一般ブラックマーケット市民A   作:水管

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初投稿です。
初心者なので、反応貰えると嬉しい…。


市民Aの普通の日

 

「あの!すいません!」

 

ちょっとした小遣い稼ぎのためにブラックマーケットに来ていた俺は後ろに立っていたトリニティの制服を着たちっこい生徒から大きな声で呼び止められた。

 

「それ!それ!ペロロ様の限定ストラップですよね!お願いします!譲っていただけませんか…!」

 

どうも目の前の生徒…おおよそ、このブラックマーケットという場所で浮いた格好をしたトリニティっぽい彼女はたまたま俺が持っていた奇妙なマスコットのストラップが欲しいらしい。

いつもの俺なら値段次第でやらんこともないが…

今はそんなことをしている暇はないのだ…

 

「悪いな、トリニティの嬢ちゃん申し訳ないがこいつは譲れない」

 

「う…そうですかぁ…」

 

ショボーンとしてしまった彼女を横目に俺はストラップの裏に貼られているであろうケースを確認する…お、あったあった。

ストラップの方はもういらないのでケースだけとって投げ捨てる。

 

「…?なにをして…真っ黒なケース?…ってわあーー!ペロロ様を投げ捨てないでください!!!」

 

お嬢ちゃんからの苦情を無視しケースから小さなチップを取り出す、この小さなチップの中にはデジタルマネーが入っている。

金から足がつかないようにするブラックマーケットに昔から伝わる金の受け渡し方だ、この金は少し前に終わらせた仕事の報酬なのだが…たしか2万とかだったかな…

 

__ピピッ

 

持ってきた専用の機械で中身を読み取り金額が確かであることを確認する。

こういうのはチョロまかされている事があるので基本的に貰ってその場で直ぐに確認する必要があるのだ。

…よし、2万円きっちり入ってるな。

受け渡し方の割に中身は割としょぼいが、やった仕事もしょぼかったのでこんなものだろう。

さて、金も確認したしそろそろ帰るか…

 

「待ってください!」

 

さっきのトリニティっぽいお嬢ちゃんの声だ。

面倒なので待ちたくないが、相手は生徒だ、下手に発砲でもされたら溜まったものではないので一応相手する。

 

「どうした?」

 

「ペロロ様に!謝ってください!」

 

そう言うと彼女は右手で先程俺が投げ捨てたストラップをさしだす。

ああ…なるほど、おそらく彼女はストラップに描かれたキャラクターのファンなのだろう…

正直無機物に謝罪する意味がわからないが…相手は"生徒"だ…。

キヴォトスの生徒はその辺の成人男性なんかの力を遥かに凌ぐ、当然俺よりも力は強い。

下手に機嫌を損ねるとやばいな…。

仕方ないので心底どうでもいいが謝ることにする。

 

「悪かった!実は今日どうしても急がなければならない用事があって…ついぞんざいな扱いをしてしまった…!心から詫びるよ…!」

 

俺はお嬢ちゃんから受け取った気色悪い顔したストラップに向かってそれっぽい謝罪を述べる。

急がなければいけなかったのは事実だし…心から詫びていないくらいで嘘はついていないし、問題ないだろう。

 

「そうだったんですか…なるほど…うんうん、ペロロ様も許してくれたみたいです!」

 

どうやら許されたらしい。

どう見てもストラップのイカれた顔は1ミリも変わっていない気がするし、許されたのかどうか全くわからねぇが、きっと彼女には俺には見えないものが見えているんだろう。

 

いやー良かった良かった。それじゃ。

 

そう言って足早に立ち去ろうとすると不意に服の裾を掴まれた

…まだなんかあんのかよ、めんどくせえなぁ。

 

「そ、そのぉ…良ければそのペロロ様のストラップを譲っていただけないかなぁと…」

 

ああ…そういう話か、もうチップはとって確認も終わったし、いらないからくれてやってもいいのだが…

今回の報酬も少ししょぼかったし、このイカレファンによって無機物に謝罪させられたし、取れても二束三文だろうが…

せっかくだから揺すってみるか…

 

「いくらだせるんだ?」

 

「えっと…このくらいなら」

 

前言撤回、差し出された数枚の万札をみて俺は満面の笑みになった。

はー、トリニティ生ってやっぱ金持ちなんだなぁ…

 

このストラップにそこまでの価値がないのは間違いない。

基本的にチップのカモフラージュに使われる物は使い捨ての安い小物だ、そのため高く見積っても300円程度の価値しかないだろう。

俺は相手の気が変わらないうちにストラップを押し付けて金を貰い足早に去ろうとした。

 

「あ、待っ、待ってください!あの!あなたのお名前は!」

 

普段なら聞かれても名前なんて答えないが、少し機嫌も良くなったしな…まぁ答えてやるか!

 

「俺の名前はアシヤだ、以後よろしく。」

 

ちなみに偽名だ。

生徒に対して本名を伝える勇気は俺には無い。

というかブラックマーケットの住人でそんなバカ正直なやつの方が少ないと思う。どいつもこいつも脛に傷があるからな。

 

彼女…ええと、ヒフミだったか、彼女からも名前を伝えられ今度こそ俺はその場を去った。

 

 

 

戸籍もなし、稼ぎも不安定そんなやつでも借りられる家というのは普通は中々ないんじゃねぇかと思う。

しかしここブラックマーケットじゃ戸籍がないなんてざらだし稼ぎが安定してるやつの方が珍しいからか、そんな賃貸がゴロゴロ転がってる。

俺の家もそのひとつだ。家賃はそこそこするが防弾の壁で俺でも借りられる、後ろ暗いところのあるやつら大歓迎の物件だ。

 

そんな偉大なる家に帰り、俺はそれまで着ていたでかいパワードスーツを脱いだ。

ロボットに見えるようにカモフラージュするための大きなパワードスーツ…

そのカバーを外し中身のバッテリー交換をしながら少しだけ布で汚れを磨いていく。

 

結構バッテリーも老朽化してたな…。

 

バッテリーの交換もサボると良くねぇな…燃料も切れてたしそろそろ買いに行かねぇと…

 

 

 

 

 

先生の性別はどちらがいいでしょうか?

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