死を視る少年と大魔女様   作:カラス

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2話目です。


正しさ

 

授業が終わった。

今日学校ですべきことのほとんどが終了したことを意味しており、一気に肩の荷が降りる感覚を味わった。

まさに開放感そのものだろう。

 

「はーーー、やっと終わった」

 

いつもいつも、長い時間拘束されるのは勘弁してほしいが、こんなことを言えば我が姉に怒られることは確実なので口には出さない。

「学生ならばその本分を行うのは当然だ」とでも言ってきそうだ。

そんなことを思いながら、帰りの支度をして教室を出る。

恐らく月代さんと()()()は我が姉を別の教室まで迎えに行っていることだろうから、自分は校門らへんで待っていればいいだろう。

わざわざ迎えにいくのはなんだか気恥ずかしい。

 

校門に行く途中、ある集団を見かける。

その中には、かつて自分が仲良くしていた奴らもいた。

まあ、今となってはほぼ他人だが。

月代さんとの一件があってからは話すこともなくなった。

無事に校門へと着き、少しの間待つ。

この間は少し考え事をしているのが常だ。

 

「あっ!式くん!」

 

そんな元気いっぱいの声が聞こえてきたことで、考え事は中断される。

声を掛けてきたのは、綺麗な純白の髪に桜色のメッシュ、同じく桜色の目をした美少女。

自身の姉の友人である桜羽エマだ。

 

「どうも、桜羽さん」

「うん、式くんもお疲れ様!」

 

そう労いの言葉を掛けつつ、言葉を返してくれる桜羽さんは、知り合いというか身内の中ではすごくまともな人物だ。

まあ、ふわふわの天然と正しさの権化みたいな人物たちに比べればだが。

 

「なにか失礼なことを考えなかったか?式」

 

そして続いて声を掛けてきたのは、ストレートの黒髪ロングに紅目をしたまさに大和撫子と言った風貌の美少女。

自身の()()の姉である二階堂ヒロだった。

 

「いえなんでもないですよ?」

「目が泳ぎすぎだ、嘘をつくのは正しくないな」

「いやいや、別に融通が効かない正しさの権化とか思ってなっいててててててててて!?待ってアイアンクローはやめて!!」

 

少し口を滑らした自分に愚行を見逃さず、我が姉は頭が割れそうなほどの攻撃を仕掛けてきた。

全く本当に融通が効かない人である、少しの悪口くらい見逃す度量を見せてほしいものだ。

 

「ふふ、やはり仲がいいですね、二人は」

 

そう言ってきたのは月代さんだ。

楽しそうにこちらを見る彼女に少しムッとして、声をかけようとするがそうはいかない。

この赤と黒の正義の悪魔が逃してはくれない。

 

「謝罪の意思が見えないな?よほど痛めつけられたいのか?」

「な訳ないでしょこの悪魔ああああああいたいいたいいたい!!」

 

それからしばらく、地獄のアイアンクローは続いた。

 

 

───────

 

 

「酷い目に遭った………」

「あはは……大丈夫?」

「桜羽さんは優しいな〜、うちの姉とは大違いだ……」

 

そんなやり取りをしながら、帰り道を歩く俺たち。

いまだに頭が少し痛むが、半分ほど自業自得なので我慢する。

決して隣から恐ろしい視線が来たからではない。

 

「エマ、やはり君は式を甘やかしすぎだ」

「そ、そうかな?」

「そんなことないですよ桜羽さん!!さあ帰りましょう!!」

 

なんだか説得されそうだったので急いで話題を打ち切り急かす。

舌戦で姉に勝つことはほぼ不可能なため、逃げるが勝ちである。

そんなこんなで帰りつつ、今日にあったことを報告し合う。

その中で、やはり話題に上がるのはあれだろう。

 

「───ところで、今日は大丈夫だったのか?」

「ああ、別になかったと思うよ、姉さん」

 

月代ユキの、イジメの話題だ。

何を隠そう月代さんはイジメを受けている。

それも、かなり酷い部類の。

なんとかしてみようと教師にも相談してみたりもしたのだが、そんな事実は確認されていないと取り合ってすらもらえなかった。

完全に黙認しているのだろう。

反吐が出る。

 

「……すこし、頻度が減ったか?」

 

そんなことを我が姉が呟くのを聞く。

それに対して、俺は少し心当たりがあった。

 

「あー……多分あれかも」

「………なるほど」

 

それを聞いた姉は、いい顔はしなかった。

当然だろう。

なぜなら、あれとは俺が暴力を振るった事件のことなのだから。

 

「……すまない」

「別にいいよ、姉さんのせいじゃない」

 

止められなかったことを悔いているのだろう。

まあ確かに危うく停学になりそうだったが、イジメ側に非がある証拠を掴んでいたためそうはならなかった。

あと学校の教師を脅したことも一因としてあるだろう。

月代さんの件も合わせれば材料として十分すぎた。

ここまでされてイジメをやめない奴らの精神も同時に疑うが。

 

「もうすぎたことだしな、問題ないって」

「……すみませんね、式」

「それこそ月代さんが謝ることじゃないって」

 

話が大体終わったところで、帰り道が別れる場所まで着いた。

 

「それじゃあ、また明日」

「うん!また明日ね!」

「ああ、また」

「また明日、ですね」

 

そんなふうに言いながら、俺たちはそれぞれの帰路に別れた。

 

 

─────────

 

 

家に着いて自室に入ったあと、ベットに体を投げ出すまで、そう時間は掛からなかった。

横になり、今日のことを回想する。

……学校での月代さんへの敵意は、日に日に増しているように感じる。

彼女に嫌われる原因があると言われればそれまでだが、少しおかしい。

あれだけのことがあったにも関わらず、彼ら彼女らは全く諦めていないように感じる。

普通暴力を返されたり、発覚しそうになったりすればイジメなどやめることではないのか。

少し、違和感があるように感じる。

 

「……()()でもされてるみたいだな」

 

そんな考えが浮かんでしまうのも、仕方ないかもしれない。

だとしたら、誰がそんなことをしているのだろう。

その時浮かんできたのは、やっぱり。

 

「いやいや、ここで思い浮かべるのは失礼だろ、いくら苦手で不思議だからって」

 

やはり疲れているのだろうか、それともストレスだろうか。

自身の秘密を知られているからって、それはない。

少し、頭を冷やさなければならないかもしれない。

 

「外、行くか…」

 

そう言って、俺は窓から身を乗り出す。

二階なので、やはり高い。

 

「こうして見ると俺不良みたいだな……」

 

そのまま飛び降りた。

 

 

 

 




個人的には、ユキは素で虐められていたのをさらに魔法で悪化させているものと考えていますが、どうなんでしょうか?
それと、多分少し別の人の話を混ぜると思います。
このままだと主人公がユキの正体に辿り着けないので。
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