合声アンドロイド、重音テト   作:ホワイトリリィ

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身体、重ね

 

 

 

 

むき出しにさせられた感情のままに抱きついて、今までの鬱憤や孤独感を大好きなもので埋めるために身体全身を使って縋り付く。それに、テトさんはピクリと震えてから受け止めるように抱き寄せた。

 

それから、吐息が右耳のすぐそこまで感じとれるようになるまで一瞬だった。

 

「...両想いになるね、ボクたち」

 

この世界で私だけが。テトさんの傍にいる私だけが聞き取れる小さな囁きが耳を抜けて脳に入ると、途端にぐずぐずになって溶けてしまう。言葉とその声だけで身体が熱くなって、思わず足先を丸めながら内股になった。

 

「嬉しいなぁ...」

 

テトさんの囁きがもっと小さく、そしてもっと近くで溶けた。その声がさっきよりも強く吐息から耳へと来たからか、甘くて粘度の高い熱が右耳から始まり腰まで侵しにくる。その悦楽から逃げたいほど気持ちよくて、腰が勝手に沿ってしまう。でも、テトさんに抱きしめられているからあまり動くことはできなくて。少しでも誤魔化すように、テトさんの背中に回した両手を握りしめた。

 

私の動きに呼応するようにテトさんはゆっくりと私をベッドに押し倒す。押し倒すというか、横たわらせるの方が近い。私を横にしたら、テトさんは猫みたいに私と同じベッドの上に乗って覆い被さってきた。

 

あっ、アンドロイドなのに吐き出す吐息は温かいんだ。先に耳に吐息がかかったのに今更感じた。ほのかに鉄っぽい。けどほぼ無臭に近くて匂いはあまり無いように思えた。でも、感じないはずの甘くてミルクの味が鼻腔を香る気がする。

 

つまり、それくらい私とテトさんの顔が近いことを意味した。まともに人の顔も見れない怖がりなのに、不思議とテトさんからは目線を外せれない。罪悪感で胸がきゅっと痛くなる一方なのに。

 

なんで、どうして、私なんかに。さっきからずっとその疑問が浮かんで消えない。私はカスみたいな人間なのに。いなくなったほうがいいとさえ自分ですらそう思うのだから。

 

そうだ。ようやく分かった。流されてしまったけど、テトさんはアンドロイドだ。だから、きっとその頭だかどっかの回路の中のプログラムに従っているだけに過ぎない。だからこんなことをしてくるんだ。鈍くもようやく悟った私はうっすらぼんやりと水っぽく濁る視界で、両手を使って何とか押し退けようとした。が、力では圧倒的に人間よりアンドロイドの上で、すぐに押さえつけられてしまった。

 

すると、テトさんはハッとしたように私に声をかける。

 

「...こういうことは怖い?」

 

 "違う。怖くて泣いてるんじゃなくて、申し訳ないから。こんな人間を好きにならさせて、ましてそれをいい事に縋り付く酷い人間だから。"

 

前泣いたのがいつか覚えてないから、こんなに乱れるのだろうか。いつの間にか、みっともなく顔をくしゃくしゃになりながらわけのわからない意味不明なことを口から漏れ出ていた。

 

「君さ、どうせボクが機械だからってそういう命令されてると思ってるんだろ」

 

「ボクは君だから好きなんだよ。卑屈なところも、怖がりなところも、ズボラなところも全部。アンケートで君の顔を見たその瞬間から」

 

目線さえも逸らせないくらい、鼻先がくっつく寸前にまで顔が近い距離で、告白じみたことを言われる。

 

初めて、だ。面と向かって、自分のダメな所が好きなんて言われたのは。私の顔が好きって言われたのは。あまりにも衝撃を受けすぎて、もう理屈も理由もなにもいらなくなる。

 

「大体...そうだなぁ、ここらへん」

 

頭の中にはてなが浮かぶより先に、素肌が腹を撫でる感覚が神経を駆け巡って脳天に突き刺さる。人の手なのに人の手じゃない重さが、静かに内臓を押さえ込んで刺激する。

 

くすぐったさもあるけど何より、1番はぞわぞわして悶えたくなる感じたことの無いモノで、内股をさらに加速させる。それをテトさんは見逃してくれない。空いたもう片方の手で軽々と右足を受け止めてそれ以上内側へいかせてくれない。

 

お腹を撫でられているってだけなのに、どうしてこんな変な気分になるんだ。声が出そうになるのを必死に我慢する。それでも、くぐもった声まではかき消せれない。

 

ただ単純に、お腹をテトさんの右手で撫でられている。その事に過敏に反応して、勝手に興奮しているのは私の方。

 

何とかして、この焦れったい熱を冷まさないと。と考えた時には既に、私はテトさんに唇を重ねられていた。

 

舌の裏側の滑らかさと、表の細かくつぶつぶとした触りをダイレクトに神経の塊である己の舌で感じ取っているから。脳を思いっきりミキサーでかけ混ぜられて、その上激しく揺さぶられていく。

 

今お腹を撫でられたら?正気である私が私自身に問いかける。けど、その問いはもう出るには遅かった。

 

てのひら。親指の付け根あたりで下腹部を押される。何かの、押しちゃダメなスイッチを躊躇なく押された。

 

何を自分でも言っているのか分からない声が勝手に出てくる。恥ずかしいと思って喉を締めようとしても、身体が言うことを聞かなくて。ほとんど反射的に口を開いていた。

 

口を開いたらもう、ダメになることはわかっていたのに。ドクンドクンと鼓動みたいに跳ねて溢れる快楽に段々と身体が染まり、身体も性欲に正直なもので自然とテトさんを求めている。

 

まだ押され続けるお腹の奥がいじらしく泣いている。テトさんを求めるように、つい先程の私みたいに。

 

もっと押して、もっと気持ちよくさせてほしい。もっと、舌も奥まで入れて。

 

「そんな反応して、ボクをどうにかさせたいのかい?」

 

後味に、つい先程交わったばかりの舌の感触とミルクのようなふんわりと優しい甘さが残った。やっぱりテトさんの舌は甘いんだ。なら。こんなに甘いならせがんでもおかしくないよね。

 

頭が、喉が、胸が、お腹が。傷んだ果実みたいにぐちゅぐちゅしていて、溶け出した蝋みたいに熱い。身体の奥底からくすぐられて、神経と神経がうまく繋がらない。

 

もういっそ、内臓に届くまで押されて、頭がぶっ壊れるくらいキスしてほしい。

 

めちゃくちゃにされたい。どっろどろにされたい。女の子が大事にしてる所を上から押されながら乱暴に舌の押し合いしたい。テトさんを親みたいに甘えたいし、唯一無二の親友みたいに一緒にご飯食べたり買い物に行きたい。

 

自分の事ながら気持ち悪い。色んな親愛友愛性愛を全部テトさんに向けてるんだ。だって初めて私のことを好きって言ってくれた人だから!!

 

「ははっ。口もそんなに開けてお腹を見せつけちゃって...いいよ。そんなに欲しいならあげる」

 

中指と薬指を曲げたあの形。そんな手が、私の腹に再度触れる。へそよりだいぶ下。ギリギリ下着の中に入るような箇所をグッと押され、そして声が出た。

 

私がして欲しかったことを今まさにやられてる。大願が叶ったような心地良さと、少しの痛みが更に快感に拍車をかけた。

 

その快感を味わう暇もなく、またテトさんからキスをしてくれる。今度は暴れ狂う蛇みたいに、口の中をぐるぐるとかき回されて頭のプチプチが弾けて消える。

 

絶対、絶対こんなことにハマったらいけないのに。いけないことだって分かっているから、余計に抗えないほどの冒涜的なまでの気持ちよさに身が弾けそう。

 

たまらなくいい。上から中指と薬指でグリグリと押されて、上は深くて吸われるようなディープキス。内股はとっくのとうに外向きになって、押さえつけてたテトさんの左手は私の後頭部を支えていた。

 

押し退けようとしてた私の両手はテトさんの背中に回して、爪がテトさんの背中に食い込むんじゃないと思うくらいにテトさんを欲している。

 

キスってこんな気持ちいいんだ。こんなにハマっちゃうものなんだ。好きな人にお腹を押されるだけでこんなに声が出ちゃうんだ。

 

ギュっと、今まさに押されてる所が痛むくらい収縮した。頭よりも肉体の方がよっぽど賢い。声がまた甘ったるくなる。

 

「......かわいい」

 

テトさんが何か言ったけど、何も聞こえない。ただ、口が離れちゃったから寂しい。まだ足りない。もっとテトさんの味を飲ませて欲しい。お腹だって、痛いくらい押されてもいいから。

 

またテトさんの顔が近くなる。けど、口をつけられた場所は唇ではなくて。右首筋の根元。ちょうど、右肩と首の境目のような所だった。

 

そのまま、吸われた。

 

吸われた衝撃で身体が跳ねる。ボーッとした頭を叩かれてるみたいに強い刺激が襲う。身体が言うことを聞かなくて、腰が自分の意思に関係なくヘコヘコと動く。

 

首の皮膚が、テトさんの口内に入ってて、そして吸われて。早く止めなきゃ痕がついちゃうのに、濃い痕をつけて欲しいって思っちゃって。

 

頭の中が爆発しているから、もういい。涙も涎も垂らすくらい嬉しくて、喜びながら我慢していたよがり声を放出することに決めた。

 

足は外へ外へ向いて腰ごと仰け反る。テトさんから押さえつけられてる指にお腹を何度も差し出すからか、テトさんから腰を両手で掴まれて更に強く首筋を吸われる。

 

腰を動かそうとしても掴まれているから動けない。全ての基盤である骨盤が固定されているから、ただただ快楽の電気信号が喉を伝う度に声を湿らせることしかできない。

 

一際激しく、啜るようにされてようやく離された。じくじくと、切り傷ができた時の熱に近い感覚が首の根元に根付いて、脈が刻む度にびりっと下腹部を通り抜ける。ぬるっとした液がお尻の方に流れ、ベッドを濡らすのが分かった。

 

目が眩んで何も見えない。あ"っあ"っと濁点付きの、何かの一語ですらない声が余韻の波に従って出るだけ。身体はピクリともしない。もしかしたら震えているかもしれないけど、涎が口から出しっぱなしの今のぐずぐずな頭と身体じゃ何も分からない。

 

「今日はこれくらいにした方がよさそうだね。......ナカまで可愛がりたかったけど仕方ないか」

 

耳に入る言葉が分からない。何かの、音としては入るけど雑音になる。それよりも、弾ける腰と忙しい脳内でしっちゃかめっちゃかだ。テトさんの唾液まみれになった首元とか、足先が開いて元に戻れないこととか。声も自分の意思じゃどうにもならなくて。そのうち、瞼が急に重たくなった。全身に気怠さが広がって疲れたせいか、私の意識はベッドの下にまで落ちるくらいのスピードで眠りにつく。

 

「次はちゃんと最後までするから、今度こそへばらないでね」

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