名探偵プリキュア! The End of Truth 作:シロX
物語的にもまだまだ序盤なので、しっかりと今のうちに基盤を作り上げてこの小説にしか出せない要素を出していきます!
自分の心の中にあるマコトジュエルで変身を遂げたアンサーとミスティック。少女のあどけなさがも残しながらも、ハンニンダー相手に臆する事なく立ち向かうその姿は凛々しくある。
「いけ、ハンニンダー!」
ニジーの指示で仕掛けてきたハンニンダー。荒々しく振るう拳を華麗に躱し、アンサーとミスティックはすかさず蹴りを同時に食らわす。
後退るハンニンダーの様子に、名探偵プリキュアが優位に立っている事も相待ってまことは興奮を隠さず居られなかった。
「いけいけいけ! 押してるぞ!」
声援を受け、更にアンサーとミスティックの調子に拍車が掛かる。
「ハンニン⁉︎」
まだ変身して2回目の戦闘。荒削りな所も多いが、それでも2人はきちんと連携を意識して、攻めの姿勢を崩さずハンニンダーを追い詰めている。
けれど、ハンニンダーもやられているばかりではない。
「何か仕掛けてくる。気をつけるんだ!」
不自然な動きをしているハンニンダーに警戒を促すまこと。その予感はすぐに的中する。
「ハンニンダー!」
「「ッ!」」
ハンニンダーは頭のペン先から、黒のインクを飛ばして攻撃してきた。遠距離攻撃してくるとは微塵も思わなかったアンサーは、突然の事で硬直してしまっている。
動きを止めたアンサーを助ける為に、ミスティックは身を挺して庇い、インクから守り抜いた。
インクは木に付着し黒く染め上げる。
「強力なマコトジュエルを嘘で覆えば、誰にも止められない強大な力になるんだよ」
「嘘で覆うなんて。なんてヤツだ」
「ファンと偽り近付きゲッチュ。嘘を使えば容易いものさ」
「嘘嘘ばっか。聞いててうんざりする」
「おや、君がそれを言うんだ。嘘を吐いてるのは
「嘘なんて吐いてねぇし。てか、何で俺の名前を?」
嘘を言っている覚えは無い。なのにニジーは"お互い様"と言って断言している。加えて明かしていないまことの名前を、それも苗字を一字一句看破している。
記憶喪失だからという理由もあるが、それを加味してもお互いに初対面に近い関係。だからこそ謎が深まる。そして、確かな情報もある。
怪盗ニジーは、金田一まことを知っている。
「お前達怪盗団の狙いは一体何なんだ?」
「そんなの決まっている。嘘で溢れ、覆われた素晴らしい世界を作る! その為にはマコトジュエルが必要なのさ!」
人を欺き、利用する。マコトジュエルを手に入れられるのなら、人の心を踏み躙る言葉で誑かす。そんな容赦無く、手段を問わないやり口と怪盗団ファントムの企みを許せる訳がない。
「嘘の世界なんて、全然素晴らしくない!」
「そうかな? 君達名探偵を倒すこんな力があるのに?」
「好き勝手言ってくれるじゃんか」
ニジーの言いたい放題に、今まで大人しくしていたジェットが口を開いた。
「ボクもひとつ教えてやる。キュアット探偵事務所の使命は、嘘を暴いて止める。ファントム! お前達からマコトジュエルを守る事だ!」
「随分と威勢のいいベイビーだ」
ジェットの啖呵もニジーは嘲笑って一蹴する。
「キュアット探偵事務所。無論、君達の使命は心得ているよ。だからこそ、かの有名な名探偵キュアトゥルースを……おっと」
ニジーは強烈な視線を感じてその口を閉じた。
「お喋りなボクもこれ以上口を滑らせる訳にはいかなくてね。ここまでにしようか」
手を叩き、改めてハンニンダーに指示を与える。そして、狙いをプリキュアではなくジェットに切り替える。
「このハンニンダーを、嘘をどう止める?」
「プリキュアがいる! 歴史上数人しかいなかったという名探偵プリキュアが、今2人もいる!」
ニジーは肩をすくませて呆れている。指先でハンニンダーに殴るよう指示を飛ばす。まるで、オーケストラの指揮者の如く。
「ッ!」
ハンニンダーの拳が迫り来る。刹那の間しかない状況で、アンサーとミスティックは間に合い受け止めた。
「嘘を吐かれてペンを盗られたエリザさんは悲しんでる」
「人を悲しませる嘘なんて」
「「プリキュアが嘘を終わらせる!」」
ハンニンダーの拳を跳ね退け、2人はジュエルキュアウォッチを翳す。そして、長針をぐるりと回して正のエネルギーを充填する。
地面に減り込む程の踏み込みで、2人は腰を落とし、いつでも飛び出せる姿勢を作り上げる。
「「これが、わたし達のアンサーだ‼︎」」
地面を蹴り、2人の影がひとつになってハンニンダーに体当たり。そのまま貫き、ハンニンダーの媒体とされていたマコトジュエルとガラスのペンの浄化が済まされる。
「「キュアット解決!」」
浄化されたマコトジュエルを回収し、それをポチタンに渡して取り込ませる。これで、事件は解決されて盗られたガラスのペンも無事に取り返せれた。
「参ったね。今日のところはこれで幕引きとしようか。それと」
周囲の空気と同化したニジーは、何気ない足取りでアンサーとミスティックの横を通り抜けた。彼の狙いはまこと。
「──そろそろ、顔を出してもいいんじゃないのかな?」
「アンタ、何を言って」
耳元で囁かされるニジーの言葉。その意味を理解出来ず、質問で返そうするまこと。だがそれも、心配するミスティックに遮られる。
「まことから離れて!」
払う手を避け、ニジーはそのまま姿を眩ました。
「まこと、さっき何言われたの?」
「さっぱり。そんな事より、今は事件解決を素直に喜ぼうぜ」
ミスティックの肩を叩き、事件はこうして締め括られた。
◯
ガラスのペンはエリザの元へ戻った。本来の持ち主に戻り、エリザは笑顔を取り戻した。そして、次の作品に励む為今日のそのペンを握って執筆をするのだった。
一同、キュアット探偵事務所に戻り、ジェットは引き出しから2冊の本を持ってあんなとみくるに手渡した。その本を見て、まことはニヤついた表情でジェットの脇腹を肘で突く。
「ソレを渡したって事は、2人が名探偵プリキュアだって事を認めたと解釈でいいんだな?」
細めた目でまことの肘を払い除け、咳払いをした後渡した物がどんなものか説明をする。
「『プリキットブック』。名探偵の証だ」
「「何これ?」」
「2人は認められたって事だ。名探偵プリキュアとしてな」
まことの補足で、ようやく2人は理解して喜びの表情に満ち溢れる。
「やったねみくる!」
「ええ! これで、わたし達で困った人達を助ける。マコトジュエルを守って、ポチタンを元に戻して。そしたらあんなも元の時代に!」
「うん、でもわたし決めちゃったんだ。みーんなを助けるって! 嘘で覆われた世界なんて嫌だから。わたしみくると一緒に、名探偵プリキュア頑張る! 戻るのはその後!」
これで名探偵プリキュアとしての方向性は決まった。先の事よりも目の前の事件。あんなは、自分よりも皆を守る事を優先すると決めたのだ。
それについては、みくるは少々不安そうな感情が滲み出ていた。しかし、当のあんながそう決めたのならその気持ちを汲み取る。
まこともジェットも賛同する。あんなを元の時代に戻すのを最終的なゴールとするなら、それは避けては通れない道。
「よしお前ら、名探偵プリキュアとしての証をプリキットブックに書け」
本の表紙を捲り、言われた通りペンでその証を書き込む。
「よし、じゃあ改めて。まこと」
ジェットはまことを呼び、隣へ並ばせてあんなとみくると顔を合わせる。
「「ようこそ、キュアット探偵事務所へ。名探偵プリキュア」」
「宜しくね。まこと君、ジェットさん!」
「『ジェットさん』? もっと先輩らしい呼び方があるだろ?」
「まことは『さん』付けなのに?」
「俺記憶喪失だから。ほら、先輩後輩もないだろ?」
「そういうものなの?」
固い言い回しに不満があり、それに成り変わる呼び方を今決める事に。先輩と後輩。そのフレーズでみくるは閃いた。
「えーっと、なら先輩!」
「ジェット先輩、宜しくお願いします!」
「ああ、宜しくな」
4人は握手を交わし、今ここに新たなキュアット探偵事務所の誕生の瞬間となった。
ここまでの拝読ありがとうございました!