名探偵プリキュア! The End of Truth 作:シロX
いつもでしたら、サブタイはその話にあった内容で考えてたんですけどあまりにもアニメ本編のサブタイが完成され過ぎてこちらでもそのまま流用しました。
アルカナ・シャドウの背中を追い掛け、その先ではアンサーとミスティックが手を取り合ってマコトジュエルを取り返された事を喜び合っていた。更に後方では、ポチタンを抱えてジェットもまたガッツポーズを取っている。
勝者も居ればまた敗者もある。ニジーが爪を噛みながらマコトジュエルを回収出来なかった事を小さく嘆いている。
「アンサー! ミスティック!」
ようやく合流出来たトゥルースは、2人の元へと駆け付けた。
喜ぶ探偵達とは裏腹に、ニジーは恨めしそうにアルカナ・シャドウに睨みをきかす。しかしアルカナ・シャドウは凛とした姿で一蹴し、逆に失敗した彼へと毒を吐く。
「一体何回失敗すれば気が済むの?」
「アルカナの言う通りだわ」
「ぼ、ボクだって失敗したくてしてるんじゃない! 大体、そっちだってキュアトゥルースを足止めどころか連れて来てるじゃないか⁉︎」
アルカナ・シャドウはすぐにそっぽ向いて無言になる。
「それよりも」
「それよりも⁉︎」
「ウソノワールがこっちに来る」
「な、何だって⁉︎」
ウソノワールが自ら出陣する事に、ニジーは激しく取り乱した。普段から無表情を貫いているアルカナ・シャドウだってそうだ。この様な事態になる事はあまりにも急過ぎて予測出来なかった。
「ウソノワール様はやはりマコトジュエルを?」
「いいえ。今回はあの子達」
視線の先には未だハイタッチを交わして呑気な雰囲気を醸し出している名探偵達。
「アルカナがわざわざこうして出向いたのも、キュアトゥルースを1人で足止めをしたのも。全部、ウソノワール様をこっちへ出迎えさせないように取り計らってくれてたのに」
マシュタンの落胆の言葉にニジーはようやく察した。
「ちょっと待った。最初から知ってたのなら、何故それをボクに知らせてくれなかったんだい?」
「2人だけならなんとなると思ってたのよ。けれど、実際あてが外れた訳だけど」
アルカナ・シャドウがようやく動き始めた。マシュタンは邪魔にならないよう後方へ移動し、彼女の背中を見守る事に専念する。
彼女が前に出た事で、トゥルース達も目の色を変えて構えを取った。
「アンサー、ミスティック気を付けろよ。あの人、今回はやる気満々だぞ」
「「うん!」」
3人が深く深呼吸をした後、動き出す為の一歩を踏み締める。
その時だった──空間に歪みが生じたのは。
「えっ?」
「なに、これ?」
「変な違和感が」
「クッ……」
それぞれが反応を見せる。後方に控えているジェットやポチタン、ニジーもマシュタンもこの異変に気付き青ざめる。
同様にアルカナ・シャドウも、いつもの余裕のある表情から冷や汗を流して焦りの感情が見受けられている。
「なりふり構ってられない。今日は本気で!」
懐からティアアルカナロッドとは別のプリキットを取り出した。解放しようと言葉を紡ぐ瞬間。
「「「「ッ⁉︎」」」」
探偵と怪盗との両者中央から、緑色の光の柱が天高くそびえ立った。光の柱の中には、何者かの大きな影が立ちはだかっており、そこから這い出ようとしていた。
その者は全身鎧に包まれており、1冊の本を手にしている。この場に居る誰よりも大きく、威圧感を放って仮面を被る大男。
「あいつが、怪盗団ファントムのボス『ウソノワール』!」
遅れてアゲセーヌ、ゴウエモン、ルルタンもその姿を現し、怪盗団の面子が勢揃い。
「名探偵と怪盗。早くも全面戦争ってか」
途方もない威圧感。初めて味わう畏怖の念。その場に居るだけで圧倒的な存在感に、トゥルースは少し後ろ向きになりがちでいた。
敵の親玉というのなら、ここで仕留めれば全てが解決へと導かれる。だというのに。
(動けない!)
本能が危険信号を発してそうさせているのか。トゥルースはその場から一歩も動く事が出来ないでいた。まだ見ぬ恐怖がトゥルースを蝕み、支配しようとしていた。
普通対峙しているだけでこうはならない。
「何故だ。何故
「「「えっ?」」」
「待てども待てども、何故載らんのだ?」
手にしていた本を読んでいたウソノワールだが、自分の知りたい事がそこには記されておらず不思議がっていた。1人で疑問に思いながらも、何も知らないトゥルース達へ攻撃を仕掛けようと構え始めた。
「あの流れでか?」
模索する形で「取り敢えず」の感覚で、トゥルース達へ攻撃を仕掛けた。紫のエネルギーの塊が一直線。トゥルース達は跳躍でそれを難なく回避してみせる。
着弾したエネルギーはハンニンダーの攻撃より、凄まじい威力でその爆発も目を見張るものだった。正面から受けて立っていたら、と思うと背筋がゾッとする。
「なら」
ウソノワールが強く足を踏み締めた。そこから巻き上がる暴風が周囲のものを一掃していく。建物のガラスや看板は簡単に吹き飛び、トゥルース達も身を低くして踏ん張るので精一杯。
「こいつ」
風が吹き止み、周囲を見渡すと、先程の一連だけでハンニンダーとの戦闘後並みに被害が出ている。まともにやり合えば、まず勝ち目が無い。そう、思い知らされたのだ。
「……これでも
「さっきら、
ウソノワールが先程から口にしている「
「
要するに、予言書と称しても過言ではない。
「プリキュア、書に記されていないお前達は異物。消えなければならない」
「お待ち下さい、ウソノワール様!」
ウソノワールが動こうとした矢先、ニジーが間に入って静止した。
「彼女達は今、マコトジュエルを持ってます。直ちに手に入れますので、ここはボクに任せて下さい」
「マコトジュエルの欠片か」
「えっ、これが欠片なの?」
ウソノワールとニジーのやり取りを耳にしていたアンサーは、手にしているマコトジュエルを注視する。手の平サイズではあるが、形からして欠片とはとても言いにくい形状なのだが。
「そんな事も知らないのか? マコトジュエルは1つの巨大なジュエルだった。かつて、人間達の心から現れた真実の想いが寄り添い、形と成した。キュアット探偵事務所が、我らファントムからマコトジュエルを奪わせまいと世界各地を転々と移動させていた」
ニジーの説明に、トゥルース達3人はジェットに視線を集めた。その目が何を語っているのかジェットも察し、無言で小さく頷いた。
「だが、この街にマコトジュエルが現れる事を我々は突き止めた。手に入れようとしたところ、キュアット探偵事務所の邪魔が入り、マコトジュエルは粉々になり、この街に散っていった」
奪われるよりかマシな内容だが、結局のところ根本的な解決には至っていない。問題を先を送りにしているだけ。
しかしながら、マコトジュエルについてこれでまたひとつ知る事が出来た。
「お前達のせいで、バラバラになった欠片をオレ達が集めてる訳だ」
「言い掛かりだそんなの!」
「ともあれ、マコトジュエルを渡すんだ。さもないと、世界が崩壊する」
「崩壊」。そのワードに3人は反応せざる得なかった。
言葉の意味を知らない3人は困惑。マコトジュエルが集まれば、それが防げるのか。その答えはすぐに身に染みて知る事となる。
「預かっておけ」
ウソノワールは
「おおー! ウソノワール様が本気で行かれるぞ!」
「喜んでる場合じゃないし! マジチョベリバー!」
ゴウエモンはウソノワールが自ら手を下す事に興奮し、アゲセーヌは事の重大さを知っているからこそ慌てふためく。それぞれが違う反応をしており、それが余計不気味だ。
「……ふぅん」
ルルタンは、無言でアルカナ・シャドウの近くまで寄り、小声で話し掛けた。
「こうなってしまった以上、アタシ達の出る幕は無いルルね。まことには悪いけど同情するルル」
「……ええ、最悪の展開ね」
ウソノワールが動く事に、やはりアルカナ・シャドウも気に入っておらず眉間に皺を寄せて、杖を握る手がより一層強くなった。
ウソノワールの両の手に凄まじい密度のエネルギーが凝縮されていくのを肌で感じる面々。その高密度のエネルギーの影響か、またも空間に歪みが生じる。
恐らくこの歪みこそが怪盗団ファントムの面々が恐れる理由。
一歩、また一歩と近づいて来る巨漢。恐れ慄き、思わずトゥルースが身を引くとその背中を小さな2つの手が支えてくれた。
「大丈夫だよ!」
「わたし達も付いてるから!」
アンサーとミスティック。2人の励ましの声とその手を感じて、トゥルースは落ち着きを取り戻した。
深呼吸し、自分の感情に整理をした後真っ直ぐウソノワールへ見据える。
「よし──」
トゥルースが視界に入れた瞬間、ウソノワールはその場から消え、一瞬にして3人の背後へと回り込んでいた。
「──ッ!」
容赦無く、両手に込められていたエネルギーをそのまま押し付けて来た。3人はそれぞれ別方向へ避け、なんとか直撃は免れた。
「やっべ」
しかし、攻撃が空振ったあとの場所を見てその威力に目を見張る。
下はコンクリート。簡単に小さなクレーターが出来ており、それだけ破壊力を物語っている。
まともに食らうと、まずただでは済まない。
3箇所に散らばり、体勢を立て直そうとする。が、息つく間も無くウソノワールが動く。
飛び退いた後、その着地と共にウソノワールはミスティックの目の前に詰め込む。
「ミスティック──」
「遅い」
バリアを張る間際、ウソノワールの拳がミスティックの顎を打ち上げる。
打ち上げられたミスティックを追従し、上からエネルギーの塊を直接腹部に打ち込み、地面に叩き付ける。
「「ミスティック‼︎」」
土埃で安否を確認出来ない。側へ駆け寄ろうとするアンサーの背後、ウソノワールは手の平を向けて至近距離から高密度の光弾を放とうとしていた。
「えっ──」
振り向きざま、アンサーは紫の光に包まれて建物の中まで吹っ飛ばされる。
彼女の悲鳴すらあげさせてはくれなかった。
「次はお前だ、キュアトゥルース」
1分も満たない時間でアンサーとミスティックが倒された。敵意の矛先はトゥルースに向けられ、その姿を消したと思ったら目の前で一気に接近される。
もはや、速いとかそういう次元の話ではない。瞬間移動とも呼べる域。
改めて感じる圧倒的威圧感。迫力。堂々たるボスとしての威厳。
「俺達の」
倒れているアンサーとミスティック。後方で隠れているポチタンに目を向けた後、ウソノワールへ鋭い眼光を飛ばす。
「俺達の意志の強さだって負けない!」
「ならば示してみろ。その強さとやらを!」
同時に地を蹴り、力を高めた2つの右拳が激しく衝突する。大気が揺れ、地面が泣き、空が割れる。
「クッ!」
衝撃で互いの拳が弾け飛ぶ。が、グラついているのはトゥルースのみで、ウソノワールは平然としている。それに、今の一撃で力関係も垣間見えた。単純な力じゃ到底敵わない。
やるだけ無駄なのが関の山。
「オープン! プリキットアンサーレンズ! プリキットミスティックマント!」
「ほぉ」
2つのプリキットの同時併用を目にしたウソノワールは、トゥルースの考えを瞬時に理解した。
アンサーレンズで動きの先読みをし、ミスティックマントで致命傷を避け、攻めに転じる。
だがそれは、こちらに対応出来たらの話。
「所詮は子供の浅知恵」
トゥルースの策を嘲笑うが如く、避け切れないエネルギーの弾幕を張って一切の逃げ道を全て封じ込めた。
「ぜってぇー負けっかよ!」
それでもトゥルースは諦めない。アンサーレンズは光り、その先にある答えを見出し、導かせる。
地を蹴った。アンサーレンズから送られる情報を頼りに、問題無いであろうルート通りに光弾の隙間を掻い潜り、無理矢理接近して行く。
全て、それも無傷でこの弾幕を切り抜けるのはどんなに足掻いたってまず不可能。多少擦りはするだろうが、無理矢理突破するのが安牌な択。
「ッ!」
アンサーレンズとミスティックマントを上手く活用し、放たれた弾幕を突破。更には己の間合いまで詰め寄る事にも成功。
瞬時に指先をウソノワールに向けて、必殺技を放とうと構えた。
「誰もが嘘だと疑いたくなるほど、圧倒的な力を持つ。あれが──ウソノワール様」
客観から見ても、勝ち目が無い事は明白だと言わんばかりにマシュタンはウソノワールの強さを説明する。事実、トゥルース、アンサー、ミスティックの3人掛かりでも全く歯が立っていない。
「残念だけど、今の彼では太刀打ち出来ないルル。諦めて」
ルルタンですらこの苦言。
「トゥルースショット!」
撃ち放たれた白き光弾は、ウソノワールの顔面向けて一直線へ。しかし、トゥルースの指先を見て、光弾の軌道を読んで最小限の動きのみで躱した。
「虫ケラ風情が」
無防備となってしまったトゥルースの頭を鷲掴みし、そのまま投げ捨てられる。その先には、立ちあがろうとしていたところのアンサーが居た。タイミング悪く衝突し、2人一緒に地面に倒れ込む羽目となった。
「余興は済んだ」
ウソノワールは徐に背を向けて、空の彼方を見据え始めた。そして、左腕を天高く伸ばし、拳を作っては何かを力強く引っ張る動作をする。
意図を理解出来ないトゥルースは、それを探るべきアンサーレンズでウソノワールの視線の先を追い掛けた。
するとその光景を見たトゥルースは信じられないと、言葉を失う。
「トゥルース何を見たの?」
アンサーが問い掛けるが、トゥルースは開いた口が閉じられず呆然としている。
そんな中で、ミスティックが指をさし、震える声で呟く。
「あ、アンサー、あれ見て……」
「えっ──ッ⁉︎」
アンサーとミスティックだけではない。ジェットもポチタンもその光景を目にしていた。そしてトゥルース同様絶句する。
彼らが見たのは、何かしらの力によって月の一部が破壊され、その破片が大気圏を突入して今此処へ降り注ごうとしていた。
その数と大きさから想像するに、落ちればその被害はとんでもないとなる。かといって、それをどうにかする力なんてものは今の3人には持ち合わせていない。
だから取る選択肢はひとつしかなかった。
「「──ッ‼︎」」
トゥルースはアンサーの手を取り、ミスティックはポチタンとジェットの元へ2人同時に駆け出した。
直後、宙から降り注ぐ月は次々に隕石となってまことみらい市へと落下していく。
「ミスティックリフレクション‼︎」
ポチタンとジェットを庇い、バリアを展開と同時にミスティックは呆気なく押し潰された。
「「ミスティック!」」
他人を心配する余裕はない。アンサーレンズで確実なルートを導かせて降り注ぐ雨を回避しようと必死なのだ。
だが、それも意味を成さなくなる。
走る速さが足りない。隕石の面積があまりにも大きい。どれだけ小細工をしようと、どうしようもないのだ。
「アンサー、お前だけでも!」
ミスティックマントをアンサーに羽織らせ、彼女だけでも出来る限り守ろうと尽力する。
「待って、そんな事したらトゥルースが!」
2人を覆う巨大な影。隕石がもう目の前まで迫っており、ここから回避するのは到底不可能。
2人は息を呑み、強く、強く互いの手を握る。
そして──無慈悲な圧倒力が全てを呑み込んだ。
アカン、ウソノワール様を盛り過ぎた…