名探偵プリキュア! The End of Truth 作:シロX
怪盗団ファントムのアジト。そのアジトのとある一室で、青い髪の女の子が大きな姿見を前に柔らかな表情を作って独り言を呟いていた。
「るるかなら大丈夫。貴女のきらめきを信じて。だから……っ」
少女の頬にひと粒の雫が伝い、床に滴り落ちる。そして、扉から誰かがノックする。その音に気付き、零れ落ちた雫を拭って呼吸を整える。
すると、少女の体は光って弾け、その容姿を変える。
「るるか」
「マシュタン」
部屋を訪問して来たのはマシュタンであった。青い髪の少女に変装してたるるかは、いつものトーンで大切な友達の名を呼ぶ。
「……取り込み中だったかしら?」
「そんな事ないよ」
目元が赤く腫れ、袖が濡れている。加えてプリキットグロスを手にしているるるかを見て、マシュタンは何かを察していた。しかし、大切な友達の心情を暴こうとはせず、今出来る最大限の気遣いだけを示した。
るるかも、マシュタンが言いたそうにしているのを分かった上での返答。
お互いにこれ以上の掘り下げはしない。
「それで、どうしたの?」
「今の彼を直に見た、るるかの率直な感想が聞きたくて。他の2人はともかく、彼ならファントムに勝てる見込みは十分にあるとアタシは思うのだけど……るるかはどう睨む?」
「全く無理。立ち向かうだけ無駄」
「中々手厳しわね。その根拠は何かしら? 気になるわ」
「今の、金田一まことは彼女と同じ。とにかく全てに置いて危うい」
マシュタンは小さく頷く。彼女の言っている事はあながち間違ってはいない。勝てる見込みはある。けれど、今日の戦いを間近で見てそれが確信へと変わった。
「あの頃のまことならもっと大胆。推理も、日本刀さながらの刃物を突き付けているみたいに鋭く、容赦ない。記憶が欠落してるからもあるけど、今は見る影もない」
錆びれた日本刀と、心の中で評価を改める。それと同時に、認識のズレも疑問に浮かび上がる。
「少し見ない間に、何であそこまで脆くなったのか。こう言ってはあれだけど、環境が人を変えるって言葉はあながち今のまことにはピッタリね」
「それじゃあ、今の彼は眼中に無い?」
「その逆。早く何とかしないと取り返しのつかない事になる。それか、また同じ事の繰り返しになる」
振り返り。月夜の光がるるかの姿を照らし出す。
「だから──」
ティアアルカナロッドを握り、月の光に紛れてその姿を変化させる。
瞬く間にキュアアルカナ・シャドウとなり、改めて友の前で誓う。
「あの2人のマコトジュエルを手に入れる。漏れなく、全部。それが、わたしがここに存在する意味で使命なのだから」
瞳の奥の奥に秘めたる確固たる覚悟の炎。それを絶やす事は誰ひとりとしていない。
次回は少しオリジナルを織り交ぜながら提供する予定です。