街作ってたら国出来て防衛戦争始まった~その者がもつ力の名はTheoTown~   作:luckytown

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4. 街に必要なもの

 

ッパ!

 

そんな軽い音と共に現れたのは黒い地面、真ん中に白線が描かれている。

その地面はでかい看板の付いてるお店の前にあった。

 

「取り敢えずこのお店は残すとして目の前に道路を敷きました」

「あ〜ビックリした、私の職場が無くなるかと思った」

「たった一人の住民の雇用を無造作に潰すわけ無いじゃないですか、それにここら辺に村を作るのはもう決定ですから」

「私の職場、置いてけぼりにされる可能性あったんですか!?」

「限りなく低い確率でしたよ」

 

ここを街づくりの出発点とするかは周囲をもっとよく確認してからにしたかった。少し歩いて川を見つけた為、ここに作り始めることを決定した。

ゲームだったら、砂漠から始めても全然平気だと思うがここは現実だ、貯水塔を建てて何時でも1時間に2000リットルの水を供給できる設定は通用しないだろう。

この世界と僕のTheoTownの力の境界がまだはっきり分からないけど、どこかしらに境界線があるはずだ、現実に即した手堅い手段を選ぶほうがいいだろう。

だから水辺から水を供給するポンプ場を使うことにしていた。それ故に周囲に水辺が無ければ他の場所を探すつもりだった。

その考えは杞憂に終わった。

 

「ここに小さいポンプ場を建てます」

「小さいので大丈夫なんですか市長?」

「平気ですよ、なにせ1時間に12,000リットルを供給してくれますから」

「小さいのに凄いですね〜」

「これを建てておけば、しばらくは困りません」

 

そう言ってこれもまた軽い音と共に川の横に小さいポンプ場を建設した。あとは稼働して水道が張り巡らされれば水に困ることは無いはずだ。

 

さて、これでまず街に絶対に必要なものの一つ〈水〉が確保できた。

では他の街に必要なものは何か?それは〈電力〉〈廃棄物処理〉〈葬儀〉〈消防〉〈健康〉〈警察〉〈教育〉だ。

他にもあるが、とにかく必須なのはこれらだ。

〈教育〉だけは無くても問題は無いが、住宅がレベル1のままになるので、街の発展が限定的になる為、序盤以外は必須といえる。

この中でも〈電力〉は最優先で必須になるものだ。ほぼ全ての建物や施設は電力によって稼働する為、先程建設した小さいポンプ場も電力が無ければ動かない。

 

「ポンプ場の横に発電所も建てるとするか」

「お〜太陽光発電と風力発電だ〜」

「どうです?エコでしょう?」

「でも発電量少ないってどっかで聞いたよ〜他の発電方法は使わないの?火力発電とか」

「水を供給するポンプ場の横におけるものでは無いですね、火力発電の系統はどれも少なからず汚染を発生させるので」

「汚染…あ!水か〜」

「そうです、そういうことです」

 

汚染された水を住民が飲めば、たちまち病気が広がって街が崩壊する。前に貯水塔を工場の近くに建てて、街が壊滅した事を思い出し身が震えた。

それにまだ村規模にすらなっていないから、今建てた太陽光発電2つと風力発電1つでも十分賄える電力を供給してくれる筈だ。

水と電力はこれで解決、道路と電線、水道を敷きながら村の中央にする予定の所まで戻ろう。

 

僕は何の気なしに平然と稼働するポンプ場と発電所に居る人影に気付くことなく戻って行った。

 

「ここに町役場を建設し、周りを一方通行道路でロータリー式にします」

「ぐるぐる回るやつね!ずっと回っていたいわ〜」

「何処かで左折して下さい」

 

店員さんの職場から少し離れた所に街、いや村の中心となる町役場を建設した。村だの町だのややこしいが、町役場という名前の公共施設だからしょうがない。

それに現実なのだから行政機能を持った施設を建てないと話にならない。何れは街規模になるしいいだろう。

ああ、そういう意味だと〈公共施設〉も街に必要だったな、現実とゲームの違いがここにもあった。

 

「町役場を村の中心と定め周囲に必要な施設をばしばし建てていきます」

「私、町役場の中気になるから入ってるね〜」

「ご自由にどうぞ」

 

店員さんも歩き疲れたのだろうか?町役場なのだから中に椅子があるだろうし休んでおいて貰おう。

と、このままのペースじゃ日が暮れてしまう、急いで建てよう。

僕は手際よく空中に表示されるディスプレイを操作して交番や消防署、病院を町役場の周囲に建てていく、そうして次に建設すべきものを考えていると消防署から何やら動くものが出てきた。

 

「あっ、」

 

赤くて大きい車両、消防車だ、もちろん運転席には消防隊員であろう人が乗っている。

 

「やっぱり人が生まれてるな…」

 

僕は小声でそう呟いたあと、後ろから聞こえた声に振り返った。

 

「市長!ようこそテオタウンへ!」

「こんにちは」

 

まだ20代くらいの若い男性がこっちに駆け寄って来た。後ろには店員さんが見えるので、彼は町役場の中から来たのだろう。

 

「テオタウン第一町役場職員一同、市長の都市開発を全力でサポート致します!」

「これからよろしくお願いします」

「はい!」

 

中々に元気な人だ、多分緊張もあるのだろう、そしてこれまで僕が建ててきた施設には必ず人が居ることから、ポンプ場や発電所にも人が居たということが考えられる。どうしよう、挨拶出来てないな…

まずいまずい挨拶は後だ、一通り街を完成させてからにしないと!

 

「いきなりですが職員さん、これから日が暮れるまでにある程度の機能を持たせた状態にしたいので、手伝ってください」

「はい!承知しました!何からお手伝いすればよろしいでしょうか?」

「まず軽食を用意してくれるかな?お腹減ってきちゃって」

「分かりました、パンとココアをご用意致します」

 

こっちに来てから何も食べてないことに気づけたので、頼れる職員さんに頼んで小休憩と洒落込むことにした。

腹が減っては戦はできぬ、とはよく言うものだと思いながらココアを啜りパンを食う。

これからが大仕事だ、自分の家を建てる余裕は無いだろう、いや日が変わる前に終われたらいいな。

そう思いながら、腰を上げて作業を再開するのだった。

 

「職員さん、このまま住宅区画の道路を作っていきます、そのままの速度でお願いします」

「はい!右折右折!左折左折!の繰り返しですね!」

「そうです、それをあと2セット!」

「承知しました!」

「うわ〜町役場の車って凄い乗り心地良いんだね市長」

「そちらの方はご友人ですか?」

「そんなところです、彼女はこの街の第一住民です」

「それはそれは」

 

僕と職員さん、そして暇だから付いてきた店員さんは町役場の車に乗り道路建設をしていた。僕の力が遠隔地に作用させる事が出来ないことは、必要な施設を建設する時に分かっていたので、こうやって車を出してもらえてとても楽に敷設出来ている。

これが終われば住宅地区を制定して今日は終わりだ。

職員さんと話し合って今日中に商業地区まで作るのは厳しいと意見された為だ、僕の疲労を心配してくれてるらしい。商業は直ぐに必要と言うわけでもないし、明日やれば良いだろう。

もうこの街には水も電気も消防も警察も医療もある。あとは家だけあれば今日は充分だ。

 

「職員さんお疲れ様です、ありがとうございました」

「お役に立てて光栄です、後は地区を制定するだけですね」

「ええ、その前に」

 

僕はTheoTownの力を開き、ディスプレイからマニュアル建築を選んだ。

そうして、青と白の横縞模様のアパートを建設した。

 

「ここを取り敢えずの皆さんの家にします」

「おお!ありがとうございます市長!」

「私の家!あっ携帯電話に連絡……あのアパートの部屋番号!そこが私の部屋ね!うお〜〜〜ありがと市長〜〜」

「ああ!行ってしまいましたよ市長?」

「良いですよ、彼女のお陰で楽しく喋りながら作れました。彼女も立派な功労者です」

「そうですね、元気な方だ、それはそうと市長、貴方の家はどちらに?」

「無いですね」

「え?」

「僕は、いえ私は町役場で寝ます」

「市長をそんな所で寝させるわけには…」

「あっ地区制定しないと」

 

ディスプレイで道路を敷いた場所に住宅地区を制定する。地区の制定は遠隔地でも出来るらしい、楽で良かった。

 

「市長、私の家の鍵です」

「え?」

「私の家で寝て下さい、私が!町役場で!寝ます!」

「いえそんな!」

「来ましたかご友人さん」

「市長〜観念してベッドで寝てくださ〜い♪」

「ちょっと二人がかりで持っていかないでくださいよ〜!」

 

何とも市長想いの住民達によって、僕はベッドの上で爆睡をかますのだった。

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