名探偵プリキュア! The End of Truth   作:シロX

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第34話 握られたその手の中にあるのは

 まことが不在の中であんな、みくる、ジェットの3人が計画的に始めた新たな試み。空き部屋となっているキュアット探偵事務所の2階を活用し、コスメショップ「プリティホリック」を立ち上げた。

 

 まことは知らない間に「自分の居ない間に何やってたんだ?」と呆れていたのだが、あんなとみくるの切実なお願いを聞いて否定が出来なかった。実際、お店の何割かが完成しており、止めるのも今更感もある。

 それに、言えばまことは最後まで協力はする。そういう大事な事は早目に言ってくれたら良かったとしみじみ思う。

 

 退屈ながらも店番をしているまことの前に、ひとりの女の子が現れた。

 

「こんにちは、まことちゃん。どう、お店の方は?」

 

「くれあさん。見ての通り、店内に人は居るけど今レジはちょっと暇してる」

 

 自分より年下の子を見て、くれあは微笑みながらまことの頭を撫でる。いつも思う。この行為に何の意味があるのか。単なる子供扱いされているという事もあるが。

 最近は拒否反応するのも疲れてされるがままにはなってきている。

 

「偉い偉い。よく出来ましたね」

 

「……なんか、どんどん扱いが幼児化していってない?」

 

「気のせいだよ」

 

 疑り深い顔をするも、くれあ本人に至ってはその言葉通り。

 

「今日は昨日のお礼をしようと思って来たの」

 

「お礼? 何の?」

 

「わたしの事庇ってたでしょ? わたしが犯人じゃないって」

 

「別に。事実を言っただけだ。俺はなんもしてない」

 

 彼自身、探偵として当たり前の事をしただけと思っている。くれあからすれば、その"当たり前"の事が嬉しいだけ。

 

「それじゃあまた。あっ、そうそう」

 

 去り際、くれあはある忠告をする。

 

「わたしだけじゃなく、女の子にはちゃんと優しくするんだよ?」

 

 そうして彼女はお店が出て行った。くれあが口にした女の子というのは恐らくみくるの事だ。あれだけお互いの推理で喧嘩勃発間際までヒートアップしていたのだ。大なり小なり、心にシコリが残っている様な感覚があったのだろう。

 

「みくるのこと、か」

 

 天井を見上げ、彼女の顔を思い浮かべる。その時、入れ違いで女性のお客さんが入店する。

 

「あっ、いらっしゃいませ」

 

 業務としての挨拶を交わし、入ってきたばかりのお客を目で追い掛ける。

 女性は商品棚に置いてあるフレグランスをひとつ取り、そのまま迷いもなくレジへ進んだ。

 

「お願い」

 

「はい、少々お待ちを」

 

 業務を淡々とこなし、すぐに精算を終わらせる。紙袋に包んだ商品を手渡し、これで一通りのレジ作業は済んだのだが。

 

「あ、あのー……」

 

 商品を受け取ったにも関わらず、女性はレジの前から動く気配が無い。手渡すお釣りでも間違えたのだろうか。それとも、接客に対する不満でもあるのだろうかと思考を巡らせる。

 

 ふと、気付いた。彼女の頬に擦り傷に。

 

「そのほっぺどうしたですか? 怪我してる」

 

 女性を言われて頬を撫でた。少し染みたのか、痛がる様子が窺える。どうやら本人も怪我している事に今更気付いたみたいだ。

 まことはレジの下から救急箱を取り出して、絆創膏を1枚手に取る。

 

「ジッとしてて」

 

 失礼ながら彼女の頬に手を添えて、そっと絆創膏を貼る。

 

「怪我、気を付けて」

 

 触るとまだ地味に痛みがあるのを感じる。でも、絆創膏のお陰で痛みは直接触れている訳でもないので、少しはその痛みも和らいだ。

 

 女性は徐にポケットから何か握って、その拳を突き付ける。

 

「手を出して」

 

「て、手?」

 

 まことは恐る恐る右手を差し出した。すると、女性はその右手を掴み取り、強引に何かを握らせた。そして、先程とは打って変わってキビキビとした歩きで颯爽とお店を出て行くのだった。

 

 状況把握もままならない唖然とするしかなかった。

 

「何だったんだ、今の人?」

 

 握り込まれた手を開けた。

 

「──ッ⁉︎」

 

 その手の中にあるものを見て言葉を失い、目を開いた。急に滲み出る汗がまことの体温を上げて、本能のままに身体を動かす。

 

 まことは慌てて席を立って扉へと一直線に向かって走る。今ならまだ間に合う。そう思い、扉のドアノブを手に掛けた直後だった。外からも、誰かがドアノブを捻る感覚がした。

 

「「あ痛⁉︎」」

 

 飛び出した瞬間、誰かと出会い頭に衝突して尻餅をつく。

 

「みくる、まこと君大丈夫⁉︎」

 

 あんなの声がした。その様子から察するに、衝突した相手というのはみくるらしい。

 

「悪いみくる」

 

「今度からちゃんと前見てよね?」

 

「ところでまこと君、あんなに急いでどうしたの?」

 

「あっ、そうだった!」

 

 簡単にみくるとのやり取りを済ませた後、あんなが疑問を投げ掛けた。

 

「2人共、さっき女性のお客と1人すれ違わなかったか?」

 

「見かけなかったけど?」

 

「そうだね。ポチタンは?」

 

「ポチィ」

 

 みくるからあんなと質問に答えたが、望んでいる答えではなかった。ポーチのフリをしているポチタンも、それらしい人物は見ていないとのこと。

 

「そんな馬鹿な⁉︎」

 

 慌てて事務所周囲を見渡す。先程出て行ったのなら、まだ辺りに歩いている筈。が、影も形もさえもない。夢だった、気のせいだった、で済ますにはあまりにも現実味を帯びている。

 

「まこと、まさか居眠りして寝惚けてたんじゃないの?」

 

「んな事ねぇよ。だって現に、その人からコレを手渡されたんだ」

 

 あんな達にも手の中にあるものを見せる。すると、2人共まことと同じ反応を示したのだ。

 

「まこと君これって……!」

 

 何でこんなものがあるのか。どうしてこれを持っていたのか。そして、何故、今、自分に渡したのか。彼女は一体何者なのか。

 

「ああ。これは俺のマコトジュエルとプリキットだ──」




次回はしるく回になりますが、話のベースはそのままに舞台や展開を少し書きやすく変更してお送りします。内容的には半々でオリジナルって感じですね
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