一般ブラックマーケット市民A   作:水管

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市民Aの買い物日和―②

 

「待ちやがれー!!」

 

追いかけてくるスケバンどもを振り切るように細い通路をいくつか通っていく。

 

「クソッ!どこ行きやがった…」

 

大通りから聞こえる声が次第遠のいていく。

 

…巻けたか。恐らく新しくブラックマーケットに来たばかりで土地勘がなかったのだろうな。

 

「わー!アシヤさんすごいです!」

 

「だろ?逃げ足だけは自信があるぜ。」

 

そんなことを話しながら少し早歩きで目的の場所まで向かう。

 

「なぁ…えっと、ヒフミだっけ、お前そのペロロのグッズが売ってる店に行きたいんだよな?」

 

「ペロロ様です!…そうなんですけど、場所がわからなくて…アシヤさんはご存知なんですよね…?」

 

「いいや。」

 

ええー!!と叫ぶヒフミを無視して目的地が近いことを確認する。

 

「じゃ、じゃあどうやって行くんですか…!?」

 

「情報屋だよ情報屋。」

 

情報屋。

ブラックマーケットにいくつか点在する

情報の販売を専門とする店。

何かと問題の絶えないブラックマーケットにおいては

必要不可欠な存在であり、一部の大手情報屋に対しては常に怒号飛び交わすブラックマーケットの住人たちも敬意を持って接する。

 

しかしここはブラックマーケット、情報屋ぶって平気で嘘つく詐欺師も多くいる。

かと言って確実性を求めて大手の情報屋に行くと金がかなりかかる。

そのため多くの住人は個々人の行きつけの小規模で、信頼できる情報屋をいくつか持っているものだ。

今回向かうのも、そんなところ、

俺が贔屓にしている店のひとつ。

もはや店主とは顔なじみ超えて友だちの域だ。

 

もちろんここは友達なんて関係は紙より軽い価値になる場所、ブラックマーケット。

例え店主と友達同然になろうと信用はできない、だが贔屓にしているということは大事な大事な顧客になるということだ。

小規模な店は信頼が浅く、顧客の一人一人が大切だ。

そんな大切な顧客からの信頼を失うような真似はそうそうしない。

ブラックマーケットに昔から伝わる手法だ。

 

 

「あとはここを…」

 

ガサガサ…

 

人目につかないように被せられたシートやらものやらをどかし裏道へと進んでいく。

 

「こ、こんな所に道があったんですね…」

 

「まあ地元民だけの隠し通路ってところだな…。」

 

ザクッザクッ

 

裏道を少し歩くと店が立ち並ぶ薄暗い街道に出た。

学生の数は少し減り、ロボットや獣人が多く見える。

 

…裏道通り、犯罪の現場を絶対に目撃されたくない大企業や

違法で流出厳守な取引の現場としてよく使用される

一部の者しか知らないブラックマーケットの裏道だ。

 

「あ、あの…私ここにいていいんでしょうか…」

 

「知ってるやつが少ない道ってだけで別に部外者立ち入り禁止と言う訳じゃないからな。周りも別にあんたのこと気にしてないだろ?」

 

あくまで騒ぎを起こしたくないやつらがこっそり集まってるだけだからな…ここならヒフミも誘拐されなかったろうよ。

 

………そんなことを話す間に目的地に到着だ。

 

ザッ

 

薄らぼけたコーラと葉巻の描かれた看板に錆びきった鉄の柱が目立つ一昔前のタバコ屋のような造りの店。

俺がよく行く情報屋のひとつだ。

 

「よぉ、おっちゃん。ガソリン売ってる?」

 

「ねぇよ、看板見てねぇのか?コーラかタバコでも買っていけ。」

 

「おいおい、タバコはまだわかるがコーラって俺らロボットだぜ?味分かんねぇよ。」

 

「古い機種だなお前は、最近は飲み物くらいなら味覚センサー付きで飲めるようになってんだぜ。エネルギーにはならんがな。」

 

もはや友人に近い関係のロボットの店主と軽く会話を交わす。

 

「それで?何が聞きたい。」

 

チラリと隣で口を閉じていたヒフミに視線を飛ばす。

 

「ペロロ…様ってやつのグッズを売っているところを教えてくれ。もちろん、ブラックマーケットで。」

 

「ペロロ?ああ、モモフレンズの…しかしブラックマーケットでか…ふーむ…すこしまて…。」

 

そういうと店主は奥へと引っ込みしばらくして封筒を持ってきた。

 

「おそらくは最近できた店だろう。詳しい詳細と場所は中にある。そうだな…このレベルなら2000円でどうだ。」

 

2000円か…大した情報ではないが地図も付いているし、こんなものか。

 

「助かる、これで頼むわ。」

 

スマホをかざしデジタルマネーでサクッと払い

封筒をとなりで興味深そうに眺めていたヒフミに渡す。

 

「この店で大丈夫か?確認頼むわ依頼主サマ。」

 

「分かりました…こ、ここがペロロ様を売っているお店ですか…あ!これです!この限定品のペロロ様がどうしても欲しくて…わ!アイスクリームコラボのペロロ様も…限定色ペロロ様まで…!?アシヤさん!すごいですよこのお店!!」

 

どうやら店はお気に召したようだ。

封筒の中に入っていた店の詳細と商品のラインナップをみて目を輝かやかせているヒフミは無邪気な子供のように声を上げている。

 

とりあえずどうでもいい方の用事はすんだな。

 

__流石の俺もこんなただのおもちゃ店を調べる為だけには情報屋に来ない、安く済むならとついでに聞いただけだ。

 

本命はこっち。

 

「なぁ、連邦生徒会長サマが失踪したのは知ってるよな?」

 

「あぁ、どうも最近よく聞く話だな。」

 

「そうか…じゃあよ。」

 

 

店主の赤く光るモノアイに目を合わせ尋ねる。

 

 

「連邦生徒会長サマが今どこにいるのかって知ってるか?」

 

 

 

 

 

先生の性別はどちらがいいでしょうか?

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