機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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血風の円刃、猛将怒雷仙(35 武者怒雷仙)

 天宮(アメノミヤ)の国を南北に分かつ「不帰(かえらず)の峡谷」。

 そこを拠点とする頑駄無軍団の守備隊は、かつてない圧迫感に包まれていた。

 霧の向こうから聞こえてくるのは、金属が擦れる不快な音と、大地を力任せに踏み抜く重い足音。

 

「……退け。貴様らのような雑魚を斬っても、私の『旋風(つむじかぜ)』は喜ばん」

 

 霧を割り、現れたのは紫紺の巨躯。

 武者怒雷仙(ムシャドライセン)。

 闇軍団の中でも最強の剛力を誇る武闘家であり、戦場を血の海に変える様から「旋風の処刑人」と恐れられる男だ。

 

 彼は怒武(ドム)の流れを汲むモノアイの戦士だが、その気性はより激しく、より攻撃的。背負った三枚の刃――『旋盤尾(トライブレード)』が、主の放つ闘気に呼応するように激しく震えている。

 

「死ねッ!」

 

 怒雷仙が腕を振るう。

 背後の旋盤尾が、意思を持つ生き物のように空を舞った。

 それは単なる円盤ではない。法力を受けて高速回転し、触れるものすべてを切り刻む死神の鎌である。

 

 キィィィィィィン!

 

 一撃で守備隊の木柵が粉砕され、頑駄無軍団の足軽たちは成す術もなく吹き飛ばされる。

 怒雷仙は、その爆煙の中を悠然と歩く。手にした『長柄の三叉槍』を軽々と振り回し、防衛線を力任せに突き崩していく。

 

「ハハハハ! 脆い、脆すぎるぞ! 頑駄無七人衆とやらはどこだ! この俺を愉しませてくれる漢はいないのか!」

 

 怒雷仙の咆哮が峡谷に響き渡る。

 その時、頭上の岩場から一筋の火花が散った。

 鋭い狙撃が怒雷仙の足元を穿ち、その前進を止める。

 

「……私の森で、あまり騒がないでもらいたいな」

 

 現れたのは、武者頑駄無摩亜屈。

 二本の太刀を抜き、静かに腰を落とす摩亜屈に対し、怒雷仙は狂喜の笑みを浮かべた。

 

「来たか、七人衆! その首、俺の旋盤尾に刻んでやるわ!」

 

 怒雷仙が三枚の旋盤尾を同時に放つ。

 三方向から迫る死の回転刃。

 摩亜屈はイーグルと共に空へ舞い、空中を蹴ってそれらを回避する。だが、怒雷仙は止まらない。巨体に似合わぬ突進速度で摩亜屈の着地点へ肉薄し、三叉槍を突き出す。

 

「力こそが最強! 技など、粉砕してしまえば同じことよ!」

 

 激突する刃と刃。

 摩亜屈の精密な二刀流を、怒雷仙は圧倒的な質量と暴力で押し潰そうとする。

 峡谷の壁が削れ、火花が夜の闇を照らし出す。

 

 数合の打ち合いの末、摩亜屈が放ったイーグルの一撃が怒雷仙の肩当てを砕いた。

「……ちっ、小癪な。だが、この傷こそが俺の闘志に火をつける!」

 

 怒雷仙は、壊れた肩当てを自ら毟り取ると、さらに凶悪な笑みを浮かべて構え直した。

 彼は闇皇帝への忠誠心よりも、戦いそのものを愛する狂戦士。

 摩亜屈は悟った。この男を止めるには、ただの勝利ではなく、その魂ごと断ち切らねばならないことを。

 

「……怒雷仙。貴様の狂気、私が預かろう」

 

 峡谷を吹き抜ける風が冷たさを増す。

 武の極致を目指す者と、破壊の極致を体現する者。

 二人の戦いは、天宮の勢力図を塗り替えるほどの激動を予感させていた。

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