名探偵プリキュア! The End of Truth 作:シロX
怪盗団ファントムのアジト。そこでは、もう何度目かのるるかとルルタンの口論が繰り広げられていた。周囲の誰もが、この光景に見慣れてしまい止めようとは一切せずに傍観しているだけ。
「まこととは昔からの付き合いがあるの。本名が金田一じゃなく、明智ってどういう事なの? 答えなさい」
「そのまんまの意味だけど……ああ、ごめんなさいね忘れてた。アタシが世界に向けて嘘をついてたの」
「世界に向けて嘘を?」
「ええ、金田一まことという存在に上書きしたの。アタシの嘘でね」
「そんなの出来る訳がない。第一、そもそも彼は記憶喪失。何でそんな回りくどい事をしたのよ?」
ルルタンは目を細めて呆れたため息を吐いた。
「珍しいね。アナタが質問ばかりするなんて」
るるかの目は本気で知りたがっている。自分の記憶と何か食い違っている感覚が気持ち悪いと言いたげに。それを腐食するには聞き出すしかないから。
「少しでも記憶を取り戻さないように念入りに細工した結果よ。何かのきっかけで記憶が戻ったら奪った意味無いじゃない」
裏工作を施しても、現状3個のマコトジュエルを取り戻してはその分記憶を取り戻しているからあまり強くは言えない。
「細工って……」
ルルタンがどのように細工したのかはさておき、るるかにとって形容し難い感情で頭の中が渦巻いている。何せ、嘘を本当と信じ込ませていた。それだけで、ウソノワールと同等かそれ以上の脅威を秘めているのは明白だ。
それに問題はそれだけでは留まらない。
(わたしのこの記憶は本物なの? まこととわたしは幼馴染で、
「一体に何が嘘で、何が真実かしら? アナタとまことの思い出も全部嘘だったり?」
「ッ!」
自分の感情を抑えきれなくなったるるか取った行動は、ルルタンの胸ぐらを掴んで壁に叩き込む。そして、拳を振り上げ、振り抜いた。
「何をそんなに焦ってるのよ?」
振り抜かれた拳は、ルルタンの頬を掠めてはいるものの直撃はしてはいなかった。わざとだ。ここでルルタンを殴っても何も解決にはならない。それを頭で理解しており、僅か数センチで思いとどまり壁を殴ったのだ。
癇に障る態度にその物言い。振り抜かれた拳から血が滲んで壁を伝っていく。ただ邪魔するだけじゃ飽き足らず、自分の大切な思い出まで穢されている。はらわた煮えくりかえるばかりで、冷静さを失いそうだ。
「……次はわたしが行く」
「ついて行ってあげてもいいのよ?」
「結構よ」
拳を収め、るるかは背を向ける。
これ以上の足踏みはしていられない。己の目的を成就するその時まで何者にも屈してはならない。目的の為ならば手段さえ選ばない。だから自分が直接出向く。
心の準備はもう出来た。あとは、そこに至るまで。
(全部、1人でやってみせる)
闇の中へと、るるかの影が落としていくのだった。
次回からようやくアルカナ・シャドウ回。世間ではもう白になっているという、ね()