機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
闇将軍の放つ暗黒の波動によって、若き武者たちが次々と膝を突き、絶望が戦場を支配しようとしていたその時。
背後の本陣から、大地を割るような低い、しかし力強い声が響き渡った。
「……若造共が、少々派手にやられすぎではないか?」
ゆっくりと歩み出てきたのは、白髪を思わせる銀の装飾に、歴戦の傷跡が刻まれた重厚な鎧を纏った老武者。
初代将頑駄無(ショダイショウガンダム)である。
その背中には、伝説の二振りの巨刀「厳厳丸(げんげんまる)」が聳え立ち、周囲の淀んだ空気をその威厳だけで切り裂いていく。
「父上! 前線は危険です!」
叫ぶ武者頑駄無を、将頑駄無は一瞥もせず、ただ静かに笑った。
「武者よ。大将というものは、部下の尻を叩くだけが仕事ではない。……手本を見せるのも、また仕事よ」
闇将軍のモノアイが不気味に発光する。
「死に損ないが。貴様のような古兵(ふるつわもの)に、何ができる」
「できるかできぬかではない。やるのだ。……来い、虎(タイガー)ッ!」
将頑駄無の呼び声に応じ、陣の奥から黄金の毛並みを持つ巨大な虎が飛び出した。将頑駄無の長年の相棒だ。
ここからが、天宮に伝わる古の秘術。
「人虎(じんこ)一体!」
ガキンッ、と硬質な音を立て、虎がバラバラに分解し、将頑駄無の鎧と合体していく。
背中には巨大な大筒が、足元には虎の剛力が宿る。ただでさえ巨大だった老将の姿が、さらに一回り大きく、猛々しく変貌した。
将頑駄無は「厳厳丸」を抜き放つと、迷うことなく闇将軍へと突進した。
その速さ、その鋭さ。とても老いた者の動きではない。
「はあああぁぁっ!」
激突。
暗黒剣と厳厳丸が火花を散らし、周囲の地面が衝撃で爆ぜる。
闇将軍の圧倒的なパワーを、将頑駄無は力で受けるのではなく、円を描くような老練な太刀筋で受け流し、同時にカウンターの砲撃を叩き込む。
「ぬう……! 貴様、この闇の力を恐れぬというのか!」
「闇など、夜が来れば誰でも見るもの。恐れるに足りん。……それよりも、仲間の信頼を裏切り、操られている己の弱さを恥じよ!」
将頑駄無の言葉が、闇将軍の奥に眠る「殺駆頭(ザクト)」の意識を激しく揺さぶる。
老将の戦いは、ただ敵を討つためのものではない。かつての戦友、あるいは愛すべき天宮の住人を救い出すための「活人剣」であった。
将頑駄無が放った渾身の突きが、闇将軍の暗黒の鎧を捉え、火花を散らす。
圧倒的な闇を前に、一人立ち続けるその背中は、若き七人衆の心に再び希望の灯を点した。
「見たか、若者共よ! これが頑駄無の、天宮の武士(もののふ)の意地よ!」
老将の咆哮が、暗雲を突き抜け、一筋の光を戦場に呼び戻す。
天宮の反撃は、ここから始まる。