街作ってたら国出来て防衛戦争始まった~その者がもつ力の名はTheoTown~ 作:luckytown
市役所の中を歩いていく、廊下を進み如何にも会議室というような洋風の扉を開けて入っていく。そこまで広くない室内に机を囲って市役所職員達が座っていて、正面にはウィリアムさんが立っている。
「市長が来られました。これよりテオタウン会議を始めます」
全員が立ってこちらに一礼をする。
こういうのは生まれて初めての体験だから緊張するな。でも、こうやってしていかないと行けないよな、市長なんだし。
「皆さんおはようございます。それではまず、先の遠征から得た周辺の情報をお伝えします。お手元の資料をご覧ください」
最初から机に置かれていた資料を各々手に取り読み始める。ここ1週間の遠征によって分かった情報を記載した資料だ。
僕は会議で使う資料を作ったことは無かったからウィリアムさんに任せてある。主に喋るのは僕だ、市長だし遠征をした本人だしこれから伝える街作りの指示も僕が考えたことだからね。皆に説明しないと。
「まず南への遠征で海に辿り着くことが出来ました。そこは新たな街の候補地として最有力です。港も建てて漁業の発展や長期的な視点で貿易や造船業の発達も期待できます。その開発計画は後ほど説明します。
北は山脈があり、横に広がっておりました。山脈までの地域はなだらかな平原でしたので、農業地区の拡大が長期的に可能だと思われます。
東は森林がありまして、先に行けば行くほど密度が高くなっていました。森を抜けることは出来ていないのでかなり広いです。
西は小さい森や川があるだけで平原が続いています。南以外はまだ先がありますので、次回の遠征で探索いたします。以上で遠征結果の報告を終わります」
ウィリアムさんの資料のおかげで、ちゃんと説明が出来ている気がする。
しかし、人の痕跡や文明を見つけられるんじゃないかと思っていたけど、何も見つからなかったな……まあたった1週間、しかも全方向の探索だったし、まだまだこの大地は広い事が分かったから希望はある。
さて、この会議は遠征の報告が主題じゃない、主題は南に作る都市についてだ。
「次に南に作る都市の開発計画について話します。場所が海沿いという事もあり、都市規模にしたいと思っています。その為、これまでの人口数倍規模に直ぐに成長させるつもりです。新しい市民の情報登録などの事務作業が膨大になると思われますが、そこは全員で協力して終わらせる形にしましょう。
あと、街と都市の間の移動ですが、車を無制限に使われると燃料の消費が激しく、私による補充頻度が増加して対応できなくなるので、これから作る電車での移動を使うようにお願いしたいです。
大まかな説明は以上となります。何か質問や意見などありますでしょうか?」
僕がそう言い終えると直ぐに手が挙がった。あの人は確か…
「エネルギー課のノーズ・マクラガーです。市長は先ほど電車による交通網を作ると仰っておりましたが、現在のテオタウンの電力供給は逼迫しております。新たな街の建設と並行して鉄道路線を作るというのでしたら発電設備の増設をしないと不可能です。私としては火力発電を行える設備を建てて頂きたいと思っております」
そうだ、ノーズさんだ。昨日ウィリアムさんが設けてくれた市長としての市役所全職員への挨拶の場で、主要な人物は紹介して貰った。
だからこの会議室にいる人達は覚えてる。名前はまだ覚えきれてないけど、
しかし、いい質問をしてくれた。街を作る前に発電所を建てておこう。火力発電か、Theotownだとあれだな。
「ノーズさんありがとうございます。発電所の建設としては石炭火力発電所を建てようと思います。十分な発電量を確保できると思います」
「ありがとうございます市長。出来れば複数建設して頂きたいです。一つを稼働させて他は非稼働にする事で、長期的に街の電力を補えます。そうすれば石炭が無くなった際に市長に再び建て直して頂く頻度が減ります」
「そうですね、分かりましたそうしましょう」
石炭火力発電は文字通り石炭を使って発電をする。ゲームの中なら気にする必要はなかったけど、現実世界では石炭が消費されることを考えなければならない。
現状、石炭は採掘も輸入も出来ない、僕が建物と一緒に出現させるしかない。そう考えれば、必要以上に建てておいて稼働していた発電所の石炭が無くなったら、非稼働だった発電所が発電を始めれば長いこと維持できる。
僕が建て替える頻度が少ないのは助かる。街の拡大や建設に使える時間が増えるからね。
「市長、石炭火力発電所は何処に建てられますか?」
ノーズさんの対面に座っている人からも質問が来た。この人の名前は、多分、
「工業地区の直ぐ近くに建てようと思っています。石炭火力発電は汚染もかなり出ますからね、住宅の近くに建てるわけにはいきません。確認してくれてありがとうございます
「自然環境課として当然のことをしたままです。それと呼ぶときは名前だけで結構です。なぜフルネームを?」
「まだ皆さんの名前を完璧に覚えられていないので、合っているか確認したかったんです」
「私の名前は合っているか自信がなかったという事ですね、大丈夫ですよ合っています。それとウィリアムさん」
緑さんが僕の横に居たウィリアムさんに話しかけた。ウィリアムさんが何でしょうか?と返事をする。
「流石に一気に自己紹介するだけでは覚えきれていないようですし、名前リストくらいは用意した方が良いのでなないでしょうか?」
「……確かにそうですね、私は自己紹介さえするのを忘れて名前を覚えてもらっていませんでしたので、自己紹介すれば大丈夫かと思っておりましたが、人数を考えるべきでした。本日中に簡易的な各課のリーダーの名前を記載したリストを用意します。すみません市長」
「大丈夫ですよ、頑張って覚えるつもりでしたし、でもリストがあれば把握もしやすいので助かります」
ウィリアムさんが市役所職員をまとめてくれたけれども、まだ全部のグループを覚えたわけじゃないし、何の課があるのか分からないから紙面で確認できた方が分かりやすいだろう。
それにしても、みんな僕より年上でしっかりした大人っぽいし頼りになりそうで良かった。この都市開発で街の規模は一気に拡大するだろう、そうなれば僕一人ではとても対処できる自信がない。皆に任せられるところは積極的に任せて行こう!なんたって僕は市長だからね!
「まぁそりゃそうだろうな、初対面の全員の名前を覚えろって言われてもメモ張でもなけりゃ難しいだろうさ」
そう言ったのはノーズさんの横に座っている如何にも強そうな人だった。その印象の強さから名前も存在も、昨日の今日でしっかり覚えている。
「建築課、ライネス・マルソンだ。市長、一つ提案があるんだが、言ってもいいか?」
「いいですよ、何でしょうか?」
「新しい街への移動は電車と言っていたが、その線路の建設を任せてくれないか?工業地区に出来た建築関係の会社が仕事が無くて困ってるんだ。どれもこれも全部市長が作るから、自分達は何のためにこの職に就いているのかって嘆いてるぜ」
「えー!そうなんですか!?知りませんでした。線路だけでいいんですか?」
「ああ、まだでかい建築を出来る程でもないからな、小さい物から手を付けていく方がいいだろ?」
驚いた、工業地区を作った時からそんな会社も現れてくれればと思っていたけど、意外と出現してたんだな、工業地区は作った後、そんなに見に行ってなかったから知らなかった。
「分かりました、駅と少しの線路だけ作るので、それを基準に後は全部お任せします。よろしくお願いします」
「よし!任せてくれ!」
それからも会議は少し続き、明日から都市開発を始める事になり、今日は市長はもう休みになった。
しかし、工業地区もしっかり出来てたんだなっと思いながらTheotownの力でディスプレイを見ていた。そこには上空から見た工業地区の現状が見えていた。
そうやって家でゆっくりしながら見ていたら、ふとある部分に目が行った。
ディスプレイの右下には、サンドボックスだからお金が∞(無限)と表示されているが、その左にダイヤ250という表記がある。
僕はそのダイヤが何に使うものだったのかを見ている内に段々と思い出した。
「もしかしてこれって……」