一般ブラックマーケット市民A   作:水管

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市民Aと思わぬ遭遇

 

 

 

ピピピ、ピピピ。

 

耳元で鳴り響くアラームを止めながら、寝ぼけた頭を覚醒させていく。

 

…こないだはえらい目にあったな、ターゲットの嬢ちゃんも一応アジトまで届けられたし、先生らからも逃げ切ったわけだから結果としては良かったが…

 

理事の野郎ちゃんと報酬払ってるだろうな…。

 

例の輸送の仕事から数日、今日はその報酬の支払いがある。

 

アジトに届ける、という俺の仕事は完遂したが

あの様子ではすぐにターゲットを取り返されていそうだし、成功報酬が払われていない可能性がある。

…カイザーを敵に回す気は無いし、文句を言うつもりはないが…兎にも角にも確認しに行かねばならないだろう。

 

俺はいつものパワードスーツのヘッドパーツを仕事用のものから普段用のものに交換してから外に繰り出した。

 

____________

 

 

どうやらこないだの誘拐は未遂に終わったからか、数日たった現在でも特に事件として報じられたり、下手人を連邦生徒会が指名手配したり…なんてことにはなっていないようだ。

 

…まあ一応、仕事用で昨日使っていたヘッドパーツは交換しておいたが杞憂になりそうだなぁ。

 

 

「ここがブラックマーケット…。」

 

「わあ☆すっごい賑わってますね?」

 

半分トラウマ気味の声に身体が反応し咄嗟に身を隠す。

 

前言撤回…どうも、杞憂じゃなかったようだな…クソ…。

なんでこんな所にアビドス高校御一行がいやがる…。

 

物陰から様子を伺う。

いかにも素人っぽい感じでキョロキョロ周りを見渡してる黒髪ケモ耳の嬢ちゃん、のほほんとしてるがその実1番警戒の強いピンク髪のちびっこ…その他生徒どもの前に立つ、猫背気味な黒髪の女性…。

 

まいったな、どうしたものか…。

何が面倒って、俺の目的地である報酬の振込を確認するための闇銀行は先生たちのいる道を通った先にある。

 

幸い顔は変えてるから見られたところでバレやしないとは思うんだが…。

いやーでも怖ぇ…遠回りしていくか…?いやしかし…

そんな具合に小道でウジウジ悩んでいた時だった。

 

 

ドン!

 

「うーん…でもなぁ…どうし…ってうおわっ!?」

 

「誰か助け…きゃっ!」

 

背中に妙に既視感のある衝撃を受けた。

 

俺は反射的に声を荒らげる。

 

「おいてめえ!どこに目ェつけて…。」

 

「あわわ…ご、ごめんなさ…。」

 

しかしすぐに言葉を詰まらせた。

 

そこに居たのは、俺の貴重な3時間をドブに捨てたあのイカれたペロロオタク、ヒフミだったからだ。

 

「よぉ…久しぶりだな、嬢ちゃん……で、前方不注意でやけに急いだ様子でぶつかってきたみたいだが…またなのか?」

 

「あ、アシヤさん…えへへ、久しぶりです。えっと…その…また、です…。」

 

恐らくまたこいつを追いかけているだろうスケバンどもの足音が聞こえてきた。

 

「…助けはいる…よな。ああ、わかったよ!逃がすくらいならやってやるよ!」

 

話してる最中にこくこくと頷いて財布を取り出したヒフミをみて、複雑な感情になった。

 

「まあ逃がすだけだからな…1万でいいよ、ほら。」

 

充分法外な金額だが、トリニティ学生なら余裕だろう。

 

「えへへ…すみません、何回も…えっと1万…。」

 

「ちょっと待ちなさいよ!」

 

臨時収入で何を買おうかなーなんて考えていた時、突然後ろから声が響く。

 

後ろを振り返るとそこには我らがアビドス御一行様がいた。

…そういえば、俺物陰に隠れてたところでヒフミに強烈なタックルを食らったんだったな…。

そして、先生たちのいる大通りに飛び出してしまった…。

顔は変えてるし大丈夫だとは思うが…何の用だ…バレてない…よな?

ちょっとびくびくしながら次の言葉を待つ。

 

 

「そんな小さな子からカツアゲなんて、許さないわよ!」

 

黒髪を靡かせセリカは睨みながら叫ぶ。

どうやらバレた訳ではなかったようだ。

しかしカツアゲ…ああ、たしかにそう見えるのか…。

 

「カツアゲじゃねぇよ。俺がこいつを脅してるように見えるか?」

 

「そ、そうですよ!アシヤさんはそんなことしません!」

 

俺の否定にヒフミも加勢して言う。

…まったく、カツアゲなんて俺よりコイツの方が強いのに出来るわけないだろ。

 

というか、今しれっと俺の名前言った…?

 

「あれ…か、勘違い?ご、ごめんなさい…。でもなんか…アンタその名前…どっか聞いた気が…。」

 

クソが!あのペロロ野郎!

何とか誤魔化すしかねぇ…。

 

「え…?名前?なんのことでしょうか…あっしはアイダと申しますが…何かありましたかね?」

 

「うーん…アイダ…いや、やっぱりなんでもない…。」

 

 

「…?何を言ってるんですか…アシ…」

 

ギロッ!

 

何が言いたげなペロロ野郎に必死に目で意志を送りながら別人を演じる。

…危ねぇ!ギリギリセーフだ!

しかしこれ以上ここに長居するのは危険だな、さっさとどっか行かないと…

 

「よく分かりませんが、あっしはこれで…」

「いたぞ!」「攫え攫えー!」

 

さっさとその場から離れようとした矢先にスケバン共が小道から飛び出してくる。

もう無視でいいかな、とりあえず逃げたいんだけど…。

 

「わああー!そ、そうでした!助けてくださいアシ…」

「大丈夫かお嬢さん!あっしで良ければ手助けしやすぜ!」

 

クソ…無視しようとしたが、ペロロ野郎と口裏も合わせてないからほっとくと下手なこと言われかねないし放置できなさそうだ。

仕方なく、逃げ道を頭の中で作りながら歩きだそうとすると突然スケバンのひとりが撃たれた。

 

「何しやがる!私らはいま誘拐しようとしてんだよ!邪魔すんな!」

 

「やっぱりそういう感じか…何かと誘拐には縁があるね…。」

 

「そ、そんなこと許さないんだから!」

 

「さっきは勘違いしちゃいましたし、お詫びと言ってはなんですが加勢しますよ☆」

 

どうやら撃ったのはセリカ嬢のようだ。

そんでもって先生らの口振り的にスケバンに追われる俺たちの味方として加勢してくれるようだ。

 

…加勢?もしかして戦うの?俺逃げようとしてたんだけど…。

チラリとヒフミの方を見る、状況の飲み込めないのかひたすら戸惑っているだけのようだ。

…この場を任せて逃げたりとか出来ないよなぁ…。

この状況で俺にヘイトが溜まりかねない行為はNGだ。

となると…

 

「へへっ、協力感謝しやすぜ。あの誘拐犯の悪者共をぶっ飛ばしちまいましょう!」

 

もはややりきるしかない。

 

 

________________

 

 

 

 

「シロコ!ドローン展開!」

 

ひょんなことから始まったブラックマーケットでの初戦闘。

あまり問題事は起こしたくなかったけど…大事な生徒が誘拐されそうなら話は別だ。

それにしてもヒフミの知り合いらしきあのロボット…アイダさんって言ったっけ、戦闘は慣れてないのか動きはぎこちないが銃の腕はかなり上手い。

小さなリボルバーではあるが的確に相手の手に当てて射撃の阻害をしている。

 

うーん…この戦い方、どこかで…あぁ!

 

 

「ふぅ…あらかた片付きやしたかね。」

 

「そうみたいだね…ところでアイダさん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…。」

 

何故かビクッとしているアイダさんに対して尋ねる。

 

「シャーレ…D.U郊外でワカモとかが暴れてた時に会ったことないかな?」

 

一瞬固まったアイダさんはすこしびっくりしたような態度を見せてから返答した。

 

「…そういえば、戦闘中に少しだけ大人の方と話をした気がしますね…。」

 

私も同じように戦闘の終わり際少しだけ話をしたロボットのことを思い出していた。

 

「あ、やっぱり?あれアイダさんだったんだね、あそこにいたのは仕事?」

 

「ええまぁ、そんなところですぜ…。」

 

あの時の戦闘で前線にいたのはほとんどがブラックマーケットの傭兵やPMCだったと聞いている。

恐らくアイダさんもそうなのだろう。

 

そんな会話もそこそこにヒフミが話を始める。

 

「あの…助けていただいてありがとうございました!…皆さんがいなかったら学園に迷惑かけちゃうところでした…。」

 

「ん…トリニティ学園の制服…?」

 

「は、はい…学園に身代金を要求するとかで誘拐されかけてて…助かりました…」

 

「それは良かったんだけど、えーとヒフミちゃんだっけ、トリニティのお嬢様がこんな所まで何をしに来てたの?」

 

「えっと、それは…」

 

そういうとヒフミは目の焦点の合っていない鳥っぽいキャラクターの口にアイスクリームがぶち込まれているぬいぐるみを取り出した。

…なに、この…何?

 

「可愛いでしょう!?この限定ペロロ様が欲しくて…ブラックマーケットでしかもう売っていないので買いに来ていたんです!」

 

アイダさんの方を見ると凄く具合が悪そうな顔で目を背けていた。

 

「…アンタ…またそれ買いに来てたのか…。」

 

「えへへ…せっかくアシ……アイダさんに情報屋さんを紹介していただいた訳ですし…買えるだけ買おうと思いまして…。」

 

情報屋の紹介?

ブラックマーケットについては明るくないが、どうやらアイダさんはその辺詳しい様子だ。

 

「そ、そうか…いやいいんだが…えっと、ヒフミももう大丈夫のようだし…あっしはこの辺で…

マーケットガードに見つかると厄介だし、お嬢さんらも早く逃げた方がいいと思いますぜ…それじゃあ…」

 

しかし、アイダさんはヒフミがペロロのぬいぐるみを出した途端そう言って、何やら急ぎ足でどこかに行ってしまった。

 

何かあったんだろうか…

ブラックマーケットに詳しそうだったから例の銃の事とか、あのドライバーのロボットのこととか…色々と聞きたかったんだけどな……まあしょうがないよね。

 

「ところでヒフミ…ブラックマーケットに詳しそうだしよければ案内を………」

 

 

 

 

_____________

 

 

 

うええ…なんだよあの気色悪いぬいぐるみは…

ただでさえヒフミ(ペロロキチ)のせいでモモフレンズが苦手だってのに…

まあいい…とりあえず先生たちからは離れられた、ようやく目的地に行ける…。

 

いつだったかのワカモの抗争の時少し話した事を先生が覚えていたのは予想外だったが…まあ問題は無いだろう。

 

ヘッドパーツも、金が無いせいでこないだみたいな危ない仕事の用のやつと、あの抗争の時のと同じ普段使いの物のふたつしか持っていないからいつかはバレていたと思うしな…。

 

さて…今日は先生たちもうろついていることだしあまり外にいたくないな…

 

ブラックマーケットは学園2、3個分の広さはある。

 

闇銀行まで行くくらいならきっと遭遇はしないだろうし…

さっさと振込の確認をしてから今日一日は家にいることにしよう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生の性別はどちらがいいでしょうか?

  • 男先生
  • 女先生
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