機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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黒い三連星、荒野を圧す(34 武者怒武)

 地鳴りが聞こえる。

 それは天宮(アメノミヤ)の国の街道を進む、商人の列や平和な村々にとって、死の宣告に等しかった。

 地平線の向こうから湧き上がる、三つの黒い土煙。

 

「……いたぞ。頑駄無軍団の物資輸送部隊だ」

 

 低く、重苦しい声。

 武者怒武(ムシャドム)。

 闇軍団の中でも、一際強固な装甲と圧倒的なパワーを誇る重装部隊である。彼らは常に三人一組で行動し、その連携は「一度狙われたら最後、生きては戻れぬ」と恐れられていた。

 

 彼らの鎧は、夜の闇を塗りつぶしたような深い紫と黒。

 その顔面中央に輝く十字のモノアイが、冷酷に獲物をロックオンする。

 

「ガイア、オルテガ、マッシュ。……行くぞ、三位一体の陣!」

 

 リーダー格の怒武が叫ぶと同時に、三機はホバー移動を開始した。

 土煙を巻き上げながら、大地を滑るように進むその姿は、巨大な鉄の塊が宙に浮いているかのような錯覚を与える。

 

 迎え撃つのは、頑駄無軍団の足軽たち。

「撃て! 奴らを近づけるな!」

 矢が放たれ、種子島が火を噴く。しかし、怒武の重厚な装甲は、そんな貧弱な攻撃など歯牙にもかけない。弾丸は火花を散らして弾かれ、矢は鋼の肌を滑り落ちる。

 

「無駄だ! 我らが装甲は、闇の加護を受けた不落の盾!」

 

 一人目の怒武が、巨大な『大刀』を振りかざして突進する。

 足軽たちが怯んだ瞬間、二人目の怒武がその背後から飛び出し、重厚な『鉄球』を振り回して陣形を粉砕した。

 そして三人目。爆煙の中から現れた彼は、背負った大筒――『散弾種子島』をゼロ距離でブッ放した。

 

 ドォォォォォンッ!!

 

 これが怒武の真骨頂、連撃・三位一体。

 個々の力もさることながら、流れるような連携攻撃の前には、どんな堅牢な守りも紙細工のように引き裂かれる。

 

「ククク……脆弱だな。頑駄無さえいなければ、この国は我ら怒武一族の庭も同然よ」

 

 怒武の一人が、転がった軍旗を無造作に踏みつける。

 だが、彼らの勝利の余韻は長くは続かなかった。

 

 空から一筋の光――矢のごとき鋭さで飛来した『飛龍』が、怒武の足元を爆破したのだ。

「何奴だ!?」

「……山を汚す黒い雲には、退散願おうか」

 

 崖の上に立つのは、武者仁宇頑駄無。

 怒武たちは忌々しげに十字のモノアイを光らせた。

「仁宇か。……今日のところは物資さえ手に入ればいい。深追いは無用だ、引くぞ!」

 

 怒武たちは奪った物資を抱え、再び猛烈な土煙を上げて撤退を開始した。

 その引き際の鮮やかさもまた、彼らが歴戦の強者である証であった。

 

 荒野に残されたのは、巨大な足跡と、焦げ付いた大地の匂い。

 闇軍団の力は、確実に、そして圧倒的な「質量」をもって天宮を侵食しつつあった。

 

「怒武……。あの厚い装甲、一筋縄ではいかんな」

 仁宇は静かに弓を引き絞り、去りゆく黒い影を見送った。

 

 武者七人衆と闇軍団の正面衝突。

 その火蓋は、今まさに切って落とされようとしていた。

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