街作ってたら国出来て防衛戦争始まった~その者がもつ力の名はTheoTown~ 作:luckytown
朝だ、いや嘘だ。
もう昼である。職員さんの家のベッドで爆睡し、朝起きて外に出たら住宅地区の制定をした所に家が建ち始めていた。僕はそれを数秒間じっくり見たあと、町役場に行き職員さんを探した。
職員さんはソファから転がり落ちて床で寝ていた。
僕はゆすり起こした。
今は休んでいられない!商業地区を建てなければ!
そうして朝の間に職員さんと車で駆けずり回って商業地区の道路整備が終わった。
今は休憩中だ、ハンバーガー屋で…
マニュアル建築で建設したものは他の施設と同じで直ぐに出来上がるから良かった。
僕と職員さんはコーヒーを片手にハンバーガーをかじっていた。
「職員さん以外にも役場には職員が居るんですよね?」
「はい、今は住民の名簿を作っていると思います…」
「寝不足ですか?」
「恥ずかしながら…」
「気にしないでください、私も寝不足です、今日は早く寝ましょう」
「市長の家は用意されるんですか?」
「ええ、とっておきの秘策があります」
「それは良かった…」
職員さんは眠たいようでハンバーガーを食べる手が時々止まっている。僕はもう食べ切ってしまって、まだお腹が空いていたので、もう一つハンバーガーを注文した。
「でも良かった、地区の建造物は時間を掛けて建つと分かったので、余裕が出来ました」
「そうですね、市長は次に何をなされるのですか?」
「職員さんは住宅と商業と来て次に来るのは何だと思います?」
「工業でしょうか?」
「順当に行けばそうでしょう、お店には商品が必要で工場で商品や材料を作らないと行けませんからね」
「ではやはり…」
「ですが、」
職員さんの言葉を遮り、ハンバーガーを顔の前に置き話を続ける。
「私たちが今食べているものは何でしょう?」
「…ハンバーガー、そうか!食料!」
「そうです、食料、ですから工業より農業を優先して作らないと行けません」
工業、それはゲームでは住宅と商業を建てたら必然的に需要が発生する概念。TheoTownでは農業は工業レベル1扱いで、レベルアップも無いため、そもそも作られないことが多い……
しかし、現実ではそうは行かない、昨日も今日もお腹が減ってご飯を食べているが、これらは僕が出現させた建物に付随されてあったもので、いつかは枯渇する運命に置かれている。
同じやり方で、お店をマニュアル建築で建てておけば、一時は凌げるが、人が増えるに連れて難しくなっていくだろう。
だからこそ、人口が増える前提で大規模な農場を作る必要がある。
「かなり大規模、もしくは拡張性を持たせた作りにしたいと思っています。これは一日で完成するものではないので、合間合間に拡張して行きましょう」
「分かりました市長、何処に作りますか?」
「この街より北、川沿いに北上する形で拡げていければ良いでしょう、川をたどれば少し遠くに見える山でしょうし、自然豊かな場所で作物を育てるのは非常に理に適っている筈です」
そもそも現在地点の川より北で工業をするつもりは無いのだ、TheoTownではあり得なかったが、現実世界である以上、汚染が水に乗って流れるのはごく自然な事で、ポンプ場まで汚染が届くと致命的な健康被害が発生するのは火を見るより明らかだからだ。
汚染を発生させる建築物は川の側に置かないようにする。
「それでは今日の午後は農場作成ということで」
「はい、ただその前に商業地区に必要な商業施設を建てようと思ってます」
「ああ、このお店のように今直ぐに必要になってくる食料品店などですね」
「それもありますが、ガソリンスタンドとかも建てておきたいです」
「確かに必要ですね、役場の車も給油しないといけません」
「それじゃあ、さっさと建てて給油してから行きましょうか」
僕達はハンバーガーを食べ終え、職員さんに全部支払って貰って店を出た。
市長にお給料はまだで御座います。
「取り敢えずこのまま北まで道路敷いていきますよ」
「分かりました市長!」
「う〜んここは農道になると思うので、土の道路を敷きます」
「別に道路でもいいのでは無いですか?」
「そんなに交通量無いと思いますし、インフラ維持の事を考えると後で直しやすいでしょう?」
「なるほど、我が街はまだ道路を自前で整備する事も出来ないですからね」
「何れは整備出来るようになってもらいますからね」
「承知しました市長」
北に続く道路とその横から伸びる土の道路を作り終え、道路に囲まれた草原を見ながら、停めてある車に身体を預けた。太陽が西から光を差し、空はオレンジ色になっている。
これから農業地区になる場所の道路は完成だ。勿論、これからも拡張していくが今日はこれくらいで終わりにする。
「後は私が農業地区を制定しておきます、お疲れ様でした」
「ありがとうございます、これでひとまずは安心ですね」
「はい、未来に向けた小さな一歩です」
これからも僕がTheoTownの力で食料を用意するとしても何時までもそうであっていいわけがない、僕が居ないと成り立たない街を見たいわけじゃない無いんだ、今は仕方ないけど、全てを自給自足出来るようにする覚悟で開発していくつもりだ。
まだその域に達するまで遠いけれども。
農業地区を制定してからは早かった、畑が作物とともに一瞬で出現し農業施設は骨組みから作られ始めた。どういう仕組みか分からないが、ゲームと同じなのであれば数日で完成するだろう。
畑が作物と一緒に現れたのはゲーム通りで助かった。
街に戻る頃には日が暮れていた。
さて、今日最後にやる事は……
「私の家を作ってしまいましょう」
「とっておきと言って居ましたがどんな家にするんですか?」
「それはですね〜」
僕は上機嫌に応えながらディスプレイをいじっていく、マニュアル建築から選んだのは住宅レベル1の項目だった。そこから選んだものをまだ住宅が建っていない場所に建てた。
その家は、白色の外見に長細くも普通の車より大きいサイズ、そして地面との接着点は4つの黒い円形の物体、
「え?、これは…」
「キャンピングカーです!!」
「………………」
職員は困惑した。市長がこんな所に住んでいいのかと、これで大丈夫何だろうかと……
「市長、考え直しては頂けませんか?」
「私はこの狭い車の中で過ごしてみたいんです!」
「いや、狭くは無いと思いますよ、バス並みの大きさですし、それよりここに住みたいんですか?」
「はい、キャンピングカーって憧れません!?一度はそこで暮らしてみたいと思いませんか!?」
「まぁ確かに良いですけど、ずっと住むおつもりで?」
「?いえ、何れはそこそこの家に住むつもりですよ?流石に市長ですし、セキュリティのある場所に住まないといけないかなって思うんで、でも今は街が発展してる最中だし、皆にも悪いので、それに住みたいし」
職員は胸をなで下ろした、ずっと住むわけじゃ無いのなら大丈夫だろうと判断したからだ。
それとして…自分も1週間くらいは住んでみたいと思った。
職員に夢が出来た瞬間だった。
「…それにしても大きいですね一家族住んでも大丈夫そうな広さしてますよ」
「…私が思い描くキャンピングカーはもう少し小さいのですが、今はこれしか作れないので…」
「……将来は我々市民が市長が望むキャンピングカーを作って見せますよ」
「え!?本当ですか!?」
「はい、市長はこれからも街の為に尽力してくれるでしょうし、その恩返しになるのなら…」
「めちゃくちゃなりますよ!ありがとうございます!楽しみにしてますね!」
この時、市長が思い描いていたキャンピングカーは日本式のこじんまりとしたものだった。テレビで一度見たその時からこの夢はあったのである。
そんな未来への約束を語り合いながら、今日という日は幕を下ろしていった。