一般ブラックマーケット市民A   作:水管

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UAがかなり増えててびっくり…。
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市民Aのカーチェイス

 

 

先生、ヘイローがない外から来た大人の女性。

身体能力は低く、銃弾1発が致命傷になる、パワードスーツありの今の俺なら殴り倒せるレベルだ。

…だが、銃や接近戦による無力化は現実的じゃない。

 

車を走らせながらミラーを確認する。

 

…ありゃあやばいな、先生を守るようにたつ銀髪の生徒が1人。

あとはミニガン担いだ嬢ちゃんとピンク髪のちびっこがとてつもない勢いで暴れている。

後部車両にいたヘルメット団共は護衛も兼ねた戦闘能力の高い奴らが多かったはずなんだが…あっさりボコボコにされているじゃないか…。

 

「ってうお!」

 

「きゃぁ!」

 

車目掛けてドローンから弾が飛んできた。

ギリギリ蛇行したりスピードを調整することで躱していく。

危ねー…後ろ見てなかったら避けられなかったぞ…。

 

「び、びっくりしたー…今のって、もしかして先輩…?助けに来てくれたの…!?」

 

というかこいつら後ろに仲間(セリカ)乗ってんのに容赦なく撃ってきやがる…。

まぁ生徒どもからしたら車が吹っ飛ぶくらいかすり傷だからいいんだろうが…俺は普通にヤバい、これはちとまずいな…。

 

「ち、ちくしょう、私はもう降りるぞ!」

 

一緒に乗っていたヘルメット団も降りて行ってしまった。

車内には拘束された嬢ちゃんと俺のふたりきり、いやードキドキするな、命の危険的な意味で。

 

アクセルをベタ踏みでひたすら逃げまくる。

考えろ、考えろ…どうにか凌ぐ方法…。

 

…まず、相手はこちらの位置を何故か知らないが探知できると考えていいだろう、

そうじゃなきゃこんなに早く追いつかれた理由がつかない。

他にもいくつか残った車両があるのに脇目も振らず俺の車を追いかけてきていることからも間違いない。

…恐らくはセリカの嬢ちゃんを探知してるんだろうな、置いていくのも視野に入れた方がいいか。

 

そして追っての数だが3人…見た限り、一番ヤバイのはピンク髪だな、正確無比な射撃に1人だけ弾が当たっても怯む様子がないところから持久力や耐久も高いと見た、まともにやり合ったら逃れることすら叶わないだろう。

 

「あ、あんた、とっとと降参しなさいよ!どうせ先輩たちになんて勝てっこないわよ!」

 

「…だろうな…だが、こっちにも事情があるんだ。それは出来ねぇなぁ…。」

 

これでもブラックマーケットの住民だからな、余罪がたんまりあるし捕まると非常にまずい。

 

…場所はバレるわ、敵はアホみたいに強いわ、状況としてはだいぶ詰んでるが…やるしかねぇ…。

 

「逃げるだけなら得意分野だしな…。」

 

…アクセル全開、ライトは…場所がバレてるならもういいか、ハイビームを付けて…方向も良し、行くぞ…。

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

 

セリカが攫われちゃった…って聞いた時はどうなるかと思ったけど、セントラルネットワークにアクセスして場所も分かったし、誘拐犯たちに何とか追いつけた。

 

「けど…あの車両、厄介だね」

 

間違いなくセリカの乗っている車両、他のヘルメット団たちの乗っていた車を先導していたようだが…。

 

「ん…追いかけながら撃ってるけど…うまく弾をかわされる…。かといって撃つのに専念すれば猛スピードで突き放される…。」

 

そう、向こうから反撃などはないがとにかく逃げるのが上手い。

エンジンやタイヤなんかの致命的な所への銃弾は必ず避けてくる、いったいどんな運転をしているんだろうか…。

だが、こちらもセリカが乗っている以上、このまま逃がす訳には行かない。

 

「…よし、躱すためにスピードを落としてきた。シロコはそのまま突き放されないように撃って…ホシノ、いける? 」

 

「もちろーん!…セリカちゃんを取られちゃってるからねー…おじさん、ちょっと本気出しちゃうよー…。」

 

そういってホシノはトラックに向かって走り出す。

…エンジンやタイヤはこっちがしつこく狙ってたからね…必ず避けてくる、だから撃つのは警戒の浅い…燃料タンク!

 

「そりゃあ!」

 

ババババ!ドゴッ!

 

ホシノから放たれた弾丸は正確にタンクを捉える。

 

ギリギリ避けようと車両を動かすが、シロコの弾が効いていて上手く避けきれないようだ。

 

…よし!命中!車体からは少しづつだがガソリンが漏れている。

しばらくすればスピードが落ちるか、完全に停止するだろう。

 

これなら…ってなんか…前の方に…砂…?

 

『せ、先生!前方に中規模の砂嵐が出現を確認!このままだと直撃します!』

 

「砂嵐!?ええー!? 」

 

 

 

 

________________

 

 

 

 

 

 

クソッ…弾よけ続けるのはただでさえ神経削るってのに…

…なんだよあのピンクの嬢ちゃんは。

瞬発力と命中精度が凄まじい、もろに被弾しちまった。

 

 

とはいえ、上手く敵の攻撃は避け続け砂嵐まで誘導することができた。

何とか作戦は成功だ。

燃料タンクが逝ったのはまずいが…何とかするしかない。

 

アビドス名物砂嵐、ここの砂嵐の情報は辺りに拠点を構えるヘルメット団の奴らがよく知っている。

今日も出るのがわかっていたからな、ヘルメット団たちの後続車両も居たし避けていこうと思っていたんだが…。

 

「その後続車両はみんな鉄くずと化してるんでな!」

 

さすがの俺でもこの荒れる砂嵐の中をフルスピードで行くのは難しいので少しスピードを落としていく、

追っての奴らは生身で巻き込まれているであろうしこのくらいで大丈夫だろう…。

 

ドォォン!

 

「うぉぉぉ!?」

 

と思っていたら、トラックにかなりの衝撃が襲いかかる。

後ろを確認すると、先生を背に乗せた銀髪の生徒らが猛スピードで迫ってきているのがみえた。

 

…おいおいおい、砂嵐だぞ!?普通見失うだろ!?

目とか瞑るだろ!?なんで迷いなく追ってこられる!

 

…いやまて、なんか聞こえるぞ…。

 

「シロコは25度右に曲がって!ノノミは走りながら2時の方向に銃撃をお願い! 」

 

…いや、目は瞑り気味だが、先生の指示によってまっすぐこちらに向かってきているのか。

こっちの位置がバレてるっつったって…こんな正確に指示出してきやがるかよ!

 

クソが…このままだとまずい…頼む…!

 

「間に合え…ってうおおお!?」

 

ドゴォォン!

 

後部に投げられた爆弾により吹き飛ばされながら、車は砂嵐を抜けた。

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…。」

 

…吹き飛ばされた影響でトラックはもう動かない、セリカを連れてトラックの外に逃げ出す。

 

 

「…ようやく、追いつめたみたいだね。」

 

 

トラックから出てきた直後に待っていたのは先生だった。

 

 

「…運転手、ロボット…?ヘルメット団じゃないんだ…。」

 

『データがありませんね…ヘルメット団の雇った傭兵でしょうか…?』

 

「ふーん、まぁおじさん的にはどっちでもいいけどねー。」

 

「せ、先輩たち…来てくれたんだ…。」

 

「セリカちゃん、大丈夫でしたかー?今拘束ときますねー。」

 

前方にはオペレーターを入れて5人の生徒

アビドス高校の全生徒が大集合してしまった。

 

「…まさかここまでやられるとは、アンタら…なかなかやるなぁ。」

 

「君も、かなり手強かったけどね。でもここまでだ、大人しく…。」

 

先生がそう言ってこちらに近づこうとした時、大きく声が響く。

 

 

「敵襲だー!撃て撃てー!」

 

「きゃっ!」

 

ダダダダダ!

 

俺と先生たちを分断するように銃弾が放たれる。

 

 

それを撃ったのは…ヘルメット団だ。

 

 

それもひとりじゃない。

 

「いたぞ!追っ手だ!」

 

「やっちまえー!」

 

「ボコボコにしてやる!」

 

何十人ものヘルメット団が奥から続々とやってくる。

 

「この数…それに、砂嵐で気づかなかったけど、このテント…まさか!」

 

砂嵐の中を進み、場所もわからなかった俺の元にこんなにすぐ、この人数が救援に来れているのは何故か。

 

それはここが既にヘルメット団のアジトだからだ。

 

 

…そもそもあの砂嵐、俺は避けようとしたんだ、進行方向にあったからな。

だが、後部車両もおらず、四の五の言ってる場合じゃなくなった。

だから、迂回せずにそのままアジトに向けて突っ込んだんだ。

先生らに補足された時点で既にアジトの近くまでは来ていた。

その上で砂嵐を突っ切る…言わば近道を通ったんだぜ…そうすれば…

 

「この通り、アジトにご到着だ。」

 

ヘルメット団の数もさらに増え本格的な戦闘になり始めた。

 

「くっ…ホシノは盾を展開、シロコは… 」

 

どうやら先生も指揮に入るようだ。この隙に…

 

「ここは一旦預けた!俺は裏に行く!」

 

「ああ!ターゲットの輸送助かった!あとは任せな!」

 

ヘルメット団どもに言って早々に戦場から離れる。

 

 

 

アジトの裏手、人気の無い目新しいテントをめくる。

 

…確か、ここに……あった。

 

テントをめくり被せていた布を退けると、防砂機能のついた少し型の古いバイクが現れる。

 

ブルルルン!

 

隠しておいたバイクのエンジンをかけ、急いでその場から離れた。

 

…上手く逃げられそうだな…。

 

……まずもって、あのヘルメット団どもじゃ先生らには間違いなく勝てないだろう。

 

俺にはわかる、あれは正面から戦ってはいけないタイプだ

先生の凄まじい指揮、そしてそれぞれの生徒…特にピンク髪のやつの戦闘力の高さ。

あのまま残っていればヘルメット団どもと一緒にボコボコにされてしまうだろう。

 

そう考えると、戦闘のゴタゴタが起きている今が逃げられる最後のチャンスだ。

 

別に勝つ必要もないしな、俺の仕事はあくまでターゲットをアジトまで連れてくることだ。

それはもう完了しているし、ヘルメット団の連中には悪いが、俺はここで一抜けだ。

 

あらかじめ移動用のバイクをアジトに隠しておいて正解だったな…

まさかこんなバタバタと逃げるのに使うことになるとは思わなかったが…。

 

 

…にしても、今回はだいぶ命の危険を感じたな。

理事の野郎め…なんて厄ネタ隠してやがる…。

 

先生…俺と同じ、ヘイローのない脆弱な人間。

だが、あの指揮能力といい…生徒との連携といい…まったく勝てるビジョンが見えない。

 

1人砂漠でバイクを走らせながら考えにふける。

 

 

…そう思ってしまうのは、俺が逃げることしか考えられないからなのだろうか。

あの先生のように、生徒のために、生徒を信頼し、勝利に導くことができるなら…

 

 

 

 

 

 

「いやゴミ溜めの住人が、んなこと考えても意味ねぇかー。」

 

そもそも、俺生徒のために~とか考えたこともないし。

今日の酒と飯のことで真剣に悩むくらいの脳みそだ。

 

結局のところ俺は俺。

行き当たりばったりで嫌なことから逃げられればそれでいい、どこまで行っても俺はブラックマーケットに転がってる馬鹿どもとおなじ一般市民なのだ。

ちょっと身体が似てるからって、あんな化け物にみたくなんざなれっこねぇ。

 

今日は憂さ晴らしに飲み明かすとするか…。

 

 

 

 

 

 

先生の性別はどちらがいいでしょうか?

  • 男先生
  • 女先生
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