街作ってたら国出来て防衛戦争始まった~その者がもつ力の名はTheoTown~ 作:luckytown
突然だが僕は今、ある有名なハンバーガー屋にいる。
ハンバーガーは大好物というわけでも無い、でも肌寒い今日暖かい店内に入って暖かい食べ物が食べたくなった、つまりは気まぐれだ。そうしてふたつの椅子が置かれたテーブルの片方に座り、外の猛吹雪を一瞥してから注文したハンバーガーを食べる。
おいしい
心の中でそう呟き、程よい気温に身体を馴染ませる。店内に流れる曲は何処かで聴いた覚えのあるクリスマスソング、曲名は知らないけど毎年聴く機会があるから自然と覚えた。
「今年のクリスマスはすごい雪だね〜」
「ね〜すごい雪〜」
そんな声が耳に届く、みんなもそう思ってるのかと共感しつつ、僕は口を動かしながらスマホを起動した。そんなマルチタスクをこなして指を振るい毎日やっているゲームを開く。
そのゲームの名は「TheoTown」軽く言えば街作りゲーム、正式に言えば都市開発シミュレーションゲームだ。
TheoTown(テオタウン)は他の街作りゲームとは違ってドット絵の2Dで描写されている。そのせいか余り日本では有名じゃない。でも僕はこのゲームを見つけ、スマホで無料プレイが出来るからやりだした。それからというもの、殆ど毎日プレイしている。
今も作っている途中の都市の道路を延伸している所だ。そうしてプレイしながらハンバーガーを食べて時間は過ぎていく。
「ごちそうさまでした」
いただきますを言い忘れたと思いながら席を立ちトレーを返却して外に出る。雪は落ち着いてきたが、まだ舞っている。天気は曇りのままだ。首を防寒着の中に引っ込み散歩を再開する。
雪をふみふみしながら街を眺める。今日はいつもと違い、クリスマスだからか行き交う人々がいつもよりはしゃいでる様な楽しそうな様な感じがする。そんな姿や街並みを見るのは結構好きだ。自分がゲームで作った街もこんな感じなんだろうかと思う。
そう思いながら歩き続けた。いつもなら家に居ただろうが、今日はクリスマスだし、雪も激しめだが降っている。この感覚を楽しむのも良いだろう。
……また雪が激しくなる。風とともに顔をかすめる雪が冷たい。流石にこれじゃあ視界も悪いし家に帰ろうか、それとも商店街にでも行こうかと足を止めて考える。
考えていた。
先程目が覚めて辺りを見渡したら、暖炉で薪が燃えている、非常に温かみのある木で出来た家の中に居た。
それで、何があったのかを探ろうと記憶を巡っていた。
でも何が起きたのかは分からなかった。ふと僕が座っているソファの前のテーブルにマグカップが置かれているのに気が付いた。
……ココアだろうか?僕は危ないんじゃないかと一瞬思ってもみたが、ここが夢の中のような気もして、マグカップを手に取り口に含んだ。
生温い、作られてから少し時間が経っているようだ。誰が作ったんだろう?夢の中なら温かいココアが出て来ても良いはずなのに、この中途半端さがここが現実だと告げている気がする。
「おや、起きたようじゃのう」
「うわっ!」
突然の声に振り返れば、そこにはおじいさんが居た。
驚いて声を上げたがそれ以上は出ず、代わりに思考が回りだした。何故ならその姿は誰もが見たことがある人物にそっくりだったからだ。赤い服に白いひげ、丸っこい眼鏡をしその瞳はとてもおおらかだ。ここまで来て僕は凄くありきたりな質問をした。
「もしかして、サンタさんですか?」
もう少し年が若かったらこのセリフも馴染んでたかもしれないけど、高校生でこれはどうなのだろうと、どうでもいい事を考えながらおじいさんの返事を待った。
「うむ、そうじゃ私がサンタクロースじゃよ」
なんてこった!サンタクロースは実在したのか!?コスプレか何かだろうという考えは不思議と浮かばなかった。自分が置かれてる状況がそうさしたのかもしれない。
おじいさん…ことサンタクロースは喋りだし、僕が欲しい状況説明をしてくれた。
「ここは私の家じゃ、君に何かするつもりは無いから安心して欲しい」
「はい……分かりました」
「それでじゃが……何故君がここにいるかというと、君が死んでしまったからなんじゃよ」
「………………何故死んだのでしょう?」
「それは、私のプレゼントボックスの一つが君の上に落ちてしまったからじゃ……」
「プレゼント…ボックス?」
「子供たちに配るプレゼントが入った箱、その中身は千差万別じゃ、その中でも重いものが入った箱が吹雪で落ちてしまったんじゃ」
つまり、僕はその落下したプレゼントにぶつかって死んだと言うことか?まだ信じきれないけど、死んだ自覚が無いのにも説明がつく内容だ。もし、これが本当だとしたら僕はどうなるのだろう?
「うむ、直ぐには受け入れられんじゃろう……おや?ココアを飲んだのか、時間が経っていたから冷めていたじゃろう、今入れ直そう」
サンタクロースさんはマグカップを手に取り、もう片方の手でマグカップの口を塞いだかと思うと、塞いでいた手を離した。するとマグカップから湯気が立ち昇ってきた。
「これで温かいココアになった、子供に冷たいココアを出すなんてとんでもないやらかしじゃ、すまなかった」
「いえ、大丈夫です。いただきます。」
僕は忘れずに言えたいただきますと共にマグカップを手に取り、確かめるようにココアを飲んだ。
「温かい」
「ココアは温かい方が良いじゃろう?冷たいココアもあるそうじゃが、私は温かい方が良いと思っとる」
「ええ、僕もココアは温かい方が好きです」
僕は確信する、サンタクロースさんは本物で凄い力を持ってるんだろう。そして、優しくてとても大きな存在で、嘘をつくこともないのだろう……と。
「僕はほんとに死んじゃったんですね」
「そうじゃ、死んでしまった」
「それじゃあ僕は今幽霊見たいな感じですか」
「そうじゃな、肉体はまだ存在しているがもう戻れないし、今は病院じゃろうな」
「病院?」
「うむ、本当に申し訳ないのじゃが、死因は落下物による即死から変えておる、転倒からの凍死といった所じゃろうか、プレゼントボックスも回収させてもらった。」
「バレるわけにはいかないと?」
「少なくとも世間においては気付かれる訳にはいかんのじゃ、サンタクロースの存在を」
「……ただの人じゃないからですね」
「鋭いのう、賢い子供じゃ」
サンタクロースは実在している。なのであれば、話に聞く通り、世界中の子供たちにプレゼントを一夜にして配っている。それが事実である以上、それを成り立たせるには魔法のような力が必要だ、必然的にサンタクロースさんは超常的な存在なのだろう。
「おとぎ話の存在が実在していると知れたら、世界が混乱しちゃいますし、悪影響もあるでしょう、言っていることは理解できます。それで、僕はこれからどうなるのでしょうか?」
「市街照太君」
「……ッ、はい」
いきなり名前を呼ばれて驚いた、そして僕は名前を名乗っていないので、サンタクロースさんはやっぱり凄い存在なのだろう。これから発せられる言葉が重要だと言うのはよく分かる、短く返事をして聞き逃さないように集中する。
「別世界に転生する気はないじゃろうか?」
「別世界?どういうことですか?」
別世界は意味として分かるが、転生はちょっと曖昧だもう少し情報が欲しい。
「別世界、こことは別の世界のことじゃ、パラレルワールドや異世界とも言われるものじゃな、最近は異世界に転生させてくださいなんてお願いも子供たちから来て困っておるわいホッホッホッ」
「なるほど、続けてください」
「すまん、話がずれたのう、転生は生まれ変わりを意味するがここでは別世界に魂を持っていきその世界に誕生させるという意味になる。つまり、本来は天国地獄へ行ったあとまた同じ世界に生まれるところを別世界に行かせるということじゃ」
「その別世界でまた赤ちゃんとして生まれるのですか?」
「その方法もあるが、今回はその姿と年のままにしようと思っておる」
「この姿のまま?肉体はどうするんです?僕はもう体とは別々になってるんですよね?」
「体はあっちで寸分も違わず用意する、実際に世界間を移動するのは魂だけじゃ、じゃから安心してほしい」
「もうそれ召喚に近いのでは?」
「そうじゃのう!ホッホッホッ」
この世界以外にも様々な世界が本当にあるなんて、もっとファンタジー作品に興味を持っておけば良かったな。
それはそうと、僕は今異世界転生の打診をサンタクロースから受けている、神様からじゃ無いんだと思いつつも何故こんな誘いが僕に来たのか考える。
僕の死が普通じゃなかったから?確かに、前に見たトラックに轢かれて死んだのが手違いだったから神様に転生させてもらえる作品を見たけど、トラックに轢かれて死ぬ事の何処に手違いがあるのか納得出来なかったっけ。そこで死ぬはずじゃ無かったって言うなら、それこそ神様が直接しくじったような事情でも無い限り起こらないんじゃ無いだろうか?
そこまで考えてふと気付いた。サンタクロースは神様に近い存在で、それこそ僕はここで死ぬはずじゃ無かったのか、それこそ神様の手違いだ。
「何故僕にその選択肢を?」
「今回の件は本当に珍しいことじゃ、そういう特例とも言えるが、君だったからとも言える」
「僕だったから?」
「もし、君以外の一般的な人間であれば、この話はしていないじゃろうな」
「僕には何か特別な部分でもあったんですか?」
「君は賢くて良い子じゃ、それにとても豊かな経験をもっておる」
「豊かな経験?僕まだ高校1年生ですよ?」
「そういう経験ではないのじゃ、市街君」
サンタさんが指す経験がどういうことか分からないけど、それを持っている人と持っていない人が居るようだ。そして僕は持っていると、
「その経験があると何が違うんです?」
「経験が豊かな人は大きなことを成す事が出来るのじゃ」
「大きなこと?」
「世の中に残る曲や小説といった作品を創り出したり、歴史に名を残すようなことを成すのは大抵、経験が豊かな人じゃ、」
段々分かってきたぞ、僕が打診された理由は死亡の理由が特異なのと経験が豊富だったから。この経験というのは人生における経験とは少し違うようだ。
「……もしかして、僕はその世界で何かを成さないと行けないんですか?」
「そうだと言えるのじゃが、こちらから何かをしろと指示する訳ではないぞい、自分がしたい事をやるのじゃ」
「そんなので良いんですか?」
「うむ、今回は転生の中でも特例で、赤ちゃんからではなく途中からの始まり、成長した肉体と前世の記憶、そして特別な力を持った状態じゃからな」
「あ、記憶持っていけるんですね、それと特別な力とは一体何です?」
サンタさんから別世界で何かしろという指示がある訳じゃ無いのは分かった。今の記憶も消えないのは安心だ、しかしここに来て特別な力というのが出てきた。これもしっかり聞いとこう。
「うーむ、私からのプレゼントだと思って欲しい、君が欲しい力を言っておくれ」
「あ、決まってないんですね」
力、特別と名がつく訳だし、それこそ、こう、何というか、神秘的なやつなのだろうか?僕が欲しい力、どうしよう……
一つ、思い浮かんだ。自分がいつもやっているゲーム
「TheoTownの力とかどうでしょう?」
「TheoTown?………………なるほど街を作るゲームの名か、面白い名前だの〜、うむ街を作り出す力、とても良いと思うぞい、さて長く話したがどうじゃ?転生する気はあるか?」
あっさり通った、ていうか最初全然知らなそうだったのに、どうやってTheoTownの事を知ったんだろう?これもサンタさんの力なのだろうか。
さて、転生するかどうか、僕はもう死んでる、生き返ることはない、この世界で生まれ変わっても別人で今の記憶も無くなる、それは流石にやるせないな、僕は僕としてもう少し生きていたい。
「正直まだ分からないところはありますが、知りたいことは大体知れました。それにサンタさんも悪い人じゃ無いし、特別な力も貰える折角の誘いです。僕、転生してみます。」
「うむ、ではここでお別れとなる、私はこれでもまだ忙しくての、これ以上は時間を取れんのじゃ、また暇な時に君に会いに行くよ、その時に聞きたいことをもっと聞いておくれ」
「はい、というかまだクリスマスなんですね」
「そうじゃ、まだまだ頑張らねばならんぞいホッホッホッ!」
「ありがとうございました。また会いましょう」
これで時間切れか、まだ聞きたいことはあったけど、時間無さそうだったし、また会える様だから問題ない。
僕はそう思っていると、段々眠たくなりソファに横たわった。
初の小説、書くからには頑張ります。
まあ、練習みたいなものなので、至らない点多々あるでしょうが、それでも読んで下さる皆様に感謝いたします。
それはそれとして、皆さんはTheoTownというゲームを知っていましたか?スマホで無料で遊べます。お手軽な街づくりゲームです。気になったら是非遊んでみてください。