街作ってたら国出来て防衛戦争始まった~その者がもつ力の名はTheoTown~   作:luckytown

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3. 創り出した責任

 

落ち着いた雰囲気の曲が聴こえてくる。

その音量はそれほど大きくはない、誰かと喋っていたら曲が流れているのを忘れるくらいだ。

物音がする、商品を用意してくれているスマホショップの店員さんの音だ。

その二つだけが、今耳に届いている。

 

ああそうだ……スマホを買うってのにお金持ってないや…

 

その事に気付いたのと、スマホの用意が出来て声が掛かるのにそんなに差は無かった。

 

「お客様〜ご用意が出来ましたよ〜」

「あの、非常に言い難いんですけど、今お金持ってなくて…」

「うひゃ〜〜!お金持たずにスマホ買いに来た人初めて!!ここまで来てビックリだよ!!」

「ごめんなさい」

「う〜ん、あっ!大丈夫だよお客様!あの方法があるじゃ〜ん♪」

「あの方法って?」

「そりゃもう、領収書よ!」

 

領収書?……ああ思い出した文化祭の時、クラスがマドレーヌを販売する事になって、僕は会計で、教室内を飾り付けする材料に領収書を使ったっけ?でも今使える立場じゃないよ。

 

「それ、僕は使えなくないですか?」

「え?そ〜かな〜?市長さんなら使えると思ったんだけどな〜」

「え…市長?」

「だってお客様、この街の市長じゃないの?」

 

市長って認識されてる!?なんで!?

いや、まぁ…これもTheoTownの力って事なのかな?

というか街って言ってるけど……

 

「確かに市長かもしれませんが、今ここはこのお店以外何もないだだっ広い草原ですよ?」

「そんな〜〜こんなスマホを売ってるお店の周りが何もない草原なわけ〜〜ってうわーー!!外めっちゃ草原じゃん!?道路は!?他のお店は!?コンクリートジャングルは!?」

「ないですね」

 

彼女は店内から外を見て驚き、そう言ったあと出入口に向かう。僕もついていく。

 

「すっごい良い景色、何もないね」

「そうでしょ?だから領収書は使えな……」

 

私はここで気付いたんだ。あのお店以外何もないから街じゃなくて僕は市長とは言えないから領収書は使えないよ。そう言おうとしたけど、そんな事はもう重要じゃなかったんだ。

 

「えぇーーん〜まぁ確かにこれじゃ領収書は使えないな〜」

「……あの店員さん」

「何?」

「出勤時間終わったらどうするんですか?」

「出勤時間……もしかしてナンパしてるんですか?」

「違います、仕事が終わったら何処に帰るんですかと聞いてるんです!」

「あ〜〜〜…………」

 

彼女は周りを見渡してからこっちを見て

 

「……お店にずっと寝泊まりかな、」

 

そう言ってお店の方を向いたんだ。

私はここで決意した。

 

「そうですか、ではスマホを買ってもいいですか?領収書で」

「えぇ、いきなりだね市長、さっきは領収書使えないって言ってたのに」

「現時点では使えないただの紙くずでしょうね、ですが僕はこの街の市長です!何れ市長権限で今から書く領収書は有効になります!そして貴方はこれからその素敵な街で自分の人生を歩むことになるでしょう!」

 

少し元気が無くなっていた彼女を励ますように私は宣言した。自分は市長で、ここに街を作り、多くの人々が人生を歩む場所を作ると。

私にはそれが出来る力があったし、何よりそこに街の第一の住人が居たのだから。

 

「うわーお、それじゃあ私はこの村の第一村人ね」

「……村じゃありません街です、街にするんです!」

「ふ〜ん、そうは言うけどしばらくは村の規模を超えないんじゃないかな?」

「……では始まりの村から始めましょう、いきなり大きく作るのも怖いですし、一歩一歩着実に作り上げていきます」

 

確かに村だな、危ない危ないサンドボックスの感覚でやろうとしてた……小さく始めよう。

早速、今後の活動方針が決まった。最初からビルが乱立する街を作るのは止めよう、何も考えずに大規模な建物を建てて沢山の人が出てきたら対処出来なくなるかもしれない……責任を…持つんだ……

自分の街の住民に対する責任だ、ゲーム内じゃ2ピクセルのドット絵でしか描写されてないけど、ここは現実、災害をわざと起こして街を壊すなんてことは許されない。

 

「それで〜市長、始まりの村建設の前にスマホのご購入は如何ですか?」

「ええ、買わせて頂きます、領収書で」

 

取り敢えずスマホを買うとして、その後はまず何を建てよう?村規模で作るとしても必須なものを優先的に建てたほうが良いよな、ゲームと違って安易に破壊して建て直すのは控えた方がいいだろうし、しっかり考えてから建てていかないと…

 

「これが領収書の用紙です、まず名前と金額、住所は今は書かなくて結構です」

「住所、私も家ないですからね」

「わ〜全住民ホームレスだ〜!」

「今日中には作りますよ」

「あ〜それと市長さんが購入するから組織名も必要ですね〜」

「組織名?どうすれば良いんでしょうか?」

「これから作る街の名前でいいんじゃないですか?」

 

街の名前か〜どうしよ、前は日本の架空の県名とかこだわりを持った名前とか都市に付けてたけど、ここ日本じゃないしな〜

異世界ことこの世界にも人は居るよな?ここに居ないだけで何処かに文明があると考えるのが自然だ。

日本の名称も使っていきたいけど、街全体を表す名前としては良いのが思い付きそうにない。ここは日本じゃないしな。

…もうシンプルな名前のほうが覚えやすくていいんじゃないだろうか?

 

「テオタウン?それが街の名前?」

 

領収書に僕が書いた名前を見て店員さんが読み上げる。

問題なく読めそうだな…そう思いながら記入を続け書き終える。

 

「テオタウン第一町役場、この街の名前はテオタウンにします。町役場は後で建てておきます。」

「テオタウンか〜何か意味とか含まれてるんですか?」

「いえ、特には考えていません」

 

自分が授かったゲームの名前です。なんて意味不明だし意味は無いと言っていたら問題ないでしょ。

 

「ふ〜ん、まあでも分かりやすくていいですね」

「そうでしょう?子供に聞いても言えるくらい簡単だと思います」

「確かに〜、もうこれで領収書は大丈夫です!スマホをどうぞ!」

 

そうして箱に入ったスマホを貰う、ここで開けたら空箱しばらく持つことになるな、まだ開けないでおこう。

 

「ありがとうございました」

「え〜それ私が先に言うセリフですよ市長〜」

「先手を取られたのが悪いのでは?」

「そんな〜」

「私がやりたくてやってるので、そんなに気にしなくていいですよ」

「う〜ん、くやしい…それはそうとご購入ありがとうございました!」

「はい、では街づくり、じゃなかった村づくりを始めます、少し時間は掛かりますが待っていて下さい」

 

僕はそう言って外に向かう。指でつまめる大きさの雲が丁度太陽を覆っていて眩しさが見えない。

あれ?異世界だから太陽ではないのか?現地文明では別の呼び方かもしれない、でもそのままでいいか、呼び方が違うだけだし、分かりあえるよね。

 

「やっぱり凄い平原だね、お外で遊び放題じゃん♪」

「…もしかしてついてくるんですか?」

「まぁ暇ですし、それに…」

 

彼女は店内を見てこう言った。

 

「電気が切れちゃって暗いので、お日様を浴びようと思いまして」

「ああ、なるほど」

 

確かに…発電施設無いからな……逆にさっきまでどうして付いてたんだ?

 

「他にお客様も居ませんし、暇なんで退勤します!」

「休憩ではなくて?」

「電気がついてないのに営業出来ませんよ〜」

「ハハハッ、そうですね」

 

この街の初の住民が、こんなに明るい人で良かったと思った。全員こんな感じなのだろうか?多分、性格はランダムなんじゃないだろうか?これから増えれば分かるだろう。

 

「じゃあ、始めましょうか」

 

人と喋りながら作るのも良さそうだと考えながら、僕は歩き出したのだった。

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