名探偵プリキュア! The End of Truth 作:シロX
それは突然だった。
「はぁ⁉︎ 事務所に帰れないってどういう事だよ⁉︎」
「どうしたの?」
「ポチー?」
探偵事務所内からまことの大きな声がした。何事かと大慌てで様子を見に来たみくるとポチタン。2人が目にしたのは、プリキットボイスメモを片手に話をしているまこと。ボイスメモから聴こえるのはジェットの声。
まことは、顔を真っ青にして話を続ける。
「簡単な依頼の筈だろ。何でそんな事になってんだ? 怪我でもしたのか?」
『怪我ではないがトラブルが起きた。実は、ついでに1日子守もしてくれって頼まれて』
「それ、探偵の領分じゃないだろ? 何で断らなかったんだよ?」
『あんなだよ』
彼女の名前が出た瞬間大体は察した。大方、あんなが引き受けたに違いない。彼女の性格からしたら当然と言えば当然だし、良いか悪いかと問われれば前者に頷ける。
『てことだ。明日の朝には帰るから、それまで留守番頼んだぞ』
それだけ言い切ると、ジェットはボイスメモを切ってしまった。
あまりにも勝手過ぎると怒りたいのは山々だが、引き受けてしまったものは割り切るしかない。
「となると、今日は俺とみくるにポチタンだけになるか」
「さっきの何? ジェット先輩から?」
まことの背後から、みくるとポチタンが顔を覗かせてどういった内容だったのか訊いてきた。バツが悪そうな顔をしながらも、しっかりと話の内容を伝える。
「悲報だ。2人は今日帰って来られないらしい。だから、帰って来る明日の朝まで俺達だけになる」
「それって大丈夫なの?」
「大丈夫らしい。けど、問題はあっちじゃなくこっちだ」
「な、何でよ?」
まことはみくるの事を下から上へとじっくり舐め回すように見た後、浅く溜め息吐いた。
「とてもじゃないが不安しかない」
「何でよ⁉︎」
「俺と馬が合わない」
それを言うと、みくるは何も言えず口を閉じた。そこだけは、みくるもお互いの関係性は十分理解してしているらしい。
「夜ご飯は外で食べるか?」
「それはダメ。お金が勿体ない。それに、ポチタンだっているのよ?」
ポチタンも一緒に食卓を囲んで食べる。その事をつい忘れてしまい、頭を抱えた。少しでも忘れていた自分が情けない。
「だったな。忘れてごめん」
「ポチポチ」
頭を下げ、素直に謝る。ポチタンは謝罪を受け入れ、小さなその手で頭を優しく撫でてくれた。
「てか、みくる。お前さっきから言動は母親みたいたぞ。お前は俺のお嫁さんか?」
「なっ、ばっ!」
「揶揄うのはここまでにして、あまり物ので何作ろうか。確か、ミンチはあった筈だから安直にハンバーグとかどうよ?」
「ま、まあ良いんじゃない?」
時計の針はもう夕刻を刻んでいる。準備するなら今からが丁度良い。まことは腕を捲り上げる。みくるも髪をかき上げて髪型をポニーテールに変更。エプロンを綺麗に着用する。
「ポチポチー!」
ポチタンに温かく見守られながら、2人は久し振りの共同作業を始めた。
「こうやって、2人だけでなんかするのって家庭科の授業以来だな」
「思い出すね。実はまことが、料理下手って知った時は驚いたよ」
「あれ以来、真面目に料理やるようになってようやく最低限人の尊厳は保てるレベルまで上達したが。俺もまだまだだな」
料理の時は相変わらずの不器用な手つきに、みくるはクスリと歯を見せて笑う。
「ホント、まことは頭は良いのに他は点でダメね。わたしが居なかったら、どうなってたか想像つくわ」
「んな事言うなら、これから毎朝味噌汁作ってくれよ」
「これから毎朝って、それ分かってて言ってる⁉︎」
「はぁ? 何が……あーそういう。えっ何、お前俺を意識してんのー? ほほぉー」
まことに詰め寄られ、目が泳ぐ。それに顔には熱を帯び、手元も僅かにおぼつかない。そんな側から見ても分かりやす過ぎる仕草でも、みくるの悪足掻きは続く。
「そ、そんなんじゃないから! 誰がまことなんか意識なんて!」
「そんなに動揺して、それに顔も赤くしてるし。図星だろ絶対」
「勝手に推理しないでくれますかー?」
「ざーねん。俺探偵だから推理するんだよー」
「もう!」
ああ言えばこう言われて返される始末。でも楽しい。心から笑い合えるこの関係がとても居心地が良いのだ。それでも偶に思う。いや、最近は異性として意識するようになってきた。
けれどそれと同居するように、全く別の感情が心に棲みついている。
◯
満天の星空が街を照らす深い夜。みくるは、自分の枕とポチタンを抱いて暗い廊下を静かに歩いてまことの自室に向かっていた。ポチタン既に眠っており夢の世界。みくるも、眠気のある細い目を擦りながら、部屋の扉を開けた。
「まこと、まだ起きてる」
「みくるか。ここ最近よく俺の部屋に来るな。何?」
「その、あのね」
体をくねらせてモジモジと仕草をする。いざ口にするとなると恥ずかしいものだ。
「……かなり詰めてけよ。ベッドから落ちても知らねーからな」
まことは最小限の言葉でみくるの心中を察してくれた。いそいそと小さなベッドに入り込み、ポチタンを真ん中にしてまこととみくるはひとつの部屋で布団を被った。
「「……」」
お互い無言のまま時計の針が刻まれる音がして、ポチタンは完全に眠りつき、小さな寝息をたてている。
「話があるんじゃないのか?」
「やっぱり、分かる?」
「ああ、分かる。だから隠さず話せよ。此処には、俺とみくるしか居なんだから」
目を閉じ、意を決して自分の中に最近渦巻く気持ちを口に出す。
「まことって凄いよね。わたしが頑張っても、まことはそれを1人でなんでも解決しちゃうし」
「別に俺1人で解決出来た訳じゃないさ。みくるやあんな、ジェットさんやポチタンが居たから」
「まことの本当の名前って、金田一まことじゃなくて明智まことなんでしょう?
「えっ? あ、ああ、まあな。多分そうらしい」
急な舵取りにまことはしどろもどろとなっているが、それでも気にせずみくるは自分の言いたい事を言い続ける。
「けど、明智って姓が本当なのかどうかの確証がない。てか、何でその事を知ってんだよ? 誰にも話した覚えないぞ」
「そんなのはどうでもいいの。まことはやっぱり凄いよ。わたしの手を借りなくても、そうやって着実に前に進んでいるんだから」
「なんかお前、少し様子がおかしいぞ? 何があったんだよ?」
「別に何も」
「そうか。何でそんななのかは知らないが、これだけはハッキリ言っておくぞ。俺は、お前の事を頼りにしてる。お前が何と思おうがな」
それくらい分かっている。言葉じゃなくても、普段の仕草からその気持ちは伝わっているのだから。だからこそ、余計に辛いのだ。何も出掛かりを見つけ出せていない自分に腹が立つ。
いつも前を走っている彼からの気遣い、優しさ。自分は、そんな彼にいつまで甘えているのかと。
主人公の姓が本当は明智なんじゃないかって感じなせいで、あんなヒロイン候補から抜けた? みたいに思う方もいるようですがそんな事はないです。全員にワンチャンある構成でやっております。事実、ちゃんとそれぞれヒロイン4人の最終的なゴールは決めてはいます。誰がくっ付くかは置いときまして。
今現在あんなとの絡みが少ないのは私自身痛感しており、そこに関しては技量の無さです。今後ともあんなとの絡みはどっかのタイミングよくして行こうかなと考えてます。
あんなと時代設定が同じなら楽だったけど、それだと99年組との絡みが薄くなるという問題も然り