名探偵プリキュア! The End of Truth   作:シロX

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第33話 込められた想い

「どんな謎でもはなまる解決! 名探偵キュアアンサー!」

 

「重ねた推理で笑顔にジャンプ! 名探偵キュアミスティック!」

 

「閃く直感で導き出す答え! 名探偵キュアトゥルース!」

 

「「「名探偵プリキュア!」」」

 

「わたしの答え、見せてあげる!」

 

 名探偵プリキュアへと変身を遂げた3人は、即座に速攻を仕掛けた。一刻も早くジェットのゴーグルを取り返そうと、その気持ちが全面的に表れる。

 それを正面から迎え撃つハンニンダー。両眼から2つの光線が一直線に放たれた。3人はそれぞれ別方向へ避け、直撃は免れる。

 

 これに乗じて、三方向から一斉に攻撃を仕掛ける。トゥルースは正面から。アンサーは木に身を隠しながら。ミスティックはキュアット探偵事務所の屋根からと、撹乱しつつ仕掛けに行く。

 

「ハンニン」

 

 ミスティックにハンニンダーの顔が向く。すると、ハンニンダーの目の辺りに標準のようなものが出現し、ミスティックに合わせられロックオンされる。

 

「ダー!」

 

「ッ‼︎」

 

 空中では身動き出来ないミスティックに、無慈悲の光線が直撃して撃ち落とされた。背中から屋根の上に落ち、ぐったりと横たわる。

 

「ミスティック!」

 

 木陰に隠れていたアンサーが心配して、顔を出してた。それに反応してか、今度の狙いはアンサーへと定まる。標準がアンサーを捉え、光線を放とうとする。

 

「させっか!」

 

 ミスティックと二の舞にさせない為、トゥルースのギアが一段上昇して先に蹴りでの殴打を食らわせた。

 

「ハンニンダッ!」

 

 攻撃を食らっても尚、光線だけは無理矢理撃ち放った。しかし、今のでアンサーから目を離して放った光線はあらぬ方向へ。

 

「今なら!」

 

 好機とみたアンサーが飛び出した。ジュエルキュアウォッチを手にし、アンサーアタックを繰り出す準備を始める。

 

「アンサー──」

 

「ハンニン……!」

 

 ハンニンダーの目が光る。それを間近で見たトゥルースが危険を察知して呼び掛ける。

 

「アンサー気を付けろ! 何か狙ってる!」

 

「大丈夫!」

 

 跳躍。拳を作り上げてアンサーアタックを放とうとした、その時だった。

 

「ッ⁉︎」

 

 アンサーの背後から、ハンニンダーの光線が直撃した。死角からの突然の不意打ち。体勢を崩した彼女は前のめりに倒れた。

 

「今のは何だ⁉︎」

 

 先程のハンニンダーが放った攻撃は確かに空の彼方へ消えて行った。かと言って、蹴られた直後に光線を放った素振りは全くない。

 

 得体の知れない攻撃を警戒し、トゥルースは即座に距離を置いて様子を伺う。

 

「ハンニンダー!」

 

 来た。今度はトゥルースに向けてロックオンして放たれる。直進する光線を観察するも、仕掛けらしい見た目はしていない。単調な攻撃は少し体幹をズラしただけで簡単に躱せた。

 

(よし)

 

 目立った仕掛けはなかった。ならば、ハンニンダー本体に仕掛けがあると睨んだ。故に注意がそちらに向いた。

 

 その時、ニジーは不敵な笑みを浮かべた。

 

「狙った獲物は逃がさない。それが怪盗さ、ベイビー」

 

 空気の流れが変わった。何かを察知したトゥルースはすぐさま振り返る。

 

「な、何ィ⁉︎」

 

 トゥルースが目にしたのは、先程躱した筈の光線が軌道を変えて自分の背中を狙って襲い掛かっている場面。

 まだ微かに残る軌跡と光線を撃つ直前の標準を踏まえて推測し、この攻撃の仕組みの答えを導き出した。

 

「まさか追尾(ホーミング)⁉︎」

 

 両腕をクロスにして防御姿勢を作り、ダメージを最小限に抑える。

 

「グッ!」

 

 威力は想像通りかなりのもの。片膝をついては歯を食いしばる。両腕は痺れ、暫くは使い物にはならない。

 

「全く君達には呆れるよ。道具なんてこの世に溢れている。たかがゴーグル一つくらい買い換えれば済む話だろ?」

 

「変わりなんてない! そのゴーグルは、ジェットさんが昔シニヤンから譲って貰った、この世でたった一つしかない大切なゴーグル! それを他人に言われて『はい、そうですか』で買い換えられる訳ないだろ!」

 

 トゥルースは以前からゴーグルについて訊いた事がある。ジェットがいつも身に付けているそのゴーグルは、シニヤンという妖精から譲り受けたもの。シニヤンとの出逢いがきっかけで、自分が作り上げる発明品の原点となった事も。

 シニヤンが居たからこそ、今のジェットがある。そして、ゴーグルの大切さもその時ちゃんと初めて知った。

 

「だからこそ取り返すんだ!」

 

 ゴーグルの大切さについて熱く語るトゥルースに向け、ニジーは鼻で笑い、くだらないと言わんばかりに一蹴する。

 

「口で言うのは簡単だ。でも、君達程度じゃこのハンニンダーは倒せないよ! さあ、どうする名探偵プリキュア?」

 

 追尾が備わっている攻撃を切り崩さなければ勝機は訪れない。いつも通りのやり方では先ず、攻略は不可能ときた。

 

「アンサー、ミスティック。ちょっといいか?」

 

 2人を呼びつけ、ニジー達に聞こえないよう耳内である事を伝えた。

 

「──て訳だ。行けるか?」

 

「わたしは大丈夫だけど」

 

 アンサーは横目でミスティックを見る。今話した内容は、とてもミスティックに負担の掛かるもの。おいそれと返事出来るものではない。それはトゥルースも承知の上だ。

 

「いいわ。それで大丈夫よ」

 

「頼りにしてるぞ、ミスティック」

 

 拳をミスティックの胸に当て、彼女の健闘を祈った。そして3人はハンニンダーへ向き直り、鋭い眼光を飛ばしながら作戦を実行した。

 

「何やら話していたみたいだけど小細工なんて……ん?」

 

 トゥルース達は、ハンニンダーを囲うようにして3方向に展開しつつ攻めに行った。トゥルースが正面、アンサーが右、ミスティックが左と。しかし、これでは先程と全く同じ。違う箇所を挙げるとすると、アンサーとミスティックの動き出しが数秒遅れた程度。

 

「名探偵もお手上げだな!」

 

 成す術も無いと判断したニジーは勝利を確信した。先ずは何も考えず、正面突破して来るトゥルースの排除を最優先。

 トゥルースはロックオンされ、光線が撃ち放たれた。

 

「ハンニンダー!」

 

 これでは先程と然程変わらないシチュエーション。この場面をどう対処するのか。トゥルースにはちゃんと答えを導き出している。

 

「よっと!」

 

 普通に避けた。

 

「ハハ! で、君はそこからどうするつもりだい?」

 

 光線は綺麗な曲線を描きながらトゥルースの背中を追従。

 

「こうするさ」

 

 真っ直ぐハンニンダーへと向かい、その股下を潜り抜けて反対側へと躍り出た。

 

「まさかこれは」

 

 ニジーもそこでようやく察した。光線が追って来るというのなら、それを利用してハンニンダーにぶつけさせれば良いのだと。

 

 ──が、その思惑は外れる。

 

 ハンニンダーに当たると思われたその直前で光線の軌道が急激に変化し、ハンニンダーを跨いで尚トゥルースの追従を継続。

 

「と、ボクだって読んでいたさ。どうやら知恵比べはボクの勝ちのようだね」

 

「なら、逃げるのはやめだ」

 

 背を向けていたトゥルースは即座に反転からの急ブレーキ。トゥルースキュアブックを持ち、迎え撃つ準備に移行する。

 

「トゥルースショット!」

 

 光弾と光線が衝突し、両者の間に大きな爆発が起きる。

 

「へぇ……そうか、それが狙いか」

 

 立ち込める爆煙。それがニジーとハンニンダーの視界を遮っている。この状態ならば、ハンニンダー姿を捉える事を出来ず標準を合わせられない。

 

 その事に気付いたニジーは拍手を送る。

 

「褒めてあげるよ。けれどそれも一時の間。煙が晴れたその時が、名探偵プリキュアの最後さ!」

 

 勝ち誇るニジーの言葉と同時に爆煙の中からミスティックが飛び出した。

 

「何ッ⁉︎」

 

 よく見ると、ミスティックリフレクションを展開しつつ、その背後にアンサーが付いて来ている。

 

「驚かされたよ。まさか、やることなす事全部が正面突破だなんて!」

 

 煙を目眩しにして、何かしら仕掛けて来るのかと警戒していたが、開けてみればまたも正面突破。無駄な足掻きとしか思えないこの特攻に、流石のニジーも呆れ果てる。

 

「これでジ・エンド。トドメをさすんだハンニンダー!」

 

 無数のエネルギーを充填し始める。その間に、ミスティックリフレクションを張るミスティックに全てロックオンする。このままだと蹂躙の他あるまい。

 

「ハンニンダー‼︎」

 

 無数に放たれた光線は、ミスティックに向かって一直線に突き進む。

 

「言っただろ。逃げるのはやめだってな」

 

 ミスティックはバリアを天高く投げ捨てた。

 

「捨てた⁉︎ 一体何を考えてるんだ?」

 

 突然の愚行に一瞬動揺の色を出してしまうも、ニジーからしたら好機でしかない。

 

 ミスティックと光線が接触する手間。光線は直角90度真上に軌道を変えて、バリアに向かって着弾する。

 

「プリキュアにロックオンした筈だ?」

 

「確かにロックオンされたさ。()()()()()()()()()()()()()()()()()にな!」

 

 ロックオンしたのはミスティックだと思われたがその実、1枚の壁として隔っていたミスティックリフレクションが代わりとなっていたのだ。

 よって、光線はミスティックリフレクションを追い掛ける。

 

 アンサーとミスティックが縦一列から横一列と形を変え、ミラールーペをオープンさせる。一連の流れに迷いがない。アンサーとミスティックもこれが最初で最後の好機と分かっているのだ。

 

「「プリキュア! フライング・スペクトル!」」

 

 走りながら放った浄化技はハンニンダーを貫き、嘘で覆われていたマコトジュエルを元の輝きへと戻した。

 

「「キュアット解決!」」

 

 この一連の流れ。まさに電光石火。

 

「狙った獲物を逃さないのは、名探偵も同じだったてことか」

 

 捨て台詞を吐き、ニジーは退却するのだった。

 

「ミスティック、ナイスタイミングだったぞ」

 

 トゥルースは手を挙げた。何をしようとしているのか察したミスティックは、少し子恥ずかしくも同じく手を挙げて盛大に勝利のハイタッチを交わすのだった。




少し長くなってしまったので分割します。次でプリホリ回終わります
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