街作ってたら国出来て防衛戦争始まった~その者がもつ力の名はTheoTown~ 作:luckytown
「それじゃあ行きますよ!」
「はいどうぞ!」
「やっちゃえ市長!」
ッパ!
慣れ親しんだ軽い音と共に現れたのは、川をまたいだ道路、この街初の橋だった。
「いつもの道路建築とは違って凄い迫力ですね!こんな大きな構造物がいきなり現れるなんて!」
「これで川の向こうに行けるね〜、ねぇねぇ私も一緒に渡っていい?」
「良いですよ、行きましょう」
僕とウィリアムさん、春風さんは車に乗って出来上がった橋をゆったりと渡った。
今の街は川の右側、東に位置している。今までは市長も住民も、誰一人として川の反対側に行ったことがなかった。
街を拡張していく上で、北は農業、東は工業、と塞がった形となり南に拡張もするが、どうするかは計画中で深く考えずに拡張出来る方向が川の向こう、西側だった。
「今日の天気が良くてよかった、川が綺麗だ」
「いつも居る街がこんなふうに見えるなんて、少し遠くから見ただけなのに……なんだか車が欲しくなったな〜」
「春風さん市長にねだるつもりですか?」
「ええ〜!流石にしないよ!ウィリアムさん私のことどう思ってるの!?」
「市長の友人と思っております、ですから貰えるんじゃないかと、」
「え〜〜〜…」
「どうです市長?」
僕に話が振られるのは予想してたよ、だから答えは用意してある!
「そうですね、春風さんにはアドバイスなど色々お世話になっていますし、プレゼントしたいのは山々なんですが、如何せんお金が無くてですね」
「え?お金ないの?」
「はい、持っていません」
「あ〜確かにそうでしたね市長、春風さんこれは少し待ってもらう必要がありますね」
「いつもウィリアムさんに食事は払ってもらってます」
「そうだったんだ、」
この身一つでこの世界にやって来たからね、スマホも持ってなかったのにお金は持ってないよ。
でもあと少しで一ヶ月、市長としての給料が入れば自分で自分の食事を払える!ウィリアムさんにお世話になりっぱなしにはならないぞ!
そうしてる内に、ゆったりと走行していた車は橋を渡り終えていた。
「よし、ここからまた道路を伸ばします。ウィリアムさん運転よろしくです」
「分かりました市長」
「市長凄いね、お金も持たずに毎日動き回って、休んでないでしょ?」
「そうですが、今は街が少しでも自給自足出来るようにしないといけません。私無しでは、維持出来ない状態です」
「……無理しないでね市長」
「…はい」
意識はしてないが無理はしてるかも知れない、確かに倒れたら大変だ、ちゃんと寝るようにしよう、ウィリアムさん初め町役場の職員が街の管理などを引き受けてくれてる。
お陰で街の発展・拡張に集中出来ている。焦らずに行こう。
それに今日はこの西側に建てる予定のものもあるし、格段に楽になるはずだ。
道路建設が終わり、道路だけが見える平地が出来上がった。そこに住宅地区や商業地区を制定していく。
必要になりそうな商業施設はマニュアルで建築し、一瞬で建てて行き、最後に大きな建物を建てた。
それはヨーロッパの教会のような雰囲気をほのかに感じ全体的に4階建てで、正面真ん中により高い塔のが付いている大きな建物だった。
「これは教会?」
「いいえ、市役所です」
「市役所、ということは!」
ウィリアムさんが市役所の入り口を覗く、その中には多くの人が見えた。
「職員の増員!助かります市長!」
「これからの拡張を考えると街の管理能力、行政力が必要だと思いましたので、ウィリアムさんはこれからも私の手伝いをお願いします」
「勿論です市長!後であの人達に挨拶しておきます」
「いや、今から挨拶してきて構いませんよ」
「そうですか市長?これからの予定は?」
「ここには他の車が居ませんし、ちょっと自分で車を運転して見たくて」
「市長、免許は持ってますか?」
「持っていませんが、今は持つこともできませんし、安全な道路で練習したいんですよ、免許は持っていなくても、いざという時に運転出来るように」
これからの街の発展において遠出をする事になってくる。そうなるとウィリアムさん一人に運転をさせるわけには行かない。帰りは僕が運転するような感じで交代出来れば長時間の運転でも安心だ。
というか現時点で毎日、長い時間ウィリアムさんに運転してもらってる。疲れているはずだ、見れば分かる。
「分かりました市長、ですが挨拶は後にします。今から市長に運転の仕方を教えましょう」
「流石に一人は心配ですか?」
「私も居るよ〜?市長〜」
「春風さんも免許持ってないでしょうに、とにかく私が教えたほうが早いですしちゃんと学べます。任せてください」
「分かりました。頼みます」
「春風さんも後ろに乗ってください、知識だけでも手に入りますよ」
「お〜↑やった〜!タダで運転勉強だ〜!」
僕は運転席に乗りウィリアムさんの説明通りに動かしていく。
この運転講座である程度の運転の知識を得ることが出来た。細かいルールはまだ覚えきれなかった、多い…
暗くなって来たので今日は解散となった。
ウィリアムさんは市役所の職員に挨拶してから帰るそうで、僕達の帰りは警察に連絡して迎えを頼んでくれた。
市役所前で春風さんと迎えを待っている。
「今日の講座で私は小さい車が良いなって思ったよ市街君」
「そうですか?小さい車ですか、暇な時に探してみます」
「いいよ〜車を売る所も無いのに」
「それは今だけです。街が発展していけば、何でも自分達で作れて揃えられるようになりますよ」
「分かった、期待しとくね……今回の西側の拡張結構大きな規模だったよね?」
「そうですね、今までの街を倍にした規模です」
街の規模が倍になる、つまり人口も2倍程度になる。
市役所を建てたのもこれが理由、管理能力を強化して規模拡大に備える為だ。
「じゃあ少し休めるんじゃない?」
「う〜ん、そうですね地区制定した場所の建物は一瞬で建つことはありません、1週間で完成しますし街の拡張はおやすみしても大丈夫ですね」
「それなら1日くらいは休んでもいいんじゃない?」
「1日…1日くらいならいいかも知れません」
「なら明日は休んじゃお!市長初の休日になるね!」
休日、確かにずっと動き回ってて丸一日休んだこと無いな、これからの事もあるし休んでおこう。
「そうですね、明日は休みます」
「よ〜し!明日は私も休みだから遊びに行きますね♪」
「ちゃんと私を休ませてくださいね」
「連れ回したりはしないよ?」
遊びに来るのか……なんだか春風さんが遊びたいだけな気がしてきた。
しかし、どうして春風さんはこんなにも僕のことを気にしてくれるのだろうか?普通に聞いてみよう。
「どうして春風さんは私に気を使ってくれるんですか?」
「う〜〜ん…………市街君さぁ、無理してない?」
逆に質問されてしまった、というか、無理か……
僕としては無理をしているつもりは無いのだが……
「毎日街の為に頑張ってるじゃん、へとへとになって家に帰るの何回か見てるよ。ほかの住民もそう。みんな心配してるんだよ?市長は休んでないのか〜?って」
「そう思われてたんですか、住民に心配をさせるとは…市長として申し訳ないです」
意外とみんな僕のことを見てるんだな、まぁ市長だしそうなるか、それにしても住民には僕が働き過ぎているように見えているのか、気を付けないとな。
「私としてはそれだけじゃない気がするんだけどね」
「どういうことですか?」
「市街君が無理をする理由、そのつもりが無くてもそうなってる。市長として責任を感じてるのかも知れないけど無理はして欲しくないかな」
「……私が頑張らないと皆さんが困ります。市長として住民の生活を維持しないと行けません。まだこの街は自分達だけで生き残れません」
「でも、市街君が無理をして倒れることは誰も望んでないよ」
「そうですね、無理はし過ぎないようにします」
「よ〜し、言質取ったからね!明日はゆっくり休みましょう〜♪」
僕がこの世界に来てこうやって街を作るのはほとんど確実だっただろうし、そうしなかったら飢え死ぬ運命だったかも知れない。
僕はこの街と運命共同体だ、確かに僕が倒れたらそれこそ皆が困ってしまう。これからは無理せずに休もう。
その後直ぐに警察車両がやって来て家の近くまで送ってくれた。
よし、明日はゆっくりしよう。
翌日
「おはよう〜市街君!朝ごはん作ってきたよ〜ほらこれ!パスタ!」
「……春風さんの分もありますよね?」
「お〜私の心配?大丈夫一緒に食べよ!」
うん、いつか絶対車プレゼントしよう。