットは意気揚々としている。まるで、自分が発明した道具のように。

 

「ハンッ! だから何だって言うの? 情報が視覚化されているだけで、戦況を有利に運べると?」

 

「ああ、運べるさ」

 

「なら、お手並み拝見と行こうかしら。ハンニンダー!」

 

「ダッダー!」

 

 アンサーとミスティックに向かっていた鎖が、トゥルースへ向けて集中砲火。並大抵の動体視力では追い付かない。けれどそれが、全て視えていたらどうだ。

 

「それなら、こう動けばいいのか」

 

 鎖の軌跡がレンズに映し出され、その中にある限りないスペースを駆使し、針の糸を通すかの如くその隙を潜り抜ける。軽やかな足運びで、その足が止まる頃には鎖は全て通り抜けていた。

 

「どうだ? 全部避け切ったぞ」

 

 レンズを3つ重ね、その瞳でハンニンダーを分析、解析を行う。気温や相手の筋肉、心拍数等から見えない情報までレンズに数値として可視化してくれる。そして、最後には最善の道まで示してくれる。

 

「そこだ!」

 

 駆け出す。無数に降り掛かる鎖の雨を物怖じしない勢いのまま、正面から回避している。これといって何か特別な事はしていない。ただ、レンズ越しで視ているだけ。

 

「こうなったら……ハンニンダー。囲い込んで潰すのよ!」

 

「ハンニンダー‼︎」

 

 ハンニンダーが両手を付くと、トゥルースの周囲の地面から鎖が出現した。籠の中の鳥と化して今の勢いを殺すには申し分ない。加えて、感覚が狭まっている。このままでは、手足の可動域までも制限されてしまう。そうなってしまったら脱出は不可能だ。

 

「が、俺は敢えてこの歩みを止めない」

 

アンサーレンズで覆う鎖を冷静に分析する。

 

「見えた」

 

 この鎖の包囲網を突破するのは不可能と言ってもいい。それでも一筋の光だけは見逃さなかった。

 

 トゥルースキュアブックを開き「S」のアルファベット文字を書く。トゥルースは徐に右手を銃のように指先を前に突き出して、ハンニンダーへ狙いを定める。

 白き輝かしいエネルギーが一点に集中され、凝縮される。

 

「トゥルースショット!」

 

 放たれる白き光弾。僅かな綻びが生まれた一瞬の隙を突き、鎖の包囲網を掻い潜ってハンニンダーへと一直線。

 

「ハニダッ⁉︎」

 

 トゥルースショットは見事命中。そして、尻餅をついては鎖の牢獄は崩れ落ちる。

 

「アンサー! ミスティック!」

 

 最後は彼女達2人の名探偵に託した。

 

「「オープン! プリキットミラールーペ!」」

 

 既に準備をして待っていた2人の声が重なる。

 

「「マコトジュエル!」」

 

 ミラールーペに専用のマコトジュエルを嵌め込み、ルーペモードに切り替える。

 

「見て!」

 

「感じて!」

 

「謎を解く!」

 

 2人で共に、ミラールーペに浄化に必要な力を蓄える。

 

「「これが、わたし達のアンサーだ!」」

 

 十分な力を蓄えたミラールーペをハンニンダーに向け、内包する力を全て前方へと撃ち放つ。

 

「「プリキュア! フライング・スペクトル!」」

 

 放たれた浄化の光は鳥となって羽ばたき、高速でハンニンダーの身体を貫いた。嘘で覆われていたマコトジュエルに光が戻り、ようやく盗まれたネックレスと共にアンサーとミスティックの手元に返ってきた。

 

「「キュアット解決!」」

 

 回収したマコトジュエルはポチタンがしっかりと収納して、この事件は一件落着と幕を閉じた。

 

「……ま、こんなもんでしょうね」

 

 ファントムである彼女は、最初からこうなる事を予見していた。故に、この結果に然程驚きはしない。こうなって当然という素振り。

 

「待てよ」

 

 失敗に終わり、此処にはこれ以上の用は無く立ち去ろうとした間際でトゥルースに呼び止められる。

 

「ルルタン、だろ?」

 

 不意に名前を呼ばれた。彼女は振り返る。そこには、驚きと嫌悪感漂う表情を見せていた。

 

「今のまことに、この姿を見せたのは初めてだった気がするんだけど?」

 

「初めてだ。けど、2つ目のマコトジュエルを手にして記憶がまた一部取り戻した。それも、ルルタンという俺のおとも妖精の」

 

「「えっ⁉︎」」

 

「な、何だって⁉︎」

 

 アンサー達が驚く。それも二重の意味合いで。けれど、これは確かな事実だ。記憶がそう語り掛けているから。

 

「ルルタン、お前は何で俺を?」

 

「そんなのどうでもいいのよ。確かな事は、まこととアタシは敵同士。それ以上でも、それ以下でもない」

 

「どうでもいいなんて、んな訳ねぇだろ」

 

「まことがそう思うように、アタシもこう思ってる」

 

 ルルタンは長い髪を翻し、背中を向けた。

 

「次も上手く行くなんて思わないことね」

 

 言いたい事を全て言い切ったルルタンは、その場から姿を消した。

 

 

 ◯

 

 

 事件は解決。ネックレスも無事に元の持ち主に戻ってこれで終わり。けれども空気は重たく、暗かった。

 その原因となっているのがルルタンだ。ルルタンがまことのおとも妖精なら、今のポチタンのように2人にもそれなりの付き合いがあった。

 

 第三者であるあんな達も、心が締め付けられて苦しい。その様子が気に入らないまことは、声を張って雰囲気を変えようとする。

 

「そんな暗い顔すんなよ。過ぎた事を気にしたってしょうがない。それだけだ」

 

「でも」

 

「でももへちまもない」

 

 あんなの言葉を遮る。これ以上ネガティブな発言をされても空気を悪くする一方だ。まことはそれが堪らなく嫌だ。

 

「記憶が戻った。今はそれだけで十分だ。ありがとうな」

 

 まことのマコトジュエルはまた1つ取り戻した。その成果だけでも良しとする。




あと1話だけあります。怪盗団時点でお送りします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

名探偵プリキュア! 〜A Memoir White〜(作者:秋葉ばっこ)(原作:名探偵プリキュア!)

 まことみらい市で暮らす少年、工藤(クドウ)新二(シンジ)はバイト生活に明け暮れていた。▼ なんてことはない日常を過ごす傍ら、名探偵プリキュアと怪盗団ファントムの戦いに巻き込まれ、ひょんなことから彼女たちの『おとも妖精』になり行動を共にする羽目に。▼「こんな俺にも、決して譲れないモノってのがあるんだよ」▼ 2027年の未来からタイムスリップしてきたという、明…


総合評価:341/評価:8.7/連載:24話/更新日時:2026年06月04日(木) 20:00 小説情報

かわいいホームズの親友ちゃんは、相棒の座を奪われて焦心苦慮(作者:くぁwせdrftgyふじこlp)(原作:名探偵プリキュア!)

これは小林みくるの親友である一人の少女の物語


総合評価:360/評価:9.3/連載:49話/更新日時:2026年06月02日(火) 23:35 小説情報

名探偵プリキュア! -銀の正義と黒の秘密-(作者:寿垣遥生)(原作:名探偵プリキュア!)

時は2027年1月24日、捜査一課の刑事である織田信義(おだのぶよし)はある殺人現場付近を通りかかった宝石泥棒の犬を追いかけたが、捕まえた途端にその犬と共に1999年へとタイムスリップしてしまうことに⋯そこで出会ったのは探偵を夢見る自分の叔母にそっくりな少女の小林みくる。そして、信義の従妹でこの日が14歳の誕生日である明智あんなもいた。▼信義は元の世界に戻ろ…


総合評価:223/評価:8.25/連載:20話/更新日時:2026年05月29日(金) 02:00 小説情報

名探偵プリキュア! 〜そよ風が幸福を運ぶ〜(作者:ゆぐゆぐ)(原作:名探偵プリキュア!)

久遠祥太は、まことみらい学園中等部に所属する中学教師。ただそれは表向きの姿。▼裏ではキュアット探偵事務所に所属する、自警団兼探偵代理。陰で悪党を退治し、警察等の手助けをする活動のほか、大切なものを失って困っている人達を助ける活動など幅広く行なっている。「怪盗団ファントム」が再び姿を現すまでは、そんな毎日を送っていた。▼怪盗団が現れたと同時期、祥太は名探偵を目…


総合評価:13/評価:-.--/連載:10話/更新日時:2026年05月09日(土) 19:00 小説情報

名探偵プリキュア!vs 大怪盗プリキュア!(作者:MOZO)(原作:名探偵プリキュア!)

~あらすじ~▼2027年の【マコトミライタウン】に暮らすマジックが得意(?)な少女・蝶野ゆめは、ある日祖母のシルクハットから飛び出してきた不思議な妖精・ポシェタンに導かれて1999年の【まことみらい市】にタイムスリップしてしまう。元の時代に戻るための手掛かりとなる『マコトジュエル』を集めるべく、ゆめは『大怪盗プリキュア』に変身。▼ライバルの『名探偵プリキュア…


総合評価:211/評価:8.5/連載:5話/更新日時:2026年04月27日(月) 22:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>